レビュー

Snapdragon X Plus搭載のCopilot+ PC、デル 「Inspiron 14 Plus」の実力は?

仕事からプライベートまで幅広く使えて人気のノートパソコン、デル「Inspiron」シリーズに、新たに「Copilot+ PC」適合モデルが登場。プロセッサーには「Snapdragon X Plus」を搭載し、16GBメモリー、512GB SSDと十分なハードウェア構成で価格は約17万円。今回はこの「Inspiron 14 Plus」を実際に使ってみて、どれほどの実力なのか、どんな人に向いているのかをレビューします。なお、記事内の価格などはすべて執筆時点(2024年10月9日)のものです。

デル「Inspiron 14 Plus Snapdragon X Plus・16GBメモリー・512GB SSD・WQXGAタッチディスプレイ搭載モデル [アイスブルー]」メーカー公式価格170,803円(税込)

デル「Inspiron 14 Plus Snapdragon X Plus・16GBメモリー・512GB SSD・WQXGAタッチディスプレイ搭載モデル [アイスブルー]」メーカー公式価格170,803円(税込)

デル「Inspiron」は、個人向けノートパソコンのスタンダードシリーズ。元々サイズやハード構成が豊富に用意されていますが、デル公式ストアからの購入であれば、必要に応じてハードウェア構成をカスタマイズできます。今回レビューするモデルは「Inspiron」シリーズの強化モデルとなる「Inspiron 14 Plus」。「Snapdragon X Plus」を搭載したデルの「Copilot+ PC」です。

「Inspiron 14 Plus」ってどんなパソコン

・「Copilot+ PC」に準拠しAI機能が使える
・Snapdragon X Plus+16GBメモリーで十分な処理能力
・AI機能を駆使したクリエイティブワークに向く

個人向けスタンダードノートのパワーアップモデル

デルから、2024年6月に発売された個人向けノートパソコンが今回レビューする「Inspiron 14 Plus」。デルでは現在複数のノートパソコンシリーズを販売していますが、今回の製品は個人向けのスタンダードモデル「Inspiron」シリーズに属します。

デルは個人向けノートパソコンとして4シリーズを展開しており、「Inspiron」は仕事やプライベートで使えるスタンダードモデルの位置づけ。個人向けのシリーズではこのほか、クリエイター向けモデルの「XPS」、ゲーミングの「デル G」、ハイエンドゲーミングの「Alienware」の3シリーズが存在します。これとは別にGoogle製Chrome OSを搭載したChromebookシリーズが販売されていますが、表には入れていません

デルは個人向けノートパソコンとして4シリーズを展開しており、「Inspiron」は仕事やプライベートで使えるスタンダードモデルの位置づけ。個人向けのシリーズではこのほか、クリエイター向けモデルの「XPS」、ゲーミングの「デル G」、ハイエンドゲーミングの「Alienware」の3シリーズが存在します。これとは別にGoogle製Chrome OSを搭載したChromebookシリーズが販売されていますが、表には入れていません

「Inspiron」シリーズにはノートパソコン、2-in-1、デスクトップ、ディスプレイ一体型とさまざまなタイプがありますが、今回レビューする「Inspiron 14 Plus」は14型のノートパソコンタイプ。「Plus」が付いていることからもわかりますが、「Inspiron」のハイエンドモデルという位置づけとなります。「Inspiron 14」よりも高解像度で、4スピーカーを搭載。USBの転送速度も速く、本体も薄くて軽いなど各所がパワーアップしています。

プロセッサーは「Snapdragon X Plus」で、マイクロソフトが新たに制定したAIパソコンのブランド「Copilot+ PC」に適合。メモリーは16GB、ストレージ容量は512GBのSSDで、プロセッサー以外のハードウェア構成は割と一般的。OSはARM版「Windows 11 Home」で、新モデルながら公式価格は税込170,803円と20万円以下を実現しています。近年のPC市場を考えるとやや抑えめの価格設定です。

なお、デル公式ストアでの購入時にはプロセッサー、OS、ストレージ容量のアップグレードが可能。ただし、上位プロセッサーの「Snapdragon X Elite」とストレージの「1TB SSD」はセットになっており、両方まとめてアップグレードが必要です。ちなみに、両方アップグレードすると248,000円となり、かなり価格が上がります。

