ファーウェイは10月9日に「HUAWEI WATCH GT」シリーズの最新モデルを発売した。本稿では「HUAWEI WATCH GT 5 Pro」46mmと「HUAWEI WATCH GT 5」の46mmを試用したうえで、概要や使用感についての情報をお届けする。
なお、本稿で紹介する機能は、iOS 18.0の「iPhone」を使いスマホアプリ「HUAWEIヘルスケア(バージョン15.0.8.325)」で確認した内容になる。
左:「HUAWEI WATCH GT 5 Pro」46mm ブラック フルオロエラストマー、公式サイト販売価格(以下同)48,180円(税込、以下同)、右:「HUAWEI WATCH GT 5」46mm ブラウン レザー、36,080円
ファーウェイの公式サイトによると、スマートウォッチのラインアップは、以下の4つのカテゴリーに分類されている。
(1)「HUAWEI WATCH ULTIMATE」シリーズ:ビジネスエリート向けの最上位
(2)「WATCH」シリーズ:シティユースを想定
(3)「WATCH GT」シリーズ:ビジネスシーンからスポーツシーンまでを広くカバー
(4)「WATCH FIT」シリーズ(「HUAWEI Band」シリーズも含む):廉価モデル
今回発売された2製品は、このうち「WATCH GT」シリーズに該当する最新モデル。「HUAWEI WATCH GT 5 Pro」がGTシリーズ内における最上位モデルであり、「HUAWEI WATCH GT 5」が最新世代のスタンダードモデルという位置付けだ。
なお、GTシリーズの登場初期は、「HUAWEI WATCH GT」が廉価であり、「HUAWEI WATCH」がスタンダードに位置するイメージだったが、現在ではGTシリーズのほうがラインアップにおける主力製品であり、最上位の「Ultimate」に次いでビジネスシーンをカバーする位置付けのシリーズになってきた印象が強い。
「HUAWEI WATCH GT 5 Pro」(左)と「HUAWEI WATCH GT 5」(右)のパッケージ
まずは、スタンダードモデルの「HUAWEI WATCH GT 5(以下、GT 5)」についてチェックしよう。今回試用したモデルは46mmサイズの「ブラウン レザー」。ケースのベゼル部にステンレススチール、ストラップバンドにフェイクレザーが使われており、ビジネスシーンでも使えるフォーマルな趣だ。
「GT 5」にメインで使用されているケース素材はステンレススチールで、光沢感がある
ケースの右側面には、物理ボタンが2つ備わっている。ちなみに、これらを同時に押すことで、画面のスクリーンショットを撮影し、ペアリングしたスマホに記録が可能。表示内容をSNSなどで共有しやすくなった。
「ブラウン レザー」はピンバックル式のフェイクレザーバンドだ
休日の服にもスーツのジャケットにも合わせやすいデザイン
「GT 5」の外観は前世代モデルから大きく変わっていないものの、防護塗装が施されたことで耐摩耗性が向上しているそうだ。
仕様面をチェックすると、ヘビーユース時のバッテリー持ちが前世代モデルの約8日間から約9日間まで1日分増えていることや、前世代モデルでは記述のなかった「環境光センサー」が加わっている。
さらに、防水防塵レベルが前世代と同様の5ATMに対応しているうえ、初めて高温・高圧水に対する保護規定「IP69K」に準拠したことも見逃せない。ただし、熱水シャワー、温泉、サウナなどには利用できないことは、理解しておこう。
続いては、上位モデルにあたる「HUAWEI WATCH GT 5 Pro(以下、GT 5 Pro)」だ。今回試用したモデルは、46mmサイズの「ブラック フルオロエラストマー」。こちらはケース部にチタニウムを採用しており、肌に触れる面にはセラミック、ディスプレイ表面には耐摩耗性と耐擦傷性にすぐれるサファイヤグラスが使われているのがポイントだ。バンド部には装着感のよいフルオロエラストマーが採用されていて、スポーツシーンでも使いやすい。
「GT 5 Pro」にメインで使用されているケース素材はチタニウム
「ブラック フルオロエラストマー」を選んだ場合は、ピンバックル式のスポーツバンドだ
スポーティーながら大人っぽいデザイン
ディスプレイの形状はラウンドだが、ケースデザインは八角形に近い。「GT Pro」の前世代モデルに相当する「HUAWEI WATCH GT 3 Pro」と比べると、ケースデザインに工夫が施されており、よりスマートな印象になった。
また、防水性能は、「GT 5」と同様「IP69K」に準拠することに加え、「EN13319規定」に基づく40mのフリーダイビングに対応したことがポイント。ただし、スキューバダイビングでの使用はサポートされていないことは、購入前に把握しておきたい。
機能面では、「GT 5 / GT 5 Pro」のどちらでも利用できるものが多い。
