南井正弘の「毎日走って、わかった!」
「ランナーズパルス」編集長・南井正弘のランニンググッズ連載

最速レビュー! アディダスが2時間切りのために作った最新シューズ

2017年に行われた日本最大規模のマラソン大会「東京マラソン2017」で、ケニアのウィルソン・キプサング選手が2時間3分58秒という日本国内最高記録を叩き出した。その際、同選手が履いていたのは、「adidas adiZERO SUB2(アディダス アディゼロ サブツー)」(以下、アディゼロ サブツー)というランニングシューズだ。同プロダクトは、前人未到のフルマラソン2時間切りのためにアディダスが開発。これまではキプサング選手のようなアディダスの契約アスリートのみに着用が許されていた。

そして来る2018年3月16日、ついに「アディゼロ サブツー」の一般発売がスタート。フリージャーナリストの南井正弘がその比類なきパフォーマンス性能をひと足先に体感した。

「アディゼロ サブツー」のメーカー希望価格は、19,440円(税込)

「アディゼロ サブツー」のメーカー希望価格は、19,440円(税込)

実は世界記録の裏にアディダスあり!

そもそも、意外と知られていないかもしれないが、直近3つの男子マラソンの世界記録は、アディダスのシューズを履いたアスリートにより生み出されている。

2008年 ハイレ・ゲブレセラシェ(エチオピア) 2時間3分59秒
2011年 パトリック・マカウ(ケニア) 2時間3分38秒
2014年 デニス・キメット(ケニア) 2時間2分57秒

いずれのレースも、フラットなコース設定で知られ、アディダスがオフィシャルサプライヤーを担当する「ベルリンマラソン」で達成されたが、その際に上記3人の選手が履いていたのは、海外では「adidas adiZERO Adios(アディダス アディゼロ アディオス)」と呼ばれるシューズ。これは、日本においては、「adidas adiZERO japan(アディダス アディゼロ ジャパン)」というモデル名で歴代モデルが市販されているプロダクトシリーズである。しかし、アディダスはこの現状に甘んじることなく、さらなるパフォーマンス性能を追求。その結果、フルマラソン2時間切りのために誕生したのが、「アディゼロ サブツー」である。

「アディゼロ ジャパン」シリーズの3代目モデル「adiZERO japan BOOST 3(アディゼロ ジャパン ブースト)

「アディゼロ ジャパン」シリーズの3代目モデル「adiZERO japan BOOST 3(アディゼロ ジャパン ブースト)

アディダスの最先端技術が満載!

まず、「アディゼロ サブツー」と従来のアディダスのプロダクトとの違いとして指摘されるのが、そのミッドソールだ。同社の従来のミッドソール素材「Boost(ブースト)」フォームは、衝撃吸収性、反発性、そして耐久性を高次元で確保することに成功していたが、「アディゼロ サブツー」に採用された新素材「BOOST Light(ブースト ライト)」は、同等のクッショニング性能をキープしつつ、軽量性が向上。トップアスリートの走力アップに貢献する。

「ブースト ライト」は、クッション性と反発性を両立する「ブースト」フォーム史上最軽量を実現した新素材。雲から着想を得たというこのマテリアルは、ホワイトとシルバーのマーブル模様が印象的だ

そのほかにも、かかとからつま先までワンピースとなった「マイクロウェブ アウトソール」は、タイヤメーカーの「コンチネンタル」製ラバーを使用し、レース時のコース条件に関係なく、高いグリップ性を発揮する。また、軽量な単一層のナイロンメッシュから構成されるアッパーは、つま先などの内部に補強パーツを配することで、足とシューズのフィット感、通気性、快適性を追求している。

従来モデル「ultra boost」などで使われていた「ストレッチウェブアウトソール」を改良したコンチネンタル製ラバーの「マイクロウェブアウトソール」を採用。ランナーの脚力を路面に無駄なく伝達してくれる

ラスト(足型)には、アディダスが開発した「マイクロフィット」ラストの新型を使用。つま先周りは、内部が補強されている

実際に走って各機能をチェック!

