格安SIMの通信速度を徹底調査

【2022年5月】格安SIM人気12回線の通信速度を比較 速い/遅いMVNOは?

大手携帯キャリアと比べて毎月のスマホ料金が安い格安SIM。料金が安いのはうれしいが、肝心の通信速度は遅いと言われている。実際のところはどうなのかを探るべく、人気12回線の通信速度を調査した。2022年5月16日・17日に実施した今回は、2020年3月から中断していた東京駅周辺での調査を本格的に再開。都心でのドコモ系格安SIMの速さと、地方(長野県・佐久平駅周辺)での大手キャリア・サブブランドの強さを改めて認識する結果となった。

格安SIM人気12回線の通信速度を調査

格安SIM人気12回線の通信速度を調査

1.【はじめに】通信速度の調査方法

格安SIMは、時間帯や場所によって通信速度が遅くなりがちだ。たとえば、休憩時間にあたる平日昼の12時台や、プライベートでの通信が増える夕方から深夜、都市部のターミナル駅周辺のように人口が極端に集中する場所においては、通信が混雑して回線速度が低下しやすい。ただ、その度合いは通信会社ごとに異なっており、重要な比較要素のひとつと言える。

本調査では、人口密度の高い地域に東京都千代田区の東京駅周辺、対照となる低い地域に長野県佐久市の佐久平駅周辺を選定。通信が集中する12時台と18時台、そして比較的通信が少ない14時台において、MVNO各社12種類の格安SIMの通信速度を調査している。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況を考慮し、2020年3月以降は筆者の居住地である長野県佐久市の佐久平駅周辺のみでの調査が続いていたが、今回から東京駅周辺での調査を本格的に再開した。

調査日は東京駅周辺が2022年5月16日(月)、佐久平駅周辺が5月17日(火)となる。測定に用いた端末はモトローラの「moto g50 5G」だ。

調査方法は以下のように「スピードテストアプリ」と「Playストアからのアプリダウンロード」の2通りを実施した。

【調査方法1】
スピードテストアプリ「Speedtest - インターネット速度」(Ookla)を用いて、各地点・各時間帯で5回測定した上り/下り通信速度の平均値を算出した。測定エラーは回数に含めず、正常に測定できた結果のみを採用している。

【調査方法2】
実際の体感速度に近い状況として、アプリのダウンロード時における通信速度を測定。「通信速度モニター」(Lufesu Inc.)による通信速度を表示した状態でPlayストアからアプリをダウンロードし、その間の速度推移を「moto g50 5G」の動画スクリーンショット機能で記録。測定終了後に動画を確認し、ダウンロード中の下り平均速度を算出した。限られた時間内で測定を行うために、開始から1分が経過した時点でもアプリのダウンロードが終わらない場合はインストールを中断し、その時点までの平均速度を求めている。

なお、調査の対象となる格安SIMは、以下の12種類だ。「moto g50 5G」は5Gネットワークに対応しているが、12回線とも4Gネットワークで調査を行っている。

●調査した12種類(10社)の格安SIM
ワイモバイル
UQ mobile
mineo(Aプラン)
IIJmio(みおふぉん)モバイルサービス(タイプD)
BIGLOBEモバイル(タイプD)
OCNモバイルONE(新コース)
イオンモバイル(ドコモ回線)
・LinksMate
NifMo
日本通信SIM
y.u mobile
QTmobile(Dタイプ)

2.速度が遅くなりやすい昼休み、12時台の測定結果は?

