節約
「食品ロス」削減へ、困ったお店と消費者をネットでつなぐ

飲食店の余った料理を“レスキュー”。「フードシェアリング」はお得に買えて、ちょっぴり充実感

料理が余ってしまった飲食店が"SOS"を出し、それを見たユーザーが"レスキュー"に駆けつける――。

予約客のキャンセルや天候の影響などで、作った料理が余ってしまった飲食店と、食事をお得に食べたい人をつなぐ「フードシェアリング」というサービスが少しずつ広がってきています。消費者からすると、余った料理を安く買えるメリットに加え、近年関心が高まっている「食品ロス(フードロス)」削減の取り組みに"自然に"参加できるのがうれしいところ。今回はそんな「フードシェアリング」サービスを手がける主要2社を取材、その仕組みや使い方を紹介します。

2016年度の国内の食品ロスは推計643万トン。日本人全員が毎日茶碗1杯分のご飯を捨てている量に相当します

2016年度の国内の食品ロスは推計643万トン。国民全員が毎日茶碗1杯分のご飯を捨てている量に相当します

「TABETE」:飲食店の余った料理を割安で販売

「チーズクリームリゾット」(レスキュー価格:680円)
「ラム肉で作るタコライス 」(レスキュー価格:680円)
「マーボー豆腐丼」(レスキュー価格:600円)
「ヘルシーカレー弁当」(レスキュー価格:500円)
「パン詰め合わせ」(レスキュー価格:680円)

8月下旬の夕方、フードシェアサイト「TABETE(タベテ)」にアクセスすると、東京都内約20の飲食店の「レスキュー待ち」メニューが掲載されていました。「レスキュー待ち」メニューとは、事前に作ったものの余ってしまったり、形が悪く、通常提供が難しい食材などで作られたりした料理のこと。スマホの位置情報をONにしておけば、近くの飲食店から順に掲載されるようになっています。

「TABETE」に掲載されていた「レスキュー待ち」メニュー

「TABETE」に掲載されていた「レスキュー待ち」メニュー

スマホで簡単注文。あとは飲食店に取りに行って商品を受け取るだけ

ユーザーは「TABETE」のWebサイトかアプリで会員登録(登録は無料)をしておくと、
(1)欲しい飲食店のメニューをクリック
(2)引取予定時間と購入個数を確定
(3)登録したクレジットカードで決済
するだけで注文完了。あとは、実際に注文した飲食店に行き、注文完了画面を見せれば、商品を受け取ることができます。

女性会員が約7割。仕事帰りに購入するケースが多い

「TABETE」は料理を使ったワークショップなどを手がけるコークッキングが、2018年4月にスタートさせたサービスです。学生時代から飲食業界で働いていた代表取締役の川越一磨さんが「食品ロス削減の一歩」として始めました。

現在の登録店舗は東京23区を中心に約300店、会員数は15万2000人。会員は20代後半から30代、そして40代後半が多く、女性が約7割を占めています。仕事を持つ女性が職場近く、あるいは自宅周辺のお店で注文するケースが多いと言います。

「TABETE」のサービスについて説明するコークッキング代表取締役の川越さん

「TABETE」のサービスについて説明するコークッキング代表取締役の川越さん

250円から680円の範囲内で、飲食店側が自由に価格設定

商品の価格は250円から680円の範囲内で、出品する飲食店側が自由に設定できます。通常メニューの2〜3割引の値段で出品する飲食店が多いそうです。また、「保健所のルールに従っているもの」(川越さん)で、調理済みのものなら何でも出品可能。そのため、「まかない料理」など通常メニューにはない料理を出すお店もあります。

小田急グループの小田急レストランシステムも加盟店になっており、こちらはロマンスカー運休時に、車内販売用の駅弁を出品しています。出品に際し飲食店側の費用は発生しませんが、注文が完了すると1個あたり150円を手数料として「TABETE」に支払う仕組みになっています。

