格安SIMの通信速度を徹底調査

【2022年9月】格安SIM人気12回線の通信速度を比較 速い/遅いMVNOは?

大手携帯キャリアと比べて毎月のスマホ料金が安い格安SIM。料金が安いのはうれしいが、肝心の通信速度は遅いと言われている。実際のところはどうなのかを探るべく、人気12回線の通信速度を調査した。2022年9月5日・6日に実施した今回は、スピードテストアプリの下り平均速度が引き続き長期的な減速傾向を示す結果となった。

1.【はじめに】通信速度の調査方法

格安SIMは、時間帯や場所によって通信速度が遅くなりがちだ。たとえば、休憩時間にあたる平日昼の12時台や、プライベートでの通信が増える夕方から深夜、都市部のターミナル駅周辺のように人口が極端に集中する場所においては、通信が混雑して回線速度が低下しやすい。ただ、その度合いは通信会社ごとに異なっており、重要な比較要素のひとつと言える。

本調査では、人口密度の高い地域に東京都千代田区の東京駅周辺、対照となる低い地域に長野県佐久市の佐久平駅周辺を選定。通信が集中する12時台と18時台、そして比較的通信が少ない14時台において、12回線の格安SIMの通信速度を調査している。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況を考慮し、2020年3月以降は筆者の居住地である長野県佐久市の佐久平駅周辺のみで調査を続けていたが、2022年5月から東京駅周辺での調査を本格的に再開した。

今回の調査日は東京駅周辺が2022年9月5日(月)、佐久平駅周辺が9月6日(火)となる。測定に用いた端末はモトローラの「moto g50 5G」だ。

調査方法は以下のように「スピードテストアプリ」と「Playストアからのアプリダウンロード」の2通りを実施した。

【調査方法1】
スピードテストアプリ「Speedtest - インターネット速度」(Ookla)を用いて、各地点・各時間帯で5回測定した上り/下り通信速度の平均値を算出した。測定エラーは回数に含めず、正常に測定できた結果のみを採用している。

【調査方法2】
実際の体感速度に近い状況として、アプリのダウンロード時における通信速度を測定。「通信速度モニター」(Lufesu Inc.)による通信速度を表示した状態でPlayストアからアプリをダウンロードし、その間の速度推移を「moto g50 5G」の動画スクリーンショット機能で記録。測定終了後に動画を確認し、ダウンロード中の下り平均速度を算出した。限られた時間内で測定を行うために、開始から1分が経過した時点でもアプリのダウンロードが終わらない場合はインストールを中断し、その時点までの平均速度を求めている。

なお、調査の対象となる格安SIMは、以下の12種類だ。「moto g50 5G」は5Gネットワークに対応しているが、12回線とも4Gネットワークで調査を行っている。

●調査した12種類(10社)の格安SIM
ワイモバイル
UQ mobile
mineo(Aプラン)
IIJmio(みおふぉん)モバイルサービス(タイプD)
BIGLOBEモバイル(タイプD)
OCNモバイルONE(新コース)
イオンモバイル(ドコモ回線)
・LinksMate
NifMo
日本通信SIM
y.u mobile
QTmobile(Dタイプ)

2.速度が遅くなりやすい昼休み、12時台の測定結果は?

調査結果を詳しく見ていこう。まずは休憩中のユーザーが利用することで混雑しやすい12時台について、東京駅周辺の結果からだ。

東京駅周辺における12時台の測定結果(2022年9月5日実施。単位はMbps、以下同様)

東京駅周辺における12時台の測定結果(2022年9月5日実施。単位はMbps、以下同様)

スピードテストアプリの全体の平均は下りが8.96Mbps(先月は11.07Mbps)、上りが6.60Mbps(同8.97Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はBIGLOBEモバイルの25.67Mbpsが最も速く、OCN モバイル ONEの24.10Mbps、ワイモバイルの20.80Mbpsがこれに続く。上り通信速度はLinksMateの12.47Mbpsが最も速かった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が3.53Mbps(同3.48Mbps)だ。回線別に見てみると、ワイモバイルの13.84Mbpsが最も速く、QTmobile(Dタイプ)の7.71Mbps、LinksMateの5.37Mbpsがこれに続いた。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(12時台/東京駅周辺)
1位 BIGLOBEモバイル:25.67Mbps
2位 OCN モバイル ONE:24.10Mbps
3位 ワイモバイル:20.80Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(12時台/東京駅周辺)
1位 ワイモバイル:13.84Mbps
2位 QTmobile(Dタイプ):7.71Mbps
3位 LinksMate:5.37Mbps

続いて、佐久平駅周辺における12時台の結果を見てみよう。

佐久平駅周辺における12時台の測定結果(2022年9月6日実施)

