格安SIMの通信速度を徹底調査

【2017年12月】格安SIM人気12回線の通信速度を比較 速い/遅いMVNOは?

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スマートフォンの利用料金を下げる方法として注目されている仮想移動体通信事業者(MVNO)の「格安SIM」。大手キャリアと契約するよりも通信費が安いのはありがたいが、通信速度は大手キャリアよりも遅いと言われている。しかし、実際の速度はどうなのか? どのMVNOが一番速いのか? 本連載では人気格安SIMの通信速度を毎月調査していく。格安SIM選びの参考にしてもらいたい。

格安SIMの気になる通信速度を毎月調査

格安SIMの気になる通信速度を毎月調査する連載がスタート

目次
1.理論上の最大値ではMVNOの真の実力はわからない
2.調査方法の解説
3.遅くなりがちな昼休み12時台の測定結果は?
4.比較的通信速度が期待できる14時台の測定結果は?
5.帰宅時間帯の18時台の測定結果は?
6.すべての時間帯における総合結果は?
7.今回の結果をまとめると?

1.理論上の最大値ではMVNOの真の実力はわからない

「格安SIM」を提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)の総数は、総務省が把握しているだけでも713社(2017年6月末現在)もある。これだけあると、利用者はどのMVNOが自分に合っているのか、調べるだけでも大変だ。

MVNOを比較するには、契約できる通信容量、月額料金の安さ、オプションサービスの充実度など、いろいろな視点があるが、通信速度も重要な比較要素のひとつ。といっても、Webサイトで「LTE通信の下り最大通信速度は788Mbps」のように記載されている数値だけでは、その通信会社の実力はわからない。これはあくまでも理論上の最大値であり、実際の通信速度はさまざまな要因によって変化するからだ。

NTTドコモをはじめとした大手キャリアのネットワークに相乗りする形で通信サービスを提供するMVNOの格安SIMや、格安SIMとSIMフリー端末を組み合わせた「格安スマホ」では、多くのユーザーが利用する時間帯には通信が混雑して回線速度が低下しやすい。特に、企業や教育機関などの休憩時間にあたる平日昼の12時台や、帰宅時間帯の夕方から深夜にかけては、通信速度が遅くなる。

また、格安SIMに限らず、都市部のターミナル駅周辺のように人口が極端に集中する場所でも、通信速度は遅くなりがちだ。そのため、ある場所では快適に通信できた格安SIMも、場所が変わるだけで通信しづらくなることがある。

さらに、データを受信する下り(ダウンロード)通信速度と、送信する上り(アップロード)通信速度にも差がある。カタログ上の数値では下り通信速度のほうが速いのだが、混雑する時間帯ではデータの受信が混み合い、逆に上りのほうが速いことが多い。

このように、時間帯や場所、上りか下りかによっても通信速度は異なるため、ひとつの結果を見ただけでは通信品質の良し悪しを判断することはできないのだ。

そこで本記事では、代表的な11社12種類の格安SIMについて、複数の地点・時間帯で実際に通信速度を測定。カタログ上の理論値だけではわからない格安SIMの実力を推し量るべく、調査を実施した。

通信速度は日々変化するものであり、たとえ同じ日の同じ場所でも測定するタイミングによって得られる速度は異なるが、格安SIM選びのひとつの参考にしてもらえれば幸いだ。

2.調査方法の解説

最初に調査の方法について解説しておこう。

この調査では時間帯と場所による通信速度の違いを考慮して、人口密度の高い地域に都心の東京駅周辺、逆に低い地域に長野県佐久市の佐久平駅周辺を選定。測定日は東京駅周辺が2017年12月1日(金)、佐久平駅周辺が2017年12月5日(火)。通信が集中する12時台と18時台、そして比較的通信が少ない14時台に測定を行った。

使用した端末はファーウェイのSIMロックフリースマートフォン「P10 lite」で、2通りの方法で通信速度を調査した。ひとつは速度調査に特化した定番アプリ「RBB SPEED TEST」(イード)を用いた方法で、各地点・各時間帯で5回測定した上り/下り通信速度の平均値を算出した。測定エラーは回数に含めず、正常に測定できた結果のみを採用している。