「出品した理由」に注目するユーザーも少なくない

川越さんによると、商品内容や価格はもちろんですが、ユーザーの中には「TABETEに出品した理由(レスキューを依頼する理由)」という項目をよく見ている人も少なくないそうです。この項目には「前日に仕込む必要があり、当日の人数を読むのが難しく……」「ビュッフェ食べ放題の性質上、ロスが出てしまうことも」などと、出品理由が記載されています。

川越さんは「全員ではないのでしょうが、『この料理がこういう理由でロスになりかけている』という “ストーリー” を気にするユーザーさんがいらっしゃいます。出品理由を1行程度しか書いていなかった飲食店が、詳細に書くことで大幅に注文が増えたケースもありました」と話していました。

レスキューを依頼する飲食店は、TABETEに出品した理由も記載します

レスキューを依頼する飲食店は、TABETEに出品した理由も記載します

車社会で意外に好相性? 地方都市でも実証実験スタート

「TABETE」の加盟店は現在、東京都内、それも23区内に集中していますが、地方都市でもサービスを展開しようと、2019年6月に静岡県浜松市と石川県金沢市と提携し実証実験を始めました。多くの地方自治体では、食品ロス削減に向けたさまざまな取り組みを進めており、今回も両市のほうから「TABETE」に声をかけてきたそうです。

まだ開始から2か月しかたっていませんが、注文率(サイト掲載料理が注文される割合)は東京より高い数字が出ているとのこと。その理由について、川越さんは地方ならではの車社会の存在があるのでは、と推測しています。

「たとえば飯田橋在住、勤務先が東京駅の人が『TABETE』を使っていた場合、注文する飲食店は基本、住んでいる飯田橋か、働いている東京駅周辺に限られてしまいます。その点、地方は移動手段が車中心なので、立ち寄ってレスキューできる店舗の範囲が広いことが影響しているのだと思います」と説明。今後も、機会があれば行政と連携しながらほかの地方都市でも実証実験を行っていく考えです。
参考:「TABETE」公式サイト

「Reduce GO」:月額1,980円の定額制を採用

「TABETE」と同じフードシェアリングのサービスですが、少し特徴が異なるのが、Web制作会社「SHIFFT」が展開する「Reduce GO(リデュースゴー)」。2018年4月にサービスを始め、加盟店は現在、東京23区を中心に約170店舗で、15万人が無料の会員登録をしています(有料の定期購入の契約をした会員数は非公表)。

1日2回まで、毎日注文することも可能

こちらは注文1回ごとに料金を払うのではなく、定額制を採用。無料の会員登録をした後に、1か月1,980円で定期購入の契約をすると、毎日2回まで注文が可能になります。「Reduce GO」の担当者は「ユーザーの購買意欲を高め、フードロスに対する意識を習慣化してほしいという狙いから前払いの定額制の形を採っています」と説明しています。

収益としては、定期購入者が毎月支払った料金のうち、59%を加盟店側に還元(受け取る還元額は注文数などで計算され、各店舗で異なる)、2%を社会活動団体に寄付、残りの39%が「Reduce GO」の収益になる仕組みとなっています。

飲食店の余剰食品が掲載されている「Reduce GO」のアプリ。この日はスイカも出品されていました

飲食店の余剰食品が掲載されている「Reduce GO」のアプリ。この日はスイカも出品されていました

「TABETE」同様、
(1)アプリを開く
(2)スマホの位置情報をもとに、近くの店舗の出品状況が表示される
(3)好みのメニューを注文
(4)店舗まで受け取りに行く
で注文が完了します。

調理されたものだけではなく、野菜や果物など食材の出品も

会員の男女比はほぼ半々で、20〜30代が多数。働いている人が夕食用に注文し、会社帰りに受け取る人が多いと言います。また、「Uber Eats」などの配達の仕事を請け負い、都内各地をあちこち移動している人の利用も多いそうです。「Reduce GO」は食材そのものを出品することも可能なため、余った料理のほかに野菜や果物、お米が出品されることもあります。

