セブン-イレブンが始めた独自のQRコード決済アプリ「7pay」が、不正使用の問題で2019年9月をもって廃止になることが決まりました。これを受け、一部にQRコード決済をはじめとする「キャッシュレス決済の停滞」を懸念する声も出ています。
セブン-イレブン店頭に貼られた「7pay廃止のお知らせ」(写真はセブン-イレブン渋谷恵比寿南3丁目店)
しかし「比較的少額な決済をすることが多い」「レジの行列など小銭で支払うのがためらわれるタイミングがある」などから、コンビニこそ手軽なQRコード決済と相性のいい場所と言えるのではないでしょうか? 7payは残念な結果となりましたが、引き続きセブン-イレブンではほかのQRコード決済を使うことができますし、コンビニ各社でもQRコード決済が使える状況が整いつつあります。
そこで本記事では、コンビニの売り上げ上位4社「セブン-イレブン」「ファミリーマート」「ローソン」「ミニストップ」(以下、4大コンビニ)で「どのQRコード決済が対応しているか」をまとめました。ぜひブックマークのうえ、コンビニに入るときに記事をお役立ていただければと思います。また、ファミリーマートとローソンについては、各社独自のアプリについても紹介していきます。
〈index〉
大手コンビニ4社で対応しているQRコード決済の一覧
各社のQRコード決済対応状況
-セブン-イレブン
-ファミリーマート
-ローソン
-ミニストップ
まとめ
まずは、4大コンビニが対応しているQRコード決済をまとめた表から見ていきましょう。
2019年8月9日時点で公表されている情報をもとに編集部が作成
表を見てわかるとおり、4大コンビニのQRコード決済対応状況は、「対応するサービスを絞る」「幅広いサービスに対応する」の2つに分けることができます。
前者が、独自のQRコード決済を導入していたセブン-イレブン、そして現在も「ファミペイ」を運用しているファミリーマートです。この2社は独自のQRコード決済を生かす意図もあってか、そのほかに対応している“他社”のQRコード決済を絞っている印象です。ただしセブン-イレブンについては7payの廃止にともない、今後どのような対応をしてくるか引き続き注目したいところです。
後者がローソンとミニストップ。ローソンも独自の「ローソンアプリ」内で「ローソンスマホレジ」という決済サービスを導入していますが、これはQRコード決済を主眼としたものではなく、店舗での無人レジ決済の促進を狙ったもの(ローソンの項で詳述)。それもあってか、既存のQRコード決済サービスを幅広く導入しているのが特徴です。また、ミニストップも独自のアプリはなく、ローソン同様に既存のQRコード決済サービスを幅広く導入しています。このあたりに、QRコード決済に対する各社の狙いが浮き彫りになっています。下記で各社の状況を細かく見ていきます。
2019年7月1日にセブン-イレブンでのQRコード決済の対応がスタート。同時に、独自のQRコード決済アプリである7payを投入しました。コンビニ大手としては最後発のQRコード決済対応ということで注目されましたが、すでに報じられているとおり、7payの不正使用によりサービスは休止。2019年9月をもって7payは廃止されることになりました。
しかし、QRコード決済自体の対応は問題なく、PayPay、LINE Pay、メルペイなどを使ってセブン-イレブンで支払いができます。記事執筆時点で、セブン-イレブンが対応しているQRコード決済は下記の5つです。いずれも、レジで「●●ペイで支払います」というだけでOK。編集部員もよくQRコード決済で支払いますが、特に混乱もなく支払うことができています。
・PayPay
・LINE Pay
・メルペイ
・Alipay
・WeChatPay
現在、LINE Pay、PayPay、メルペイの3社合同で、セブン-イレブンだけで行われているキャンペーンを実施中です(下記参照)。コンビニ最大手ながら、4大コンビニの中で最後にQRコード決済に対応したという事情もあり、今後もセブン-イレブン独自のキャンペーンが行われる可能性がありますので注目です。
3社合同キャンペーン 毎週最大300円相当お得な5週間
期間中セブン-イレブンで「LINE Pay」「PayPay」「メルペイ」で101円(税込)以上支払うと、各サービスで毎週100円相当が還元され、5週間で最大1,500円相当お得に買い物ができます。
【開催期間】2019年8月12日(月)〜2019年9月15日(日) 【キャンペーン公式ページ】https://paypay.ne.jp/files/pr/pr20190723_01.pdf
