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おトクに使っているユーザーも多い!

コンビニでよく見る「POSAカード」はどんな仕組み? おトクな使い方は?

ずらりと並ぶカードの数々。コンビニやドラッグストア、スーパーなどの店頭で、このような光景を見たことはないでしょうか?

撮影場所:インコム・ジャパン株式会社

これらのカードの正式名称は「POSAカード」(ポサカード)と言います。「App Store & iTunes ギフトカード」や「Google Play ギフトカード」をはじめ、ゲーム、サブスクリプションサービス、ギフトなど、さまざまな商品やサービスに利用できるプリペイドカードの一種で、現在日本では約80ブランド、計1,000種類あまりが販売されています(2020年10月時点)。

高額なカードが無防備に置かれていて大丈夫?

ところで皆さん、これらPOSAカードが、レジから離れた場所などにあまりに無防備に置かれていると思いませんか? 印字されている金額はいずれも「3,000円」「5,000円」「1万円」などと高額なもの(特に少額商品の多いコンビニでは突出した金額です)。筆者などはついつい「万引きされたら被害額が大きいのでは」と余計なことを心配してしまいます。まずは、このカードがなぜ店頭に無防備に置かれているのか、その理由から探っていきましょう。

POSAカードはレジを通って初めて価値を持つ

POSAカードの「POSA」は、英語の「Point of Sales Activation」の頭文字から来ています。「Point of Sales」は日本語で「販売時点」や「販売時点情報管理」などと訳されます。「Activation」は「有効化」です。つまりPOSAカードとは、「ユーザーに販売した(レジを通した)時点で、初めて使えるようになるカード」を意味します。売れた時点で「無価値のプラスチックカードから金券になる」ので、売れる前にどこに置かれようと(そして万が一紛失・盗難があっても)、店舗にとっては痛くないわけです。

この「POSA」の技術の特許を持っているのが、インコム・ジャパン株式会社(以下、インコム・ジャパン)です。同社はPOSAカードを発行する「発行事業者」と、POSAカードを販売する「小売店」の間に立ち、カードの発行や流通、販促や販売データの分析、発行事業者が手がけるキャンペーンの事務局など、幅広くPOSAカード事業を手がけています。黒子的存在ながら、POSAカードの要となる役割を担っている企業です。

小売店のレジとインコム・ジャパンがネットワークで接続

POSAカードの仕組みをもう少し詳しく見てみましょう。POSAカードは、「Apple」「Google」「Amazon」「楽天」「NIKE」「GREE」など、さまざまな「発行事業者」が発行し、コンビニやドラッグストア、家電量販店などの「小売店」に並べられて販売されます。

POSAカードの仕組みのキモとなるのが、「国内約6万5,000店の小売店のレジが、インコム・ジャパンとネットワークでつながっている」という点です。レジでユーザーがPOSAカードを購入すると、その情報がインコム・ジャパンに飛び(※)、同社を介して発行事業者にその情報が飛びます。そして同じ経路を辿ってふたたび小売店のレジに情報が戻ります(下記図参照)。この時点で初めて、「プラスチックカードが金券に変わる」という仕組みです。インコム・ジャパンによると、この間のリードタイムはわずか2秒ほどだと言います。
※実際には、インコム・ジャパンの母体である「InComm社」(米)のサーバーを介します。

POSAカードの仕組み(インコム・ジャパン提供)

POSAカードの仕組み(インコム・ジャパン提供)

「仕入れと売り上げが同時」 無在庫を実現する仕組み

「レジを通って初めて価値を持たせる『POSA』の仕組みは、小売店様、発行事業者様双方に大きなメリットがあるんです」こう話すのは、インコム・ジャパン シニア・マネージャーの天賀谷通明さんです。