佐久平駅周辺における12時台の測定結果(2022年9月6日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は下りが16.48Mbps(先月は11.49Mbps)、上りが5.51Mbps(同4.58Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はUQ mobileの41.58Mbpsやワイモバイルの40.80Mbpsが速く、LinksMateの28.90Mbpsがこれに続く。上り通信速度もUQ mobileの18.83Mbpsが最も速かった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が7.03Mbps(同5.78Mbps)だ。回線別に見てみると、mineo(Aプラン)の23.30Mbpsが最も速く、UQ mobileの21.31Mbps、ワイモバイルの15.86Mbpsがこれに続いた。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(12時台/佐久平駅周辺)
1位 UQ mobile:41.58Mbps
2位 ワイモバイル:40.80Mbps
3位 LinksMate:28.90Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(12時台/佐久平駅周辺)
1位 mineo(Aプラン):23.30Mbps
2位 UQ mobile:21.31Mbps
3位 ワイモバイル:15.86Mbps

3.比較的速度が期待できる14時台の測定結果は?

次は休憩時間が明けてスマートフォンの利用も落ち着き、速度も回復してくる14時台の結果を東京駅周辺から見てみよう。

東京駅周辺における14時台の測定結果(2022年9月5日実施)

東京駅周辺における14時台の測定結果(2022年9月5日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は、下りが17.89Mbps(先月は21.50Mbps)、上りが5.56Mbps(同8.78Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はBIGLOBEモバイルの25.03Mbpsが最も速く、OCN モバイル ONEの23.50Mbps、ワイモバイルの22.50Mbpsがこれに続く。上り通信速度はLinksMateの8.78Mbpsが最も速かった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が14.99Mbps(同13.11Mbps)だ。回線別に見てみると、ワイモバイルの38.56Mbpsが最も速く、OCN モバイル ONEの20.15Mbps、QTmobile(Dタイプ)の19.11Mbpsがこれに続いた。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(14時台/東京駅周辺)
1位 BIGLOBEモバイル:25.03Mbps
2位 OCN モバイル ONE:23.50Mbps
3位 ワイモバイル:22.50Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(14時台/東京駅周辺)
1位 ワイモバイル:38.56Mbps
2位 OCN モバイル ONE:20.15Mbps
3位 QTmobile(Dタイプ):19.11Mbps

続いては、佐久平駅周辺における14時台の結果だ。

佐久平駅周辺における14時台の測定結果(2022年9月6日実施)

佐久平駅周辺における14時台の測定結果(2022年9月6日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は、下りが28.55Mbps(先月は18.40Mbps)、上りが5.13Mbps(同5.16Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はワイモバイルの63.33Mbpsが最も速く、mineo(Aプラン)の46.60Mbps、UQ mobileの40.70Mbps、NifMoの40.25Mbpsがこれに続く。上り通信速度はmineo(Aプラン)の21.85Mbpsが最も速かった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が17.83Mbps(同12.01Mbps)だ。回線別に見てみると、ワイモバイルの46.60Mbpsが最も速く、IIJmio(みおふぉん)の28.00Mbps、mineo(Aプラン)の27.52Mbps、UQ mobileの26.64Mbpsがこれに続いた。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(14時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:63.33Mbps
2位 mineo(Aプラン):46.60Mbps
3位 UQ mobile:40.70Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(14時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:46.60Mbps
2位 IIJmio(みおふぉん):28.00Mbps
3位 mineo(Aプラン):27.52Mbps

4.帰宅時間帯の18時台の測定結果は?

続いては、会社や学校が終わり再び通信が混雑し始める18時台の結果だ。東京駅周辺から見てみよう。

東京駅周辺における18時台の測定結果(2022年9月5日実施)

東京駅周辺における18時台の測定結果(2022年9月5日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は、下りが12.54Mbps(先月は18.32Mbps)、上りが7.56Mbps(同7.96Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はワイモバイルとUQ mobileの19.17Mbpsが最も速く、BIGLOBEモバイルの16.50Mbps、y.u mobileの16.09Mbpsがこれに続く。上り通信速度はmineo(Aプラン)の24.70Mbpsがいちばん速かった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が6.60Mbps(同9.17Mbps)だ。回線別に見てみるとQTmobile(Dタイプ)の15.50Mbpsが最も速く、ワイモバイルの10.74Mbps、LinksMateの9.07Mbpsがこれに続いた。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(18時台/東京駅周辺)
1位 ワイモバイル:19.17Mbps
1位 UQ mobile:19.17Mbps
3位 BIGLOBEモバイル:16.50Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(18時台/東京駅周辺)
1位 QTmobile(Dタイプ):15.50Mbps
2位 ワイモバイル:10.74Mbps
3位 LinksMate:9.07Mbps

最後は、佐久平駅周辺における18時台の結果だ。

佐久平駅周辺における18時台の測定結果(2022年9月6日実施)