Snapdragon Xを搭載した「Copilot+ PC」

デル「Inspiron 14 Plus」に搭載されているQualcomm製の「Snapdragon X Plus X1P-64-100」は、10コアのAI対応プロセッサー。CPUやGPU、メモリー、AI処理を行うNPUなどのチップ群を1ユニットにまとめた「SoC(システム・オン・チップの略)」と呼ばれるプロセッサーです。

通常、AI処理はクラウド経由で行いますが、NPUによりその一部をPC内で高速処理できます。これが「AIパソコン」の特徴ですが、その中でもマイクロソフトの条件をクリアした製品に「Copilot+ PC」の名前が付けられます。要件のひとつに「NPUが40TOPS以上」、つまり「NPUが1秒間に40兆回以上の演算を実行できる」というものがあります。「Snapdragon X Elite」の下位モデルのプロセッサーとはいえ「Snapdragon X Plus」のNPUは「最大45TOPS」なので、余裕でクリアしています。

ちなみに、“AIパソコンはすべてのAI処理が高速”なわけではないので、勘違いしないよう注意しましょう。高速処理できるのはソフト側がNPUでの処理に対応したAI機能のみ。AdobeやZoomをはじめ、多くのソフトメーカーがAIプロセッサーへの対応を表明していますが、現在使える機能はまだほんの一部です。なお、Windows標準のAI機能の中には「Copilot+ PC」でしか動作しないものもあります。

上の写真は「ペイント」アプリのAI生成機能「Cocreator」の使用画面です。テキストでの指示と大まかなラフを描けば、右にAIが絵を生成してくれます

上の写真は「ペイント」アプリのAI生成機能「Cocreator」の使用画面です。テキストでの指示と大まかなラフを描けば、右にAIが絵を生成してくれます

どんな用途に向いている?

■デル「Inspiron 14 Plus」Snapdragon X Plusモデル  筆者による評価チャート

評価チャートについて
・実際に製品を使用して、価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けました。
評価項目:満足度、デザイン、処理速度、グラフィック性能、拡張性、使いやすさ、持ち運びやすさ、バッテリー、画面、コストパフォーマンス
点数:5点満点(標準点は3点)
・本記事を執筆した筆者による個人的な評価です。評価は個人によって変わりますので、あくまでも参考程度にとどめてください。

価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビュー一覧

「Inspiron 14 Plus」に搭載されている「Snapdragon X Plus」は最新のAI対応プロセッサーなので、もちろんAI系の処理は得意分野です。グラフィックソフトや動画編集ソフト、音楽編集ソフトなどのNPU対応が目立つため、クリエイター向きといえるでしょう。

ただし、今後もさまざまなソフトのNPU対応が増えるであろうことを考えると、クリエイターでなくともその恩恵は大きそうです。もちろん、最新プロセッサーなので、AI以外の処理も十分高速です。メモリーも16GBあるので、ネット閲覧やメール程度ではまったくストレスを感じません。なお、Officeは付属しないので、仕事で使うならMicrosoft 365の既存ユーザー、もしくはOfficeのパッケージ版を持っている人向きです。

ディスプレイは趣味での写真編集やフルHD動画の編集なら十分こなせる画質です。ただ、そういった用途に対してはSSDが512GBとやや少なめなので、高解像度の写真や動画を大量に扱うなら外付けストレージが必須となるでしょう。

14型モデルなので持ち運びしやすいものの、超軽量モバイルノートと比べると重量は若干重めです。しかし、毎日持ち歩くのが苦痛になるような重さでもありません。バッテリー持続時間は公称で最大21時間ですが、実測でも約16時間4分と長めでした。一日外へ持ち歩いて作業したとしても、途中で充電する必要はなさそうです。さほどストレージ容量を必要とせず、自宅でも外出先でも使える最新AIパソコンが欲しい人には有力な選択肢となるでしょう。

