すごしやすい季節になり、旅行などの遠出を計画している人も多いと思います。そんなときに気になるのは「交通費」ではないでしょうか? 旅費の中でも大きな部分を占めますので、できればお得に楽しめるに越したことはありませんよね。
そこで、もれなく使いたいのが、各交通機関の「シニア割引」です。シニア割引とはその名のとおり、一定の年齢以上の人を対象とした割引サービスのこと。交通機関以外にも、映画館や観光施設など、幅広い分野で設定されています。
「何歳からシニアか」という定義は特に決まってはいませんが、満60歳以上の人が対象となるケースが多いようです。ただし最近は、満50歳から割り引かれるケースも増えてきていますので、対象となる人は使わない手はありません。本記事では、各交通機関のシニア割引を15種類ご紹介していきます。ぜひ、旅行のご参考に!
【目次】
鉄道
1. ジパング倶楽部(JR各社)
2. 大人の休日倶楽部ジパング(JR東日本、JR北海道)
3. 大人の休日倶楽部ミドル(JR東日本、JR北海道)
4. フルムーン夫婦グリーンパス(JR各社)
5. 50+(JR東海)
6. おとなび(JR西日本)
7. 四国エンジョイクラブ(JR四国)
飛行機
8. スマートシニア空割(ANA)
9. 当日シルバー割引(JAL)
10. シニアメイト1(スカイマーク)
11. DOシニア60(AIR DO)
バス・タクシー
12. リムジンバス シニア割引(東京空港交通)
13. シニア割引運賃(WILLERエクスプレス)
14. 敬老割引(東京エムケイ)
15. 運転免許返納者割引(東京都個人タクシー協会)
まずは、旅行の移動手段の定番とも言える鉄道からご紹介します。
JRグループ6社(北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州)で組織する会員制旅行クラブです。JR線を片道、往復、連続で201km以上利用する場合、JRの各種切符が割引になります。
■対象者:男性は満65歳以上、女性は満60歳以上(夫婦どちらかが満65歳以上なら一緒に入会可能)。
■割引内容:年会費(個人会員3,770円、夫婦会員6,290円)を支払うと、日本全国のJRの切符が年間20回まで最大30%オフに(3回目までは20%オフ)。
料金例:札幌から東京へ、「スーパー北斗」(札幌〜新函館北斗)、東北・北海道新幹線「はやぶさ」(新函館北斗〜東京)を利用した場合の片道の運賃・料金。
・20%オフの場合 合計21,760円(通常26,820円) ⇒ 5,060円お得
・30%オフの場合 合計19,230円(通常26,820円) ⇒ 7,590円お得
※東北新幹線「はやぶさ」でグランクラスを利用の場合、特急料金・グランクラス料金は割引とならない。
※札幌〜新函館北斗の特急料金は、乗継割引が適用された料金。
■備考:利用する距離が片道・往復・連続いずれか201km以上の利用が対象。「のぞみ」や「みずほ」などの特急料金など、一部対象外もあるので注意。
また、JR西日本の「ジパング倶楽部」であれば「JR西日本の切符はネット購入で何回でも30%オフ」や、JR九州なら「ネット予約限定でJR九州線の運賃が30%オフになる『自由時間割引』がある」など、各社独自の取り組みもある。
■公式サイト:http://www.toretabi.jp/special/zipang_club/01.html
少しややこしいのですが、JR各社の「ジパング倶楽部」とは別に、JR東日本とJR北海道では「大人の休日倶楽部ジパング」という名称のシニア割引サービスがあり、独自の特典を用意しています。「大人の休日倶楽部」はSuica機能付きの「大人の休日倶楽部カード」(クレジットカード)の入会が前提で、年会費にはカード利用料も含まれます。「ジパング倶楽部」より割高になりますが、JR東日本とJR北海道での交通費特典だけではなく、会員限定の切符、国内旅行商品5%オフといった特典が付くので、旅行によく行く人なら、トータルではお得と言えます。
■対象者:男性は満65歳以上、女性は満60歳以上。
■割引内容:年会費は個人会員4,285円(年会費3,770円+カード年会費515円)/夫婦会員7,320円(年会費6,290円+カード年会費1,030円)。特典は、JR東日本とJR北海道の切符が何回でも30%オフなど。
■公式サイト:https://www.jreast.co.jp/otona/guide/ticket.html
