LGエレクトロニクスは、薄型ノートPC「LG gram」(以下、LG gram)の最新モデルを発表した。昨年9月に発売された初代LG gramは、15.6型の1モデルのみのラインアップだったが、今回発表された新モデルでは、新たに15.6型、14型、13.3型の3サイズ4モデルとラインアップ数を一気に増やしてきた。ここでは、実機の写真を交えながら、新モデルの特徴を紹介しよう。
LG gram最新モデル。写真左から13.3型モデル、14型モデル、15.6型モデル
昨年9月に日本市場での販売が開始されたLG gram。初代LG gramは、同社が日本市場向けに初めて投入したノートPCで、15.6型液晶搭載ノートPCで世界最軽量となる980gという軽さが大きな話題を呼んだ。そんなLG gramの最新モデルだが、先にも述べたように、15.6型2モデル(「15Z970-GA77J」と「15Z970-GA55J」)、14型1モデル(「14Z970-GA55J」)、13.3型1モデル(「13Z970-ER33J」)の計4モデルが新たに投入される。
初代LG gramは1サイズ1モデル展開だったが、春モデルは3サイズ計4モデルと一気にラインアップを拡大した
13.3型の13Z970-ER33J。「Core i3 7100U」や180GB SSDなど、スペックを押さえることで、コストパフォーマンスを高めた
14型の14Z970-GA55J。今回発表されたモデルの中で一番長いバッテリー駆動時間を実現している
15.6型モデル(写真は15Z970-GA55J)。13.3型/14型モデルと異なり、テンキー付きキーボードを標準装備している
15.6型モデルの重量は約1090g。初代LG gramより重くなったとはいえ、15.6型モデルとしては非常に軽量に仕上がっており、片手でも簡単に持てる
発売当初のカラーバリエーションはホワイトのみ。海外で発売されているゴールドなどのカラーバリエーションの投入は検討中とのことだ
13.3型モデルと14型モデルの奥行きは同じで、横幅のみ異なる。15.6型モデルはそれよりも一回り大きい
13.3型モデルと14型モデルではベゼルの太さも異なっている
初代LG gramは15.6型という画面サイズで1kgを切る圧倒的な軽さが最大の特徴だったわけだが、新モデルは軽さに突出するのではなく、軽さと長時間バッテリー駆動の両立を目指して開発したという。事実、画面サイズが小さくなった13.3型モデルは840g、14型モデルは970gと、初代LG gramに比べて軽くなっているが、初代LG gramと同じ画面サイズの15.6型2モデルについては、1,090gと世界最軽量を実現した前モデルより110g重くなってしまっている。いっぽう、バッテリー駆動時間については、初代LG gramが約7.5時間だったのに対し、13.3型モデルは約10時間、14型モデルは約17時間、15型モデルが約15時間と大きく伸びている。
初代LG gramと新モデルのバッテリー駆動時間の比較。15.6型モデルは重量が110g増えてしまったが、バッテリー駆動時間が約2倍に増えている
これだけの長時間バッテリー駆動を実現できた背景には、バッテリーの大容量化がある。初代LG gramは34.6Whのバッテリーを搭載していたのだが、今回の新モデルは、14型モデルと15.6型モデルの2モデルには60Wh、13.3型モデルには初代LG gramと同じ34.6Whのバッテリーが搭載された。一般的に、これだけの大容量バッテリーを実現するには、バッテリーサイズがかなり大型化してしまうのだが、新モデルで使われている新型バッテリーでは、グループ会社のLG科学が製造するカーボンナノチューブを導電材として採用することで、充電エネルギーを最大化し、高い効率性を実現したという。
電導性と熱伝導性にすぐれたカーボンナノチューブを導電材に採用した新型のバッテリーを搭載。こういった新素材をいち早く製品に採用できるのも、LGの大きな強みだ
また、高速充電を行った際のバッテリー劣化が少ないのもカーボンナノチューブを用いた新型バッテリーの利点のひとつ。もしバッテリーが切れてしまったときも、20分の充電で約2時間、1時間の充電で約7時間の駆動が可能だという。
効率性にすぐれた新型バッテリーの採用で、電圧を上げなくても高速充電できるようになり、バッテリーへのダメージが従来よりも少ないという
もちろん、バッテリー性能だけじゃなく、ノートPCとしての基本性能についても大きく向上している。CPUは初代LG gramのSkylakeからKaby Lakeに変更され、メモリー速度も向上した。また、新型バッテリーに合わせて、内部の基板設計も刷新。特に冷却システムについては、ヒートシンクを約2.4倍、冷却ファンを約1.4倍に強化し、インテル独自の電源・温度管理機能「Intel Dynamic Platform&Thermal Framework(Intel DPTF)」の最適化をさらに強化しているという。
新型バッテリーの採用に合わせて、基板設計も刷新。バッテリーの容積に合わせてレイアウトを見直しただけでなく、冷却システムを大型化するなど、細かな部分まで改良を加えている
細かい部分では、キーボードにバックライト機能が追加されたのもポイントだ。ちなみに、キーボードは15.6型モデルはテンキー付き、14型と13.3型はテンキーレスタイプで、いずれも初代LG gramと同じ英語キーボードとなっている。このほか、14型と13.3型の2モデルには、周囲が明るくて画面が見にくいときに画面輝度を高めて見やすくしてくれる「デイライトモード」も搭載する。
バックライトキーボードをLG gramとして初搭載。屋外に持ち出して使うことの多い13.3型モデルと14型モデルには、「デイライトモード」も搭載される
15.6型モデルはテンキー付きキーボードを採用。初代LG gram同様、英語キーボード仕様となっている
14型/13.6型モデルのキーボードはテンキーレスタイプとなっている
インターフェイスは、USB 3.0 Type-C×1、USB 3.0×2、USB 2.0×1(15インチモデルのみ)、HDMI出力端子、ヘッドホン出力端子、MicroSDメモリーカードスロットを装備。USB 3.0 Type-Cは、本体の充電や4K60p出力などをサポートする。
本体左側面には、USB 3.0×1、HDMI出力端子、USB 3.0 Type-C×1などが並ぶ。薄型モデルながら、フルサイズのHDMI出力が用意されているのはうれしいポイントだ
本体右側面には、micrSDメモリーカードスロット、ヘッドホン出力端子、USB 3.0×1を搭載。15.6型モデルには、USB 2.0×1も用意されている
発売は3月10日で、市場想定価格は、15.6型のCore i7搭載モデル「15Z970-GA77J」が22万円前後、15.6型のCore i5搭載モデル「15Z970-GA55J」が18万円前後、14型モデルが「14Z970-GA55J」が17万円前後、13.3型モデル「13Z970-ER33J」が12万円前後となっている。
Officeが非搭載だったり、英語キーボードであったりと、日本市場向けとしては少々マニアックな立ち位置の製品だが、あの軽さと長時間バッテリー駆動時間はハードなモバイラーにとってはかなり魅力的だ。なかでも14型モデルは、Core i5による高い処理能力と最大17時間という長時間バッテリー駆動をバランスよく実現したモデルとして、モバイラーから大きな注目を集めそうだ。