2025年1月に富士通から発売された「FMV Note U UA-K1(以下、FMV Note U)」は、インテルの最新CPU「Core Ultraシリーズ2」を搭載した、14型モバイルノートパソコン。さらに「FMV Note U」の重量は公称約848gで、2025年3月19日時点で世界最軽量の「Copilot+ PC」です。つまりAI処理にも対応した高い処理能力と、気軽に持ち運べる携帯性の両立が期待できるということ。そこで今回は実機を使って確かめてみたいと思います。
富士通「FMV Note U UA-K1 FMVUASK1BA [ピクトブラック]」、248,061円。税込、価格.com最安(※以下ページ内の情報はすべて2025年3月19日時点のもの)
さっそく「FMV Note U」を使った印象をお伝えします。
・Core Ultraシリーズ2による十分な処理能力
・「Copilot+ PC」中で世界最軽量の848gだけあり携帯性は抜群
・外出先でも安心してAI機能を活用できる長時間のバッテリー駆動
「FMV Note U」筆者による評価チャート
価格.com「ノートパソコン」でのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けたレーダーチャート
評価チャートについて
・実際に製品を使用して、価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けました。
評価項目:満足度、デザイン、処理速度、グラフィック性能、拡張性、使いやすさ、持ち運びやすさ、バッテリー、画面、コストパフォーマンス
点数:5点満点(標準点は3点)
・製品カテゴリーや価格を考慮して評価しています。ノートパソコンとしての絶対的な評価ではありません。
・本記事を執筆した筆者による個人的な評価です。評価は個人によって変わりますので、あくまでも 参考程度にとどめてください。
価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビュー一覧
インテルの最新CPU「Core Ultraシリーズ2」の「Core Ultra 7 258V」を搭載し、高い処理能力を実現。さらに重量約848gと軽く、「Copilot+ PC」として現在、世界最軽量を誇ります。バッテリー持続時間も動画再生時約15.5時間(JEITA3.0)と長く、ベンチマークテストの結果も優秀でした。「処理速度」「持ち運びやすさ」「バッテリー」に関してはトップクラスです。
インターフェイスも、最新のThunderbolt 4 USB4×2やUSB 3.2 Type-A×2、HDMI出力、有線LAN、ヘッドホン・ヘッドセット兼用端子を備えています。さらに、microSDメモリーカード対応のダイレクト・メモリースロットも搭載するので、「拡張性」も満足できるでしょう。価格.com最安価格は約24万円で、少々高く感じられますが、「Microsoft Office Home & Business 2024」が付属していることを考えれば、及第と言えるでしょう。
ここからは「FMV Note U」について、実際に触った感触などより詳しくレビューします。
ここからは「FMV Note U」について、実際に触った感触などより詳しくレビューします。
FMVとは、富士通(現、FCCL)が1993年に発売したパソコンから使っている歴史のあるブランドです。そのFMVが2025年1月にリニューアルされ、ブランドロゴも刷新。それまでは、デスクトップパソコンでは「ESPRIMO」、ノートパソコンでは「LIFEBOOK」というシリーズ名が使われてきましたが、今回のリニューアルによって、デスクトップパソコンは「Desktop」、ノートパソコンは「Note」というシンプルでわかりやすいものに変更されました。ここで紹介する「FMV Note U」は、その新生FMVの第1弾として「FMV Note C」と一緒に発表された製品で、性能と携帯性を重視するユーザー向けのプレミアムなモバイルノートパソコンです。
メーカー公式サイト(https://www.fmworld.net/fmv/より引用。現状はリニューアル後のシリーズとリニューアル前のシリーズが混在している状況です
今回紹介する「FMV Note U」は、14型ワイド液晶を搭載したモバイルノートパソコンです。CPUにインテルの「Core Ultraシリーズ2(Core Ultra 7 258V)」を搭載した「Copilot+ PC」でもあるため、「リコール」や「コクリエイター」などの「Copilot+ PC」専用機能を利用できます。メモリーは32GBと大容量で、ストレージは512GB SSD(PCIe 4.0対応)を搭載しています。モバイルノートパソコンとしてはトップクラスの基本性能と言えるでしょう。
富士通は、軽量化が得意なメーカーであり、重さ634gという世界最軽量の14型モバイルノートパソコンをリリースしています。「FMV Note U」も、執筆時点(2025年3月)で「Copilot+ PC」中、世界最軽量となる約848gという軽量ボディを実現しています。実際に持ってみたところ、その軽さは想像以上。片手でも楽に持ち上げられ、気軽に持ち歩く気にさせてくれます。ボディの厚さも最厚部で17.3mmとスリムで、フットプリントもコンパクトなため、鞄やリュックなどにもすっきり収まります。筆者が普段使っているリュックのサブコンパートメント(狭いほうの収納部分)にもすっと入り、その軽量さと相まって、ノートパソコンが入っているとはとても思えないほどでした。
ACアダプターもコンパクトで軽く、本体と一緒に持ち歩いても、1kg少々で済みます。長期間の出張などに持っていくときにも助かるでしょう。
重量は実測で821gと、公称よりも軽くなっていました
ACアダプターの重量(ケーブル込み)は実測で240gでした
また、独自の試験に加え、アメリカ国防総省が規定したMIL規格に準拠したテストをクリアするなど、堅牢性も十分です。ヒンジはしっかりしており、キーボードにも剛性感があります。