「まず、小売店様にとってのメリットですが、店舗にPOSAカードが納品された時点では、それはパッケージングされたプラスチックカードにすぎません。ポスターやPOPなどの販促物と同じような扱いで店舗に納品してもいいわけです。当然、盗難や紛失があっても被害は最小限で済みます。POSAカードにとっての『仕入れ』とは、レジを通った時のことを指します。そして同時に『売り上げ』も立ちます。つまり、仕入れ過ぎて売れ残るリスクをほぼゼロにできることになります。また、在庫がないわけですから『棚卸』や『資産計上』などのわずらわしい作業とも無縁です」(天賀谷さん)

余談ながら筆者はコンビニでアルバイトをした経験があり、菓子の棚の仕入れを担当していたことがあります。「どれくらい売れるかわからない、でも仕入れなければいけない」というジレンマが付きものだった身からすると、「売れた時点で仕入れになる」というPOSAカードの仕組みはなかなか画期的なものだと感じます。

インコム・ジャパン株式会社 ビジネス・ディベロップメント部シニア・マネージャー 天賀谷通明さん

インコム・ジャパン株式会社 ビジネス・ディベロップメント部シニア・マネージャー 天賀谷通明さん

発行事業者にとってはリアル店舗での告知チャンスに

では、POSAカードのもうひとつのプレイヤーである「発行事業者」側のメリットとは?

「もっとも大きいのは、自社のサービスや商品をリアルの店舗の場でPRできる点だと思います。各企業様が自社サイトや広告など、あらゆる手段でサービスや商品を告知するわけですが、POSAカードなら『コンビニ』や『ドラッグストア』といった多様なお客様が多く訪れるリアルの店舗で潜在的な顧客にリーチすることができます」(天賀谷)

これに加え、やはり在庫リスクをなくせる点が、発行事業者にとっても大きな魅力になっているそう。たとえば、PCなどのソフトメーカーが発行するPOSAカードは、ユーザーがPOSAカードを購入した時点で、カードに印字されたPIN番号(下写真参照)を使ってソフトをダウンロードできる仕組みになっています。ソフト自体をパッケージ化して販売するのと比べて、リスクや費用の違いは明らかだと言います。

筆者が購入したPOSAカードのひとつ「楽天ポイントギフトカード」の裏面。コインなどでスクラッチ部分を削って出てきたPINコードを楽天のサイトに入力すると、購入金額分の楽天スーパーポイントが会員情報に加算される仕組み

POSAカードは日本でどう普及したのか?

このPOSAの技術を開発したのは、アメリカ、ジョージア州アトランタに本社を構えるInComm社(以下、インコム)です。インコム・ジャパンの母体となる企業です。

「インコムは1992年に創業した企業で、もともとコーリングカード(テレフォンカード)の卸事業を手がけていました。アメリカではこうしたプリペイドカードが広く普及していましたが、『価値のある状態(金券)』で販売していると、在庫リスクや、紛失・盗難の問題などがつきまとい、それが課題となっていました。そこで、インコムの創業者であるBrooks Smithが、『レジを通すことで初めて価値が生まれる』という技術を開発した経緯があります。その後、2008年に日本法人のインコム・ジャパンが設立されました」(天賀谷さん)

アメリカではギフト、日本では自分用

アメリカで生まれ、その後日本に入ってきたPOSAカードですが、日米では使われ方が異なると言います。

「アメリカでは、銀行口座やクレジットカードを持てない人も少なくありません。そういった方々でもクレジットカード感覚で支払いができるカードとして、クレジットカードタイプのPOSAカードがよく使われています。また、ギフト需要が大きく、クリスマスやサンクスギビングなどのイベントの際に売り上げが伸びる傾向があります。日本は対照的にギフト需要はさほどではありません。これには『贈り物にはのしをつける』『お金や金券ははだかでは渡さない』といった日本独特の文化が影響しているのかもしれません。日本では自分で使う需要が大きくなっています。当初は、『App Store & iTunes ギフトカード』がメインで、その後、ゲーム内で課金アイテムを買うことができるようなゲーム系のPOSAカードに需要が広がっていきました」(天賀谷さん)

POSAカードは、アメリカ、日本以外にも、カナダ、南米、オーストラリア、香港、中国、シンガポール、台湾、欧州などでも販売されており、それぞれの国や地域で、販売傾向に違いがあると言います。

小売店によって品ぞろえが異なる

2008年の登場から12年あまり。前出のとおり、2020年10月時点で日本では約80ブランド、計1,000種類あまりのPOSAカードが販売されています。ただし小売店のスペースには限りがあります。店舗で販売されるカードはどのように決まるのでしょうか?