ボディは「Inspiron 14」より薄くて軽いアルミ製シャーシ

デル「Inspiron 14 Plus」の本体サイズは幅314×奥行223.75mmで、厚さは最薄部で14.69mm、最も厚い部分で16.90mm。同じ画面サイズの「Inspiron 14」と比べると奥行きが2.5mmほど短くなり、高さも2〜3mm程度薄くなっています。

シャーシはアルミニウム製で見た目の高級感があるだけでなく、十分な剛性があるのがポイント。プラスチック製の本体にありがちな、底面の一部を押すとペコペコと歪むような不安感がありません。

重量は1.44kgで「Inspiron 14」の1.61kgより軽いものの、1kgを切るモバイルノートと比べるとそれなりに重く感じます。とはいえ、毎日カバンに入れて持ち運んでも苦にはならないでしょう。

アルミニウム製シャーシでA4サイズよりは若干大きめですが、持ち運びしやすいサイズです。重量は1.44kgとそれなりに重さは感じますが、剛性が高いのでカバンの中で何かにぶつかって割れるような心配はいらなさそうです。なお、カラーはアイスブルーのみ

アルミニウム製シャーシでA4サイズよりは若干大きめですが、持ち運びしやすいサイズです。重量は1.44kgとそれなりに重さは感じますが、剛性が高いのでカバンの中で何かにぶつかって割れるような心配はいらなさそうです。なお、カラーはアイスブルーのみ

2560×1600ピクセルと高解像度で60HzのIPSディスプレイ

ディスプレイは14型のIPSパネルで、解像度はQHD+(2560×1600ピクセル)です。画面の比率が16:10なので、一般的な16:9の2K画面より若干縦が広くなっています。リフレッシュレートは60Hzでタッチ操作にも対応しています。
IPSパネルなので有機ELほどの色味の鮮やかさはありませんが、Dolby Vision対応で動画視聴も十分楽しめます。反射を抑える非光沢加工なので、光沢ガラス採用の製品と比べると、映り込みはほとんど気になりません。4K動画を視聴してみましたが、発色がよくて精細さも感じられます。赤が若干強めな気もしますが、不自然さはありません。ただ、明るめの空はやや白飛び気味でした。

画面の比率が16:10と若干縦に広いため、解像度はQHD(2K)よりもやや広いQHD+。ディスプレイの拡大設定は200%が推奨となっていますが、これだとデスクトップが狭い印象なので150%程度に変えるのがちょうどよさそうです。輝度も400nitsと十分高いので、文字の可読性も高めです

画面の比率が16:10と若干縦に広いため、解像度はQHD(2K)よりもやや広いQHD+。ディスプレイの拡大設定は200%が推奨となっていますが、これだとデスクトップが狭い印象なので150%程度に変えるのがちょうどよさそうです。輝度も400nitsと十分高いので、文字の可読性も高めです

雲の表現は若干弱めになっていますが、建物の細部までよく見えてメリハリが強調されています。色もやや鮮やかになっていますが、色みは自然です

雲の表現は若干弱めになっていますが、建物の細部までよく見えてメリハリが強調されています。色もやや鮮やかになっていますが、色みは自然です

こちらが表示写真の元画像です。元画像と比べると、「Inspiron 14 Plus」の画面ではやや明るめに表示されているのがわかります

こちらが表示写真の元画像です。元画像と比べると、「Inspiron 14 Plus」の画面ではやや明るめに表示されているのがわかります

キーボード両側と底面に4つのスピーカーを搭載

スピーカーはキーボードの両側に2つ、底面の左右に2つの合計4つ搭載されています。Dolby Atmosには非対応ですが、ネット動画の視聴であれば音質に不満を感じることもありませんでした。

キーボードの両側には2W×2のアップファイアリング(天井反射)スピーカーを搭載。これにより、中高域の音に広がりを感じられます。大音量にしても、音割れなどはあまり気になりません

キーボードの両側には2W×2のアップファイアリング(天井反射)スピーカーを搭載。これにより、中高域の音に広がりを感じられます。大音量にしても、音割れなどはあまり気になりません

底面左右には2W×2のスピーカーを搭載。ダウンファイアリング(床面反射)スピーカーとして低音を強調してくれます。離れて聴くと低音は出ているものの迫力があるというほどではない印象でしたが、画面に近づくと低音の迫力が増しました