キーボードにはかなの刻印がなく、見た目もすっきりしています。キーボードの配列も標準的で、キータッチも良好です。キーボードバックライトも付いているので、暗い場所でも快適に利用できます。
キーボードにはかなの刻印がなく、非常にすっきりとした印象です
液晶は14型WUXGA(1920×1200)で、アスペクト比は16:10です。一般的なアスペクト比16:9のフルHD液晶(1920×1080)に比べて、縦の解像度が120ドット分高く、一度に表示できる情報量が11%ほど多くなります。実際、Webブラウジングや「Excel」での作業時など、より多くの領域を表示できるため、作業しやすく効率が上がると感じました。
表面にはノングレア加工がされていますので、外光の映り込みも抑えられており、長時間使っても目の疲れが少ないでしょう。
14型のディスプレイはWUXGA液晶を採用。狭額縁設計でコンパクトなボディを実現
最近のモバイルノートパソコンは、薄さやデザインを重視した結果、インターフェイスを減らし、たとえばUSB Type-Cポートのみなどといった割り切った仕様の製品が増えています。特に海外メーカーの製品はその傾向が強くなっています。それに対し、富士通をはじめとする、国内メーカーのビジネス向けモバイルノートパソコンは、ビジネスのさまざまなシチュエーションで役に立つことを重視し、さまざまなインターフェイスを搭載している製品が主流です。
「FMV Note U」では、インターフェイスとして最新のThunderbolt 4 USB4×2ポートやUSB 3.2 Type-A×2ポートに加えて、HDMI出力、有線LAN、ヘッドホン・ヘッドセット兼用端子を備えているほか、microSDメモリーカード対応のスロットも備えています。有線LANポートは、高さが必要になるため、モバイルノートパソコンでは省略されることも多いのですが、可動式のコネクタを採用することで、薄い本体にもかかわらず有線LANポートの搭載を実現しています。ユーザーの利便性を重視した富士通らしい設計と言えるでしょう。
左側面には、Thunderbolt 4 USB4 Type-Cポート×2とUSB3.2(Gen1)Type-Aポート、ヘッドホン・ヘッドセット兼用端子が用意されています
右側面には、microSDカードスロットとUSB3.2(Gen1)Type-Aポート、HDMI出力、有線LANが用意されています
有線LANコネクタは可動式になっていて、LANケーブルを差し込む際にはカバーを上に持ち上げることで、端子が露出します
バッテリー持続時間が長いことも本製品の魅力です。公称バッテリー持続時間は、動画再生時約15.5時間/アイドル時約36時間(ともにJEITA 3.0)と長く、ACアダプターを持ち歩かなくても1日たっぷり利用できます。
実際にバッテリーをフル充電後、電源モードを「バランス」にし、液晶輝度はちょうど真ん中にした状態で、無線LAN経由でYouTubeのフルHD解像度の動画を2時間連続再生したところ、バッテリー残量は91%も残っていました。このペースなら、フル充電で22時間以上連続再生ができることになります。バッテリー持続時間は、非常にすぐれていると言えるでしょう。
フルHD動画を2時間連続再生しても、バッテリーの残量は91%もありました
「FMV Note U」には、富士通独自の便利なアプリ「AIノイズキャンセリング」「Float Access」「Umore」「Quick Capture」が搭載されています。このうち、「AIノイズキャンセリング」と「Umore」は、CPUに搭載されたAI処理用のプロセッサーであるNPUを活用するアプリです。また、Windows 11をアップデートすることで、「リコール」や「コクリエイター」、「リスタイル機能」などの「Copilot+ PC」専用機能も利用できるようになります。
過去の作業の画面を呼び出せる「リコール」機能は「Copilot+ PC」でしか利用できません
実際の処理能力をチェックするため、ベンチマークテストも行ってみました。
「Geekbench 6」での測定結果は、「Single-Core Score」が2752、「Multi-Core Score」が9915、グラフィック性能を示す「OpenCL Score」が24958と良好でした。特にグラフィック性能はモバイルノートパソコンとしてはかなりすぐれています。
「Geekbench 6」の結果
そこで、「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」を、フルHD、高品質(ノートPC)で計測したところ、スコアは6518で「やや快適」という評価になりました。ゲームの種類によっては十分プレイできる性能を持っていることがわかります。
「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」の計測結果は、スコア6518、評価は「やや快適」となりました
「FMV Note U」をしばらく試用した筆者の感想は、ひと言でまとめると「軽くて速くてバッテリーが長持ち」というものです。筆者は20年以上前からモバイルノートパソコンを持ち歩いて仕事をしていますが、主に重量が1.4〜1.5kg程度の製品を使っていたため、カメラなどと一緒にリュックに入れると重さが気になることがありました。
しかし、「FMV Note U」はそれよりもはるかに軽く、同じように持ち歩いてもとても快適でした。処理速度についてはメモリーを32GB搭載しているためか、動作も高速で快適に作業が行えました。さらに驚いたのはバッテリーの持ちです。普段使っている「Core i7」搭載モバイルノートパソコンと比べて、バッテリーの減り方が半分以下の印象でした。これならACアダプターを持ち歩かなくても1日たっぷり仕事ができます。
「FMV Note U」は、パソコンを持ち歩いて仕事をすることが多いビジネスマンを主なターゲットにした製品ですが、その結果、”携帯が楽でサクサク作業ができて長時間使える”三拍子揃った完成度の高い製品となっています。これであればビジネスマンに限らず、学生の利用にもうってつけ。ストレスの少ない学生生活を送れるはずです。