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ピンの新作「G400ドライバー」 ヘッドはなんと445cc!

ピンゴルフジャパンは2017年7月11日、新製品「G400」シリーズを発表した。本シリーズは、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティー(ピンでは伝統的にハイブリッドと呼ぶ)、アイアンのフルラインアップ。ユーティリティーは、通常のウッド型のものと、同社がクロスオーバーと呼ぶアイアン型のものが用意される。メディア向けの発表会では弾道計測器「トラックマン」を備えた試打ブースも用意されており、新製品、特にドライバーの性能の一端を垣間(かいま)見ることができた!

新しいドライバーはカッパーがテーマカラーになった

新しいドライバーはカッパーがテーマカラーになった

1年半ぶりのモデルチェンジ

「前のモデルを超えるまで、新商品は世に出さない」
ピンは新製品を発表するたびにこのフレーズをアピールしてきた。このたび新商品G400
が登場したということは、この“約束”を守ったことだと理解していいだろう。

登壇したジョン・K・ソルハイム社長はピン創業者カーステン・ソルハイム氏の孫。発表会の数日前にカーステンさんの妻ルイーズさんが99歳で逝去し、スタッフは喪章を付けて来場者の対応にあたっていた

先代の「G」シリーズが発売されたのが2016年1月だから、およそ1年半のスパンで新シリーズに置き換わったことになる。1年に一度のモデルチェンジを行うメーカーもある中で、このスパンは現代の標準的といったところか。

G400シリーズがフルラインアップといっても、会場に集ったメディアの興味はドライバーに多く注がれた。同社のドライバーが非常に特徴的なのはゴルファーなら多くが知るところだ。

プレゼンテーションではライバル社製品との性能比較データも開示された…

プレゼンテーションではライバル社製品との性能比較データも開示された…

ピンのドライバー作りのブレないポリシー
「深重心」「低重心」「大慣性モーメント」

近年のピンのドライバーはどのモデルもコンセプトが一貫している。

・ヘッドの投影面積が大きく、構えたときに安心感がある
・近年のモデルではヘッドの重心の位置に一貫性がある
 フェースから重心位置が離れた「深重心」かつ重心の位置が低い「低重心」
・ヘッドの慣性モーメントが大きい

重心が深くなるとスイートエリア(フェース上のボールが最も飛ぶ部分)が大きくなり、重心が低くなるとボールのスピン量が抑えられることがわかっている。スピン量は多すぎても少なすぎても飛距離を出すことができないが、ピンのドライバーはどれも「低スピン傾向」を狙った設計だ。ゴルファーの多くが、自分のボールの速度に対してスピン量過多であり、ボールが前に行かず上に上がってしまうことを念頭に置いたものだ。逆にスピンが少なすぎるとボールの浮力が足りず、これまた飛距離が稼げない。スピン量が不足して困っているというアマチュアゴルファーは多くはないので、ピンのドライバーは今日まで徹底的に低スピン化を図ってきた。

慣性モーメントが大きいヘッドはスイング中にブレないという特徴がある。パターにたとえるとわかりやすいのだが、大きなパターは小さなパターよりも真っすぐ動きたがる。ピンはドライバーに非常に大きな慣性モーメントを与えることで、打点のミスにも軌道のブレにも寛容なのだ。

突出した慣性モーメントの大きさを誇るピンのドライバー

突出した慣性モーメントの大きさを誇るピンのドライバー

従来よりも"小型化"されたドライバー

これらの特徴はモデルが新しくなるたびに磨きがかかってきた。つまり今回もまた“ピン史上最もスピンが少ない”ドライバーが生まれたことになる。G400も前作Gシリーズ同様にヘッドのラインアップは3種類。スタンダードタイプの「G400ドライバー」、右へのミスを抑えた「G400SFテックドライバー」、さらにスピンを抑えた「G400LSテックドライバー」だ。

Gより約4%深重心に、約3%慣性モーメントが大きくなった。それだけ!? と思うかもしれないが、この数%を達成するためにエンジニアたちは日夜研究を重ねているのだ

そしてG400ドライバー最大の話題はヘッドサイズが445ccになったこと。ヘッドのサイズはルールで460ccが上限と定められてはいるが、同社のドライバーは業界屈指の“見た目の大きさ”を誇っていた。それだけにこの決断は画期的だ。

空気抵抗を減らす機構は前々作のG30から継承された

空気抵抗を減らす機構は前々作のG30から継承された

445ccという体積は現代ではあまり聞き慣れないが、このG400ドライバーと同じようなサイズ(445±5ccとして)のドライバーは、たとえば下記のようなものがある。

