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オンライン申請でつまずく「原因」は?

一律10万円給付の「特別定額給付金」 申請時に気を付けたいポイントは?

新型コロナウイルスに関する経済対策として支給される一律10万円の「特別定額給付金」。2020年5月1日から一部自治体でスタートしたオンライン申請では、手続きの途中でつまずく人も多く、「わかりにくい」という声も多く聞こえてきます。スムーズに給付を受けるには、どこに注意すればいいのか? その仕組みや申請に関して気を付けたいポイントを解説します。

住民基本台帳に記載されている人全員が「10万円」の給付対象に(画像は特別定額給付金ポータルサイトより)

特別定額給付金とは?

2020年5月14日夜、政府は39の県に対して、新型コロナウイルス感染拡大に関する緊急事態宣言を解除することを決定しました。4月7日に7都府県で宣言が出されて以来、初めての解除となります。これを受け、各自治体も事業者への休業要請を緩和する方向で動きだし、ようやく経済再生へ向けた第一歩を踏み出すことになりました。

数字に表れる「景気悪化」

しかし、経済の本格回復までの道のりは平たんなものではありません。緊急事態宣言解除の前日、5月13日に発表された景気ウォッチャー調査(※)によると、3か月前と比較したときの景気実感を示す「現状判断指数」は7.9となり、前月から6.3ポイント低下(悪化)しました。また、2〜3か月後の景気を判断する「先行き判断指数」も、16.6と前月から2.2ポイント低下し、いずれも過去最低水準を更新しました。

これを受けて内閣府は、前月の「新型コロナの影響により、きわめて厳しい状況にある」との見方から、「新型コロナの影響により、きわめて厳しい状況にある中で、さらに悪化している」との見方に変更し、経済の先行きへの懸念を示しています。

景気ウォッチャー調査の「現状判断指数」は3か月連続の低下(画像は内閣府「景気ウォッチャー調査」公表資料より)

※景気ウォッチャー調査
内閣府が2000年1月から実施している景気動向調査。タクシーの運転手や自動車ディーラー、商業施設従業員などの「景気ウォッチャー」が肌で感じている景況感を調査して発表しているもの。調査内容は、3か月前と比較した景気の現況、2〜3か月後の景気先行きなどで、5段階評価での回答を指数化。生活実感に根差した景況感を探るのが目的。

「一律10万円」を経済回復の足がかりに

そんな中、家計支援を目的に行われるのが「特別定額給付金」の給付です。給付対象は、「2020年4月27日時点で住民基本台帳に記載されているすべての人」となり、失業保険や生活保護を受給している人、外国籍の人なども含めて(ただし、短期滞在者、不法滞在者は住民基本台帳に記録されていないため対象外)、一律でひとりあたり10万円が給付されます。

仮に子どもが2人いる夫婦なら、ひとりあたり10万円×4人で合計40万円の給付。夫婦2人暮らしなら20万円の給付と、一定のまとまったお金が家計に入ることになります。ちなみに、4月27日に生まれた子どもや4月27日以降に亡くなった人も給付対象です。支給されるのは原則として世帯主で(※)、給付金は非課税となります。

※配偶者からの暴力を理由に避難している人で、2020年4月27日以前に住民票を移せていない人は、一定の手続きで世帯主でなくとも給付金を受け取ることが可能。詳しくは下記リンク先を参照。


特別定額給付金に関するお知らせです(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000684584.pdf

自治体対応にばらつき

特別定額給付金の給付の実務は各市区町村が担います。そのため、自治体によって取り組み方や対応が若干異なることがあります。たとえば、福岡市は、市のLINE公式アカウント上で、チャットボット(自動応答システム)を利用した対応をスタートしています。申請に必要な書類や質問に答える体制を整えることで、市職員の負担を軽減する狙いがあると言います。

また、申請方法や時期についても独自の取り組みを行う自治体もあります。そのひとつが青森市です。特別定額給付金の申請方法は「郵送申請」と「オンライン申請」の2つがありますが(詳しくは後述)、オンライン申請の場合、マイナンバーカードが必須となります。また、郵送申請の場合は、自治体からの申請書の送付が5月下旬になるため、青森市は、5月11日から申請書をオンラインで入手できる仕組みをスタートし、マイナンバーカードを持たない人でもいち早く給付金を受け取れるようにしました。同様の取り組みは、東京都江戸川区なども行っています。