調査にはファーウェイのSIMフリースマートフォン、P10 liteを使用

調査にはファーウェイのSIMフリースマートフォン、P10 liteを使用

もうひとつは実際の体感速度に近い状況として、アプリのダウンロード時における通信速度を求める方法だ。端末の画面上に「通信速度モニター」(Lufesu Inc.)による通信速度を表示した状態で「Playストア」からアプリをダウンロードし、その間の速度推移をP10 liteのスクリーン録画機能で記録。測定終了後に動画を確認し、ダウンロード中の下り平均速度を算出した。

なお、限られた時間内で測定を行うために、開始から1分半が経過した時点でもアプリのダウンロードが終わらない場合はインストールを中断し、その時点までの通信速度から平均速度を求めている。

調査の対象とした格安SIMは以下の12種類。なお、専用の通信帯域が割り当てられるmineoの「プレミアムコース」のような特別なオプションは、いずれも利用していない。

●調査した12種類(11社)の格安SIM
・ワイモバイル
・UQ mobile
・BIGLOBEモバイル(タイプD)
・OCNモバイルONE
・楽天モバイル
・mineo(Dプラン)
・mineo(Aプラン)
・IIJmio(みおふぉん)モバイルサービス(タイプD)
・イオンモバイル
・DMM mobile
・LINEモバイル
・nuroモバイル

3.遅くなりがちな昼休み12時台の測定結果は?

まずは休憩時間で多くの人がスマートフォンを利用する12時台の結果について、東京駅周辺から見てみよう。

東京駅周辺における12時台の測定結果(2017年12月1日実施。単位はMbps、以下同様)

東京駅周辺における12時台の測定結果(2017年12月1日実施。単位はMbps、以下同様)

RBB SPEED TESTの12回線全体の平均は、下りが4.23Mbps、上りが6.20Mbpsだった。回線別の下り通信速度の結果では、ワイモバイルが40.26Mbpsでほかの格安SIMを大きく引き離した。次点はUQ mobileの6.25Mbpsで、ほかの10回線の下り通信速度はいずれも1Mbps未満という厳しい状況に。ワイモバイルは上りの通信速度も14.64Mbpsと速く、10.03MbpsのLINEモバイルが続く。

いっぽう、アプリのダウンロード速度は12回線全体の平均が0.93Mbpsと、1Mbpsを割り込んでいた。回線別に最も速かったのはLINEモバイルの3.80Mbpsで、UQ mobileの3.33Mbpsがこれに続く。ワイモバイルは3番手の1.62Mbpsで、RBB SPEED TESTとの差が大きい。

●RBB SPEED TEST下り平均速度のトップ3(12時台/東京駅周辺)
1位 ワイモバイル
2位 UQ mobile
3位 楽天モバイル

●アプリのダウンロード速度のトップ3(12時台/東京駅周辺)
1位 LINEモバイル
2位 UQ mobile
3位 ワイモバイル

続いて佐久平駅周辺における12時台の結果を見てみよう。

佐久平駅周辺における12時台の測定結果(2017年12月5日実施)

佐久平駅周辺における12時台の測定結果(2017年12月5日実施)

RBB SPEED TESTの全体の平均は、下りが2.35Mbps、上りが5.81Mbps。いずれも東京駅周辺での測定時よりも遅かった。回線別の下り通信速度ではワイモバイルの10.89MbpsとUQ mobileの10.25Mbpsが並び、楽天モバイルの4.28Mbpsがこれに続く。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が1.70Mbpsで、RBB SPEED TESTとは逆に東京駅周辺よりも速い結果に。回線別ではUQ mobileが9.52Mbpsと好調で、ワイモバイルは5.39Mbpsに留まった。

●RBB SPEED TEST下り平均速度のトップ3(12時台/長野県・佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル
2位 UQ mobile
3位 楽天モバイル

●アプリのダウンロード速度のトップ3(12時台/長野県・佐久平駅周辺)
1位 UQ mobile
2位 ワイモバイル
3位 LINEモバイル

4.比較的通信速度が期待できる14時台の測定結果は?