テーラーメイド M1 440ドライバー(440cc)
タイトリスト 917D3(440cc)
スリクソン Z765リミテッドモデル(440cc)
ヤマハ リミックス116ドライバー(445cc)
ブリヂストン ツアーB XD-7(445cc)
キャロウェイ XR PRO16ドライバー(450cc)

上に並んだモデル名を見て何か気付いた方はクラブマニアの資質アリ! そう、すべて“ツアーモデル”もしくは“プロモデル”としてくくられるドライバーなのである。もしくは、2種類あるうちの“ちっちゃいほう”。一般的にサイズの小さなドライバーは繊細なヘッドコントロールが必要で、ゴルファーにそれなりのスキルを要求するといわれる。ドライバーのヘッドサイズは460ccが定番となっている中、あえてすべてのモデルを445ccでリリースしたピンの狙いは何なのか?

小さい顔と心地よい打音を新たに備えた

「ピンのドライバーは飛ぶって聞いてるけど、音がちょっと…、顔もデカいしなぁ」
ゴルファーの間で定番の台詞(せりふ)だ。ピンの非常に大きなヘッドや金属質の打音をいまいち好きになれないゴルファーもいた。しかし今回のG400、そこを改善してきた。

ヘッドのサイズは前述の通り、従来の460ccから445ccに小型化。ヘッドが小さくなっても慣性モーメントは逆に大きくなっており、ミスに対する寛容性はキープ。このあたり“小型化最優先”として開発が進められた可能性がありそうだ。

Gドライバーを愛用する記者が構えてみると、明らかに小さくなったように感じた

Gドライバーを愛用する記者が構えてみると、明らかに小さくなったように感じた

そして打音。今作より新製法の鍛造フェースを採用し、やさしい音に変化している。ガキーンと響くGやその前のG30ドライバーの音とは明らかに異質のマイルドなサウンドに変化した。

新反発素材T9Sをフェースに採用。フォージド製法により柔らかな打音を実現した

新反発素材T9Sをフェースに採用。フォージド製法により柔らかな打音を実現した

ドライバーヘッドのカットサンプル。クラウン(上の部分)の厚さは約0.43mm。この薄さが低重心化につながる

ドライバーヘッドのカットサンプル。クラウン(上の部分)の厚さは約0.43mm。この薄さが低重心化につながる

いよいよ試打開始…
あれ? ピンってこんなにつかまった?

G400ドライバーの進化は上記以外にもまだあるのだが、百聞は一見にしかずということで記者も試打ブースに入り、実機を打つことができた

記者は「元調子」のシャフトが好み(むしろそれ以外はうまく打てない…)なので、その旨を伝えると「PING TOUR 173-65」というシャフトをすすめられた。ヘッドはスタンダードタイプのG400、ロフトは10.5度をチョイス。普段使っているGドライバーと比較するためだ。ウォームアップを済ませて計測器でデータを測る。おっ、なかなかいい感じ。打音が明らかにGよりも心地よい。ガキーン(G)からバシン(G400)というくらいの変化に感じた。数球打ってみたが、ほとんどが左回転のかかったドロー系のボール。自分のクラブでは軽いフェードがナイスショットだから、これは相当な違いだ。

スタンダードで打った数値。少しスピンが多いが飛距離はまずまず

スタンダードで打った数値。少しスピンが多いが飛距離はまずまず

スピンを抑えたG400 LSテックもテスト。スタンダードよりもつかまらないタイプなので右に飛んでいった。今使っているクラブとあまり変わらない

試打が終わるとこのようなシートがもらえる。打点が散らばっていてもおよそ30ヤードの範囲に球が集まっていた。試打会などで打った場合も同様のシートがもらえるので、行きつけの練習場などで試打会が開催されていたらぜひ参加して欲しい(試打会の日程等は未定だが、2017年の秋以降から始まると思われる)

G400ドライバーを打ってみると、ピンが考える小型化はつまり「ヘッド形状の最適化」を意味していることがよくわかった。見た目を小さく、しかし重心の位置や慣性モーメントは従来品をしのぐ。ヘッドを小さくしたことはつまり、ピンの特徴であるやさしさを損なわず、見た目をシャープにすることに成功したのだった。付け加えていうならば、小型化したことにより空気抵抗がさらに低減し、ヘッドスピードアップに寄与するらしい。

結論としてG400ドライバーのスタンダードタイプが記者にはぴったりだった。クラブ長が標準で45.75インチなので個人的には少し短くしてもいい。ピンのドライバーを食わず嫌いしているゴルファー、また、G30やGドライバーでドロー系のボールを打ちたいゴルファーはG400を試す価値が非常に大きいと感じた。従来の製品よりも慣性モーメントが少し大きくなっているが、ヘッドが小型化されたことでスイング中のフェースの向きがなんとなくだがわかりやすくなったと感じるのは記者の早とちりだろうか…。