総務省が設置した特別給付金の特設サイトによると、2020年5月15日の記事執筆時点で、オンラインでの申請を開始している自治体は1,741。郵送での申請を開始している自治体は761となっています。最新情報については、お住まいの市区町村のWebサイトなどをご覧ください。

特別定額給付金の申請方法

ここからは、特別定額給付金を受け取るための申請方法を解説します。前出のとおり、特別対応をとっている自治体もありますが、原則として「郵送申請」と「オンライン申請」のどちらかで給付金の申請を行う必要があります。それぞれ必要な書類や手続き、給付のタイミングも異なります。

申請書を返送する「郵送申請」と、マイナンバーカードを利用する「オンライン申請」(画像は特別定額給付金ポータルサイトより)

簡単なのは郵送

まずは郵送申請から。郵送の場合、給付時期が6月以降になる自治体が多く、給付金を受け取るまでに多少の時間を要するものの、手続き自体はきわめてシンプルです。

まず、市区町村から住民基本台帳に記録されている世帯主に申請書が郵送で届きます(郵送時期は自治体によって異なります)。住所や氏名などの必要事項はあらかじめ印字されているので、振込先の口座情報など限られた情報を記入して返送するだけでOKです。

3つの書類を返送

申請書を含め、返送するのは下記の3つの書類になります。申請書が世帯主に郵送されるのは2020年5月30日以降という自治体が多いので、2、3の書類をあらかじめ用意しておくといいでしょう

「郵送方式」で返送する書類

1. 必要事項を記入した申請書
2. 振込先の口座がわかるもの……金融機関名、口座番号、口座名義人がわかる通帳やキャッシュカード、インターネットバンキングの画面の写しなど
3. 本人確認書類の写し……マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証などの写しのいずれか

給付対象者のチェックボックスに注意

申請書を記入する際は、給付対象者欄の右側に記載されているチェックボックスに注意しましょう。このチェックボックスは給付を希望しない意思を表示するものです(「給付金の支給を希望されない方はチェックを」との記載もあります)。しかし、「受け取りの意思表示」と勘違いしてチェックしてしまうケースが生じているようです。給付金受け取りを希望する場合には、ここに何も記さないよう気をつけましょう。

給付を希望する場合、「給付金の支給を希望されない方はチェックを」の欄(上画像3の右側のチェックボックス)に誤ってチェックを入れないようにご注意を(画像は特別定額給付金ポータルサイトより)

オンライン申請には、取得が任意の「マイナンバーカード」が欠かせない

続いてはオンライン申請についてです。スマートフォン、あるいはパソコンから申請することができ、それぞれ必要なものは以下のとおりです。

〈スマートフォン〉
・申請者(世帯主)のマイナンバーカード
・マイナンバーカード受取時に設定した暗証番号(英数字6〜16桁)
・振込先口座を確認できる書類(通帳やキャッシュカード、インターネットバンキングの画面の写しなど)
・マイナンバーカードの読み取り対応のスマホ
・申請のための専用アプリ「マイナポータルAP」(iOS/Android)をインストール

〈パソコン〉
・申請者(世帯主)のマイナンバーカード
・マイナンバーカード受取時に設定した暗証番号(英数字6〜16桁)
・振込先口座を確認できる書類(通帳やキャッシュカード、インターネットバンキングの画面の写しなど)
・ICカードリーダー・ライター
・「マイナポータルAP」のインストール

いずれの場合も欠かせないのがマイナンバーカードです。日本では2016年からマイナンバー制度が始まり、日本に住民票を持つ1人ひとりに12桁の個人番号(マイナンバー)が割り当てられました。このマイナンバーに加え、氏名や住所、生年月日、顔写真が記載されたICチップ付きのプラスチック製のカードが、マイナンバーカードです。マイナンバーは日本に住民票を持つ人なら、必ず割り当てられますが、マイナンバーカードの取得は任意となっており、普及率はまだ16.4%(2020年5月10日時点)と低いのが現状です。

申請の手順は?

