16.0型の大きな画面を持つDynabook「dynabook T7 P2T7YPBL」は、主に家庭内やオフィスでの据え置き利用に適したノートパソコンです。「Microsoft Office Home and Business 2024」がプリインストールされ、昨今では珍しいBlu-rayドライブを搭載。さらにマウスも付属し、購入したその日からマルチに使えます。その実力をチェックしてみました。
Dynabook「dynabook T7 P2T7YPBL [アッシュブルー](以下dynabook T7)」213,252円。税込、価格.com 最安価格。※以下ページ内の価格などはすべて執筆時点2025年3月18日のもの
はじめに、「dynabook T7」を使ってみた印象をまとめました。
・16型ディスプレイで作業がはかどる
・Officeがサクサク気持ちよく動作
・テンキー付きで操作性のよいキーボード
「dynabook T7」筆者による評価チャート
価格.com「ノートパソコン」でのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けたレーダーチャート
評価チャートについて
・実際に製品を使用して、価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けました。
評価項目:満足度、デザイン、処理速度、グラフィック性能、拡張性、使いやすさ、持ち運びやすさ、バッテリー、画面、コストパフォーマンス
点数:5点満点(標準点は3点)
・製品カテゴリーや価格を考慮して評価しています。ノートパソコンとしての絶対的な評価ではありません。
・本記事を執筆した筆者による個人的な評価です。評価は個人によって変わりますので、あくまでも 参考程度にとどめてください。
価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビュー一覧
https://review.kakaku.com/review/newreview/CategoryCD=0020/
dynabookの「T」シリーズは、大画面の「ホームノート」カテゴリーのなかでも「オールインワンノート」という位置づけです。上位モデルとなる本機「dynabook T7」はノートパソコンでは数少ないBlu-rayドライブを備えており、仕事でDVDやBlu-rauディスクを使う人や、動画は「サブスクよりディスク派」、あるいはこれまでの光学メディア資産を生かしたいという人にもうれしい存在です。
高輝度・ノングレアの16.0型ディスプレイは色味にクセがなく、動画の視聴も写真の閲覧も違和感なし。表示スペースが広く、13型のモバイルノートと比べるとOfficeソフトでの作業は本当に快適でした。基本スペックが高いため、ソフト起動時に待たされることもなく、ノンストレス。スマホで撮りためた写真の管理や編集も任せられます。
シンプルなデザインと青みがかったグレーというカラーの組み合わせは、落ち着きがあり好印象。同じカラーのキーボード・タッチパッド・パームレストは一体感があり、なかなかの美しさです。家族の共用パソコンとしてリビングに置いておいても、インテリアに自然となじんでくれる存在と言えます。
なお、大きめのサイズに加えて約2kgと重さもあり、バッテリー駆動時間も約5.0時間(動画再生時)と短いため、基本は電源のある場所での据え置き利用がおすすめ。もちろん、家庭内やオフィス内での持ち運びなら問題なしです。
価格は約21万円とまずまず高価ですが、16.0型ディスプレイとBlu-rayドライブの組み合わせは、価格.comノートパソコンカテゴリの登録製品全3176製品中19製品しかないニッチな存在であること、さらに最新の「Microsoft Office Home and Business 2024」を搭載していることを考慮すれば納得です。
さらに詳細な特徴は、次項以降で紹介していきます。
ここからは「dynabook T7」について実際に使用した感触などより詳しくレビューしていきます。
「T」シリーズは大画面のホームノートのなかで、光学ドライブを備えたオールインワンノートに位置づけられています。そのなかでも「dynabook T7」はインテル 「Core i7-1360P」プロセッサーを備えた上位モデル、Blu-rayドライブで動画を視聴、プリインストールされたOfficeで書類作成と、買ったその日からあらゆる用途に活用できます。