調査結果を詳しく見ていこう。まずは休憩中のユーザーが利用することで混雑しやすい12時台について、東京駅周辺の結果からだ。

東京駅周辺における12時台の測定結果(2022年5月16日実施。単位はMbps、以下同様)

東京駅周辺における12時台の測定結果(2022年5月16日実施。単位はMbps、以下同様)

スピードテストアプリの全体の平均は下りが24.45Mbps、上りが6.67Mbpsだ。回線別に見てみると、下り通信速度はOCN モバイル ONEの57.87Mbps、IIJmioの50.87Mbps、LinksMateの38.77Mbpsの順に速い。上り通信速度はワイモバイルの16.57Mbpsが最も速かった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が5.69Mbpsだ。回線別ではIIJmioの15.89Mbps、mineo(Aプラン)の11.16Mbps、UQ mobileの11.08Mbpsの順に速かった。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(12時台/東京駅周辺)
1位 OCN モバイル ONE:57.87Mbps
2位 IIJmio:50.87Mbps
3位 LinksMate:38.77Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(12時台/東京駅周辺)
1位 IIJmio:15.89Mbps
2位 mineo(Aプラン):11.16Mbps
3位 UQ mobile:11.08Mbps

続いて、佐久平駅周辺における12時台の結果を見てみよう。

佐久平駅周辺における12時台の測定結果(2022年5月17日実施)

佐久平駅周辺における12時台の測定結果(2022年5月17日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は下りが18.83Mbps(先月は17.79Mbps)、上りが5.77Mbps(同5.12Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はUQ mobileの62.03Mbpsが一番速く、ワイモバイルの45.63Mbps、日本通信SIMの25.77Mbps、BIGLOBEモバイルの25.63Mbpsがこれに続く。上り通信速度はワイモバイルの27.30Mbpsが最も速かった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が5.27Mbps(同5.17Mbps)だ。回線別ではUQ mobileの15.71Mbps、ワイモバイルの13.45Mbps、mineo(Aプラン)の12.57Mbpsの順に速かった。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(12時台/佐久平駅周辺)
1位 UQ mobile:62.03Mbps
2位 ワイモバイル:45.63Mbps
3位 日本通信SIM:25.77Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(12時台/佐久平駅周辺)
1位 UQ mobile:15.71Mbps
2位 ワイモバイル:13.45Mbps
3位 mineo(Aプラン):12.57Mbps

3.比較的速度が期待できる14時台の測定結果は?

次は休憩時間が明けてスマートフォンの利用も落ち着き、速度も回復してくる14時台の結果を東京駅周辺から見てみよう。

東京駅周辺における14時台の測定結果(2022年5月16日実施)

東京駅周辺における14時台の測定結果(2022年5月16日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は、下りが58.19Mbps、上りが7.23Mbpsだ。回線別に見てみると、下り通信速度はIIJmioの90.67Mbps、y.u mobileの80.53Mbps、日本通信SIMの78.17Mbpsなど、ドコモの回線を利用する格安SIMの速さが目立つ。上り通信速度はワイモバイルの19.53Mbpsが一番速かった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が17.37Mbpsだ。回線別に見てみると、IIJmioの22.71Mbpsとイオンモバイルの22.70Mbpsが速かった。この2回線に次ぐ22.36Mbpsを記録した回線が、OCN モバイルONE、日本通信SIM、y.u mobile、QTmobile(Dタイプ)の4つある。

全体の3分の1の回線がまったく同じ平均速度になったのは、ダウンロードの一例として用いてきたアプリの容量(約13MB)が通信速度に対して小さく、秒単位の時間分解能で平均値を求めている本調査では各回線の速度に差が現れなくなってしまったためと考えられる(たとえば、10MBのアプリをダウンロードするのに0.1秒かかる回線と0.5秒かかる回線では5倍の速度差があるものの、時間分解能が1秒だとその差を見分けられない)。

本調査では2022年2月に端末を「moto g50 5G」へ更新しており、今回は端末更新後最初の東京駅周辺における調査となった。更新により端末側の通信速度が速くなったことで、東京駅周辺では特に速度が速くなる14時台において、記録されるダウンロード速度が一部の回線で頭打ちになってしまった模様だ。

