格安SIMの通信速度を徹底調査
テレワークの影響か昼間の速度がアップ(佐久平のみでの調査)

【2020年5月】格安SIM人気12回線の通信速度を比較 速い/遅いMVNOは?

大手携帯キャリアと比べて毎月のスマホ料金が安い格安SIM。料金が安いのはうれしいが、肝心の通信速度は遅いと言われている。実際のところはどうなのかを探るべく、人気12回線の通信速度を調査。2020年5月8日に実施した今回も佐久平駅周辺だけでの結果となるが、新年度が始まってからも下り通信速度が全体的に速くなっていることが明らかになった。

1.【はじめに】通信速度の調査方法

格安SIMは、時間帯や場所によって通信速度が遅くなりがちだ。たとえば、休憩時間にあたる平日昼の12時台や、プライベートでの通信が増える夕方から深夜、都市部のターミナル駅周辺のように人口が極端に集中する場所においては、通信が混雑して回線速度が低下しやすい。ただ、その度合いは通信会社ごとに異なっており、重要な比較要素のひとつと言える。

本調査では、人口密度の高い地域に東京都千代田区の東京駅周辺、対照となる低い地域に長野県佐久市の佐久平駅周辺を選定。通信が集中する12時台と18時台、そして比較的通信が少ない14時台において、MVNO各社12種類の格安SIMの通信速度を調査している。

ただし、新型コロナウイルス(COVID-19)の状況を考慮し、今回も2020年3月から引き続いて筆者の居住地である佐久市の佐久平駅周辺のみ5月8日(金)に調査を実施した。測定にはファーウェイの「P10 lite」を使用。調査方法は以下の2通りで、前回までの調査と同じだ。

【調査方法1】
速度調査の定番アプリ「RBB SPEED TEST」(イード)を用いて、各地点・各時間帯で5回測定した上り/下り通信速度の平均値を算出した。測定エラーは回数に含めず、正常に測定できた結果のみを採用している。

【調査方法2】
実際の体感速度に近い状況として、アプリのダウンロード時における通信速度を測定。「通信速度モニター」(Lufesu Inc.)による通信速度を表示した状態でPlayストアからアプリをダウンロードし、その間の速度推移をP10 liteの動画スクリーンショット機能で記録。測定終了後に動画を確認し、ダウンロード中の下り平均速度を算出した。限られた時間内で測定を行うために、開始から1分が経過した時点でもアプリのダウンロードが終わらない場合はインストールを中断し、その時点までの平均速度を求めている。

なお、調査の対象とした格安SIMは、以下の12種類となる。2020年4月からMNOとして自社回線でのサービスを開始し、MVNOの新規契約を終了した楽天モバイルに代わり、今回はOCN モバイル ONEが2019年11月に提供を始めた「新コース」を加えている。

調査した12種類(9社)の格安SIM
ワイモバイル
UQ mobile
BIGLOBEモバイルタイプD
OCNモバイルONE(旧プラン)
OCNモバイルONE(新プラン)
mineo(Dプラン)
mineo(Aプラン)
mineo(Sプラン)
IIJmio(みおふぉん)モバイルサービスタイプD
イオンモバイルドコモ回線
LinksMate
LINEモバイルソフトバンク回線

2.速度が遅くなりやすい昼休み、12時台の測定結果は?

調査結果を詳しく見ていこう。まずは休憩中のユーザーが利用することで混雑しやすい12時台の結果から。

佐久平駅周辺における12時台の測定結果(2020年5月8日実施。単位はMbps、以下同様)

佐久平駅周辺における12時台の測定結果(2020年5月8日実施。単位はMbps、以下同様)

RBB SPEED TESTの全体の平均は、下りが18.38Mbps(先月は9.54Mbps)、上りが8.01Mbps(同8.60Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はUQ mobileが55.19Mbps、ワイモバイルが45.94Mbps、mineo(Sプラン)が43.25Mbpsと、ドコモ回線以外の格安SIMが速い。上り通信速度はmineo(Sプラン)の21.17Mbpsが一番速かった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が4.64Mbps(同1.88Mbps)。回線別では、ワイモバイルが14.39Mbps、UQ mobileが12.05Mbps、IIJmio(みおふぉん)が12.00Mbpsとなっており、IIJmioがサブブランドの2回線に匹敵する速度だった。また、サービス開始から比較的日が浅いOCN モバイル ONEの新コースはIIJmio(みおふぉん)に次ぐ9.61Mbpsとなっており、旧プランよりも10倍以上速い。

