「なんか疲れたなー」と言いながら、無意識に肩とか腰をグリグリと揉むというシーン、皆さん覚えがあるんじゃないでしょうか。というか、ほぼ毎日のようにやっていますよね?
肩や腰などの大きな筋肉がこわばってくると、そこを通っている血管を圧迫するため、本来であれば血流に乗って流れるはずの疲労物質(老廃物)が蓄積。そうなると身体からなかなか疲労が抜けないので、無意識に回復を求めて、そのあたりを揉んじゃっているわけです。
つまるところ、疲労回復にアプローチするのは“血流の改善”ということになるので、軽い運動とかストレッチがいいのはわかるんですが……なんか、疲れているときにそういうの、単純に面倒くさいじゃないですか。できれば、ただボーッとしているだけで血流改善につながるようなものがあるとうれしいんですけど、そういうのってないもんですかね?
「ボーッとしているだけで血流改善」と言えば、まず思いつくのはマッサージ。そう、こういうのはプロにお金を払って解決するべきです。実際、自堕落王(ジダラキング)こと筆者も近所のクイックマッサージに通い詰めで、もうポイントカードが何周したことか。
とはいえ、いつも望む時間に確実に予約が取れるというわけではないので、全身がダルダルなのにほぐしてもらえずションボリ……、みたいな状況はどうしても発生します。これがなかなかにつらい。そこで次のプランとしてあげたいのが、マッサージャーの導入です。
今回は、この連載の担当編集・金原さんが「メーカーからプレスリリース届いたんですけど、これめっちゃよさそうじゃないすか?」と教えてくれた、アテックスの自在マッサージシート「JIZAISU(ジザイス)」を試してみたんですが……。
いや、これはちょっとアレです。今までの家庭用マッサージ機で最強かも。製品名はやや脱力系ですが、マジでマッサージ力(まっさーじりょく)が計測不能クラス。
折り曲げ可能なマッサージ機構を採用したマッサージシート、アテックス「JIZAISU」
こちらは全体3分割のシート型マッサージャーで、それを各部で折ったりたたんだりすることで「座椅子モード」やハイバックな「椅子モード」のマッサージチェアとして機能するというのが、製品としてのポイントです。で、この椅子形状の違いによって、背中全体/肩&背中/腰&お尻を揉み分けるという仕組み。
座椅子として使う場合は、いちばん下のクッション部を折り返して固定します
腰からお尻にかけてグイグイと力強くほぐす「座椅子モード」に変形完了!
背もたれ部分を広げるハイバックな「椅子モード」だと、背中全域(赤で示した範囲)をほぐせます
使う際は付属のコントローラーで電源をオンにすると、内蔵のもみ玉が「うねり、うねり」という感じの揉み動作をしつつ、上の写真で赤で示した範囲内を上下に移動します。移動範囲の指定や、ヒーターのオン/オフ、揉み動作(プロもみ/スタンダード/じっくり)の選択も操作可能。
コントローラーは、基本的に揉みタイプの選択ともみ玉の位置調整用。スタートから10分で自動的に電源が切れます
実際に試して驚いたのが、このもみ玉が動く範囲内でシートを折り曲げても(カチカチと8段階の角度調整が可能)、ちゃんともみ玉が追従して動いてくれるところ。いやこれスゴい。外装フレームは直線的に折れ曲がるけれど、内部のもみ玉が動くためのレールは曲線で曲がるという、かなりよくできた構造です。
フレームの角度に追随してもみ玉の軌道も曲がるユニークな構造。これはよくできています
たとえば、「座椅子モード」に変形した状態であれば、まずもみ玉が背中から腰を通って、そのままフレームの曲がりに沿ってお尻までを揉みほぐしてくれます。
腰痛の大きな原因のひとつとして、お尻の中臀筋から大臀筋にかけて筋肉がこわばっているというケースも多いので、「腰とお尻」をセットでしっかりとほぐせるのは、それだけ価値があります。というか、シンプルにめちゃくちゃ気持ちいい! 座っている自分の腰からお尻にかけて、ずっとフィットするようにもみ玉が動いてくれるのは、「これはもう10万円クラスのマッサージチェアでしょ!」という感じです。
「座椅子モード」で腰とお尻を揉みほぐされている10分間は、もう「ギャオー」「ウヒョー」と叫び続けるだけ。マジでほぐれるー!
あと、もみ玉の動く範囲自体もかなり広い! 今までも、こういったシートタイプの電動マッサージャーを使ったことはありますが、身長175cmの筆者で、背中全体(首の下から腰骨のあたりまで)をもみ玉がカバーしてくれる製品はかなりレア。面積的な物足りなさを感じません。
ほかの製品だと、揉んでほしい部分に合わせてシートにもたれかかる位置を自分で微調整していました。ですが、これなら、椅子の背もたれにシートを設置してグターッと身を任せているだけで背中全域をほぐしてくれます。
「椅子モード」では腰から肩甲骨周りまでを幅広く。PC作業が続いて背中がガチガチなので、超気持ちいい……
また、途中でカチカチッとシートを折って少し角度をつけてやることで、もみ玉を肩甲骨周りへ強めに当てることもできます。特に肩コリがしんどいなーという場合は、積極的にこのフォルムを使っていくと、かなり気持ちよく、トローッと溶けられるはず。
背もたれに角度をつけてやることで、赤で示した範囲がより強く当たって、ほぐし感アップ
もっと積極的に行きたいなら、床にフルフラットに置いて、その上に寝るという最終手段も残っています。これ、自分の体重がもみ玉の圧にプラスされるので、めちゃくちゃ刺さります。何ならちょっと痛いぐらいなので、この場合はシートの上にタオルケットか何かを1枚かけてあげて調整するとよさそう。
というか、そもそももみ玉のパワーがかなり強めなので、「椅子モード」でも何か1枚挟んでやらないとキツい、という人はいるかもです。
フルフラットにすると、自重+もみ玉パワーを合わせた超ハイパワーもみが体験できます。どんなにゴリゴリに凝った背中もこれなら一撃でしょ!
もみ玉パワーのついでに、揉み動作(プロもみ/スタンダード/じっくり)の話もしておきましょう。と言っても基本的には、最もマッサージ機らしい=人間の揉み方に近い挙動の「プロもみ」一択で大丈夫だと思います。
「スタンダード」は一定の速度で動くせいでなんか全体的に物足りなく、「じっくり」は「3歩進んで2歩下がる」みたいな動き方が妙にもどかしい感じ。ただ、範囲指定でじっくりお尻だけをほぐしたい場合などには、「じっくり」もありかもしれません。
身体に当たる部分(もみ玉の稼働範囲)のカバーは、そこだけファスナーで外して洗濯可能です。気が利いている
実のところ、最初にお値段(メーカー公式サイトの税込価格29,700円)を聞いたときは「おお、そこそこのお値段するなぁ」と思ったんですが、試用した後では「うーん、こらお買い得よね」と方針を曲げさせてもらいました。
いやだって、前述したとおり、挙動がかなり10万円オーバーのマッサージチェアっぽいんですよ。もみ玉の動作範囲も広いし、そしてパワーも自重をフルにかけてもグイグイ押し返すレベルの強度で……これ、明らかにマッサージチェア買った級の満足度がありますよ。
今回はメーカーさんからサンプル機をお借りして記事を書いているのですが、妻と僕とで常に奪い合い状態。早くも「サンプル機を返却した後は折半して新しいのを買おう」という合意が取り交わされたところです。