底面左右には2W×2のスピーカーを搭載。ダウンファイアリング(床面反射)スピーカーとして低音を強調してくれます。離れて聴くと低音は出ているものの迫力があるというほどではない印象でしたが、画面に近づくと低音の迫力が増しました

ディスプレイ上部には1080pのWebカメラを搭載

ディスプレイ上部には1080p・30fpsのフルHD赤外線(IR)カメラを装備。Windows Helloの顔認証にも対応しています。

Webカメラの画質は明るめで補正もきいているので、逆光でも顔色が悪く見えることはありません。フルHDなので画質はそれなりで若干ザラつきはあるものの、映像が乱れることもありません。声はややこもっている印象はありますが、音声に途切れもなく話している内容はしっかり伝わります。

1080pのWebカメラには、プライバシーシャッターが付いています。驚くほどの高画質ということではありませんが、映像は明るめで顔色も悪く見えません。マイクはデュアルアレイマイクが搭載されていますが、音声は若干こもり気味な印象です

1080pのWebカメラには、プライバシーシャッターが付いています。驚くほどの高画質ということではありませんが、映像は明るめで顔色も悪く見えません。マイクはデュアルアレイマイクが搭載されていますが、音声は若干こもり気味な印象です

使いやすいけれどキーボード配置はやや気になる

キーボードはファンクションキー付きの日本語配列で、キーの間隔も沈み込みも適度に確保されています。Windows標準のAI機能をすぐに開ける「Copilot」キーも搭載されています。配置で気になるのは、「Enter」や「スペース」、「back space」キーが別のキーと一体化していること。パッと見で判別しやすさはありますが、実際に使ってみると誤って別のキーを押してしまうことがありました。

右上が「delete」キーではなく、指紋認証センサー付きの電源ボタンなのも誤操作の原因のひとつ。なお、電源ボタンには指紋センサーが内蔵されており、Windows Helloによる指紋認証が利用できます。指紋の登録はスムーズで、感度も読み取り精度もよく、一瞬触れただけですぐに認証されます。

キー自体はやわらかい質感ですが、打ち心地はやや硬めな印象。音は静かなものの、反発が若干強い感じなので、長時間の文字入力だと人によっては打ち疲れるかもしれません。キートップもフラットなので、多少丸みがあるともっと快適そうです。なお、バックライトも搭載されているので、暗い部屋でも問題なく入力できます。

タッチパッドはクリックボタンが分かれていない一体化タイプで、指の滑りはスムーズです。大きく動かす際にはカーソルがしっかり指の動きについてきますが、細かく動かすと指の滑りにやや引っかかりを感じ、なかなか狙った位置にカーソルを動かせないことがありました。また、タッチが軽すぎるとクリックとして認識されない傾向があります。

ファンクションキー付き、テンキーなしの日本語配列キーボードで、バックライトを搭載しています。打ち心地はやや反発が強く、硬めな印象です。タッチパッドはクリックボタンが分かれていない一体化タイプで、指の滑りは滑らかです

ファンクションキー付き、テンキーなしの日本語配列キーボードで、バックライトを搭載しています。打ち心地はやや反発が強く、硬めな印象です。タッチパッドはクリックボタンが分かれていない一体化タイプで、指の滑りは滑らかです

「カタカナ・ひらがな。ローマ字」キーの右には、「Copilot」キーが用意されています。このボタンひとつで、Windows標準のAI機能を素早く呼び出せます

「カタカナ・ひらがな。ローマ字」キーの右には、「Copilot」キーが用意されています。このボタンひとつで、Windows標準のAI機能を素早く呼び出せます

キーボードの右上が「delete」キーではなく、電源ボタンなので何度かうっかり押してしまいそうになりました

キーボードの右上が「delete」キーではなく、電源ボタンなので何度かうっかり押してしまいそうになりました

パッと見の視認性は高いのですが、「Enter」や「スペース」、「back space」、「右shift」キーなどが別のキーと一体化されています。このため、別のキーを押してしまうことがあり、やや慣れが必要そうです

