Apple Watchの弱点は、バッテリーを毎日充電しなければならないことです。もしバッテリーが不満で買い替えを検討しているのなら、2025年6月3日に発売された「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」は有力候補となるでしょう。スマートなデザインに充実した機能を搭載した本機の実力をチェックしてみます。
充実したアウトドア機能とすぐれたバッテリー性能が特徴的な「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」
「HUAWEI WATCH FIT」シリーズは、これまで、フィットネスや健康管理を重視した低価格モデルを展開してきましたが、今回レビューする4代目「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」からはコンセプトを一新。スマートなデザインに専門性の高いアウトドア機能を詰め込んだ、ハイエンドなシリーズに進化しました。
写真は「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」のフルオロエラストマーベルトのブラック
公式サイトでの価格をチェックすると「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」のフルオロエラストマーベルトモデル(ブルー、ブラック)が37,180円(税込、以下同)、ナイロンベルトモデル(グリーン)が39,380円です。
参考までに比較対象となる製品の価格をチェックしてみましょう。
「Apple Watch SE(第2世代)GPSモデル」の価格.com最安価格(2025年8月22日時点、以下同)が31,121円〜、Googleの「Pixel Watch 3」が36,279円〜。「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」はこれらとほぼ同じ価格帯です。
「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」は、スクエア型の1.82インチの有機ELディスプレイを搭載。発色が鮮やかで、表示も高精細。また、最大輝度が3000nitと高く、陽のあたる屋外でも視認性はばっちりです。
屋外でもしっかりと確認できるディスプレイはアウトドアモデルならでは
ケースのサイズは約40(幅)×44.5(高さ)×9.3(厚さ、センサー部を除く)mmで、重量は約30.4g。筆者が普段使っている「Apple Watch Series 10(42mmモデル)」と比べてみると、サイズはひとまわり大きい印象です。いっぽう、重量差はほぼありません。
左が「Apple Watch Series 10(42mmモデル)」、右が「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」
なお、「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」のケース素材には、サファイアガラス、チタン合金ベゼル、航空機グレードのアルミボディが採用されており、3万円台とは思えない高級感があります。肌に触れるケース裏面の質感もよいので、睡眠モニタリングなど、長時間の装着を考えている場合でも問題なさそうです。
ケース裏面の質感がよく、バンドの付け心地も良好でした
ブラックカラーに付属するフルオロエラストマー製のバンドは、アウトドアモデルらしい波状の凹凸が並んだスポーティーなデザイン。肌に触れる内側は表面がフラットで、汗を逃すために中央部がわずかに窪んでいます。素材が非常にやわらかく、実際の装着感もよいです。
バンドはピンバックル式でしっかりと装着できます
操作はタッチディスプレイのほか、ケースの右側面に2つ。回転式のベゼルボタンと心電図測定のセンサーも兼ねたボタンがあります。
本体の上部に赤いベゼルボタン、下部に楕円形のセンサーボタンを配置
「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」の機能面をチェックしましょう。活動量の測定や、心拍数の計測、睡眠のモニタリング、ストレスチェックなど、スマートウォッチの基本機能はひと通りカバーしています。また、血中酸素や、皮膚温の測定、ECG(心電図機能)など、上位モデルさながらのヘルスケア関連機能も備えており、機能の多さに関しては、他社フラッグシップに引けをとらない充実度です。
心電図機能は、側面のセンサーボタンをタッチして計測します