こちらは、男性が満50〜64歳、女性は満50〜59歳を対象にした「大人の休日倶楽部」の若年版になります。割引率では「ジパング」に届きませんが、JR東日本、JR北海道をよく使う人なら年会費のもとはとれそうです。
■対象者:男性が満50〜64歳、女性は満50〜59歳。
■割引内容:初年度は年会費無料、2年目以降は2,575円(年会費2,060円+カード年会費515円)。特典は、JR東日本とJR北海道の切符が何回でも5%オフなど。
■公式サイト:https://www.jreast.co.jp/otona/guide/ticket.html
2人の年齢の合計が88歳以上の夫婦が利用でき、JR全線(のぞみ号、みずほ号を除く)のグリーン車や普通車が乗り降り自由になるお得な切符。夫婦のうちどちらかが満70歳以上の場合は、割引率が上がる「シルバー用」が利用できます。
■対象者:年齢があわせて88歳以上の夫婦、2人1組。
■割引内容:JR全線の新幹線、特急列車のグリーン車と普通車などが期間内に自由に乗り降り可能(「のぞみ」など一部列車は対象外)。
料金例:5日間利用券は8万2,800円。夫婦どちらかが満70歳以上の場合は「シルバー用」が利用でき、その場合の5日間利用券は7万7,800円。ほかに、7日間利用券、12日間利用券もある。
■公式サイト:http://tickets.jr-odekake.net/shohindb/view/consumer/tokutoku/detail.html?shnId=118000557&uniquekey=165723ebc01
JR東海の独自のサービスで読み方は「フィフティ・プラス」。満50歳以上が年会費無料で利用でき、東海道新幹線を利用したお得な会員向けツアーなどが利用できます。
■対象者:満50歳以上の人。
■割引内容:年会費無料で、新幹線を利用した、会員向けのお得なツアーなどが利用可能。またWEB会員になると、限定でかなりお得なツアーに申し込める。
商品例:東京駅発着・京都1泊付きで2万2,800円
※東京―京都の通常の往復運賃(のぞみ利用)が2万7,820円で、さらに宿泊費もかかることを考えるとかなりお得。
■公式サイト:https://50plus.jr-central.co.jp/
JR西日本が提供。満50歳以上なら誰でも無料で会員になれます。新幹線が30%オフになるなど、お得な制度です。
■対象者:満50歳以上のJ-WESTネット会員。
■割引内容:会員限定の「おとなびWEB早得」なら、山陽新幹線「のぞみ」や特急列車が30%オフ、山陽新幹線「こだま」が60%オフ。新大阪―博多であれば「のぞみ/みずほ」で通常1万5,310円のところが1万710円に、「こだま」なら通常1万5,000円が5,990円になる。
■公式サイト:https://www.jr-odekake.net/cjw/otonavi/
JR四国が提供する割引制度です。男性満60歳以上、女性満55歳以上の人なら誰でも入会でき、JR四国と土佐くろしお鉄道の運賃が30%オフになります。
■対象者:男性満60歳以上、女性55歳以上。
■割引内容:年会費は1,500円。JR四国線内、もしくはJR四国線と土佐くろしお鉄道線を通算して片道71km以上の鉄道を往復利用する場合で、往復とも1列車51km以上の特急券を同時に購入する場合、運賃・料金が30%オフ。たとえば、高松−今治なら通常運賃・料金9,160円(自由席)のところ6,400円に。
■公式サイト:http://www.jr-eki.com/enjoyclub/enjoy-club.html
飛行機での移動には「高い」というイメージがあるかもしれませんが、探してみると、各航空社ごとにお割なシニア割引が用意されています。いずれも高い割引率なので上手に使いこなしてください。
65歳以上のANAマイレージクラブ会員を対象に、搭乗当日に空席がある場合に限り特別料金で購入が可能。しかも、搭乗日当日にインターネットで予約もできるため大変便利です。
■対象者:満65歳以上のANAマイレージクラブ会員。
■割引内容:搭乗日当日に空席があると割引価格で航空券の購入が可能。出発当日にインターネットでの予約もできる。
■料金例:8,000円〜2万2,000円(2019年3月31日〜10月26日国内便搭乗の場合)。東京―札幌の場合1万5,700円(通常時)。普通に買った場合は3万6,200円〜4万3,900円(通常時。空席の数によって変動)。
■備考:予約、購入、搭乗時に生年月日確認登録済みのANAマイレージクラブカードまたはANAカードが必要。