G400ドライバー

ロフト角:9度/10.5度
ヘッド体積:445cc
ライ角:59度
総重量・バランス:約294g・D2(ALTA J CB・R・45.75インチ)

G400 SFテックドライバー

ロフト角:10度/12度
ヘッド体積:445cc
ライ角:59度
総重量・バランス:約291g・D0(ALTA J CB・R・45.75インチ)

G400 LSテックドライバー

ロフト角:8.5度/10度
ヘッド体積:445cc
ライ角:59度
総重量・バランス:約294g・D2(ALTA J CB・R・45.75インチ)

9番ウッドまで追加され、セッティングの幅が広がったFW

フェアウェイウッドの飛距離にも定評のあるピン。スタンダードタイプ(#3Wから#9まで)、SFテック(#3から#7まで)、それとストレッチ3という13度のドライビングスプーンがラインアップされている。スタンダードタイプが9番ウッドまでラインアップされたことで、アマチュアにとって悩ましい200ヤード前後の距離を打つ選択肢が増えたのは喜ばしい。

G400 フェアウェイウッド スタンダードタイプ

番手/ロフト角/ヘッド体積/ライ角/標準クラブ長

#3/14.5度/181cc/57度/43インチ
#5/17.5度/169cc/57.5度/42.5インチ
#7/20.5度/155cc/58度/42インチ
#9/23.5度/152cc/58.5度/41.5インチ

G400 SFテックフェアウェイウッド 

番手/ロフト角/ヘッド体積/ライ角/標準クラブ長
#3/16度/187cc/57.5度/43インチ
#5/19度/178cc/58度/42.5インチ
#7/22度/171cc/58.5度/42インチ

G400 ストレッチ3 フェアウェイウッド

番手/ロフト角/ヘッド体積/ライ角/標準クラブ長
#3/13度/193cc/57度/43インチ

高弾道でピンを狙えるハイブリッド

フェアウェイウッドもそうだが、フェースには薄くて高強度のマレージング鋼を採用。前作より約35%たわみがアップし、より高い球でピンを狙っていける。ソールの形状にも工夫がなされ、少々のダフりはものともしない。

G400 ハイブリッド

番手/ロフト角/ライ角/標準クラブ長(装着シャフトで異なる)
#2/17度/58度/40.75インチor40.25インチ
#3/19度/58.5度/40.25インチor39.75インチ
#4/22度/59度/39.75インチor39.25インチ
#5/26度/59.5度/39.25インチor38.75インチ
#6/30度/60度/38.75インチor38.25インチ

クロスオーバーはアイアンが得意な人にぴったり!

上記のようなハイブリッドが苦手な人に人気のアイアン型ユーティリティー、クロスオーバーもG400にラインアップされる。従来品よりロフトを1度立たせて高い球で狙えるようになった。アイアンが得意な人が長距離を楽に打てるクラブだ。

G400 クロスオーバー

番手/ロフト角/ライ角/標準クラブ長(装着シャフトで異なる)
#3/19度/60.1度/39.75インチor39.25インチ
#4/19度/60.7度/39.13インチor38.63インチ
#5/25度/61.3度/38.5インチor38インチ

シャープな顔で飛距離が出る“新感覚”アイアン

やさしさに定評のあるGアイアンの後継モデルとなったG400アイアン。ピン史上もっとも低くて深い重心設計のアイアンとなった。ロフトは7番で30度とストロング。それでいて顔は同社が発売してきたiシリーズに近いシャープな造形になった。飛ばなそうな顔だけれど打てば飛ぶのは新感覚。これは人気が出そうだ。

G400 アイアン

番手/ロフト角/ライ角/バウンス角/標準クラブ長(装着シャフトで異なる)
4I/20.5度/59.2度/5度/38.88インチ
5I/23.5度/60.1度/6度/38.25インチ
6I/26.5度/61.1度/7度/37.63インチ
7I/30度/62度/8度/37インチ
8I/34.5度/62.8度/9度/36.5インチ
9I/39.5度/63.5度/11度/度/36インチ
PW/44.5度/64.1度/12度/35.5インチ
UW/49.5度/64.1度/12度/35.5インチ
SW/54度/64.4度/13度/35.25インチ
LW/58度/64.6度/13度/35インチ

すべてのクラブのクラブ長、アイアンのロフト角やライ角はカスタムフィッティングにて個々に調整可能。

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飛ぶと話題の「G400ドライバー」を"4つのシャフト"で徹底試打(データ付き)

ゴルフ部員N(編集部)

ゴルフ部員N(編集部)

80台で回ったかと思えば、突然100打ったりするゴルフ部員。得意なクラブは強いて言えばミドルアイアン。苦手なドライバーとパッティングを安定させるべく、練習器具を漁る日々です。

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