「発行事業者様、小売店様、インコム・ジャパンの3者の判断で決まります。たとえば、家電のリサイクルコストの支払いに使えるPOSAカードや、家電などの保障サービスの延長に使えるPOSAカードなどもありますが、これらはやはり家電量販店様に置いたほうがメリットがあります。発行事業者様や小売店様のご希望をお聞きしつつ、インコム・ジャパンが持つ販売データなども掛け合わせて決定します」(天賀谷さん)

具体的な数字は非公開ではあるものの、天賀谷さんによるとPOSAカード事業は、日本市場への登場以来ほぼ右肩上がりで業績を伸ばしているとのこと。筆者の感覚では、リアル店舗でPOSAカードを置く店舗が増えたり、店舗における売り場のボリュームが徐々に増しているように感じていましたが、急成長と呼べるほどの市場拡大を見せていることは間違いなさそうです。

インコム・ジャパンはPOSA技術に関する特許を複数保持しています

インコム・ジャパンはPOSA技術に関する特許を複数保持しています

POSAカードユーザーに聞く「賢い使い方」

では、実際にPOSAカードはユーザーにどのように使われているのでしょうか? 日頃から可能なかぎりキャッシュレス生活を貫き、その様子をまとめた著書(「キャッシュレス生活、1年やってみた」(祥伝社 2020年2月刊)」が話題の美崎栄一郎さんも、POSAカードをよく使うひとりです。

POSAカードユーザーの美崎栄一郎(みさきえいいちろう)さん。ビジネス書著者&講演家。花王でサラリーマン経験から、理論だけではなく、実際の現場での経験を元にした使えるノウハウをまとめ、伝えることが評価され、著作は30冊以上。全国すべての都道府県で講演実績があり、その経歴から企業から職場内でセミナーも多い。近著に「キャッシュレス生活、1年やってみた」(祥伝社)がある

きっかけは「App Store & iTunes ギフトカード」

美崎さんがPOSAカードを使い始めた理由は、そのおトクさにあったそうです。

「コンビニの店頭のPOPで、『App Store & iTunes ギフトカード』のキャンペーンをやっていたのに気づいたんです。期間限定で購入金額の10%が上乗せされるという内容でした。私はもともとiPhoneやiPadの連載を持っていた関係で、アプリのダウンロードにかなりの費用がかかっていたんです。これは使わないとソンだということで買ったのが最初です」(美崎さん)

店頭や小売店の公式サイトでキャンペーン情報をキャッチ

それ以降、店頭のPOPやコンビニなどの公式サイトをチェックし、おトクなPOSAカードを見つけて試していった美崎さん。「Google ドライブ」のサーバー費用は「Google Play ギフトカード」で支払い、よく利用していたモスバーガーは「MOS CARD(モスカード)」で支払うといった具合に、自身が利用しているサービスや商品に使えるおトクなPOSAカードを見つけては利用しているそうです。

「POSAカードのキャンペーンは、『購入額の10%上乗せ』や、『1か月分無料(サブスクリプションサービスの場合)』など、ほかのキャッシュレス決済に比べておトク度が高いのが特徴です。おそらく、発行事業者の販促や、ユーザーの囲い込みといった側面があるからでしょう。POSAカードは基本的に発行事業者が提供する商品やサービスなどに用途が限定されますので、ほかのキャッシュレス決済手段と比べると、使い勝手の面で制限を受けるのは事実です。しかし、それを割り引いても、POSAカードのキャンペーンのおトクさには魅力があると思います」(美崎さん)