アウトドア関連の機能では、「気圧計」を使って気圧の変化や高度のチェックができます。さらに、事前にダウンロードしておけば、等高線付きのフルカラーマップでのルートをウォッチに表示することも可能。本格的なトレッキングでの活躍も十分期待できるでしょう。
マップでの位置情報を確認するうえで肝心となるGPS機能は、前世代モデルの「HUAWEI FIT 3」と比べて約20%も精度が向上しているとのこと。近所のウォーキングでGPSを試したところ、基本的には道の左右のどちらを歩いていたのかがわかるほど正確に記録されており、精度について不満はまったく感じませんでした。まれに数mほどズレることがありましたが、誤差の範囲でしょう。
防水性能も高く、プールでの水泳にも耐えられる5ATMに加え、水深40mまでのフリーダイビングにも対応(EN13319規格に準拠)しているので、急な大雨、アウトドアレジャーなどでも安心して使えるのはうれしいポイントですね。
日常生活での水濡れ程度はまったく気になりません
このほか、HUAWEIのスマートウォッチではおなじみの“食事のカロリーを記録する機能”と、“ゴルフ機能”が備わっていることも見逃せません。
特に、ゴルフ機能は、ゴルフ場マップのデータをダウンロードすることで、コースマップをウォッチ上に表示。現在地からグリーンまでの距離や方向を把握可能なうえ、グリーンの高低差を表現するヒートマップもサポートされています。
スマホアプリ「HUAWEI Health」でゴルフマップをダウンロード、ウォッチに同期可能。また、GPSを使って最寄りのコースを検索、表示することも可能です
「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」のバッテリー持ちは、通常使用で最大10日間使えるとされています。実際に筆者が使ってみた体感としても、1週間は余裕で持ちました。毎日数十分のワークアウトを測定する程度ならば、バッテリー切れで悩むこともないでしょう。
また、ランニングなどGPSを長時間使用する場合でも、約18時間の連続使用が可能とのこと。フルマラソン初心者の目標タイムが6時間前後なので、十分にカバーできるでしょう。「Apple Watch SE(第2世代)」は、同様の使い方で約12時間とされているので、大きなメリットと言えます。
充電は、ワイヤレスの急速充電に対応。万が一バッテリーが切れても、約60分でフル充電できるので、日々の充電管理は容易です。
マグネット式のワイヤレス充電器なので、向きを気にせずにセットできて快適です
普段「Apple Watch Series 10」を使用している筆者が、「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」を使ってみて思ったことをまとめます。まず、ネガティブポイントは2つです。
1つ目は、スマホとの連携です。筆者はiPhoneとペアリングして使用しましたが、ウォッチに同期される通知の挙動に何度か違和感がありました。また、ウォッチからの操作で、置き場所を忘れたiPhoneを探そうとしたときに、アプリとの接続が切れて探せなかったこともありました。スマホとスマートウォッチのバージョンの組み合わせによっては想定どおりの挙動にならない可能性が発生する点は、スマホメーカー純正ではないデバイスを選んだときのデメリットと理解しておきましょう。
そして、2つ目は音声アシスタント機能がないことです。「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」には、音声アシスタントによるコントロールが搭載されていません。普段、Apple WatchのSiriを使って、声でタイマーをセットしている筆者としては、不便だなと感じるポイントでした。
Suicaなどタッチ決済と血圧測定を除けば、基本的な機能はほぼ搭載されています
ネガティブなポイントは上記の2点ぐらいで、本体のデザインやディスプレイの鮮やかさ、充実したヘルスケア機能、バッテリー持ちなど、基本的にはかなり満足できる点が多いです。
また、カロリーバランスのチェックやゴルフ機能など、使い込むほどに楽しさが増してくるApple Watchには搭載されていない機能を秘めており、ガジェットとして楽しみやすい一台だと感じました。
「HUAWEI WATCH FIT 4 Pro」は、キャンプ、ゴルフといったアウトドアな趣味を楽しむ人にとって魅力的な性能を搭載しています。加えて、やはりバッテリー性能の高さが大きな特徴。「Apple Watch」や「Pixel Watch」など、スマホメーカー純正のスマートウォッチが気になりつつも、バッテリー面で二の足を踏んでいた人にとっても、充電切れでバタバタすることなく日常使いできる優秀なスマートウォッチと言えるでしょう。