格安SIMの通信速度を徹底調査
すべての回線が減速傾向(佐久平のみでの調査)

【2021年7月】格安SIM人気12回線の通信速度を比較 速い/遅いMVNOは?

大手携帯キャリアと比べて毎月のスマホ料金が安い格安SIM。料金が安いのはうれしいが、肝心の通信速度は遅いと言われている。実際のところはどうなのかを探るべく、人気12回線の通信速度を調査。2021年7月1日に実施した今回は、サブブランドも含め全体として減速傾向にある様子が明らかになった。

今回は2021年7月1日に調査を実施。調査場所は長野県佐久市の佐久平駅周辺

今回は2021年7月1日に調査を実施。調査場所は長野県佐久市の佐久平駅周辺

1.【はじめに】通信速度の調査方法

格安SIMは、時間帯や場所によって通信速度が遅くなりがちだ。たとえば、休憩時間にあたる平日昼の12時台や、プライベートでの通信が増える夕方から深夜、都市部のターミナル駅周辺のように人口が極端に集中する場所においては、通信が混雑して回線速度が低下しやすい。ただ、その度合いは通信会社ごとに異なっており、重要な比較要素のひとつと言える。

本調査では、人口密度の高い地域に東京都千代田区の東京駅周辺、対照となる低い地域に長野県佐久市の佐久平駅周辺を選定。通信が集中する12時台と18時台、そして比較的通信が少ない14時台において、MVNO各社12種類の格安SIMの通信速度を調査している。

ただし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況を考慮し、今回も2020年3月から引き続いて筆者の居住地である長野県佐久市の佐久平駅周辺のみで調査した。調査日は7月1日(木)。測定に用いた端末は従来通りファーウェイの「P10 lite」だ。

調査方法は以下のように「スピードテストアプリ」と「Playストアからのアプリダウンロード」の2通りを実施した。

【調査方法1】
スピードテストアプリ「Speedtest - インターネット速度」(Ookla)を用いて、各地点・各時間帯で5回測定した上り/下り通信速度の平均値を算出した。測定エラーは回数に含めず、正常に測定できた結果のみを採用している。

【調査方法2】
実際の体感速度に近い状況として、アプリのダウンロード時における通信速度を測定。「通信速度モニター」(Lufesu Inc.)による通信速度を表示した状態でPlayストアからアプリをダウンロードし、その間の速度推移をP10 liteの動画スクリーンショット機能で記録。測定終了後に動画を確認し、ダウンロード中の下り平均速度を算出した。限られた時間内で測定を行うために、開始から1分が経過した時点でもアプリのダウンロードが終わらない場合はインストールを中断し、その時点までの平均速度を求めている。

なお、調査の対象となる格安SIMは、以下の12種類だ。

●調査した12種類(10社)の格安SIM
ワイモバイル
UQ mobile
mineo(Aプラン)
IIJmio(みおふぉん)モバイルサービス(タイプD)
BIGLOBEモバイル(タイプD)
OCNモバイルONE(新コース)
イオンモバイル(ドコモ回線)
・LinksMate
NifMo
日本通信SIM
y.u mobile
QTmobile(Dタイプ)

2.速度が遅くなりやすい昼休み、12時台の測定結果は?

調査結果を詳しく見ていこう。まずは休憩中のユーザーが利用することで混雑しやすい12時台の結果からだ。

佐久平駅周辺における12時台の測定結果(2021年7月1日実施。単位はMbps、以下同様)

佐久平駅周辺における12時台の測定結果(2021年7月1日実施。単位はMbps、以下同様)

スピードテストアプリの全体の平均は下りが10.41Mbps(先月は7.23Mbps)、上りが6.81Mbps(同5.96Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はワイモバイルの48.73Mbpsが一番速く、mineo(Aプラン)の23.52Mbps、UQ mobileの14.52Mbpsがこれに続く。上り通信速度はUQ mobileの26.06Mbpsが一番速い。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が3.14Mbps(同3.44Mbps)だ。回線別に見てみると、mineo(Aプラン)の12.23Mbps、UQ mobileの7.70Mbps、y.u mobileの4.09Mbpsの順に速い。ワイモバイルは2.81Mbpsに留まった。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(12時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:48.73Mbps
2位 mineo(Aプラン):23.52Mbps
3位 UQ mobile:14.52Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(12時台/佐久平駅周辺)
1位 mineo(Aプラン):12.23Mbp
2位 UQ mobile:7.70Mbps
3位 y.u mobile:4.09Mbps

3.比較的速度が期待できる14時台の測定結果は?

次は休憩時間が明けてスマートフォンの利用も落ち着き、速度も回復してくる14時台の結果を見てみよう。

佐久平駅周辺における14時台の測定結果(2021年7月1日実施)

佐久平駅周辺における14時台の測定結果(2021年7月1日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は、下りが14.80Mbps(先月は17.78Mbps)、上りが5.75Mbps(同7.51Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はワイモバイルの70.00Mbpsがほかを圧倒。これにUQ mobileの23.34Mbps、mineo(Aプラン)の20.60Mbpsが続く。上り通信速度もワイモバイルの18.50Mbpsが速い。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が7.12Mbps(同7.36Mbps)だ。回線別に見ると、ワイモバイルの18.48Mbps、mineo(Aプラン)の11.96Mbps、UQ mobileの11.49Mbpsの順に速かった。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(14時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:70.00Mbps
2位 UQ mobile:23.34Mbps
3位 mineo(Aプラン):20.60Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(14時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:18.48Mbps
2位 mineo(Aプラン):11.96Mbps
3位 UQ mobile:11.49Mbps

4.帰宅時間帯の18時台の測定結果は?

