米国のゲーミングデバイスメーカーであるRazer(レイザー)。日本でもゲーミングマウスやゲーミングキーボード、そしてゲーミングノートPCなどを展開しているので、PCゲーマーなら一度は耳にしたり、Razerのデバイスに触れたりしたことがあるのではないでしょうか?
今回はRazerの最新ゲーミングノートPC「Razer Blade 16」をレビュー。「デュアルモードMini LEDディスプレイ」という世界初のディスプレイを搭載するのが特徴です。どんな機能なのか詳しく見ていきましょう。
世界初という「デュアルモードMini LEDディスプレイ」を搭載する「Razer Blade 16 Dual UHD+FHD+ Mini-LED - RTX 4070」(RZ09-0483SJJ3-R3J1)
なお、RazerのゲーミングノートPCを国内で取り扱っているアユートでは、「Razer Blade Mid-Summer Specials '23」というキャンペーンを実施中。「Razer Blade」シリーズの一部製品が対象で、最大23%が割り引きされます。期間は2023年8月6日(日)まで。ぜひこの期間に、本モデルを含む「Razer Blade」シリーズをチェックしてみてください。
「Razer Blade 16」は、「第13世代Core i9-13950HX」と「GeForce RTX 40シリーズ」を組み合わせた超ハイスペックなゲーミングノートPCです。ラインアップは以下の5モデル。搭載するGPUの種類やメモリー、ストレージの容量、それにディスプレイの仕様が異なります。一番安いモデルでも価格.com最安価格が約43万円、最上位モデルは同70万円オーバーと価格はプレミアムです。
アスペクト比が16:10の16型液晶ディスプレイを搭載する「Razer Blade 16」シリーズ
・Razer Blade 16 QHD+ 240Hz - RTX 4060(RZ09-0483RJH3-R3J1)
GPU:GeForce RTX 4060 Laptop GPU
メモリー:16GB DDR5-500MHz(最大64GB増設可能)
ストレージ:1TB M.2 NVMe PCIe 4.0)
・Razer Blade 16 QHD+ 240Hz - RTX 4070(RZ09-0483SJH3-R3J1)
GPU:GeForce RTX 4070 Laptop GPU
メモリー:16GB DDR5-500MHz(最大64GB増設可能)
ストレージ:1TB M.2 NVMe PCIe 4.0)
・Razer Blade 16 QHD+ 240Hz - RTX 4080(RZ09-0483TJH3-R3J1)
GPU:GeForce RTX 4080 Laptop GPU
メモリー:32GB DDR5-500MHz(最大64GB増設可能)
ストレージ:1TB M.2 NVMe PCIe 4.0)
・Razer Blade 16 Dual UHD+FHD+ Mini-LED - RTX 4070(RZ09-0483SJJ3-R3J1)
★レビュー機材
GPU:GeForce RTX 4070 Laptop GPU
メモリー:32GB DDR5-500MHz(最大64GB増設可能)
ストレージ:1TB M.2 NVMe PCIe 4.0)
・Razer Blade 16 Dual UHD+FHD+ Mini-LED - RTX 4090(RZ09-0483UJJ4-R3J1)
GPU:GeForce RTX 4090 Laptop GPU
メモリー:32GB DDR5-500MHz(最大64GB増設可能)
ストレージ:2TB M.2 NVMe PCIe 4.0)