パッと見の視認性は高いのですが、「Enter」や「スペース」、「back space」、「右shift」キーなどが別のキーと一体化されています。このため、別のキーを押してしまうことがあり、やや慣れが必要そうです

USB Type-Cポートが2つあるが片方は電源で占有

デル「Inspiron 14 Plus」の外部インターフェイスは、「USB Type-Aポート」×1、「USB Type-Cポート」×2、「コンボジャック(ヘッドホン/マイク)」×1、「microSDカードスロット」×1という構成です。

「Inspiron 14」よりもUSB Type-Cポートが1つ多いのですが、片方は電源に占有されてしまうため、結果としてUSB Type-Cポート×1・USB Type-Aポート×2・独立電源の「Inspiron 14」より使えるポート数は少なくなってしまいます。なお、「Inspiron 14」にはHDMI端子が搭載されていますが、「Inspiron 14 Plus」には非搭載です。

ちなみに、USB Type-Cポートの転送規格はUSB4なので40Gbpsと高速ですが、USB Type-AポートはUSB 3.2 Gen 1で5Gbpsなのであまり速くはありません。

左側面にはUSB Type-Cポートが2つとmicroSDカードスロットが並んでいます。USB Type-CポートはどちらのポートもDisplayPortでの画面出力と、USB PDでの充電に対応しています。「Inspiron 14」ではUSB Type-CポートはUSB 3.2 Gen 2規格で10Gbpsだったので、Plusではここも強化されています

左側面にはUSB Type-Cポートが2つとmicroSDカードスロットが並んでいます。USB Type-CポートはどちらのポートもDisplayPortでの画面出力と、USB PDでの充電に対応しています。「Inspiron 14」ではUSB Type-CポートはUSB 3.2 Gen 2規格で10Gbpsだったので、Plusではここも強化されています

専用の電源端子は搭載されておらず、左側面にある2つのUSB Type-Cポートのどちらかで給電します。このため、給電中に使えるUSB Type-Cポートは1つのみです

専用の電源端子は搭載されておらず、左側面にある2つのUSB Type-Cポートのどちらかで給電します。このため、給電中に使えるUSB Type-Cポートは1つのみです

USB Type-Cポートが2つ並んでいますが、適度な間隔があるのでケーブル同士、またはケーブルとUSBメモリーの組み合わせであれば互いに干渉しません。ただ、ポートの抜き挿しはやや硬めで、特に抜くときには思ったより手こずりました

USB Type-Cポートが2つ並んでいますが、適度な間隔があるのでケーブル同士、またはケーブルとUSBメモリーの組み合わせであれば互いに干渉しません。ただ、ポートの抜き挿しはやや硬めで、特に抜くときには思ったより手こずりました

右側面にはUSB Type-Aポートとマイク&イヤホンのコンボジャックが並んでいます。なお、USB Type-Aは「USB 3.2 Gen 1」なので、転送速度は5Gbpsです

右側面にはUSB Type-Aポートとマイク&イヤホンのコンボジャックが並んでいます。なお、USB Type-Aは「USB 3.2 Gen 1」なので、転送速度は5Gbpsです

付属しているACアダプターは65Wですが比較的小さめ、しかし、2ユニットタイプでコンセント側のケーブルが太いため、毎日持ち運ぶとなるとやや面倒な印象です

付属しているACアダプターは65Wですが比較的小さめ、しかし、2ユニットタイプでコンセント側のケーブルが太いため、毎日持ち運ぶとなるとやや面倒な印象です

54Whバッテリーはネット動画の連続再生が約16時間の長時間稼働

本機は3セル・54Whバッテリーを搭載しており、バッテリー持続時間は公称で最大21時間。実際に画面の明るさと音量を50%に設定し、電源モードは「最適なパフォーマンス」を選択。Bluetooth、画面のスリープ、バッテリー節約機能はオフにして、Wi-Fi 6でインターネットに接続。この状態でフルHDのYouTube動画を連続再生してみましたが、約16時間4分と十分長い稼働時間でした。