次はスマートフォンの利用者が減り、高速な通信が期待できる14時台の結果を東京駅周辺から見てみよう。

東京駅周辺における14時台の測定結果(2017年12月1日実施)

東京駅周辺における14時台の測定結果(2017年12月1日実施)

RBB SPEED TESTの全体の平均は下りが7.12Mbps、上りが8.72Mbps。12時台よりも速いが、大きな違いではない。下り通信速度のトップはワイモバイルだが、平均速度は18.81Mbpsと、12時台の半分以下になってしまった。

2番手以下はイオンモバイルの9.33Mbpsで、mineo(Dプラン)の8.11Mbps、UQ mobileの7.78Mbpsと続く。最も遅いDMM mobileは1.93Mbpsだった。上り通信速度はOCNモバイルONEの16.39Mbpsが最速で、10Mbpsを超えているところが合計4回線あった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が3.53Mbpsで、12時台から大幅にアップ。回線別ではワイモバイルが12.49Mbpsと速く、mineo(Aプラン)の9.07Mbps、UQ mobileの5.26Mbpsがこれに続く。いっぽうで、BIGLOBEモバイル、イオンモバイル、LINEモバイル、nuroモバイルでは、1Mbps前後からそれ以下の速度しか得られなかった。

●RBB SPEED TEST下り平均速度のトップ3(14時台/東京駅周辺)
1位 ワイモバイル
2位 イオンモバイル
3位 mineo(Dプラン)

●アプリのダウンロード速度のトップ3(14時台/東京駅周辺)
1位 ワイモバイル
2位 mineo(Aプラン)
3位 UQ mobile

続いては、佐久平駅周辺における14時台の結果だ。

佐久平駅周辺における14時台の測定結果(2017年12月5日実施)

佐久平駅周辺における14時台の測定結果(2017年12月5日実施)

RBB SPEED TESTの全体の平均は、下りが13.77Mbps、上りが6.58Mbpsで、特に下り通信速度の速さが際立つ。

回線別の下り通信速度ではUQ mobileが44.52Mbps、ワイモバイルが33.15Mbps。大手キャリアの“サブブランド”とも呼ばれる2社の回線が、いずれも東京駅周辺より大幅に速かった。ほかの格安SIMでも18.31Mbpsのmineo(Aプラン)や、14.86MbpsのBIGLOBEモバイルなど、高速なところが多い。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が7.89Mbpsで、こちらも東京駅周辺より速い。回線別ではワイモバイルが28.59Mbps、UQ mobileが20Mbpsちょうどと、やはりサブブランドの強さが目立つ。

この2社以外の回線も、おおむね4〜8Mbps程度の速度でアプリがダウンロードできていた。ただ、1.33MbpsのDMM mobileや0.18Mbpsのnuroモバイルのように、東京駅周辺よりも速度が遅い格安SIMも見られた。

●RBB SPEED TEST下り平均速度のトップ3(14時台/長野県・佐久平駅周辺)
1位 UQ mobile
2位 ワイモバイル
3位 mineo(Aプラン)

●アプリのダウンロード速度のトップ3(14時台/長野県・佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル
2位 UQ mobile
3位 BIGLOBEモバイル

5.帰宅時間帯の18時台の測定結果は?

続いては、再び通信が混雑し始める18時台の結果だ。東京駅周辺から見てみよう。

東京駅周辺における18時台の測定結果(2017年12月1日実施)

東京駅周辺における18時台の測定結果(2017年12月1日実施)

RBB SPEED TESTの結果は、全体の平均が下りは3.50Mbps、上りは7.01Mbpsで、下りは12時台よりも遅かった。回線別の下り通信速度ではワイモバイルが23.90Mbpsでトップとなり、2番手であるUQ mobileの6.85Mbpsとの差が際立つ。

ほかの10回線については、nuroモバイル、楽天モバイル、BIGLOBEモバイルなど12時台より速度が出ている格安SIMもあるが、全体の半数にあたる6回線の速度は1Mbps未満だった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が0.87Mbpsで、12時台よりもわずかに遅い。回線別の状況も厳しく、ワイモバイルが2.66Mbps、UQ mobileが2.56Mbpsと、サブブランドの2回線でも2Mbps台に留まった。

●RBB SPEED TEST下り平均速度のトップ3(18時台/東京駅周辺)
1位 ワイモバイル
2位 UQ mobile
3位 nuroモバイル

●アプリのダウンロード速度のトップ3(18時台/東京駅周辺)
1位 ワイモバイル
2位 UQ mobile
3位 IIJmio(みおふぉん)