最後は、会社や学校が終わり再び通信が混雑し始める18時台の結果だ。

佐久平駅周辺における18時台の測定結果(2021年7月1日実施)

佐久平駅周辺における18時台の測定結果(2021年7月1日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は、下りが7.30Mbps(先月は9.11Mbps)、上りが4.40Mbps(同5.53Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はUQ mobileの22.16Mbps、mineo(Aプラン)の17.78Mbps、BIGLOBEモバイルの8.06Mbpsの順に速い。ワイモバイルは前回に続き18時台が遅くなる傾向にあり、今回は12回線で一番遅い2.18Mbpsだった。上り通信速度はmineo(Aプラン)の13.21Mbpsが一番速い。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が3.91Mbps(同4.60Mbps)だ。回線別ではUQ mobileの9.49Mbpsが一番速く、mineo(Aプラン)の8.21Mbps、イオンモバイルの5.53Mbps、y.u mobileの5.37Mbpsがこれに続いた。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(18時台/佐久平駅周辺)
1位 UQ mobile:22.16Mbps
2位 mineo(Aプラン):17.78Mbps
3位 BIGLOBEモバイル:8.06Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(18時台/佐久平駅周辺)
1位 UQ mobile:9.49Mbps
2位 mineo(Aプラン):8.21Mbps
3位 イオンモバイル:5.53Mbps

5.すべての時間帯における総合結果は?

それでは、すべての時間帯における平均速度をもとにランキングを求めてみよう。東京駅周辺での欠測が続いているため、今回も佐久平駅周辺の調査結果のみを対象としたランキングとなる。なお、参考として前回(2021年6月)と前々回(2021年5月)の調査結果も併記している。

まずはスピードテストアプリの下り通信速度からだ。

スピードテストアプリの下り通信速度ランキング

スピードテストアプリの下り通信速度ランキング

今回の1位はワイモバイルの40.30Mbps(前回は38.66Mbps)、2位はmineo(Aプラン)の20.63Mbps(同16.14Mbps)だった。どちらの回線も前回6月から増速しており、mineo(Aプラン)は3位から順位をひとつ上げている。

3位はUQ mobileの20.63Mbps(同26.13Mbps)だった。ワイモバイルがやや増速したいっぽうで、UQ mobileは前回から2割ほど減速している。12回線全体の平均速度は10.84Mbps(同11.37Mbps)だった。

次は、スピードテストアプリの上り通信速度の結果だ。

スピードテストアプリの上り通信速度ランキング

スピードテストアプリの上り通信速度ランキング

1位はUQ mobileの14.73Mbps(同15.19Mbps)、2位はワイモバイルの14.72Mbps(同14.37Mbps)、3位はmineo(Aプラン)の11.01Mbps(前回は17.46Mbps)だった。

1位〜3位の顔ぶれは前回と変わらず、UQ mobileとワイモバイルの速度はほぼ同じと言える。12回線全体の平均速度は5.66Mbps(同6.33Mbps)だった。

最後は、Playストアからのアプリダウンロード速度の結果だ。

アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング

アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング

1位はmineo(Aプラン)の10.80Mbps(同9.14Mbps)、2位はUQ mobileの9.56Mbps(同11.92Mbps)、3位はワイモバイルの7.49Mbps(前回は12.30Mbps)だ。

1位〜3位の顔ぶれは前回と同じだが、暫定的に佐久平駅周辺での調査のみに切り替えた2020年3月以降では初めて、サブブランドのワイモバイルとUQ mobile以外の回線が最も速い結果となった。特にワイモバイルの減速が大きく、前回6月から4割ほど遅くなっている。12回線全体の平均は4.73Mbps(同5.13Mbps)だった。

6.【さいごに】今回の結果まとめ

今回2021年7月の調査では、スピードテストアプリの上り・下り平均速度および実際の利用環境の一例として調査しているPlayストアからのアプリダウンロード平均速度の3項目が、いずれも前回6月と比べて遅かった。

日本通信SIMのように3項目がすべて前回から増速している回線もあるものの、全体としては減速傾向にあることが明らかになった。特に大手キャリアのサブブランドであるワイモバイルとUQ mobileではアプリダウンロード速度の減速が目立つ。

以下のグラフは2020年6月以降の12回線全体の平均速度推移(佐久平駅周辺のみ)を示したものだ。格安SIMの通信速度は例年夏から秋にかけて徐々に減速する傾向にあるが、沖縄県を除いて緊急事態宣言が解除されたことで人流が増加し、屋外での通信需要が増えたことが今回の調査に影響した可能性も考えられる。

12回線全体の平均速度推移(2020年6月以降、佐久平駅周辺のみ。2021年4月からスピードテストアプリを変更していることに留意)

12回線全体の平均速度推移(2020年6月以降、佐久平駅周辺のみ。2021年4月からスピードテストアプリを変更していることに留意)

次回の調査は2021年8月上旬を予定している。東京オリンピックの開催期間(7月23日〜8月8日)と重なるものの、本稿を執筆している7月12日の時点では多くの会場で無観客開催となることが決まっており、オリンピックに関連した人流の影響は限定的になるものと予想される。次回の結果にも注目したい。

松村武宏

松村武宏

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。

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