■公式サイト:https://www.ana.co.jp/ana_news/2017/03/14/20170314-1.html
JALも搭乗日に空席がある場合、満65歳以上の人なら特別割引料金で搭乗ができます。ただし、当日でも予約はできないので注意が必要です。
■対象者:満65歳以上。
■割引内容:搭乗日当日に空席があると割引価格で航空券の購入が可能。購入できるのは空港カウンターのみで、JALプラザ(有楽町)など支店では購入不可。また、当日でも事前の予約はできない。
■料金例:8,000円〜2万1,000円(2019年3月31日〜10月26日国内便搭乗の場合)。東京―札幌の場合1万5,200円(通常時)。普通に買った場合は3万7,500円(通常時)。
■備考:購入、搭乗時にJALカードまたは「お客さま情報登録」済みのJMBカード、生年月日が記載された公的書類などの提示が必要。
■公式サイト:https://www.jal.co.jp/dom/fare/rule/r_t-silver.html
満60歳以上が対象と、ANAやJALより対象年齢がやや若いのが特徴。搭乗前日から当日まで予約もできます。
■対象者:満60歳以上。
■割引内容:特別料金で搭乗可能。搭乗前日から当日まで予約もできる。
■料金例:割引率は空席状況に応じて変動。おおむね40%程度の割引が目安。
■備考:年齢確認ができる公的身分証明書が必要。
■公式サイト:https://www.skymark.co.jp/ja/fare/seniormate1.html
スカイマークと同じく満60歳以上が対象。しかも、約2か月前から予約ができるので、先々の予定が立てやすく便利です。
■対象者:満60歳以上。
■割引内容:AIR DOが指定する日時(おおむね2か月前)から当日までのチケットが対象。
■料金例:正規運賃の約30%オフ。東京―札幌間が通常片道2万9,560円に対して、DOシニア60だと2万760円。
■備考:購入時および搭乗手続き時に年齢が証明できる公的書類が必要。なお同社では65歳以上を対象とし、当日空席があると使える「当日シニア65」も用意している。
■公式サイト:https://www.airdo.jp/plan/fare/list/senior60/
最後はバスとタクシーのシニア割引です。JRや飛行機と比べると割引額のインパクトは小さいですが、空港への移動や、街中のちょっとした移動が重なるとばかになりません。ぜひご活用ください。
空港と市街地を結ぶリムジンバスにもシニア割引があります。
■対象者:満65歳以上。ピンクのバスでおなじみの観光バス「WILLER」。通常のシニア割引は少額ながら、不定期のシニア割引キャンペーンは割引額も大きいので注目です。
■対象者:満55歳以上。
■割引内容:55歳以上は大人基本運賃より100円引き。また、不定期でより大きな割引となるシニア割引キャンペーンも行っている(東京-大阪間が3,500円など。通常運賃は日によって変動があるが、おおむね4,000円台から)。
■公式サイト:http://travel.willer.co.jp/campaign/lineup.php#waribikishoukai
東京を中心に営業するタクシーグループでもシニア割引を実施。
■対象者:満70歳以上。
■割引内容:運賃が10%オフになる。
■備考:公的機関が発行する年齢が確認できる書面などの提示が必要。
■公式サイト:https://tokyomk.com/sp/taxi.html
東京都内の個人タクシー10,000台以上で、運転免許証を返納した人を対象に運賃が10%オフに。
■対象者:運転免許証を返納した人。
■割引内容:運賃が10%オフになる。
■備考:運転経歴証明書の提示が必要。
■公式サイト:http://www.kojintaxi-tokyo.or.jp/cus/info.html
いかがでしょうか? 交通系のシニア割引にはさまざまな種類があります。事前の会員登録や、利用時の公的書類の提示など、利用する前にひと手間かかるものの、受けられるメリットを考えると、ぜひ使いたいところです。優待を存分に使い、お得に旅行を楽しんでください!
※本記事は、執筆者個人または執筆者が所属する団体等の見解です。フリーランスの編集・ライター。資産運用、ビジネス、クレジットカード、副業、医療・介護などのジャンルで取材・執筆。企業の女性活用に関する記事も多数。 著書に「決定版 1万円からはじめるFX超入門」など。