スマートフォンを例に、申請の手順を簡単に説明すると以下のとおりです。

(1)「マイナポータルAP」をインストールし、申請サービス「ぴったりサービス」をタップ

(2)住んでいる市区町村を検索し、特別定額給付金の申請を開始

(3)動作環境の確認

(4)申請者名(世帯主)と給付対象者の氏名を入力

(5)振込口座の情報と確認書類(通帳やキャッシュカードの写しなど)をアップロード

(6)署名用電子証明書のパスワード(6〜16桁)を入力し、マイナンバーカードを読み取る

特別定額給付金ポータルサイトに具体的な申請手順が掲載されていますので、こちらもしっかり確認しましょう。
参考:特別定額給付金のオンライン申請方法「スマートフォン」
参考:特別定額給付金のオンライン申請方法「パソコン」

オンライン申請の際、覚えておきたいポイント

基本的には上記の手続きでオンライン申請を行うことができますが、現在、最後まで完了できなかった人が続出し、そうした人たちが役所の窓口を訪れ、混み合うといったケースがニュースなどで取り上げられています。そうならないように、オンライン申請で覚えておきたいポイントをまとめました。

1.今からマイナンバーカードを取得しようとする場合、郵送申請のほうが早く支給される可能性が高い

オンライン申請をするために、マイナンバーカードを取得するには、自治体の窓口に出向いて申請する必要があります。さらに、申請から受け取りまでに早くとも1か月程度かかる見込みです。こうした点を考えると、マイナンバーカードが今、手元になければ、郵送での申請のほうが早く支給される可能性が高いでしょう。なお、マイナンバーを伝える紙の通知カードとマイナンバーカードは別物で、通知カードではオンライン申請はできません。

上はマイナンバーカードの見本、下は通知カードの見本(総務省公式サイトより引用)。通知カードでは、オンライン申請はできません

2.世帯主のマイナンバーカードが必要

特別定額給付金の受給権者(受け取る権利がある人)は原則、世帯主で、オンライン申請で必要になるのは世帯主のマイナンバーカードです。たとえば、世帯主でない妻のマイナンバーカードを持っていても申請できません。逆に、世帯主のマイナンバーカードがあれば、マイナンバーカードを持っていない同一世帯の家族分の申請を行うことはできます。

3.すべてのスマホが「マイナポータルAP」に対応しているわけではない

スマートフォンで申請する場合、マイナポータルAPに対応している機種は、近距離無線通信「NFC」を搭載する対応スマートフォンに限られます。またNFCを搭載していても、対応していない機種もあります(iOS 13.1以上がインストールされたiPhone 7以降のiPhone、Androidは下記の総務省の公式サイトを参照)。また、パソコンで申請を行う場合は、マイナンバーカードを読み取るためのICカードリーダー・ライターが必要になります。対応機種および、対応するICカードリーダー・ライターは下記の公式サイトに記載されていますが、現在ICカードリーダー・ライターの入手自体が品薄で困難となっており、こちらをお持ちでない場合は、郵送のほうが早く手続きできそうです。
参考:マイナポータルAP対応のスマートフォン
参考:マイナンバーカードに対応したICカードリーダー・ライター一覧

4.署名用電子証明書用のパスワードを5回間違えると、窓口での手続きが必要

こちらが現在、オンライン申請を実施するうえでの大きな壁と指摘されている点です。
マインバーカードには、電子文書を送信する際に使用する「署名用電子証明書」が搭載され、氏名、住所、生年月日、性別の情報が記載されています。今回のオンライン申請にも使いますが、その際、大文字の英語、数字による6〜16桁の署名用電子証明書の暗証番号の入力が必要になります(マイナンバーカードにもうひとつ搭載されている、コンビニ交付などで使う「利用者証明用電子証明書」の数字4桁の暗証番号とは異なります)。暗証番号を5回間違えると、ロックされてしまい、その場合は、自治体の窓口に出向いて再設定する必要があり、現在、自治体の窓口が混雑しているのはこのケースが多く発生しているからと考えられます。

