クレジットカードを使って貯めたポイントを、皆さんはどう活用していますか?
電子マネーや商品券などに交換する人もいるでしょう。あるいは、マイルに交換し、旅行を楽しむ、という方もいるかもしれません。
今、このポイントの使い道のひとつとして、ポイントを運用したり、ポイントを使って金融商品を購入したりする「ポイント投資」が注目されています。その人気の理由は、現金不要で投資初心者も手軽にスタートできる点にあります。今回はそのサービスの特徴と、6つのポイント投資のサービスを紹介します。
ポイント投資の利用者が増えています。後ほど紹介する、NTTドコモの「dポイント」を使ったポイント投資は2018年5月のサービス開始からわずか9か月間で、利用者が40万人を突破しました。「楽天スーパーポイント」は2017年8月から、「Pontaポイント」は2019年4月9日から、「Tポイント」も2019年4月10日からポイント投資のサービスをスタートさせています。
投資に対して「投資するだけのまとまったお金がない」「手続きが面倒」「失敗したときが怖い」と言ったイメージを持っている人は少なくないでしょう。しかし、ポイント投資なら「現金不要」で、「100ポイント(100円相当)」から始められ、「簡単な手続き」で始められ、投資未経験者が一歩を踏み出しやすいサービスになっています。
また、たとえ損失が発生しても、減るのは買い物で還元された"おまけ"とも言えるポイントです。この点も、始めるに当たってのハードルを下げています。
ポイント投資は投資先として、たくさんの投資家から預かったお金をまとめ、プロが運用する「投資信託」や「株」を扱うことが一般的です。そして、資産運用の方法とリターンで2つのタイプに分かれます。
「現金運用型」
ポイントを元手に投資信託や株などを購入し、得られるリターンを現金として受け取る
「ポイント運用型」
投資信託や株などの金融商品の値動きに連動してポイントが増減し、得られるリターンをポイントとして受け取る
多くのポイントは現金と同じように使えるため、換金について差はさほどありません。大きな違いは運用スタイルと、それにともなう証券口座開設の有無です。
「現金運用型」はポイントを現金化し、証券口座に移したうえで投資信託などを購入し運用していきます。よりリアルな投資スタイルで、実際の金融商品に投資するため、購入、運用するために証券口座の開設が必要となり、売買には手数料が発生します。
いっぽう、「ポイント運用型」はポイントで金融商品を買うわけではありません。投資信託や株など、用意されたタイプを選び、それの値動きに連動してポイントが増減する仕組みです。いわば投資の疑似体験ができるサービスです。こちらは証券口座の開設が必要なく、ほとんどのサービスで手数料が不要で「現金運用型」より手軽に始めることができます。
続いては、ポイント投資の6つのサービスを紹介します。
「楽天証券」は、楽天スーパーポイントを使って、投資信託を購入できるサービスを提供しています(楽天スーパーポイントには「ポイント運用型」のサービスもあり、こちらは後ほど紹介します)。
楽天スーパーポイントは、クレジットカードの「楽天カード」などで買い物をすると、100円ごとに1P貯まります。
サービスは下記の手順で進めていきます。
(1)楽天証券で口座開設
(2)楽天スーパーポイント1P→楽天証券ポイント1Pに交換
(3)楽天証券ポイント1Pを1円として、楽天証券が買い取る
(4)投資信託の約定代金に充当
投資できる金融商品は楽天証券が扱う2,000本以上の投資信託です。投資信託を購入する際、全額を楽天スーパーポイントで支払うこともできるほか、現金と併用することもできます。1Pから使うことができるので、ポイントを無駄なく活用できるメリットもあります。
投資信託を購入した際の手数料や、投信残高に応じてポイントが還元されるサービスもあり、そのポイントも再度、投資信託の購入に利用することができます。なお、楽天スーパーセールなどで獲得した期間限定ポイント、ほかのポイントサービスから交換した楽天スーパーポイントは、投資に利用できないため注意しましょう。
参考HP:「楽天証券ポイント投資」
楽天カード
発行元/楽天カード
国際ブランド/Visa、Mastercard、JCB、AMEX
年会費/無料
ポイント(還元率)/楽天スーパーポイント(1%)