「Razer Blade 16」の特徴である「デュアルモードMini LEDディスプレイ」を搭載するのは上位の2機種。今回試したのは、その中の上から2番目のモデルとなる「Razer Blade 16 Dual UHD+FHD+ Mini-LED - RTX 4070」です。
まずは、一番の特徴である「デュアルモードMini LEDディスプレイ」から見ていきましょう。「デュアルモードMini LEDディスプレイ」は、用途に合わせて解像度とリフレッシュレートを切り替えられるディスプレイです。解像度とリフレッシュレートは、3840×2400の120Hz、1920×1200の240Hzの2つから選べます。動きよりも精細感を重視したいゲームやコンテンツ作成は3840×2400の高解像度で、高フレームレートが求められるFPSなどは1920×1200で、という風に使い分けられます。
内部的には、ディスプレイ1、ディスプレイ2のようにマルチディスプレイのようになっているようです。デュアルディスプレイのような使い方はできませんが、面白い仕組みです。ネイティブの解像度を変えるため、切り替えには再起動が必要となります。切り替え直後に表示スケールの調整に少し時間がかかることがありましたが、うまくいかない場合は手動でも調整できます。
「デュアルモードMini LEDディスプレイ」の2つの解像度・リフレッシュレートは、専用アプリ「Razer Synapse」を使って切り替えます。切り替えには再起動が必要
左が3840×2400、右が1920×1200。高解像度の3840×2400のほうが文字のにじみが少なく、クリアな表示です
3840×2400はスケールが250%推奨。1920×1200に比べると輝度は少し落ちますが、精細感はさすがで、クリアでキレのある表示です。アップルの「16インチMacBook Pro」の「Retinaディスプレイ」に匹敵する精細感なのではないでしょうか。リフレッシュレートは120Hzのほかに、60Hzも選べます。いっぽう、1920×1200はスケールが150%推奨。リフレッシュレートは60Hz/120Hz/240Hzの3つから選べます。
3840×2400の「サイバーパンク2077」(CD Projekt RED)の画面を撮影したもの。精細感が高くリアルで緻密な画質でゲームを楽しめます
1920×1200の「サイバーパンク2077」の画面を撮影したもの。3840×2400と比べなければ、画質の粗さは感じません。この2つを1台のPCで実現できるのが、本モデルのスゴさです
16型のディスプレイ自体も非常にハイクオリティです。輝度は最大1000ニット、色域はDCI-P3を100%カバー、応答速度は3ms未満と、このクラスでは間違いなくトップクラスのスペックです。どちらの解像度に設定しても、実際の見た目は鮮やかで最大輝度だとまぶしいくらいです。
ディスプレイ自体もハイクオリティ。輝度が高く、鮮やかな表示は、ゲームはもちろん、コンテンツ作成、コンテンツの視聴、日常使いなど、あらゆる作業がはかどりそうです
本体サイズは355(幅)×244(奥行)×21.99(高さ)mm、重量は約2.45kg。16型のディスプレイを搭載しつつも、ベゼルが細くコンパクトなボディです。本体はムダをそぎ落としたシンプルなデザイン。陽極酸化処理のアルミ製ユニボディは、サンドブラスト加工により滑らかな触り心地です。カラーは真っ黒で、ツヤがありつつ、マットで絶妙な質感。写真ではわかりにくいのですが、高品位な色と質感に仕上げられています。天板のロゴも黒に蛍光の緑がよく映えます。
陽極酸化処理のアルミ製ユニボディは、さらっとした触り心地で、高級感のある仕上がり。天板のロゴ部分はクリアパーツで覆われています。もちろん、光ります!