平均速度が並んだ4回線だけでなく、同じ22Mbps台だったIIJmioやイオンモバイルのアプリダウンロード速度も、実際にはより速かった可能性がある。予期すべき調査方法の不備であり、今後に向けての反省点となった。なお、翌17日の佐久平駅周辺ではより容量の大きなアプリに変更した上で実施した。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(14時台/東京駅周辺)
1位 IIJmio:90.67Mbps
2位 y.u mobile:80.53Mbps
3位 日本通信SIM:78.17Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(14時台/東京駅周辺)
1位 IIJmio:22.71Mbps
2位 イオンモバイル:22.70Mbps
3位 OCN モバイルONE:22.36Mbps
3位 日本通信SIM:22.36Mbps
3位 y.u mobile:22.36Mbps
3位 QTmobile(Dタイプ):22.36Mbps

続いては、佐久平駅周辺における14時台の結果だ。

佐久平駅周辺における14時台の測定結果(2022年5月17日実施)

佐久平駅周辺における14時台の測定結果(2022年5月17日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は、下りが31.31Mbps(先月は30.37Mbps)、上りが7.28Mbps(同7.25Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はワイモバイルの78.83Mbpsが最も速く、UQ mobileの53.57Mbps、イオンモバイルの39.07Mbpsがこれに続く。上り通信速度もワイモバイルの23.20Mbpsが速かった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が16.26Mbps(同11.82Mbps)だ。回線別に見てみると、ワイモバイルの31.38Mbps、mineo(Aプラン)の26.92Mbps、UQ mobileの23.55Mbps、OCN モバイル ONEの23.52Mbpsの順に速かった。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(14時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:78.83Mbps
2位 UQ mobile:53.57Mbps
3位 イオンモバイル:39.07Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(14時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:31.38Mbps
2位 mineo(Aプラン):26.92Mbps
3位 UQ mobile:23.55Mbps

4.帰宅時間帯の18時台の測定結果は?

続いては、会社や学校が終わり再び通信が混雑し始める18時台の結果だ。東京駅周辺から見てみよう。

東京駅周辺における18時台の測定結果(2022年5月16日実施)

東京駅周辺における18時台の測定結果(2022年5月16日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は、下りが59.21Mbps、上りが7.38Mbpsだ。回線別に見てみると、下り通信速度はOCN モバイル ONEの86.03Mbps、IIJmioの84.63Mbps、y.u mobileの84.10Mbps、LinksMateの81.60Mbpsが80Mbpsを上回る速度を記録した。上り通信速度はワイモバイルの22.20Mbpsが一番速い。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が9.74Mbpsだ。回線別ではIIJmioの20.03Mbps、QTmobile(Dタイプ)の19.56Mbps、イオンモバイルの17.40Mbpsの順に速かった。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(18時台/東京駅周辺)
1位 OCN モバイル ONE:86.03Mbps
2位 IIJmio:84.63Mbps
3位 y.u mobile:84.10Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(18時台/東京駅周辺)
1位 IIJmio:20.03Mbps
2位 QTmobile(Dタイプ):19.56Mbps
3位 イオンモバイル:17.40Mbps

最後は、佐久平駅周辺における18時台の結果だ。

佐久平駅周辺における18時台の測定結果(2022年5月17日実施)

佐久平駅周辺における18時台の測定結果(2022年5月17日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は、下りが25.47Mbps(先月は19.84Mbps)、上りが6.44Mbps(同5.20Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はUQ mobileの62.53Mbpsが最も速く、ワイモバイルの54.27Mbps、NifMoの30.43Mbpsがこれに続く。上り通信速度はワイモバイルの18.57Mbpsが速い。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が9.90Mbps(同6.55Mbps)だ。回線別ではワイモバイルの18.88Mbps、QTmobile(Dタイプ)の17.13Mbps、UQ mobileの15.70Mbpsの順に速かった。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(18時台/佐久平駅周辺)
1位 UQ mobile:62.53Mbps
2位 ワイモバイル:54.27Mbps
3位 NifMo:30.43Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(18時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:18.88Mbps
2位 QTmobile(Dタイプ):17.13Mbps
3位 UQ mobile:15.70Mbps

5.すべての時間帯における総合結果は?

