ガーミンの最新フラッグシップモデル「fenix 8 Sapphire AMOLED」がリリースされました。これまでの「fenix」シリーズの魅力であるスポーツ機能や健康管理機能をさらに進化させ、音声操作、高性能GPS、超ロングバッテリーなどを備えた最高のパートナーと言うべき完成度です。
「fenix 8 Sapphire AMOLED 」、公式サイト販売価格(以下同):51mm/198,000円(税込、以下同)、47mm、43mm/ともに178,000円、2024年8月29日発売
ガーミンの「fenix」シリーズは、その発売当時の最新テクノロジーをギュッと詰め込んだフラッグシップとして進化してきました。健康管理機能やスポーツ機能のアップデートは当然として、マップ、天候、さらには株価表示など、ビジネス用途にも対応してきた、まさに“全部乗せ”スマートウォッチです。そんなフラッグシップの最新モデル「fenix 8」の大きなアップデートは以下の4点です。
・有機ELディスプレイの採用
・音声操作機能の搭載
・バッテリー持続時間の向上
・ダイビング機能の搭載
「fenix 8 Sapphire AMOLED」は、その名前のとおり、AMOLED(有機EL)ディスプレイが搭載され、鮮やかさと視認性が高いです。今回は、もっとも大きなサイズとなる51mmを試用しました。
「fenix 8 Sapphire AMOLED」51mmの有機ELディスプレイは1.4インチと大型
今回テストしたのは、チタンベゼルとシリコンバンドの51mmモデルであり、重量は約92gに抑えられています。少し重いかな、と感じるタイミングもありましたが、大画面の見やすさにはかえられないところ。
レンズに採用された「Sapphireクリスタル」は、耐久性の高さに加えて、タッチ操作もスムーズ
ベゼルは高級感と耐久性があるチタン製で、堅牢な作り
白/赤に輝くフラッシュライトなど、夜間ランニングでも活躍してくれます
「fenix 8 Sapphire AMOLED(以下、fenix 8)」が、前世代モデルから大きく進化した点は、「音声コマンド」を搭載したことです。内蔵されたマイクに声で指示を出すことで、時計の各種機能を操作できます。たとえば、「画面を明るく」「ランニング、スタート」などと時計に呼びかければ、物理ボタンやタッチスクリーンを操作しなくても「fenix 8」がコントロールできます。
時計本体にマイクが搭載された
「fenix 8」のように多機能なモデルになると、機能の階層が何段にも重なっていて「必要な機能になかなかたどり着かない」ことがよくあります。いつも使っている機能ならすぐにたどり着けるかもしれませんが、たまにしか使わない機能は、見つけるだけで一苦労。そんな場合に「音声コマンド」を使えば、深い階層にある機能も、スムーズに起動できるようになります。
使い方は簡単です。まずは「音声コマンド」を立ち上げて、スマートウォッチに向かって指示を出すだけ。さっそくやってみます。
「音声コマンド」の画面に向かって、「ランニング、スタート!」と呼びかけると、「処理中です」と表示
ランニングモードの画面が開きました。ここから右上のスタートボタン(三角形)を押すと、ランニングのログ計測が始まります
ランニングのほかにも、「画面を明るく」や「朝の7時にアラームをセット」などもOK。もちろんできること、できないことがあり、使いながら探っていく必要がありますが、よく使う機能が音声で立ち上げられるのは便利でした。
本機は「ロングバッテリー」にも注目です。そもそも前世代モデルの段階でかなりの駆動時間でしたが、さらに駆動時間が長くなっています。
充電は付属の専用ケーブル(電源側はUSB Type-C)を使用する
今回テストした「fenix 8」51mmモデルは、公称値で約29日間(常時表示で13日間)の駆動時間を実現。また、10月中旬に発売が予定されている兄弟モデルの「fenix 8 Sapphire Dual Power」は、ソーラー充電機能を備えており、公称値で約48日間と、驚くほどの駆動時間となっています。
バッテリー残量が“時間”ではなく“日数”で表示されるのも、ロングバッテリーモデルならでは
バッテリー消費の大きい「常時表示モード」に設定し、4日間の間に1時間のランニングを2回行いましたが、残量は93%でした。その後充電をせず3日使用しましたが、60%残っていました。1週間に1回の充電でまったく問題なく使用できるバッテリーを搭載しています。