ジャックスが発行するクレジットカード「インヴァストカード」で貯めたポイントも、投資に利用できます。このカードの特徴は、買い物をするとポイントが貯まり、そのポイントを利用して「自動で」資産運用をしてくれる、という点にあります。仕組みは下記のとおりです。
(1)インヴァスト証券で口座開設後、インヴァストカードを申し込む
(2)100円の買い物でインヴァストポイントが1P貯まる
(3)「1P=1円」で自動的に現金化され、インヴァスト証券の口座に貯まる
(4)一定額が貯まった段階で、ETFを購入する
ETFとは、国内外の取引所に上場している投資信託で、リスクを分散して投資できるなどの特徴があります。このカードでは上記のように、カードのポイントを現金化し、それを資金としてETFに投資、運用まで自動的に行ってくれます。
口座開設後、最初に選べるのは「世界株ETF自動売買」(バランス重視)、「S&P500ETF自動売買」「日経225ETF自動売買」(いずれもリターン重視)の3種類になります。ETFの運用は、すべてお任せとなる自動売買取引となり、新たに積み立てる資金に加えて利益確定分も再投資する仕組みです。忙しくて値動きを追っている時間がないという人にも向いています。
なお、実際にポイント投資する際、クレジットカードを申し込む前にインヴァスト証券に口座を開設する必要があります。その後、クレジットカードを申し込み、運用する流れとなります。クレジットカードだけでは投資ができないので注意しましょう。
参考HP:「インヴァストカード」
インヴァストカード
発行元/ジャックス
国際ブランド/Visa
年会費/1,350円(初年度無料)
ポイント(還元率)/インヴァストカードポイント(1%)
NTTドコモは「dポイント投資」のサービスを提供しています。dポイントは、NTTドコモの携帯電話の利用やポイントカードの「dポイントカード」のほか、クレジットカードの「dカード」などで、100円で1P貯めることができます。ポイント運用タイプなので、実際に投資信託などの金融商品を購入するわけではありません。
サービス開始9か月間で利用者が40万人突破するなど、dポイント投資が人気を集めている理由はその単純明快さにあるのでしょう。サービスを利用するのに、費用は一切かかりません。必要なのは「dアカウント」のみで、ドコモユーザーでなくても始められます。最低100Pから運用でき、100P単位で追加することができます。また、引き出しは1P単位で可能です。
選べる商品は、高いリターンを目指す「アクティブコース」と、安定したリターンを目指す「バランスコース」の2種類。選択肢が限られている分、初心者はあれこれ悩まなくて済みそうです。午後5時ごろに、自分が選んだ投資信託の基準価額に連動して、ポイントが増減します。
通常、dポイントの有効期限は4年間ですが、dポイント投資を利用すると、利用分のポイントの有効期限がリセットされるのもメリットでしょう。ただし、期間限定・用途限定のポイントは使えないので、この点は留意しましょう。
参考HP:「dポイント投資」
dカード
発行元/NTTドコモ
国際ブランド/Visa、Mastercard
年会費/1,350円(初年度無料)
ポイント(還元率)/dポイント(1%)
クレディセゾンは2016年12月から、「永久不滅ポイント運用サービス」を開始しています。永久不滅ポイントはクレジットカードの「セゾンカードインターナショナル」などで買い物すると、1,000円ごとに1P貯まります。こちらも、手数料などの費用は一切かかりません。最低100Pから運用でき、100P単位で追加することができます。引き出しは1P単位で可能です。
dポイント投資との違いは、実在企業の株価にも連動できるなど、投資スタイルの選択肢の多さにあります。永久不滅ポイントの運用で利用できるコースは以下のとおり、「投資信託コース」と「株式コース」の2種類があります。
【投資信託コース】
・日本株(TOPIX)コース:東証株価指数に連動
・米国株(VOO)コース:米国市場の主要500銘柄(大型株)の株式指数に連動
・アクティブコース:外国株式・外国債券を中心に積極的にプラスを狙う(年間15%程度変動の可能性)
・バランスコース:国内債券を中心に安定的な運用を目指すコース(年間3%程度変動の可能性)
【株式コース】
・カルビー
・日清食品
・ホンダ