それでは、すべての時間帯における平均速度をもとにランキングを求めてみよう。参考として前回(2022年4月)および前々回(2022年3月)の調査結果も併記しているが、前回までは佐久平駅周辺のみでの調査結果となる点をご了承いただきたい。

まずはスピードテストアプリの下り通信速度からだ。

スピードテストアプリの下り通信速度ランキング

スピードテストアプリの下り通信速度ランキング

今回の1位はUQ mobileの51.43Mbps(前回は43.76Mbps、ただし佐久平駅周辺のみ)、2位はOCN モバイル ONEの45.91Mbps(同16.53Mbps)、3位はy.u mobileの41.09Mbps(同16.99Mbps)だった。

調査を再開した東京駅周辺ではドコモの回線を利用する格安SIMが速く、結果として上位3回線のうち2つがドコモ系の格安SIMとなった。12回線全体の平均速度は36.24Mbps(同22.67Mbps)で、佐久平駅周辺のみで調査した前回と比べて約1.6倍になっている。

次は、スピードテストアプリの上り通信速度の結果だ。

スピードテストアプリの上り通信速度ランキング

スピードテストアプリの上り通信速度ランキング

1位はワイモバイルの21.23Mbps(前回は22.15Mbps、ただし佐久平駅周辺のみ)、2位はUQ mobileの14.83Mbps(同14.34Mbps)、3位はmineo(Aプラン)の13.93Mbps(同18.11Mbps)、だった。

先述の下り通信速度とは異なり、上り通信速度は佐久平駅周辺のみで調査を行った前回と同じ3回線が上位を占めている。12回線全体の平均速度は6.80Mbps(同5.86Mbps)だった。

最後はPlayストアからのアプリダウンロード速度の結果だ。

アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング

アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング

1位はmineo(Aプラン)の16.72Mbps(前回は11.15Mbps、ただし佐久平駅周辺のみ)、2位はUQ mobileの16.22Mbps(同13.61Mbps)、3位はワイモバイルの15.25Mbps(同16.63Mbps)だった。

先述したスピードテストアプリの下り通信速度ではドコモ系の格安SIMが速かったが、アプリのダウンロード速度は前回までと同様にドコモ系以外の格安SIMが上位を占めた。ただし、時間帯別の結果でも触れたように、東京駅周辺・14時台では一部の回線におけるアプリダウンロード速度が不正確だった可能性がある。12回線全体の平均は10.70Mbps(同7.85Mbps)だった。

6.【さいごに】今回の結果まとめ

本調査では2022年2月より端末を「P10 lite」から「moto g50 5G」へ更新しており、今回2022年5月は端末更新後4回目、東京駅周辺では新端末を用いた初の調査となった。

以下のグラフは2021年4月以降の12回線全体の平均速度推移を示したものだ。点線から左側は佐久平駅周辺のみで調査を実施している。前月と比べて数値が上がっている2022年2月と同年5月は、それぞれ端末更新と東京駅周辺での調査再開による影響が大きい。

12回線全体の平均速度推移(2021年4月〜2022年5月。2022年4月までは佐久平駅周辺のみで調査していることと、2022年2月から調査に用いる端末を変更していることに留意)

12回線全体の平均速度推移(2021年4月〜2022年5月。2022年4月までは佐久平駅周辺のみで調査していることと、2022年2月から調査に用いる端末を変更していることに留意)

東京駅周辺での調査を再開した今回と、佐久平駅周辺のみで調査した前回の結果を単純に比べることはできないが、格安SIMの通信速度が地域によって異なることを示しているととらえることもできる。

東京の場合、大手キャリアのサブブランドであるワイモバイルやUQ mobileが他の回線よりも速いとは限らず、時間帯によってはドコモ系格安SIMのほうがより速くアプリをダウンロードできる。多数を占めるドコモ系格安SIMが東京駅周辺で速い平均速度を記録したことで、全体の平均速度も底上げされた形だ。いっぽう佐久平の場合、やはりワイモバイルやUQ mobileが安定した通信速度を示している。

次回の調査は2022年6月上旬〜中旬を予定している。例年通りであれば秋に向けて平均速度は徐々に下がっていくはずだが、次回の結果にも注目したい。

松村武宏

松村武宏

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。

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