2018年12月からQRコード決済に対応。さらに2019年7月1日から、独自のQRコード決済「ファミペイ」もスタートしています。ここにきて一気にQRコード決済への対応スピードを速めている印象です。ファミリーマートでは、記事執筆時点で下記の7つのQRコード決済に対応しています。なかでも注目は、ファミリーマート独自のQRコード決済である「ファミペイ」です。
・FamiPay(ファミペイ)
・d払い
・LINE Pay
・PayPay
・楽天ペイ
・Alipay
・WeChat Pay
新規にインストールするとクーポンがもらえるなど、ファミペイはクーポン配布に力を入れています
ファミペイはファミリーマートが立ち上げた独自のアプリです。サービス開始から1か月で300万ダウンロードを達成するなど、幸先のよいスタートと言えるでしょう。ファミペイの特徴は下記の4つ。現在、さまざまな店舗のポイントカードのアプリ化が進んでいますが、ファミペイは「ポイントカード」としての機能と「決済アプリ」としての機能をあわせ持っているのが特徴になります。それぞれ詳しく見ていきます。
1. FamiPayボーナスの還元
200円(税込)ごとに1円相当のFamiPayボーナスが還元されます。還元率は0.5%です。FamiPayボーナスは、ファミペイにチャージして支払いに使えます。
2. ゲームやスタンプで特典がもらえる
ほかのQRコード決済に見られないファミペイ独自の機能が「スタンプ機能」。決済した商品の中に対象のものがあれば自動でスタンプが貯まる仕組みです。スタンプが貯まるとクーポンがもらえたり、ミニゲームの挑戦権が得られ、このミニゲームに成功するとさらにクーポンがもらえたりと、ゲーム性に富んだ作りになっています。
2019年8月時点で行われていたのが「コーヒースタンプ」。対象のコーヒーを買うごとにスタンプが貯まり、5杯で「アイスコーヒーS1杯無料」などの特典がもらえます
3. クーポン
ファミペイでもらえるクーポンは種類が充実しています。ファミペイをダウンロードしただけで「ファミチキ」の無料クーポンがもらえたり、「お〜いお茶」などの人気商品のクーポンがもらえたりもします。アプリ内で発行されるので使いやすいのもメリットです。
4. 収納代行支払いでもFamiPayボーナスが還元
ファミペイは、電気代、水道代など収納代行支払いに対応しています。しかもFamiPayボーナスまでもらえます。ただし、収納代行支払いのボーナスは1件あたり10円相当で固定されていたり、一部対応していない支払いもあったりするので注意が必要です。
QRコード決済の大きな特徴として「QRコード決済でもらえるポイント」と「チャージするクレジットカードでもらえるポイント」のポイント二重取りがあります。ファミペイはどうなのでしょうか? ファミペイのチャージ方法は下記の4つです。
1. 現金
ファミリーマートのレジで現金をチャージできます。
2. ファミマTカード
クレジットカードでのチャージは「ファミマTカード」に限られます。
3. オートチャージ
残高に応じてのオートチャージにも対応。ただしこちらも「ファミマTカード」に限られます。
4. FamiPayボーナスでチャージ
支払いで貯まるFamiPayボーナスをチャージして支払いに使うこともできます。
この中でポイント二重取りになるのは、2と3。アプリ単体の還元率0.5%に加え、チャージ可能なクレジットカードが「ファミマTカード」(還元率0.5%)に限られるため、ポイント還元率という点で見るとファミペイの魅力は限定的です。したがって、ファミペイで注目したいのは充実したクーポンとアプリ内のゲーム性と言えそうです。これは、同社の狙いが「既存客の掘り起こし」にあるからとも言われています。ファミリーマートをよく利用する人なら、ファミマTカードとセットでファミペイを使える体制を整えておくとよいでしょう。
ローソンは、コンビニの中でもいち早くQRコード決済に対応してきました。記事執筆時点で対応しているQRコード決済の数は下記の11種類です。
・PayPay
・LINE Pay
・楽天ペイ
・d払い
・Origami Pay
・メルペイ
・au PAY
・QUOカードpay
・Alipay
・WeChatPay
・NAVER Pay
ローソンには「ローソンアプリ」という独自のアプリがあり、この中に「ローソンスマホレジ」という決済サービスがあります。しかしこれは、ファミリーマートのファミペイのように、ローソン独自のQRコード決済を目的とした機能ではありません(後述)。したがって、ローソンでのQRコード決済の利用は、純粋にユーザーにとってお得なものを選ぶとよいでしょう。下記の記事で紹介している各サービスの還元率やキャンペーンを見ながらベストなものを選んでください。
ここまで何度か触れてきたローソンのアプリ「ローソンアプリ」と、その中の決済機能である「ローソンスマホレジ」。QRコード決済とは違うものとして説明してきましたが、一体どんなものなのでしょうか?