クレジットカード感覚で使えるPOSAカードも登場

そんななか、用途の広いPOSAカードも登場しています。2016年に発行が開始された「バニラVisaカード」です。

「これは、Visaに加盟しているリアル店舗やネットショップで、レジで入金した金額を上限としてクレジットカードのように支払えるPOSAカードです。購入するのに個人情報はいらず、利用時に暗証番号も不要。いうなれば匿名性の高いクレジットカードのようなものです。使えるお店が格段に増えるので、最近使う機会が増えています」(美崎さん)

レジで入金した額だけクレジットカードのように使えるバニラVisaカード

バニラVisaカードもキャンペーンを活用

美崎さんによると、バニラVisaカードも一定額を上乗せしたり、割引販売するキャンペーンが行われることがあるため、こうした機会を利用しておトクに購入するのがおすすめだと言います(編集部が確認したところ、3%程度のプレミアムが多いようです)。

「あえてこのカードの難点をあげると、最後にどうしても『35円』などの端数が残ってしまうことでしょうか。もちろん、不足分を現金で支払えばいいのでしょうが、私はできるだけキャッシュレス生活にこだわっているのでできればそれは避けたいところ。そこで、苦肉の策ですが、郵便局(2020年よりキャッシュレス決済に対応)で切手を買ったり、Amazonのサイト上で1円単位でチャージができるタイプの『Amazonギフト券 チャージタイプ』に使ったりしています(笑)」(美崎さん)

POSAカードの今後は?

日本のキャッシュレス市場で一定の存在感を持つようになったPOSAカード。今後の展開を、前出の天賀谷さんに聞きます。

「リアル店舗に占めるスペースは、ある程度上限に近いところまで来ていると思います。今後は、どういった商品を開発するか、という点で工夫が求められると考えています」(天賀谷さん)

すでに、新たなPOSAカードの取り組みが始まっています。そのひとつが、カード型ではなく「カタログ型」のPOSAカードです。これは結婚式の引き出物などでもらう「カタログギフト」に似たタイプのPOSAカード。客がレジでカタログ型POSAカード(実際にカタログも付いている)を購入し、それをプレゼントするのが一般的な使い方で、POSAカードをもらった人が、その金額分のギフトをカタログの中から自由に選ぶことができます。ディスカウントストアなどに置かれるケースが多く、ゴルフコンペの景品などによく利用されているそうです。

「このほか、『バニラVisaカード』を贈答用にラッピングしたものも登場しています。日本市場で弱かったギフト需要を喚起できればとの狙いです」(天賀谷さん)

ギフトラッピングされた「バニラVisaカード」

贈答用にラッピングされたタイプの「バニラVisaカード」。ギフト券売り場などでの販売を想定

利用時の注意点も

以上、POSAカードの仕組みやおトクな使い方について探ってきました。「POSAカードを目にする機会が増えてきた気がする」と感じている人はおそらく筆者だけではないと思います。その理由の一端がお伝えできていれば幸いです。ぜひ皆さんも、お使いの商品やサービスでおトクに使えるPOSAカードがないか、チェックしてみてください。

最後に、POSAカードを利用する際の注意点にも触れておきます。レジを通してから金券に変わるのがPOSAカードの最大の特徴であることは、記事の中でも繰り返しお伝えしてきました。一度金券に変わってからは、現金と同じです。もし、レジで購入後に紛失した場合は、お金を落としたことと同じ扱いになりますのでご注意を。

また、POSAカードの中には、「資金決済法」によって有効期間が6か月に定められているものもあります。POSAカードのパッケージの裏面に記載があるので、必ずチェックすることをおすすめします。

取材協力:インコム・ジャパン株式会社
https://incomm.jp/

(撮影:富本真之)

価格.comマネー編集部

価格.comマネー編集部

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