同じバッテリー容量でRyzen 7 8840Uを搭載した「Inspiron 14」が実測で約9.5時間だったので、「Snapdragon X Plus」はかなりの省電力プロセッサーだといえるでしょう。

なお、この測定は電源モードを「最適なパフォーマンス」、「バッテリー節約機能」をオフにして実施したので、設定次第ではさらに長時間の稼働も可能そうです。ちなみに、負荷がかかる作業中にはファンが回り続けるため、音はわずかながら気になり、底面も意外と熱くなります。

フルHDのYouTube動画を連続再生したところ、約16時間4分でバッテリー残量がゼロになりました

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2024/08/17 11:00

一般用途ではストレスなし! ゲームも設定次第でプレイ可能

最後に、各種ベンチマークの結果をまとめておきます。

今回使用した、デル「Inspiron 14 Plus」のスペックは以下のとおりです。

プロセッサー:Qualcomm「Snapdragon X Plus X1P-64-100」(10コア・最大3.4GHz)
メモリー:16GB(LPDDR5X、8448 MT/s)
ストレージ:512GB SSD(M.2 PCIe NVMe)
ディスプレイ:14型 IPSパネル(2560×1600 QHD+・60Hz)
ビデオチップ:Qualcomm Adreno GPU(プロセッサー内蔵)

なお、測定は電源を接続した状態で行い、電源モードは「最適なパフォーマンス」を選択。バッテリー駆動時に電源モードを「バランス」にして使用する場合は、一般的にスコアは低下します。

・各種ベンチマークの結果
「CineBench 2024」のスコア

シングルコア:108 pts
マルチコア:655 pts

上画像左側は電源接続時、電源モードは「最適なパフォーマンス」で測定したスコアです。バッテリー駆動で電源モードを「バランス」にして測定した結果が右側ですが、シングルコアは108で性能の低下はなし。マルチコアは699となぜかバッテリー駆動のほうが好成績でした

上画像左側は電源接続時、電源モードは「最適なパフォーマンス」で測定したスコアです。バッテリー駆動で電源モードを「バランス」にして測定した結果が右側ですが、シングルコアは108で性能の低下はなし。マルチコアは699となぜかバッテリー駆動のほうが好成績でした

いつもは「CineBench R23」で測定していますが、今回はARM版Windowsが搭載されているため、「CineBench 2024」を使用。スコアの算出方法がR23と違うため、これまでの測定結果とは比較できませんが、ベンチマークソフト上のランキングではAMD「Ryzen 7 5800X」より上でした。しかし、上位3つはApple M1・M1 Max・M1 Ultraが占めていました。

「3DMark」のスコア
Fire strike:5697
Time spy:1895
Steel Nomad Light:2208
Steel Nomad:520
Speed Way:実行不可

4種類のベンチマークテストを行いましたが、内蔵グラフィックスのわりにはスコアは高め。ただし、驚くほど高いというわけでもありませんでした。なお、ゲーミングPC用DirectX 12 Ultimateのベンチマーク「Speed Way」は実行できませんでした

4種類のベンチマークテストを行いましたが、内蔵グラフィックスのわりにはスコアは高め。ただし、驚くほど高いというわけでもありませんでした。なお、ゲーミングPC用DirectX 12 Ultimateのベンチマーク「Speed Way」は実行できませんでした

プロセッサー内蔵グラフィックスなので、GPUスコアはグラフィックボードを搭載したPCほど高くはありません。しかし、内蔵グラフィックスとしては高めのスコアです。別記事で以前に測定した「Ryzen 7 8840U」搭載の「Inspiron 14」より、若干高いといったところでしょうか。

「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」のスコア
高品質・1920×1080・フルスクリーン:1575(動作困難)
標準品質・1920×1080・フルスクリーン:2419(重い)
軽量品質・1920×1080・フルスクリーン:3045(普通)

FF15のベンチマークは「1920×1080」のフルHDで測定。高品質では「動作困難」だったので標準品質に落としましたが、それでもまだ「重い」という結果に。軽量品質まで落とせば「普通」になりました。

フルHDの標準品質でもまだ重く、軽量品質に落とせばプレイできそうです。FF15のベンチに関しては、別記事で測定した「Inspiron 14」のほうが高スコアでした