●RBB SPEED TEST下り平均速度のトップ3(12時台/佐久平駅周辺)
1位 UQ mobile
2位 ワイモバイル
3位 mineo(Sプラン)

●アプリのダウンロード速度のトップ3(12時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル
2位 UQ mobile
3位 IIJmio(みおふぉん)

3.比較的速度が期待できる14時台の測定結果は?

次は休憩時間が明けてスマートフォンの利用も落ち着き、速度も回復してくる14時台の結果を見てみよう。

佐久平駅周辺における14時台の測定結果(2020年5月8日実施)

佐久平駅周辺における14時台の測定結果(2020年5月8日実施)

RBB SPEED TESTの全体の平均は、下りが17.63Mbps(先月は21.61Mbps)、上りが7.48Mbps(同9.07Mbps)で、下りは12時台よりもわずかに遅い。回線別ではLINEモバイルが43.20Mbps、UQ mobileが38.30Mbps、mineo(Aプラン)が37.12Mbpsと、12時台に続きドコモ回線以外が速かった。上り通信速度はLINEモバイルの12.53Mbpsが一番速い。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が8.28Mbps(同8.76Mbps)。回線別に見ると、LINEモバイルの13.74Mbps、UQ mobileの13.69Mbps、mineo(Aプラン)の12.00Mbpsが速かった。

●RBB SPEED TEST下り平均速度のトップ3(14時台/佐久平駅周辺)
1位 LINEモバイル
2位 UQ mobile
3位 mineo(Aプラン)

●アプリのダウンロード速度のトップ3(14時台/佐久平駅周辺)
1位 LINEモバイル
2位 UQ mobile
3位 mineo(Aプラン)

4.帰宅時間帯の18時台の測定結果は?

最後は、会社や学校が終わり再び通信が混雑し始める18時台の結果だ。

佐久平駅周辺における18時台の測定結果(2020年5月8日実施)

佐久平駅周辺における18時台の測定結果(2020年5月8日実施)

RBB SPEED TESTの全体の平均は、下りが21.26Mbps(先月は11.75Mbps)、上りが7.77Mbps(同7.48Mbps)だ。回線別に見てみるとワイモバイルの78.81Mbpsが一番速く、UQ mobileの38.86Mbps、mineo(Aプラン)の35.97Mbpsがこれに続く。上り通信速度もワイモバイルの23.21Mbpsが速かった。

アプリのダウンロード速度は、全体の平均が5.48Mbps(同5.30Mbps)。回線別では、UQ mobileの15.98Mbps、ワイモバイルの13.43Mbps、IIJmio(みおふぉん)の6.34Mbpsの順に速かった。

●RBB SPEED TEST下り平均速度のトップ3(18時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル
2位 UQ mobile
3位 mineo(Aプラン)

●アプリのダウンロード速度のトップ3(18時台/佐久平駅周辺)
1位 UQ mobile
2位 ワイモバイル
3位 IIJmio(みおふぉん)

5.すべての時間帯における総合結果は?

それでは、すべての時間帯における平均速度をもとにランキングを求めてみよう。東京駅周辺での欠測が続いているため、今回も佐久平駅周辺の調査結果のみを対象としたランキングとなる。推移がわかるように、前回(2020年4月)と前々回(2020年3月)の調査結果も併記している。

まずはRBB SPEED TESTの下り通信速度からだ。

RBB SPEED TESTの下り通信速度ランキング

RBB SPEED TESTの下り通信速度ランキング

今回の1位は18時台の速度が際立っていたワイモバイルの49.09Mbps(前回は43.45Mbps)で、前回より1割ほど速かった。2位はUQ mobileの44.12Mbps(同48.91Mbps)で、こちらはワイモバイルと入れ替わるように速度がやや遅くなっている。3位はmineo(Aプラン)の27.76Mbps(同12.33Mbps)で、前回と比べて2.5倍ほど速くなっている。