ローソンアプリではファミリーマートのファミペイと同じく、各種クーポンを発行する機能があります。
ローソンアプリ内では各種クーポンがもらえます(画像は2019年8月時点のもの)
これに加え、ローソンスマホレジという決済機能を提供しているのが大きな特徴です。
ローソンスマホレジ(2019年3月にローソンスマホペイより改称)は、ファミペイのようなQRコード決済アプリではありません。ローソンアプリを使って、ユーザー自身がローソン内の商品をスキャンして決済できるサービスのこと。いわば「店員を介さず、店内どこででも自分で会計できる」画期的なシステムで、レジで会計するのが当たり前だったコンビニの概念を変えうるサービスです。
仕組みはシンプルです。あらかじめローソンアプリをインストールしておき、ローソンIDを登録するだけで使用可能に。対象店舗にチェックイン後、店内の商品をスキャンして購入ボタンを押せばOK。あとは退店する際に「退店スキャン」をすれば手続きは完了です。
ローソンスマホレジを立ち上げて、使いたい店舗にチェックイン
買いたい商品のバーコードを自分でスキャン
好きな方法を選んで自分で決済
店舗備え付けのリーダーで退店スキャンすればOK。一度もレジを介さないので行列とも無縁。直感的に使えそうなインターフェイスも印象的(紹介した画像はすべてローソンスマホレジより)
購入時に使える決済方法は下記の4つで、自分で選ぶことができます。
・クレジットカード
・Apple Pay
・楽天ペイ(※)
・LINE Pay(※)
※1回あたりの支払上限は、QRコード決済を使ってレジで決済する場合と異なる。
少しややこしいのですが、「ローソンスマホレジの決済方法」として、楽天ペイとLINE Payが使える設計になっています。ただその際、通常のレジでの支払いでQRコード決済を使うよりも1回あたりの支払額の上限が低く設定されているので注意が必要です。
ローソンスマホレジは今回の記事のテーマである“QRコード決済”や“お得”という観点とは少しずれるかもしれませんが、注目すべきサービスということで詳しく説明しました。現在は一部店舗(※)のみで対応していますが、人手不足などを受けて今後拡大していく可能性は高いと思われます。
※ローソンスマホレジに対応している店舗はローソンスマホレジ公式ページをご参照ください。
最後は業界4位のミニストップです。2019年5月にQRコード決済対応を拡充し、“全方位”と言ってもいい体制が整いました。記事執筆時点で対応しているQRコード決済は、下記の11種類です。
・PayPay
・LINE Pay
・楽天ペイ
・d払い
・Origami Pay
・メルペイ
・au PAY
・ゆうちょPay
・Alipay
・WeChatPay
・NAVER Pay
ミニストップも、ローソンと同じく(そして現状のセブン-イレブンと同じく)、独自のQRコード決済はありません。その分、さまざまな種類のQRコード決済に対応しているので、ユーザーにとって有利なQRコード決済を選んで使うとよいでしょう。
いっぽうで、ミニストップはイオン傘下のコンビニということもあり、イオンのQRコード決済に対する動きも気になるところです。現時点でイオンで対応しているQRコード決済は、メルペイとPayPay(一部店舗のみ)の2つ。イオンの電子マネーであるWAONはすでに多くのユーザーを獲得していますので、イオン独自のQRコード決済が誕生する可能性もゼロではないでしょう。そうなると当然、ミニストップのQRコード決済対応状況にも変化があるはずです。引き続き注目していきたいポイントです。
4大コンビニにもQRコード決済の対応状況に違いがあることがおわかりいただけたと思います。”お得”という観点で言えば、還元率のよい決済方法を、なるべく多くの場所で使うのが王道です。記事冒頭で紹介した各社の対応表や、下記の関連記事などを参考に、コンビニでQRコード決済を上手に使いこなしてください。