dynabook、ノートパソコンのラインアップ。なお、表中の機種紹介テキストはメーカーサイト(https://dynabook.com/)より抜粋しています。CシリーズはC5のみ15.6型です
キーボードのすぐ奥にディスプレイがあるノートパソコンだけに、使ってみると16.0型というサイズ以上に大きい印象。正直、30cmほど離して配置しているデスクトップ用の27型ディスプレイとあまり差を感じないほどです。
使ってみても表示範囲が広いため、Excelでの資料作成がはかどりました。
24型くらいのディスプレイでデスクトップパソコンを使用していて、「場所を取るからノートパソコンに買い替えたいけど、画面が小さくなると作業しにくくていやだなあ」なんて考えている人が乗り換えても、このサイズなら満足できそうです。
Blu-rayビデオの再生でも画面が小さいと感じるほどではなく、ひとりで楽しむには十分なサイズです。ちなみに再生ソフトとして「sMedio True BD for dynabook」が付属しています。Blu-rayディスクの読み込み音はかなり大きめですが、動画の音量をよほど下げなければ、再生中は気になるほどではありません。
価格.comのランキングを全画面で表示してみましたが、なかなかの情報量。ディスプレイは16:10(1920×1200)のためフルHDよりやや縦長です
落ち着きのあるアッシュブルーに、光沢のあるdynabookのロゴがマッチ。カラーバリエーションはほかにやや明るめの「アッシュゴールド」と「アッシュシルバー」が選べます
搭載されているCPUは第13世代のインテル「Core i7-1360P」で、ノートパソコン向けとしては比較的高いスペックです。16GBを備えたメモリーも、家庭用としては必要十分。
そのため、「Microsoft Office」・写真ビューワー・動画編集などのソフトはサクッと起動し、比較的短時間しか触っていませんが、作業していてストレスを感じることはありませんでした。キーボードの専用キーから起動できるCopilotも、起動から回答の表示までほとんど待たされません。
なお、「Microsoft Office Home and Business 2024(デスクトップ版)」がプリインストールされているためお得感があります。
インターネットも最大9.6Gbpsの高速規格・Wi-Fi 6Eに対応。ルーターも対応していればより高速で途切れない通信が期待できます。
いっぽうで気になったのは、ストレージ容量。せっかく家族での共用や写真をはじめとしたメディアファイルの管理にも最適なスペックなのだから、512GBではもの足りない印象を受けました。もし1TBあればスペック的に文句なしでした。
続いてバッテリー駆動時間のテストを実行。画面の輝度と音量を50%、電源モードを「最適なパフォーマンス」にして「画面のスリープ」や「バッテリー節約機能」「Bluetooth」はオフにした状態でYouTubeをフル画面で再生しました。結果は約4時間と短めで、バッテリーだけで使用するには心もとないです。エコ機能を有効にすればもう少し伸びるものの、基本は電源のある場所で使用しましょう。
省エネ機能のチェックのため、電源モードを「最適な電力効率」にしてYouTube動画をフルスクリーン再生。残量30%から省エネ機能を有効にしたところ、駆動時間は約6時間まで延びました
各種ソフトを実際に使用した体感としてはかなり軽快な動作だったため、ベンチマークを測定して数値化してみました。
まずは、複数のパフォーマンスをテストできる「PCMark 10」のスコアです。測定できるのは以下の3項目。
・「Essentials(簡単な作業を行うための一般的なPC向け)」
・「Productivity(一般的なオフィス作業や簡単なメディアコンテンツ制作向け)」
・「Digital Content Creation(写真、動画、そのほかのデジタルコンテンツ編集向け)」
それぞれ公式にスコアの目安が提示されているので、実際のスコアを比較してみます。
・Essentials:[目安]4100以上推奨/[スコア]8614
・Productivity:[目安]4500以上推奨/[スコア]6957