フルHDの標準品質でもまだ重く、軽量品質に落とせばプレイできそうです。FF15のベンチに関しては、別記事で測定した「Inspiron 14」のほうが高スコアでした

「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマーク」のスコア

最高品質・1920×1080・フルスクリーン:3090(設定変更を推奨)
高品質(ノートPC)・1920×1080・フルスクリーン:5727(普通)

FF14のベンチマークも同じく「1920×1080」のフルHDで測定。いちばん上の最高品質ではさすがに「設定変更を推奨」でしたが、高品質(ノートPC)なら「普通」なので十分遊べるレベルです。なお、どちらも別記事で測定した「Inspiron 14」より高いスコアです。

標準品質まで落とさなくても高品質(ノートPC)で「普通」なので、十分プレイできます。ゲームのグラフィック設定で不要な処理を省いていけば、かなり快適にプレイできるでしょう

標準品質まで落とさなくても高品質(ノートPC)で「普通」なので、十分プレイできます。ゲームのグラフィック設定で不要な処理を省いていけば、かなり快適にプレイできるでしょう

まとめ 仕事にも趣味にも使えて将来性も高い一台

デル「Inspiron 14 Plus」Snapdragon X Plusモデルは、「Inspiron」シリーズの位置づけどおり、仕事にも趣味にも活躍しそうな一台です。

最新のAIプロセッサーを搭載した「Copilot+ PC」で、メモリーも16GB。ストレージはクリエイティブワークにはやや物足りませんが512GB。外付けストレージで補完すれば、十分自宅用メインマシンとして使えます。持ち運びもしやすいサイズなので、家でも外出先でも使いたい人にも最適です。

「Inspiron 14」と比べると、ディスプレイも高精細で鮮やかなので、写真レタッチやフルHD程度の動画編集には十分使えます。メリハリのある映像で音質も十分よいので、ネット動画の視聴も楽しめます。

ネットでの調べ物やメール、Officeドキュメントの作成であれば、速度にストレスを感じることもないでしょう。ただし、Officeソフトは付属しないので、すでに製品版を所持している人やMicrosoft 365ユーザー向けです。

肝心のAI機能に関してですが、「Copilot+ PC」でしかできない機能は今のところ微妙です。Windows スタジオ エフェクトでWebカメラ映像にエフェクトをかけたり、ペイントでのAI生成を試してみたりしましたが、確かに速いものの驚くほどではありません。現状の機能だけであればサードパーティー製ソフトでも代替できるので、「Copilot+ PC」であることにさほどこだわる必要はないと感じました。

ただし、まだ実装されていないリコール機能をはじめ、今後もWindows標準のAI機能が増えることは予想できます。デル「Inspiron 14 Plus」は「Copilot+ PC」の中では比較的安いので、未来のAI機能への期待も含めて有力な選択肢となるでしょう。ただし、以前別記事で紹介したRyzen AI搭載の「Inspiron 14」が圧倒的な高コスパだったので、それと比べると割高感は感じてしまいます。

最後にひとつだけ気になるのが、ARM版Windowsの互換性です。「Snapdragon」搭載の「Copilot+ PC」の発売当初、ARM版では動作しないソフトが複数公表されました。各メーカーとも順次対応するとは思いますが、心配な人はIntel版やAMD版の「Copilot+ PC」が出揃うまで待つのも賢明な判断といえます。

功刀友如
Writer
功刀友如
ゲーム会社のCGデザイナーから、社内デザイナーがいると勘違いして出版社に転職。以降、雑誌編集者としてPC・スマホを中心とした雑誌やムックを担当。現在はフリーランスとして、デジタルガジェットやホビー系グッズ関連の誌面やWeb記事を担当しています。趣味はバイクとコンシューマーゲームで、嫌いな夏休みの宿題は「読書感想文」です。
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柴田崇志(編集部)
Editor
柴田崇志(編集部)
モノ雑誌で10年弱編集を経験した後、カカクコムに入社。前職ではAV家電やカメラを中心に幅広い製品を担当。スペックからわかりづらい製品の違いをわかりやすく説明したいです。
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