注目の「アディゼロ サブツー」をどこよりも早くレビューする機会に恵まれた

注目の「アディゼロ サブツー」をどこよりも早くレビューする機会に恵まれた

実際に履いてみると、まず感じるのはフィット感のよさ。筆者はランニングシューズでいつも選ぶサイズ「US8.0(日本サイズ26.0cm)」をセレクトしたが、足長、足幅ともにピッタリで、窮屈さもゆるさもなかった。極端に足幅の広いランナーは別として、多くのランナーは普段通りのサイズ選択で問題ないだろう。

次に感じたのは、その軽量性だ。男子フルマラソンの世界記録を更新してきた「アディゼロ ジャパン」の歴代モデルが200gを超えていたのに対し、このモデルは160g(27.0cm)。前述のようにフィット感が抜群なので、実際にはそれよりも軽く感じた。実測値では「アディゼロ サブツー」より軽量なアシックスの「ソーティ」シリーズと比較しても遜色ないレベルだ。立った状態では「ブースト」フォーム特有のフワフワした感覚はなく、ミッドソール部分の沈み込みはあまり感じられなかった。

走り始めると真っ先に気づいたのが、グリップ性の高さ。「コンチネンタル」製ラバーの「マイクロウェブアウトソール」は、アスファルトやコンクリートといったオンロードにおいて、これまでにないくらいのトラクション性能を発揮する。合成樹脂の硬質パーツを前足部に敷き詰めたタイプも高いグリップ性を提供するが、このタイプは濡れた路面では滑りやすく苦手とする。これに対して、「マイクロウェブアウトソール」は濡れた路面でもグリップ性を失わなかった。

そしてもっとも注目すべきなのが、ミッドソール「ブースト ライト」。6分/kmほどのゆっくりペースでは、従来の「ブースト」フォームよりも衝撃吸収や反発性能は感じられなかったが、すぐれた着地時の安定性と着地から蹴り出しまでのスムーズな動きを提供してくれた。そして徐々にスピードを上げていき、5分/kmほどになると、足裏を持ち上げるような比類なき反発性が感じられた。

さらに、筆者の走力ではフルマラソン2時間切りのペースで長距離は走れないので、それより速い15秒/100mのペースでダッシュを5回ほど繰り返してみた。「ブースト ライト」独自のミッドソールの沈み込みが少なく、素材が元の形状に素早く戻る特性により、今までにないようなエナジーリターンが感じられた。

【まとめ】前人未到の記録を破る1足に十分なり得る!

「アディゼロ サブツー」には、以上で説明した、抜群のエナジーリターンや軽量性、フィット性、アウトソールのグリップ性といった高いパフォーマンス性能が結集していることがわかった。“トップアスリートによるフルマラソン2時間切り”といったブレークスルーを達成するときに、大きな助けになることは想像に難くない。上級レベルのランナーは、勝負レースにぜひともセレクトしてほしい1足である。

いっぽうで、今回筆者が6km×5回の計30kmを走って感じたのは、「アディゼロ サブツー」はトップアスリートのために開発されたプロダクトではあるが、ハーフマラソンや10km、5kmといった距離であれば、幅広い層のランナーにも対応できるということだ。なぜなら、ミッドソールの厚さはナイキの「ズーム フライ」や「ズーム ヴェイパー フライ 4%」より薄いものの、一般的なフルマラソン2時間台ランナー用シューズであるアシックスの「ソーティ」シリーズや、ナイキの「ズーム ストリークLT」シリーズといったモデルよりもボリュームがあり、ある程度の衝撃吸収性も確保しているからだ。走った翌日の脚部への負担はそれほどでもなかったので、筆者もハーフマラソンまでの距離であればレースに使ってみたいと思った。

【連載記事】
[第1回]27km走って体感! ランニングシューズ新導入の「ナイキ リアクト」

南井正弘

南井正弘

ランニングギアの雑誌・ウェブメディア「Runners Pulse」の編集長。「Running Style」などの他媒体にも寄稿する。「楽しく走る!」をモットーにほぼ毎日走るファンランナー。フルマラソンのベストタイムは3時間52分00秒。

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