・Digital Content Creation:[目安]3450以上推奨/[スコア]7140
全項目で実用的な数値ですが、特筆なのが「Digital Content Creation」の詳細項目にある写真編集スコアの高さです。スマホで撮りためた写真の管理と編集がはかどりそう。週末はデジタル一眼を手に写真撮影、なんて人にも向いていそうです。
「PCMark 10」。全体的に評価が高く、体感での動作の軽快さを裏付けてくれました
続いて、「3DMark」でGPUの処理能力を測定しました。GPUは内蔵のインテル「Iris Xe グラフィックス」のため、使用するのは中程度の負荷でテストする「Steel Nomad Light」です。
・Steel Nomad Light:1380
平均を上回った「極めて良好」という評価のため、意外と3Dゲームもプレイできるかもしれません。
「3DMark」の「ゲームパフォーマンス予測:Battlefield V」では1440pで30FPS未満という評価。ゲームが快適にプレイできるとまでは言えなさそうです
PCゲームのベンチマーク測定の定番ツールとなっている「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマーク」も使用してみました。
・標準品質(ノートPC)・1920×1080・フルスクリーン:6551(やや快適)
・高品質(ノートPC)・1920×1080・フルスクリーン:4966(普通)
あくまでゲームメインで使うパソコンではないと考えれば、十分な数値と言えそうです。
「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマーク」。標準品質では意外にも「やや快適」と、予想より高めの評価になりました
ディスプレイは16.0型の高輝度・広視野角 TFTカラー LED液晶です。WUXGA(16:10)とフルHDよりやや縦長で、解像度は1920×1200になります。
写真を表示すると、白がくすむことなくハッキリと白とわかる美しさ。黒もつぶれることなく微妙な差異が見てとれるほどで、色の再現性は高そうです。赤や青といったくっきりとした色はグレアディスプレイに比べるとやや暗めに見えましたが、それでも満足のいく発色のよさ。ノングレアのため、映り込みが少なく作業に集中できます。
視野角はとても広いとまでは言えませんが、やや横からの位置でも色味が変わらず、表示内容をハッキリと確認できました。解像度はWUXGAですが、このサイズでは不足はありません。
動画を楽しむ際には画質に加えて音質も気になるところ。そこで映画や音楽を再生してみると、音の広がりは想像以上に気持ちよく、テンションが上ります。高音もよく出ていて、女性ボーカルも伸びやか。いっぽうで、低音はやや弱いようで、たとえば低音重視の楽曲や映画の効果音などは音が軽く感じられました。
ディスプレイの上部には約92万画素のWebカメラが備わっていますが、こちらの画質はいまいち。特に白飛びは気になりました。プライバシーに配慮して、カメラシャッターが備わっています。
画面の輝度を50%にしていたためやや暗く見えましたが、色味はオリジナルの写真とほぼ相違ありません
斜めから見たところ。角度をつけて見ても色味はほとんど変わりませんでした
スライド式のカメラシャッターを備えているため、うっかりカメラをオンにしてしまっても安心です
JIS配列・107キーのフルサイズのキーボードは、テンキーを備えており表計算や会計など数字を入力する機会の多い人にはメリットが大きいです。ただ、Enterキーとテンキーの間にスペースがなく、慣れるまではたびたび誤入力をしてしまいました。
キーピッチは19mmとデスクトップ向けの一般的な製品と変わらず、余裕を持ってタイピング可能。キーストロークが2.0mmと深く、一般的なノートパソコンと比べると打鍵感はやや軽め。カチッではなくフワフワとした印象です。なお、キーボードは完全にフラットなので、人によっては奥側を持ち上げたくなるかもしれません。
テンキーまで備えていながら、キーの配置はかなり余裕があります。最前列にはCopilotキーも備えています。テンキーもほかのキーと同サイズ。Enterキーを押そうとして4や7を押しがちなのはご愛嬌です
