為替相場の最前線をFXのプロがわかりやすく解説!

FX投資家必見!9月のドル円相場を振り返り10月の戦略を練る

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はじめまして。ムエタイファイターからバーテンダーを経て為替ディーラーとなった大塚と申します。普段はディーリング部の部長としてお客様からうけた外国為替やCFD(差金決済取引)などの売買注文を管理・仲介するカバーディーラーを統括しています。昔はディーラー個人の相場観を元に行っていた執行判断ですが、近年ではアルゴリズムが機械的に判断し最良のタイミングで注文執行しています。

今回から毎月1回「FXを始めてみたいけど、どう為替相場を予想すればいいのかわからない」「FXでなかなか勝てずに困っている」という初心者の方向けに、どのテーマに注目してどう考えればいいかをお伝えしたいと思っています。為替には政治・経済・財政・金利などさまざまな変動要因がありますが、とくに重要なテーマをピックアップして専門用語などは極力使わずに解説していきます。

為替相場が動く要因は、いくつかのテーマがあり、それらに対しての期待感・失望感・思惑・事実で値動きが形成されます。もちろん、複合的な要因が複雑に絡み合っている場合がほとんどですが、初心者はすべてを理解する必要はないため大きなトピックに注目して相場を読み解きます。
一般的な考えとマーケットの注目しているポイントのズレにもフォーカスし、実際にどういう動きをしたのか捉え、為替市場に参加する心構えを体得してもらえると幸いです。

9月の相場は8日を境に徐々にドル高へ

9月の米ドル/円相場は、8日の1ドル=107円83銭を境に徐々に円安ドル高の流れとなり、月の後半は112円台半ばで推移しました。なぜ円安ドル高になったのか、どのような出来事が為替相場に影響を与えたのかを解説します。

[source: Bloom berg, マネーパートナーズ作成]

1 北朝鮮・地政学リスクの影響は限定的

9月15日午前7時ごろ(日本時間以下同じ)、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)から、ミサイルが発射されて日本の頭を越し北海道の南端に位置する襟裳岬東方の太平洋に落下しました。一般的には、北朝鮮とアメリカが戦争になるリスクが高まるため、円高ドル安に大きくふれる出来事に思えたかもしれませんが、多くの市場関係者は相場への影響は限定的と捉えており、それほど危機感を持っていなかったようです。

事実、ミサイル発射後のドル売りの突っ込みが浅く、ほとぼりが冷めるとすぐにドルが買い戻されていきました。ヘッジファンドなどの投機筋が思い切ったドル売りを仕掛けていなかったからだと推測しています。
ミサイルの動向に揺さぶられ、ドル円相場がどう動くかの予想がむずかしく、新規で自信を持ってドルを買いにくい状況でしたが、多くの投資家は107円、108円台でドルを買っていました。結果的には投機筋と同様の動きであり、利益を出せた投資家も多かったのではないでしょうか。

しかしながら、このやり方は推奨できる手法ではありません。セリング・クライマックス(大災害や政治的な問題などが引き金になり、取引参加者の多くが大量の売り注文を出し相場が急落する局面のこと)という言葉があるようにリスクオフ相場では、相場の動きにさらに拍車が掛かり急激な下落につながりやすい傾向があります。エントリーするにしてもリスク管理が非常に重要です。

引き続き、北朝鮮とアメリカ間の緊張の高まりは継続している状態であり、経済制裁が徐々に北朝鮮経済にボディブローのように効いてきます。年末にかけて注視する必要はあります。楽観的に捉えられている相場は、崩れだすと一気に急落します。取引をする際はリスク管理をしっかり行ってください。

2 アメリカの動向にマーケットは楽観的、しかし疑問が残る

アメリカの中央銀行にあたる米連邦準備銀行のバランスシートを見てみると、国債を中心とした資産が490兆円を突破しています。リーマンショック前の2008年ごろは100兆円に満たなかったため、それと比較するとおよそ5倍であり過剰流動といえるでしょう。いわゆる金余りの状態です。そこでアメリカは金融緩和政策の出口戦略に向かっています。散々金融緩和してきたものの、ここにきて徐々に正常化していこうという流れです。

こうした金融政策の為替相場への影響ですが、9月19日に実施されたアメリカの連邦公開市場委員会で示された年内追加利上げの可能性と9月27日に公表された税制改革案の期待感からドル高方向に振れています

税制改革はトランプ政権の公約であり、ようやく第一歩を踏み出しました。しかし議会審議は難航すると予想されており、実現までの道のりは厳しそうです。この税制改革案は景気刺激策の一面も持っているため、調整が難航すると、買われていたドルを売る動きがでて円高・ドル安の方向に振れる可能性もあります。

3 アベノミクスに終止符?

為替相場は9月25日の解散総選挙表明したことを好感し、直後円安に振れたものの、マーケットの反応は一時的なものでした。解散総選挙の影響は限定的とみているようです。

市場関係者の中には、なぜこのタイミングなのかと疑問視している人が大勢います。

総選挙の影響は限定的とはいえ、仮に自民党が圧勝すればアベノミクスが認められたことになり、円安に振れるはずです。もともと円安誘導施策がアベノミクスの肝なので、円安方向には反応しやすいでしょう。輸出もしっかり伸びてきているため政権の思惑どおりの展開に近づきつつあります。最終的に、円安・株高・輸出増に加え、消費と実質賃金増加になればアベノミクスは成功といえそうです。

ただしここまで円安をけん引してきたアベノミクスに国民が[NO]を突きつけることになれば相場が大きく円高に振れる可能性もあります。

まとめ

当然、相場に関連する金融知識をすべて網羅したほうがベストですが、1つひとつ読み解いてみると、実は相場変動要因はシンプルなケースが多いです。鳥瞰(ちょうかん)し、一歩下がって相場に向き合うことで冷静に対処でき、リスク管理もできるようになると思います。次回も学べるコンテンツにしたいと思いますのでお楽しみに。

※記事の内容は2017年10月1日現在の内容です。
※本記事は、執筆者個人または執筆者が所属する団体等の見解です。

大塚知一

大塚知一

株式会社マネーパートナーズ ディーリング部長。オーストラリアのラ・トローブ大学卒。業界の流れに先駆け、ディーリングセクションの機械化・自動化に着手し、アルゴリズム・AIを駆使した取引手法を取り入れる。 日本の投資教育の低さを痛感しており、現在モノポリーを通して息子に教育中。

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2017.10.18 更新
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