「Vibram Five Fingers(ビブラムファイブフィンガーズ)」は、5本指に分かれた爪先部分が特徴的で、“裸足感覚シューズ”の代表格として人気を博しています。トレーニングからアウトドア、普段履きまで幅広い商品ラインアップを取り揃えていますが、なかでも今回ご紹介する「V-Run」は、ランニング向けに開発されたシューズです。さっそく、実際に走って感じた特徴や走り心地などをご紹介しましょう。
指先が5本に分かれたデザインの「Vibram Five Fingers」
一般的なランニングシューズを履いてきた方なら、「V-Run」を初めて手にすると、頼りなく感じるかもしれません。それほどに軽量で、その重量はW38(23.8cm)サイズで片足106g。さらにソールはもっとも厚い部分でさえ8.5mmのため、片手でも折りたためてしまうほど“ペラペラ”なのです。しかし、これこそが「Vibram Five Fingers」の大きな特徴。実際に走ってみると、シューズを履いていることを忘れてしまうほど軽く感じました。
片手で簡単に曲げられるほど薄いソール
また、ソールが薄い(=クッションに守られない)ため、着地の衝撃がダイレクトに足裏へ届きます。しかしその衝撃は、「足裏のどの場所で着地しているか」という感覚も含めたもの。そのため、しっかり足裏全体で地面をとらえ、そして蹴り出すまでの動作を、実際の走る感覚から身に付けていくことができるでしょう。慣れてくると、上下運動の少ないスムーズかつ効率的な走りに、自分のランニングフォームが変化していくのを感じました。
自分の走りを足裏から感じてランニングフォームの改善につなげていける
ランニング時のみならず、立ったり歩いたりしている状態でも、「今現在、自分の足裏はどこが地面に接しているのか」がわかります。たとえば、左右に重心がかたよっていれば、いっぽうの脚に大きな体重負荷を感じるでしょう。普段から履き続けることで、身体バランスも整っていきそうです。
初めて「V-Run」を履く方は、まずウォーキングなどから始めることをおすすめします。いきなり通常のトレーニングで使用すると、特にアキレス腱やふくらはぎなどバネまわりに大きな疲労を感じるかもしれません。
なぜなら前述のとおり、ソールが薄いことで着地衝撃を直接に近い状態で受け止めることになるから。これまでソールの厚いシューズに慣れてきた方は、この衝撃に耐えられるだけの筋力・機能が備わっていないことが多いのです。
しかし履きなれていけば、そうした疲労感はどんどん軽減されていきます。そして気が付けば、バネまわの筋肉が力強く引き締まっていることに気付くはず。これこそ、人が本来持っている脚の機能なのかもしれません。
「V-Run」を履き続けることで脚が強くなっていくはず
足の指がしっかり伸びて、開くようになった
また、筆者の場合は、足の指を握ったり開いたりする力も強くなったようです。これは、しっかり足裏で地面をつかむ走り方ができてきたからでしょう。まるでバレリーナのように、足の指先だけで立つこともできます。外反母趾などにお悩みの方も、その改善に役立つかもしれませんね。
「V-Run」は、かかとから足先までフィット感が高く、走っていてシューズ内で足が動くようなことがありません。もちろん、自分に合ったサイズを選ぶことが第一ですが、まさに足とシューズとが一体になって、素足で走っているような感覚を得られます。
やわらかな素材に小さく穴が開いており、通気性も抜群。夏場でも蒸れることなく、快適なランニングが楽しめそうです。つま先の先端は加工されているので、少し石などにつまづくようなことがあっても、ケガの心配はほとんどないでしょう。
シューレースの先端はマジックテープで本体にくっつくのでじゃまにならない
また、未舗装路など足場の悪い場所でも、フィッティングがしっかりしているので走りにくくはありません。ソールが薄いので石などを踏むと痛いのではと懸念しましたが、思ったほどではありませんでした。何kmも砂利道ばかりだと辛いかもしれませんが、一部だけ砂利道を通るような程度なら問題ないでしょう。むしろ、足裏へのほどよい刺激が、気持ちよく感じられるかもしれません。
多少の砂利道なら、足裏に石が当たっても痛くありません
ただしグリップは強くないので、雨天あるいは雨上がりのぬかるみなどは避けたほうがいいでしょう。山を走るという方は、トレイル用のシューズもありますので、最初からそちらを選んだほうが安心です。
身体のバランスやランニングフォーム改善、そして筋力・機能強化などが期待できる「V-Run」。これからのトレーニングシーズンには、まさにうってつけのシューズではないでしょうか。カラーバリエーションも豊富なので、ぜひお気に入りのデザインを見つけてお試しください。