タッチパッドはとにかく指ざわりがよく、意味もなくなでていたくなるほど。指が滑るためジェスチャー入力も滑らかで、好反応で気持ちよく操作できます。ボタンが独立式のため、ボタンのないタッチパッドに慣れている人だと違和感を覚えるかもしれませんが、ここは好みによるでしょう。
トラックパッドは極上の指ざわりで、スワイプやピンチイン・アウトなどジェスチャー入力もはかどります。独立したボタンは、一体型のトラックパッドに慣れていると正直違和感があります
キーボード・トラックパッド・パームレストはボディと同一のカラーで統一されています。質感もよく、所有欲を満たしてくれそうです
小さめですがマウスも付属するため、タッチパッドに慣れていない人でも安心。ちなみに、ディスプレイのタッチ操作には対応していません。
小さめですがマウスも付属。ただし日常的に使用するならより手にあったサイズのマウスを用意することをおすすめします
大型のノートパソコンらしく、外部入力は充実しています。向かって右側には本機の特徴であるBlu-rayドライブに加えて、miniSD/microSDなど複数規格のカードに対応したブリッジメディアスロット、USB3.2 Type-A、LANコネクタを搭載。左側にはUSB 3.2 Type-A×2、USB4 Type-C(Thunderbolt4)、HDMI出力端子、マイク入力/ヘッドフォン端子を備えています。
USB4 Type-C(Thunderbolt4)はUSB Power Delivery規格に対応していて高速充電も可能なだけに、1ポートしかないのは残念です。
工具なしで取り外し可能なバッテリーパックは、劣化してきたら新品への交換が容易。あまりひんぱんに買い替えない家族共用パソコンとしては、かなりうれしい配慮です。また、ドライバーは必要ですがメモリーの交換にも対応しており、将来的なスペックアップを視野に入れて、長期間活用できそうです。
左手前から、Blu-rayドライブ、ブリッジメディアスロット、USB3.2Type-Aポート、LANポート。ブリッジメディアスロットにはminiSD/microSD・miniSDHC/microSDHC・microSDXC・マルチメディアカードを読み込めます
右側から、マイク入力/ヘッドフォン出力端子・USB4 Type-C(Thunderbolt4)ポート・HDMI出力端子・USB 3.2 Type-Aポート×2・電源コネクタ・セキュリティロックスロットの順
Blu-rayドライブは右側のかなり手前に位置、マウスを使用する場合は開閉時にぶつからないよう気を遣います
バッテリーは上側のツメを2個所スライドするだけで簡単に取り外せます
個人的にうれしかったのがメモリーを交換できること。ややスペック不足を感じた際に、メモリーを増設することで対応できる可能性があります
「ホームノート」というとおり、書類作成・インターネット閲覧・写真管理および編集・動画や音楽の再生など、家族で共用するパソコンとして想定される用途には申し分のないスペック。基本は個人のスマホやタブレットで済ませてしまうため、ひとりに1台のパソコンはいらないし、デスクトップパソコンは場所を取るから置きたくない。まさに、そんな家族にピッタリです。
16.0型 WUXGAディスプレイは表示スペースが広く、余裕のあるスペックと相まって書類作成もはかどります。加えてテンキー付きのフルサイズキーボードを備えているので、デスクトップパソコンからの乗り換えにも最適。ちなみに、「Microsoft Office Home and Business 2024」も付属します。
Blu-ray・DVD・CDといったディスク資産が活かせるBlu-rayドライブも見逃せません。画質・音質ともになかなかのクオリティで、単独でも動画・音楽を楽しめます。ポート類が充実しているため、より高画質・高音質を求めるのなら外部ディスプレイやスピーカーに接続するのもありです。
約21万円と価格はそれなりに高く感じますが、16.0型でBlu-rayドライブ搭載という構成自体が数少ないため、気に入ったのなら迷わず買いでしょう。スペック的には十分にその価値はあります。また、劣化したバッテリーは工具なしで交換が可能で、メモリーのアップグレードにも対応しているので、買い替えずにできるだけ長く使いたいというニーズにも応えてくれるのは大きなメリットです。