本体のフォルムはシンプルな箱型。よく見ると、USBポートの内部もロゴと同じグリーンに塗装されています
また、手にすると剛性感が非常に高いことがわかります。精密に作られており、中身がぎっしりつまっている感じを受けます。ディスプレイのヒンジも滑らかですし、片手で楽に開けられるなど、細部までこだわっているのがうかがえます。
底面には吸排気口がいくつかありますが、くりぬかれているのは最小減で、見えない部分にまで気を配っています。バータイプのゴム足が前に2本、後ろに1本あります。これにより、ゲームプレイ中にグラつくことはなく安定感は抜群。ゲームだけでなく、クリエイティブな作業や日常使いでもこの安定感は助かります。
底面のゴム足は背が高く、吸排気のスペースをしっかり確保できるようになっています。冷却面では熱伝導性を高めるベイパーチャンバーを採用。2つのファンで効率よく冷却してくれます。2、3時間ゲームをプレイしても熱暴走のようなことは起きませんでした
操作性も文句なしです。キーボードは、Fnキーを含め、ほとんどのキーが同じサイズかつオーソドックスな配列で、デスクトップPC用のキーボードに近い使い勝手でした。また、メカニカルキーボードではありませんが、打鍵感はほどよいクリック感があって気持ちよくタイピングできます。打鍵音も静かです。安定感が高く、ガタつかないのも影響していると思います。
タッチパッドはWindowsノートPCとしては最大級の大きさで、その幅は本体の幅の半分ほど。ホームポジションだと、ときどき指が触れて誤操作してしまいましたが、慣れれば、誤操作も減ってきました。ゲーム中はゲーミングマウスを使うでしょうが、タッチパッドでもスムーズにカーソルを動かせます。
Fnキーを含めほとんどのキーのサイズが同じで、オーソドックスな配列。キーピッチは実測で約19mmほど。タッチパッドが広く、最初は間違って指が当たってしまいましたが、慣れればスムーズに操作できるようになりました
キーボードバックライトの光りの漏れのなさに注目。ボワッと全体的に光るものもあるが、本モデルは光りの漏れがなく、クリアな表示です
専用アプリ「Razer Synapse」にて、WindowsキーやAlt+Tab、Alt+F4を無効化できます。タッチパッドもオン・オフ可能(Fn+TでもOK)
キーボードバックライトの色や光り方も専用アプリ「Razer Synapse」で調整できます。この専用アプリが万能かつ使いやすいのも好印象
メカニカルシャッター付きのフルHDのWebカメラ(200万画素、1080p)。Windows Helloにも対応しており、素早くサインインできます
「Razer Blade 16」のACアダプターは最大出力が330Wと280Wの2タイプあり、本モデルは280WのACアダプターが付属します。電力効率の高いGaN(窒化ガリウム)半導体を使っており、ゲーミングノートPC向けとしては比較的コンパクトなACアダプターです。ケーブルはファブリックに覆われており、絡みにくいのがすばらしい。本体との接続部分はL字型で、上下関係なく接続可能。ケーブルを後ろにも前にも出せて、自由度が高めです。
GaN(窒化ガリウム)半導体を採用したコンパクトなACアダプター。サイズは75(幅)×180(奥行)×24.5(高さ)mm、重量はケーブル込みで実測791g。ケーブルはファブリックで覆われており絡みにくく、まとめやすいタイプです
L字型の接続部分は、上下関係なく本体と接続できるので、ケーブルを前後どちらからでも出せます
外部インターフェイスは、USB 3.2 Type-A(Gen 2)×3、Thunderbolt 4(USB Type-C)、USB 3.2 Type-C、HDMI 2.1、SDメモリーカードスロット(UHS-II)、3.5mmヘッドホン出力/マイク入力を備えます。
外部インターフェイスは前述のとおり、USB Type-Aポートの内側がグリーンに塗装されています
「Razer Blade 16」シリーズが搭載する「第13世代Core i9-13950HX」は、24コア(Performanceコア8、Efficientコア16)、32スレッド(Performanceコア、Efficientコアともに16スレッド)という高性能CPUです。ターボブースト利用時の最大周波数は5.50GHz。ベースパワーは55W、最大ターボパワーは157Wですが、本モデルではブーストモードで110W TDPを実現しています。CPUパワーが必要な高負荷タスクもサクサクこなせるでしょう。
GPUにはNVIDIAの「GeForce RTX 4070 Laptop GPU(8GB VRAM)」を搭載。「GeForce RTX 40シリーズ」のミドルクラスGPUです。DLLS 3に対応しており、フレームレート向上も見込めます。
パフォーマンスモードは専用アプリ「Razer Synapse」を変更可能。ACアダプター接続時は「バランス」「静音」「カスタム」から選べます。バッテリー駆動時は「バランス」のみ。ACアダプター接続時に「カスタム」を選ぶとCPUが低/中/高/ブースト、GPUが低/中/高から選べます
