「今まさに使えそうなアプリを入れていたはずなんだけど、アイコンどこ?」ってスマホ画面をスワイプしまくったこと、ないでしょうか。もしくは、便利そうなアプリを見つけてインストールしようとしたら「すでにインストール済み」ってアラートが出たこととか。
「スマホっていろいろできて便利ですよねー」なんて、さすがに2023年になって言うのもどうかとは思うんですが……。便利になりすぎて、もはやスマホを使いこなすには、人類はポンコツすぎるのでは?と疑問に思うこともしばしばです。
そんな“便利なおスマホ”をうまく使いこなすために、手軽にできる工夫の1つとして提案したいのが「NFCタグシール」(以下、NFCタグ)です。
NFC(Near Field Communication)とは、近距離で無線通信を行う技術のこと。おサイフ機能付きスマホのほか、「Suica」などの交通系ICカードにも採用されており、駅の改札に近づけるだけでピッと通信できるのもこの技術のおかげです。
そのNFC技術を搭載したシールが、NFCタグ。「アプリを起動する」「Webページを開く」など任意のタスクを登録しておくことで、対応スマホをかざすだけで、手軽に実行することが可能になります。最近発売したものだと、サンワサプライの「MM-NFCT」が入手しやすいと思います。
一見すると、正体不明な黒い円型のシール。しかし、使いこなすと便利な「MM-NFCT」(サンワサプライ)
裏面には、NFC技術を搭載したICチップを搭載。シールになっているので、フィルムから剥がして貼れます
「MM-NFCT」へのタスクの書き込みは、「iPhone」はiOS標準アプリ「ショートカット」で、「Android」は専用アプリ「NFCかんたん設定アプリ」を使うことで行えます。今回はiPhoneを使って試してみました。
NFC対応のiPhone(iPhone 7以降、iOS 13.1以上)から、「ショートカット」アプリを立ち上げます
タスクを書き込みたいNFCタグをスキャンして、いよいよ設定へ。今回は、いつもカップ麺を作る際に設定している「3分のタイマー起動」というタスクを登録してみました。
ちなみにiPhoneのNFCリーダーの位置は、機種によって微妙に異なります。今回使った端末は、アウトカメラの横(写真の青い円の裏側あたり)にありました
ちなみに、設定の最後には「実行の前に尋ねないようにしますか?」とアナウンスが出ます。支障がなければ、ここでは「尋ねない」を選んでおくのがおすすめ。そうすると、本当に“スマホをかざすだけ”でタスクが実行されるので、使い勝手が大きく違ってきます。
ここで「尋ねない」を選ばないと、タスクを読み込むたびに毎回「実行しますか?」と確認されます。ちょっと面倒なので、アラームの設定などきちんと実行されているか確認したいタスクでなければ、オフにしておくのがおすすめ
設定完了後、タグを使う場所に貼れば、準備完了! いつも使っている電気ケトルのフタにペタリと貼っておきました。 ※「MM-NFCT」の動作温度は0〜70度に対応しております。写真の環境では正常に動作しましたが、使用環境によっては影響があるかもしれませんのでご注意ください
NFCタグを使う大きなメリットは、「場所とスマホの機能をひもづけられる」ということ。
今回であれば、「いつもお湯を沸かしている電気ケトル(場所)」に、「3分タイマー(機能)」をひもづけました。これにより、カップ麺にお湯を注いだタイミングでNFCタグにスマホをかざすだけで、タイマーがかけられるようになりました。
要するに、自宅内の「この部屋でこのアプリを使う」というような日常ルーティンがあるなら、NFCタグで省力化するとラク!というわけ。アプリ1つが自動で起動するだけでも、日常のアクションがスムーズになり、QOLアップを感じられました。
個人的なヒットが、洗面台に「Bluetooth体重計用のアプリを起動する」タグを貼ったこと。毎日いちいちタップしてアプリを起動していたのが、かざしてピッのワンアクションで済むようになりました
1つ気を付けたいのが、NFCタグを貼る場所。アルミなどの金属面に貼ると、干渉を受けてタスクが読み取れなくなる場合があります。一応、金属面に対応できるように加工する製品も売られてはいますが、貼る場所はある程度目星を付けておいたほうがよいかもしれません。
もちろん、そのひもづける場所が固定座標である必要はありません。外出先でもスマホは使っているわけですし、NFCタグを一緒に持ち歩いたらもっと便利になるはず。
たとえば筆者こと自堕落王(ジダラキング)は、ダイエットと気分転換も兼ねてよく遠出の散歩に出かけます。そこで今回は、散歩に必ず持っていくポーチにNFCタグを仕込んでみることにしました。
普段使いのポーチに接着。最近はNFCタグ内蔵の衣服などもあるそうです
このポーチの布ぐらいなら通信可能と判断し、ポーチの内側や、ポケットのタブ裏などにもNFCタグを接着。ただし、NFCタグのシール部分の粘着力に不安があったので、布用接着剤を使って貼り付けました。糸で縫い付けてもよかったかも。
ひとまずポケットのタブ裏、ポーチの内側、ショルダーベルト中央の3か所にNFCタグをセット。これがめちゃくちゃ便利なんです
では、本連載「ジダラキング」オリジナルの“改造NFCポーチ”をさげて散歩に出てみましょう。
歩く際は軽く音楽が欲しい派なので、さっそくお気に入りの「散歩用音楽フォルダ」とひもづけたNFCタグをピッ。設定したフォルダから音楽が再生され、快適に散歩をスタートできました。
ノールックでピッと操作できるので、いわゆる“歩きスマホ”にならないのもメリット
これまではいちいちスマホのロックを解除して(もしくはマスクを下げて顔認証して)、音楽アプリを立ち上げて……としていたのですが、その手間がまるっとなくなりました。シンプルに快適です
気の向くままに4〜5kmも歩いていると、知らない道に迷い込むこともしばしば。当然ながら帰る方向も完全にロストしてるので、ナビアプリを頼るほかありません。
そこで、外側ポケットに仕込んでおいた「ナビアプリの起動」のNFCタグをピッ。かざすだけで、家までのルートがすぐに検索できました。困ったときに読み取り動作だけで即応でき、かなりストレスフリーになりました。
「さて、家に帰るにはどの道を行けば……」。途方に暮れる筆者
散歩に限らず、普段から歩き移動が多いので、「ナビアプリの起動」を設定したNFCタグは今後も重宝しそう
ノドが渇いたのでコンビニへ寄り道します。ドリンクを選んだら、ショルダーベルトの中央に貼り付けた「キャッシュレス決済アプリ起動」のNFCタグをピッ。レジ前での動作もすっかりスマートになりました。
日常的に多用している決済アプリと連携させたNFCタグは、ベルト中央に接着。使用頻度の高いNFCタグは、より手元に近い場所に貼っておくと、読み取りがしやすく快適です
もう、レジ前でアプリ立ち上げるのにモタモタしない! ただ、お金を扱うアプリはロックを解除しないと起動できない仕組みになっているので、そこだけご注意を。安全性を考えたら当然なんですけども
スマホ画面の上でいちいち指をウロつかせるのに比べて、NFCタグをピッのタッチ&ゴーの速いこと速いこと。ちょっとした前準備をするだけで以降の生活が快適になるので、NFC対応スマホをお持ちの人はぜひ導入してみてほしいです。
ただし、調子に乗ってあちこちにペタペタ貼りすぎると「えーと、これは何をするためのタグだっけ?」みたいなことも起きうるんですけども。やはり人類のポンコツさがボトルネックになるのか……。
最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。