前回までの調査対象だった楽天モバイル(ドコモ回線)に代わり追加したOCN モバイル ONEの新コースは10.78Mbpsで、旧プランの6.34Mbpsよりも4Mbpsほど速い。12回線全体の平均は19.09Mbps(同14.30Mbps)だった。

次は、RBB SPEED TESTの上り通信速度の結果だ。

RBB SPEED TESTの上り通信速度ランキング

RBB SPEED TESTの上り通信速度ランキング

上り通信速度は1位から6位までが前回と同じ回線で占められている。1位はワイモバイルの15.37Mbps(前回は18.15Mbps)、2位はmineo(Sプラン)の13.69Mbps(同16.33Mbps)、3位はLINEモバイルの8.93Mbps(同13.23Mbps)で、いずれも前回より減速している。12回線全体の平均は7.76Mbps(同8.38Mbps)で、全体的に前回よりも速度が遅くなっている。

最後は、Playストアからのアプリダウンロード速度の結果だ。

アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング

アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング

1位はUQ mobileの13.91Mbps(前回は13.64Mbps)で、前回とほぼ同じ速度で推移している。2位はワイモバイルの12.23Mbps(同10.24Mbps)で、前回よりも速度が増しており、開きつつあったUQ mobileとの差が縮まっている。

3位はIIJmio(みおふぉん)の9.33Mbps(同4.05Mbps)で、前回と比べて2倍以上速くなっている。12回線全体の平均は6.13Mbps(同5.32Mbps)だった。

6.【さいごに】今回の結果まとめ

今回の速度調査も佐久平駅周辺だけでの実施となったが、新年度を迎えた前回4月は減速していたRBB SPEED TESTの下り通信速度が今月は増速に一転。調査対象のキャリアや回線を一部入れ替ているので正確な比較はできないものの、この1年間では最速だった。

次のグラフは、2019年4月以降の12回線全体の平均速度推移(佐久平駅周辺のみ)を示したものだ。2019年5月のRBB SPEED TEST下り通信速度は前月から大幅に遅くなったが、今年は逆に増速していることがわかる。また、Playストアからのアプリダウンロード速度も2020年1月から順調に増速し続けている。

12回線全体の平均速度推移(2019年4月以降、佐久平駅周辺のみ)

12回線全体の平均速度推移(2019年4月以降、佐久平駅周辺のみ)

昨年とは異なる推移となっている要因として、各キャリアのネットワーク増強による効果だけでなく、感染拡大防止のための外出自粛、商業施設や飲食店の営業自粛によりモバイルデータ通信の需要そのものが下がっている可能性や、リモートワークの普及などが影響していることも考えられる。

休憩時間にあたる12時台のRBB SPEED TEST下り通信速度を振り返ってみると、昨年2019年4月は7.08Mbps、2019年5月は5.97Mbpsだったが、今年2020年4月は9.54Mbps、2020年5月は18.38Mbpsだった(いずれも佐久平駅周辺のみ)。インターネットサービスプロバイダーのOCNを手がけるNTTコミュニケーションズによると、フレッツ回線を経由した2020年4月における平日昼間の下り通信量は、同年2月と比べて最大で4割ほど増えた期間があったという。在宅ワークや外出自粛により自宅で過ごす時間が長くなったことで、スマートフォンでもWi-Fi経由で通信する時間が増えて格安SIMの通信量が減り、結果として本調査における通信速度が昨年より速くなったことも考えられる。

また、どうしても出勤することが避けられない現場では時差出勤を実施しているところもある。在宅でのリモートワークも含めて休憩に入るタイミングがさまざまな時間帯に分散し、これまで同じ時間帯に集中しがちだったモバイルデータ通信も前後の時間帯に分散した結果、12時台の速度が昨年よりも速くなった可能性もある。

次回の調査は2020年5月上旬を予定している。新型コロナウイルスをめぐる状況が依然として予断を許さないことから、次回も引き続き佐久平駅周辺のみで測定を実施する見込みだ。来月の通信速度がどのように推移するか、次回の結果にも注目したい。

松村武宏

松村武宏

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。

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