2020年度末までに加盟店を1,000店舗まで拡大することが目標

「Reduce GO」の加盟店は現在約170店ですが、これを2020年度末までには1,000店舗まで拡大する目標を掲げています。担当者は「東京23区内の加盟店数を1,000店舗、定期的に出品するアクティブ店舗を600〜700店舗まで増やせれば、徒歩10分圏内に1店舗は加盟店が存在する計算になります。そうすれば、ユーザーの利便性も格段にアップすると考えています」と話し、加盟店拡大に力を入れていくと言います。
参考:「Reduce GO」公式サイト

飲食店側のメリットは食品ロスを利益に還元でき、宣伝効果も

料理を出品する飲食店はこの「フードシェアリング」のサービスをどう見ているのでしょうか。
東京都新宿区のカフェ&バー「CafeLiz」は1年前から「Reduce GO」に出品しています。タンドリーチキンやハンバーグなどが余りそうだと判断すると、夕方に出品。出品したときは、ほぼ受け取りに来てくれるそうです。

「CafeLiz」の店長はこれまで廃棄せざるを得なかった料理を出品することで、還元を受けられ、食品ロス削減に貢献できる点をメリットにあげました。さらに、これまでお店を訪れたことがなかった人が「Reduce GO」を通じて初めてお店に足を運んでくれるケースも多く、宣伝効果への期待もあると言います。出品もスマホやパソコンから簡単に登録でき「今のところやめる予定はありません」と話していました。

「CafeLiz」が「Reduce GO」に出品していたタンドリーチキン

「CafeLiz」が「Reduce GO」に出品していたタンドリーチキン

まとめ

「TABETE」も「Reduce GO」も基本的なコンセプトは同じですが、「TABETE」が注文するごとに支払いをするのに対し、「Reduce GO」は毎月1,980円の定額制、という点は大きく異なります。そのため、「Reduce GO」で定期購入の契約を検討する際は、自分の活動エリアに加盟店がどの程度あるのかをより慎重に見極める必要があるでしょう。そのほか、「Reduce GO」は調理を加えた料理に加え、コーヒー豆や野菜・果物などの食材の出品があるのも特徴のひとつです。

上記2つは東京を中心に展開するサービスですが、関西圏では、定額制(月額980円)で登録店の余剰食材で作られた料理を、店内で食べられる「FOOD PASSPORT」というサービスも展開されています(利用は1日1回、月10回まで)。気になる方はこちらのサービスもご覧ください。
参考:「FOOD PASSPORT」公式サイト

3つのサービスの特徴を下記に表にまとめました。

食品ロス削減に"自然に""無理なく"貢献できるサービス

筆者も今回「TABETE」と「Reduce GO」のサービスに登録し、チーズリゾットとタンドリーチキンをおいしくいただきました。言うまでもないことですが、加盟店が自分の職場か自宅周辺にどれだけあるか、ということが使う際のモチベーションに大きく関わってきます。そのため、加盟店数はまだ現状では十分とは言えず、大きく増やしていく取り組みは不可欠と言えるでしょう。

2019年5月に「食品ロス削減推進法」が成立し、消費者に対しても食品の買い方を工夫するなどの自主的な取り組みをうながす条文も盛り込まれました。ただ、筆者を含め「食品ロス削減って何をすればよいの」という人が大半ではないでしょうか。

「フードシェアリング」のサービスを利用中、筆者の頭の大半にあったのは「おいしい料理を通常より安く食べられるお得感」でしたが、結果として、食品ロス削減に自分がわずかでも貢献できたのは、ちょっとした充実感につながりました。まだ食べられる料理が捨てられるシーンを見れば、誰しも「もったいない」と思うもの。でも、それを減らすための具体的な方法がわからず、モヤモヤすることもありました。そうしたモヤモヤを解消するひとつの方法として、"自然に""無理なく"食品ロス削減に貢献できる「フードシェアリング」を始めてみるのもアリかもしれません。

価格.comマネー編集部

価格.comマネー編集部

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