「fenix 8 Sapphire AMOLED」は、サイズによってバッテリーの稼働時間に違いがあります。
・51mm/約29日間(常時表示:13日間)
・47mm/約16日間(常時表示:7日間)
・43mm/約10日間(常時表示:4日間)
今回テストした51mmモデルは、駆動時間が格段に長いので、バッテリーの稼働時間をサイズ選びの基準にしてもよいかもしれません。
そのほかの新機能としては、ダイビング機能が追加されています。入水・出水ポイントの記録や水中コンパス、深度表示などの機能が搭載され、より安全にダイビングが楽しめるようになっています。筆者はダイビングをしないので、これらの機能についてレビューできませんが、水中でも問題なく駆動できるモデルであるということは、日常生活での防水性や耐久性の証しとして喜んでよいポイントでしょう。
水中でも物理ボタンを使った操作が可能
また、「モバイルSuica」によるキャッシュ決済、約43000のゴルフコースのマップを搭載するなど、使いきれないほどの機能が搭載されています。
「fenix 8」は、“トレーニング効果を測る機能”と“休息をうながす機能”のバランスがとれている印象です。定期的にランニングを行うと、そのデータを解析して、休息をうながしたり、再度ランニングをする際に体の準備がどの程度整っているのかを教えてくれたりします。
「ヘルス」をチェックすると、健康に関するデータがまとめて確認できます
以下の“トレーニング効果を測る機能”で、運動能力を可視化できます。
・VO2 Max(最大酸素摂取量)
・短期的負荷
・トレーニングステータス
・暑熱適応
・持久力スコア
など
さらに、以下の“休息をうながす機能”を参考に、日々の運動内容を決められます。
・リカバリーまでの時間を表示
・ボディバッテリー
・トレーニングレディネス
など
体に取り込める酸素量を測る「VO2 Max」
「ボディバッテリー」は、身体をバッテリーに見立て、残っているエネルギー量を数値化。運動すると数値が減少
筆者のお気に入りは「トレーニングレディネス」です。この機能は、運動するレディ(準備)ができているかを数値化したもので、たとえば、前日にたくさん走って疲労しても、睡眠をしっかりとって回復していれば、「準備ができている」と時計が判断して数値が上昇。もし、疲労が溜まっていれば数値が下がります。
実際に使ってみると、自分の感覚と一致するところが多く、朝起きてスッキリしているとよい数値が出ますし、疲れが残っていると数値も悪い印象です。しばらく使っているうちに、まるでパーソナルコーチのように信頼できる存在になっていました。
さまざまな健康管理のデータから、運動する準備ができているかを評価する「トレーニングレディネス」
「fenix 8」を、実際に着用してランニングを行いました。やはり直径1.4インチの大型かつ、精細な表示ができる有機ELディスプレイは、本当に見やすくて快適でした。
大型ディスプレイでマップも見やすい
ガーミンといえば、GPSの精度に定評がありますが、このモデルももちろんバッチリでした。ペースを上げ下げして走っても、リアクションよく変化が反映されますし、走った距離の計測も正確です。まったくストレスなく使用できました。
心拍数センサーは、最新の第5世代センサーを搭載。心拍数は「トレーニングレディネス」や「ボディバッテリー」などの評価にも影響するので重要なのですが、激しい運動中でもしっかり計測できました。GPS同様に信頼できる精度の高さと言えます。心拍数のほかにも、ストレススコアや呼吸数、消費カロリー、睡眠の質なども計測可能です。
ケース裏側の光学式心拍センサーで24時間心拍数をモニタリング可能
「fenix 8 Sapphire AMOLED」を2週間ほどテストしましたが、機能が多すぎてアップデートされた機能を使うのがやっとという状態。正直、触れなかった機能がたくさんありましたが、それくらい充実した機能が搭載されています。また多機能なうえに、チタン製のベゼルとSapphireクリスタルを組み合わせた耐久性の高さは、ビジネスシーンにもアウトドアシーンにもフィットするタフさと高級感を持ち合わせています。低価格なスマートウォッチが増えていますが、"よい時計"を使いたい人にとっては、最高の選択肢と言えるでしょう。