CPUオーバークロックを有効にする場合はBIOSの設定が必要です
パフォーマンスモードで「カスタム」を選び、CPUを「ブースト」、GPUを「高」に設定して、定番のベンチマークプログラムを実施しました。解像度とリフレッシュレートは1920×1200、240Hzで行いました。いずれの結果もハイスペックなゲーミングノートPCにふさわしいスコアでした。
CINEBENCH R23
CPU(マルチコア):21354、CPU(シングルコア):2033
CINEBENCH R20
CPU(マルチコア):8386、CPU(シングルコア):755
PCMark 10 Professional Edition
トータル:7258
Essentials:11092
Productivity:9407
Digital Content Creation:9944
3DMark Professional Edition
Speed Way:2825
Port Royal:7054
Time Spy Extreme:5593
Time Spy:11650
Fire Strike Ultra:6390
Fire Strike Extreme:12498
気になるのは「デュアルモードMini LEDディスプレイ」のどちらでゲームを遊ぶかではないでしょうか? 解像度の違いでフレームレートがどう変わるのか、ヘビー級タイトルとして人気の「サイバーパンク2077」(CD Projekt RED)で見てみましょう。利用したのはゲーム内のベンチマークプログラム。プリセットを変えながらベンチマークプログラムを実行した結果が以下です。
1920×1200、240Hzで各プリセットのベンチマーク結果
「レイトレーシング:ウルトラ」では、平均97.45fps
「レイトレーシング:中」では、平均101.31fps
「レイトレーシング:低」では、平均123.62fps
「Steam Deck」では、平均162.22fps
「ウルトラ」では、平均129.16fps
「高」では、平均155.59fps
「中」では、平均174.19fps
「低」では、平均189.43fps
3840×2400、120Hzで各プリセットのベンチマーク結果
「レイトレーシング:オーバードライブ」では、平均21.39fps
「レイトレーシング:ウルトラ」では、平均34.94fps
「レイトレーシング:中」では、平均33.85fps
「レイトレーシング:低」では、平均41.28fps
「Steam Deck」では、平均60.65fps
「ウルトラ」では、平均24.53fps
「高」では、平均35.78fps
「中」では、平均70.30fps
「低」では、平均79.40fps
フレームレートを優先したい場合は、1920×1200を選んだほうがいいでしょう。リフレッシュレート240Hzを生かすほどのフレームレートは出ていませんが、滑らかな動きでゲームを楽しめそうです。いっぽう、3840×2400だと、ハイスペックPC用のプリセット「レイトレーシング:オーバードライブ」が選べますが、平均21.39fpsと厳しい結果に。「中」「低」などは60fpsオーバーで、画質にも動きの滑らかさにこだわりつつゲームを楽しめるのではないでしょうか。
Epic Gamesの「フォートナイト」では、どちらの解像度を選んでも、高フレームレートでプレイ可能でした。3840×2400、120Hzでも、レンダリングモードに「パフォーマンス−低グラフィック忠実度」を選べば、シーンにもよりますが100fps前後で楽しめます。1920×1200、240Hzなら、240fpsオーバーでプレイ可能。
また、ゲームで遊んでいるときにふと気が付いたのが、WASDキー部分がひんやり冷たいこと。ゲーミングノートPCは長時間プレイすると、どうしても本体が熱くなって、文字通り手に汗握る状況になりがちですが、本モデルならそんなことはなさそうです。
「Razer Blade 16」は、超ハイスペックなゲーミングノートPCです。ただ、今回レビューしてみて単に超ハイスペックなモデルではないことがわかりました。高品位なデザインに心地いいキーボード、それに世界初の「デュアルモードMini LEDディスプレイ」(そもそものディスプレイの表示品質も高い)と、スペック以外にも、こだわりのつまったモデルでした。円安の影響もあると思いますが、さすがに50万円オーバーは高いと言わざるを得ませんが、性能や品質は、さすがの完成度です。
なお、前述のとおり、アユートでは「Razer Blade Mid-Summer Specials’23」と題して、割り引きキャンペーンを実施中です。今回試した「Razer Blade 16 Dual UHD+FHD+ Mini-LED - RTX 4070」は通常より3万円安い519,800円(価格.com最安価格)で買えます。キャンペーンは2023年8月6日(日)までなので、ぜひチェックしてみてください。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!