佐久平駅周辺における18時台の測定結果(2022年9月6日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は、下りが17.01Mbps(先月は15.97Mbps)、上りが4.78Mbps(同5.21Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はワイモバイルの39.00Mbpsが最も速く、UQ mobileの36.23Mbps、BIGLOBEモバイルの21.03Mbpsがこれに続く。上り通信速度はUQ mobileの15.18Mbpsが最も速かった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が10.44Mbps(同9.37Mbps)だ。回線別に見てみると、ワイモバイルの39.24Mbpsが最も速く、mineo(Aプラン)の21.29Mbps、QTmobile(Dタイプ)の18.73Mbps、UQ mobileの18.65Mbpsがこれに続いた。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(18時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:39.00Mbps
2位 UQ mobile:36.23Mbps
3位 BIGLOBEモバイル:21.03Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(18時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:39.24Mbps
2位 mineo(Aプラン):21.29Mbps
3位 QTmobile(Dタイプ):18.73Mbps

5.すべての時間帯における総合結果は?

それでは、すべての時間帯における平均速度をもとにランキングを求めてみよう。参考とし
て、前回(2022年8月)および前々回(2022年7月)の調査結果も併記している。

まずはスピードテストアプリの下り通信速度からだ。

スピードテストアプリの下り通信速度ランキング

スピードテストアプリの下り通信速度ランキング

今回の1位はワイモバイルの34.27Mbps(前回は34.76Mbps)、2位はUQ mobileの26.08Mbps(同29.05Mbps)、3位はLinksMateの20.86Mbps(同17.64Mbps)だった。

一部に前回から大きく増速した回線もあるが、多くは増速・減速の幅が2割前後に収まっている。12回線全体の平均速度は16.90Mbps(同16.13Mbps)で、前回と同程度だった。

次は、スピードテストアプリの上り通信速度の結果だ。

スピードテストアプリの上り通信速度ランキング

スピードテストアプリの上り通信速度ランキング

1位はmineo(Aプラン)の14.09Mbps(前回は13.75Mbps)、2位はワイモバイルの11.64Mbps(同12.30Mbps)、3位はUQ mobileの9.47Mbps(同14.74Mbps)だった。

上り通信速度のトップ3は、順位の変動はあったが、前回と同じ3回線が占めている。12回線全体の平均速度は5.86Mbps(同6.78Mbps)で、前回よりも1割以上遅くなった。

最後はPlayストアからのアプリダウンロード速度の結果だ。

アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング

アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング

1位はワイモバイルの27.47Mbps(前回は16.01Mbps)、2位はmineo(Aプラン)の15.49Mbps(同15.44Mbps)、3位はUQ mobileの15.21Mbps(同15.94Mbps)だった。

トップ3の顔ぶれは前回と同じだが、mineo(Aプラン)とUQ mobileが前回から横ばいで推移しているのに対して、ワイモバイルは7割ほど増速している。12回線全体の平均もやや増速して10.07Mbps(同8.82Mbps)だった。

6.【さいごに】今回の結果まとめ

今回2022年9月における12回線全体の平均速度は、前回と比べて大きくは変わっていない。スピードテストアプリの下り平均速度とPlayストアからのアプリダウンロード平均速度は、どちらも1割前後増速する結果となった。

以下のグラフは2021年8月以降の12回線全体の平均速度推移を示したものだ。点線から左側は佐久平駅周辺のみでの速度となる。2022年2月と同年5月は直前の月と比べて数値が上がっているが、これは2月の端末更新と5月の東京駅周辺での調査再開による影響が大きい。

格安SIMの平均通信速度は年度末商戦の春ごろに一度ピークを迎え、その後は秋ごろに向けて徐々に速度が下がっていく傾向が見られる。2022年5月から今回までの流れを追ってみると、スピードテストアプリの下り通信速度には同様の減速傾向がみられる。

ただし、実際の利用環境の一例としているPlayストアからのアプリダウンロード速度は、増減しつつもほぼ横ばいで推移している。12回線全体としての話になるが、春から秋にかけての通信品質は比較的安定していた様子がうかがえる。

12回線全体の平均速度推移(2021年8月〜2022年9月。2022年2月から調査に用いる端末を変更していることと、2022年4月までは佐久平駅周辺のみの結果であることに留意)

12回線全体の平均速度推移(2021年8月〜2022年9月。2022年2月から調査に用いる端末を変更していることと、2022年4月までは佐久平駅周辺のみの結果であることに留意)

次回の調査は2022年10月上旬〜中旬を予定している。アップルの「iPhone 14」シリーズが出揃うころに向けて、格安SIMの速度がどのように推移するのか注目したい。

松村武宏

松村武宏

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。

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