次に、佐久平駅周辺における18時台の結果を見てみよう。

佐久平駅周辺における18時台の測定結果(2017年12月5日実施)

佐久平駅周辺における18時台の測定結果(2017年12月5日実施)

RBB SPEED TESTの全体の平均は、下りが3.49Mbps、上りが5.11Mbpsで、下りは東京駅周辺とほぼ同じ、上りは東京駅周辺よりも遅い。

回線別の下り通信速度では9.74MbpsのBIGLOBEモバイルがサブブランドを抑えてトップに。7.32Mbpsのワイモバイル、6.26MbpsのUQ mobileが続くが、4位の楽天モバイルも5.87Mbpsと、東京駅周辺よりも上位陣の速度にあまり差はなかった。

いっぽう、アプリのダウンロード速度については全体の平均が2.96Mbpsと東京駅周辺よりも好調で、トップは15.38MbpsのUQ mobile。2位は11.14MbpsのLINEモバイルで、14時台の4倍近い速度を発揮。ワイモバイルは3位の3.07Mbpsで、東京駅周辺とさほど変わらない結果となった。

●RBB SPEED TEST下り平均速度のトップ3(18時台/長野県・佐久平駅周辺)
1位 BIGLOBEモバイル
2位 ワイモバイル
3位 UQ mobile

●アプリのダウンロード速度のトップ3(18時台/長野県・佐久平駅周辺)
1位 UQ mobile
2位 LINEモバイル
3位 ワイモバイル

6.すべての時間帯における総合結果は?

最後に、東京駅周辺と佐久平駅周辺のすべての時間帯における平均速度をもとに、ランキングを出してみた。まずはRBB SPEED TESTの下り通信速度からだ。

RBB SPEED TESTの下り通信速度ランキング

RBB SPEED TESTの下り通信速度ランキング

トップは22.39Mbpsのワイモバイル、2位は13.65MbpsのUQ mobileだ。サブブランドの2社はどの時間帯でも比較的好調で、最終的に10Mbps以上の平均速度となった。ただ、12回線全体の平均は5.74Mbps。ワイモバイルとUQ mobileが平均値を押し上げた格好で、3位のBIGLOBEモバイル(5.63Mbps)以降の速度はすべて平均以下となった。

次は、RBB SPEED TESTの上り通信速度の結果だ。

RBB SPEED TESTの上り通信速度ランキング

RBB SPEED TESTの上り通信速度ランキング

こちらもトップは12.15Mbpsのワイモバイル。2位は8.39MbpsのOCNモバイルONEで、3位はBIGLOBEモバイルの6.99Mbps。12回線の平均は6.57Mbpsで、各回線の速度差は下り通信速度ほど大きくはなかった。

最後は、Playストアからのアプリダウンロード速度の結果だ。

アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング

アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング

トップは9.34MbpsのUQ mobile。RBB SPEED TESTでは上り/下りともにトップだったワイモバイルは、8.97Mbpsで2位に。3位はLINEモバイルの3.66Mbpsだった。

12回線の平均は2.98Mbps。3.04Mbpsで4位だったmineo(Aプラン)までは平均以上だが、BIGLOBEモバイル(1.84Mbps)以降は2Mbps未満にとどまる。なかでもnuroモバイルは0.21Mbpsと遅く、どの場所・時間帯でもアプリのダウンロードには適さない速度しか得られなかった。

7.今回の結果をまとめると?

2017年12月1日と5日に測定した今回の調査では、サブブランドの強さが際立っていた。RBB SPEED TESTの結果ではワイモバイルが好調だったが、アプリダウンロード時の通信速度も含めた安定性ではUQ mobileがすぐれる。

NTTドコモのネットワークを使う格安SIMでは、アプリダウンロード時のランキングで3位となったLINEモバイルが安定していた。RBB SPEED TESTの下り通信速度のランキングでは9位だが、アプリのダウンロードはどの時間帯でも比較的スムーズだ。

次の調査は、2018年1月上旬に実施する予定だ。次回のランキングでは、順位がどう変動するのか注目だ。

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格安SIMカード比較 MVNO主要27社のプラン情報

松村武宏

松村武宏

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。

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2018.1.16 更新
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