5.引っ越しをしていた場合、署名用電子証明書を更新していることが条件

また、マイナンバーカード取得後に結婚や引っ越しをした場合も注意が必要です。署名用電子証明書には氏名や住所の情報が記載されていますが、これらが変わると、住民票の記載内容と異なるため、失効しています。この失効が理由で申請を完了できなかったケースも、ツイッター上で多数報告されています。氏名や住所が変更された場合、マイナンバーカードの券面の情報だけではなく、新たな氏名・住所が記載された 署名用電子証明書も発行しておけば問題はないのですが、署名用電子証明書の利用はこれまで、電子申告・納税システム「e-tax」などに限られていたため、自治体窓口の現場で引っ越しの際に、このことについて、強く言及することがあまりなかったことが問題の背景にあると見られています。

6.入力ミスに注意。確認に時間がかかることも

オンライン申請の際に、家族や金融機関の口座情報を間違って入力する事例も起きています。また、今回のオンライン申請ではひとりが何回でも申請できる仕様になっています。申請を完了できたか不安になった方が、複数回手続きを行った結果、重複申請になるといった事例も出ているようです。このように入力ミスがあった場合や、同じ人から複数の申請があった場合、正しい情報を確認しなければならず、結果として支給に遅れが生じる可能性があります。自治体の現場に負担をかけないためにも、1度で正確に申請するようにしましょう。なお、オンライン申請が完了した場合には、「申請先に送信が完了しました」という画面が表示され、「受付番号」が表示されます。

申請が完了したら、受付番号が発行されます。受付番号は控えておきましょう(特別定額給付金の特設サイトより)

当初は郵送申請より手軽に、そして早く給付されると思われていたオンライン申請ですが、これまでほとんど使う機会のなかったマイナンバーカードの暗証番号が必要となり、これを5回間違った際には、再設定には窓口に出向かなければならないなど、必ずしも簡単とは言い切れないことがわかってきました。

また、郵送申請の場合、申請書には世帯ごとの対象者があらかじめ記載されていますが、オンライン申請の場合、申請者が自分で支給対象者をすべて記入することになるため、自治体側で、申請された家族構成と住民基本台帳の情報を1つひとつ手作業で照合する必要があります。このため、自治体によっては郵送よりも支給が遅くなる可能性が指摘されており、より確認の手間がかからない郵送申請を「推奨」する自治体も出てきました。こうしたことから、すでにマイナンバーカードを持っていて、オンライン申請を検討している方も、自分が住む市区町村の郵送申請の受付のスタート時期と比較して、申請方法は柔軟に考えたほうがよいでしょう。

確実に受け取るための注意点

最後に、特別定額給付金の注意点についても触れておきます。まず給付を受けられる期限についてですが、特別定額給付金の申請期限は、住んでいる自治体が「郵送方式の申請」の受付を始めた日から3か月です。前出のとおり、すでに申請の受付を始めている自治体も少なくないので、住んでいる自治体の情報をチェックして、申請の期限切れに注意しましょう。

自治体公式サイトそっくりの偽サイトも

特別給付金を騙(かた)る詐欺にもご注意ください。神戸市は、市の公式サイトと見た目がそっくりの偽サイトの存在を明らかにし、注意をうながしています。特別定額給付金の申請と偽り、個人情報を入力させて盗み取るフィッシング詐欺と見られており、同様のサイトが横浜市、名古屋市、札幌市でも確認されています。これ以外にも「給付金を受けるため」と称して、市職員を名乗る人間にキャッシュカードをだまし取られる被害なども報告されています。

まとめ

住民基本台帳に記載されたすべての人が対象となる今回の特別定額給付金。郵送、オンラインいずれの申請方法にも、注意すべき点があります。受け取りを希望される方は、本記事を参考に、期限内に確実に申請を進めましょう。また、総務省は特別定額給付金コールセンターを設けていますので、こちらで問い合わせをすることもできます。

特別定額給付金コールセンター
フリーダイヤル:0120・260020
応対時間:9:00〜20:00

価格.comマネー編集部

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