株式コースでは、永久不滅ポイント1Pをストックポイント4Pに交換し、上記3銘柄のうち選んだひとつの株価に連動してストックポイントが増減します。
投資信託、株式ともに実際に金融商品を買うわけではありませんが、株式コースはストックポイントが実際の1株の価値になった際、株式に交換することも可能です(このときは、証券口座の開設が必要です)。なおポイントは、米国株(VOO)コースのみ午前11時ごろ、それ以外のコースでは午後5時ごろ増減が反映されます。
「永久不滅ポイント運用サービス」では、毎月一定数のポイントを自動的に積み立てる「つみたて機能」もあります。1P単位で積み立てが可能なので、毎月の獲得ポイントが100Pに満たない場合でも、投資に活用することができます。
参考HP:「永久不滅ポイント運用サービス」
セゾンカードインターナショナル
発行元/クレディセゾン
国際ブランド/Visa、Mastercard、JCB
年会費/無料
ポイント(還元率)/永久不滅ポイント(0.5%)
楽天では、楽天スーパーポイントについて、先ほど紹介した現金運用タイプとは別に、ポイント運用タイプのサービスも提供しています。楽天スーパーポイントを持っていて、より手軽に投資に挑戦したい、という方は、こちらから始めるのがよいでしょう。
こちらも費用は一切かからず、最低100Pから運用できます。100P単位で追加することができ、1P単位で引き出すことができます。選べるのは積極的な運用を目指す「アクティブコース」と、安定的な運用を目指す「バランスコース」の2種類。選んだコースの基準価額に連動して、ポイントが増減します。楽天証券の「ポイント投資」同様、期間限定ポイントは利用できない点は留意しましょう。
参考HP:「楽天スーパーポイント・ポイント運用」
「Pontaポイント」では、2019年4月9日から、ポイントを使って投資ができる「Pontaポイント運用」のサービスを開始しました。「Pontaポイント」は、クレジットカードの「シェル-Pontaクレジットカード」や、「Pontaカード」などで、原則100円で1P貯めることができます。
「Pontaポイント運用」では、最小20Pから運用でき、1P単位で追加することができます。引き出す際は20P単位となります。選べるのは「ゲオホールディングス」「日本航空」「三菱UFJフィナンシャル・グループ」「リクルートホールディングス」「ローソン」の株式5銘柄に加え、投資信託など4銘柄の計9銘柄です。選んだ銘柄の基準価額に応じて、ポイントが増減します。
最低20Pから運用でき、ほかのポイント投資よりさらにハードルが低いのはメリットと言えますが、引き出す際は手数料として、引き出すポイントの5%が引かれてしまう点には注意が必要でしょう。
参考HP:「Pontaポイント運用」
シェル-Pontaクレジットカード
発行元/三菱UFJニコス
国際ブランド/Visa、Mastercard
年会費/1,350円(初年度無料)
ポイント(還元率)/Pontaポイント(1%)
クレジットカードはなにかと還元率が注目されますが、ポイント投資を利用して、これまで以上に多くのポイントを獲得したい、という人もいるでしょう。ただしあくまでも投資なので、投資信託や株価、ETFなど、商品を問わず価格が変動します。ポイントが減ってしまうリスクがあることを認識したうえで投資に回しましょう。
ポイント投資ではどのタイプから始めるべきでしょうか?
普段集めているポイントにもよりますが、初心者は「ポイント運用型」がおすすめです。しばらく実践してみて、運用結果によってポイントが増減することに慣れたら、「現金運用型」に切り替えて、積立スタイルでじっくり投資していくのがベターでしょう。
慣れてきたら、ポイントだけでなく今度は現金を利用し、毎月1,000円、5,000円といった単位で積み立てをしていくと、徐々に資産が増えていくことを実感できるはずです。コツは無理のない投資額、余剰資金で、できるだけ長く続けること。
価格はもちろん変動しますが、下落時には「同じ1,000円でも安くなったからたくさん買える」と割り切って、投資をやめてしまわずに、積み立てを続けるのがコツです。2年、3年と続けていくと、いずれまとまった資産となっていきます。あくまで自己責任にはなりますが、ポイント投資を入り口に長い目で資産運用に取り組んでみてください。