たとえば、ヘルスケア関連の機能では、新たに「情緒」測定機能が追加されたことがトピックだ。既存モデルに搭載されていた1〜99の数値で表される「ストレス」の値に加えて、「快適 / 普通 / 不快」の3段階で表される「情緒」の記録を確認できる。また、ストレス緩和のための「呼吸エクササイズ」も、「情緒」から実施できる。
「情緒」の変化を記したグラフ
ワークアウトの測定中にマップをフルカラーで表示できるようになった。さらに、スマホアプリ「HUAWEIヘルスケア」を使って、ウォッチ本体にオフラインマップのダウンロードも可能だ。
ちなみに、データ転送の際にポップアップで表示される「高速転送の有効化」を実行すると、Bluetooth接続よりも速いスピードで、スマートウォッチ側にデータを転送できる。スマートウォッチでよくある“大容量データ転送中の待ち時間”が、まったくストレスにならなかったのには驚いた。なお、同機能は後述するゴルフ機能でのコースマップのダウンロードにも利用できる。
屋外でのワークアウト中のフルカラーマップ(写真の地図にはモザイクをかけている)
スマホのアプリでダウンロードしたオフラインマップをウォッチに転送する際には、高速転送が利用できた
さらに、ランニングフォームの分析も可能となった。ランニングのワークアウト終了時にスマートウォッチの画面で確認できるほか、詳細はスマホアプリ「HUAWEIヘルスケア」からも確認可能。具体的には、「平均設地時間」「平均バランス」「平均垂直振動」の3項目の情報が確認でき、ランニングフォームのチェックや改善に利用できそうだ。
ランニング後にフォームに関するデータを確認できる
ウォッチ画面だけでなく、スマホアプリからも確認可能
ちなみに、「GT 5」「GT 5 Pro」の2機種には、同社が「ヒマワリ型アンテナシステム」と呼ぶ、アンテナ設計とアルゴリズムによって、位置情報が向上したこともポイントだ。筆者が実際にワークアウトを測定してみたところ、ランニング時に歩道の左側を歩いたのか、右側を歩いたのかがしっかりと区別できるほど、ルートの記録が詳細で正確だった。基本的に、ワークアウト時のGPS測定精度について、不満を感じることはないだろう。
ファーウェイのスマートウォッチと言えば、近年ゴルフ機能に注力している。たとえば、2023年5月に発売された最上位の「HUAWEI WATCH Ultimate」が、同年6月のアップデートでスイング分析アプリに対応。これに続き、2023年10月に発売されたGTシリーズのスタンダードモデルである「GT 4」が、2024年4月のアップデートで、本格的な「ゴルフナビ機能」をサポートした。今回発売された「GT 5 / GT 5 Pro」もこの流れを汲み、ゴルフ関連機能をサポートしている。
ウォッチ側のアプリから確認できるゴルフ機能は、「コースモード」と「ドライビングレンジ」の2つが用意されている。「コースモード」を選ぶと、実際のコースのマップを確認しながら、グリーンまでの距離を確認したり、スコアカードを記録したりといった操作が可能だ。
「ゴルフ」アプリを起動すると「コースモード」と「ドライビングレンジ」を選択可能
「コースモード」では、ダウンロードしておいたコースのマップや関連情報を表示できる
いっぽう、「ドライビングレンジ」では、テイクバック時間とダウンスイング時間の比率をスイングテンポとして評価するほか、スイングスピードも算出。つまり、スイングの練習に活用できるわけだ。
「ドライビングレンジ」では、スイング時のテイクバックとダウンスイングのバランスを判定
「GT 5」と「GT 5 Pro」の差分として覚えておきたいのは、このゴルフ機能において、グリーンの手前や奥までの距離を確認できたり、グリーンの傾斜などを確認できたりするのは、「GT 5 Pro」のみということだ。つまり、スイングの練習に使うなら「GT 5」で十分だが、コンペに向けてスマホを出すことなくサクサクとコースを回りながら、そのホールの特徴を把握するには「GT 5 Pro」のほうが心強い。
「GT 5 Pro」の「コースモード」では「グリーンの傾斜」が確認できた
「GT 5」と「GT 5 Pro」どちらを選択するかの決め手となるのは、
(1)デザイン・素材
(2)フリーダイビング利用の有無
(3)ゴルフ機能のグリーン傾斜の有無
などが主なポイントになってくる。ゴルフ用途に関しては、すでにレーザー距離計を使っている人ならば、「GT 5 Pro」か、さらに上位の「HUAWEI WATCH Ultimate」を選んだほうがよいだろう。「GT 5 Pro」のメリットは先述したとおりであり、最上位の「HUAWEI WATCH Ultimate」なら、次のショットのターゲットエリアやおすすめのクラブの提案機能などもサポートしているからだ。価格差とのバランスを鑑みつつ、検討してみてほしい。