南井正弘の「毎日走って、わかった!」

250km走ってわかった! ナイキ「インヴィンシブル ラン」なら本気で怪我ゼロが目指せる

ナイキは、2020年に「ナイキ リアクト インフィニティ ラン フライニット」をリリースし、“ランナーの怪我を防いでランニングの継続をサポートする”ことに対し、これまで以上に注力している。

同モデルのアップデートバージョン「ナイキ リアクト インフィニティ ラン フライニット2」は2021年1月に発表されたが、ナイキは怪我防止サポート機能をさらなるレベルに高めたプロダクトを開発した。それが「ナイキ ズームX インヴィンシブル ラン フライニット」である。

「ナイキ ズームX インヴィンシブル ラン フライニット」の「ホワイト/サイバー/グレーフォグ/レーサーブルー」(品番:CT2228-101)。公式サイト価格は22,000円(税込)

「ナイキ ズームX インヴィンシブル ラン フライニット」の「ホワイト/サイバー/グレーフォグ/レーサーブルー」(品番:CT2228-101)。公式サイト価格は22,000円(税込)

本モデルは、「ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」や「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%」といったレーシングシューズでも実績のあるミッドソール素材「ナイキ ズームXフォーム」や、安定性を追求したヒール部分のデザインなど、先進のスペックを採用することでランナーの怪我の発生を減少させるという。今回は、そんな「ナイキ ズームX インヴィンシブル ラン フライニット」の実力を検証すべく、本連載でも最長レベルの計250kmを走ってみた。

【関連記事はこちら!】
「怪我ゼロ」を目指して開発したナイキの最新ランニングシューズを履いて走ってみた!
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「ナイキ ズームXフォーム」と超ワイドヒール形状を採用!

筆者は、2007年11月より、ほぼ毎日5〜6kmを走っている。「毎日走っていて怪我とかはないですか?」と聞かれることは多いが、距離がそれほど長くないし、5分20秒〜6分/kmほどとペースも速くないので、これまで軽い足底筋膜炎になったくらいで、大きな故障は経験していない。しかしながら、周囲のランナーには、走り過ぎて膝を痛めた人や、フォームに問題があって足首を故障して数か月走れないといった人も珍しくない。ちまたには、足の保護性が高いことをうたうプロダクトも存在していたが、故障したランナーたちに聞くと、「そういったシューズを履いてもあまり効果は感じられなかった……」という意見が多かった。

そのような状況を打破すべく登場したのが、「ナイキ リアクト インフィニティ ラン フライニット」であり、実際にトライしたランナー、特に故障明けのランナーからの評価は高かった。今回リリースされた「ナイキ ズームX インヴィンシブル ラン フライニット」は、まったく新しいスペックを採用した「怪我ゼロ」を目指すシューズで、正式発表以前から一部インフルエンサーがSNSに投稿していたことから日本でも注目を集めていた。

本モデルの根幹を成すのは、モデル名にも含まれるミッドソールマテリアルの「ナイキ ズームXフォーム」。ナイキのレーシングシューズでおなじみの高反発素材だ。この素材をふんだんに使用しつつ、ヒールの形状を超ワイドにしたことで、着地時の衝撃からランナーを保護し、安定性も確保。怪我の発生を最小限にするという。

ミッドソールには、ナイキ独自の素材の中で最も反発力にすぐれ、最も柔軟な「ナイキ ズーム X フォーム」を採用。そのほかのナイキのランニングシューズよりも、フォームのボリュームを多く使用している

ミッドソールには、ナイキ独自の素材の中で最も反発力にすぐれ、最も柔軟な「ナイキ ズーム X フォーム」を採用。そのほかのナイキのランニングシューズよりも、フォームのボリュームを多く使用している

着地時の安定性を高めるために、ヒール部分はかなりワイドにデザインされている

着地時の安定性を高めるために、ヒール部分はかなりワイドにデザインされている

実際に履いて走ってみた!

結果的に250kmも走ってしまったのには、理由があった……

結果的に250kmも走ってしまったのには、理由があった……

まず足を入れると、一連のナイキの厚底レーシングシューズでも経験したフワフワした感覚を足裏に感じる。しかしながら、本モデルにはカーボンファイバープレートは内蔵されていないので、自然と前進をうながすようなことはない。

アッパーには、通気性とフィット性を高次元で両立させたマテリアルを使用。長時間のランでも快適性をキープしてくれる

アッパーには、通気性とフィット性を高次元で両立させたマテリアルを使用。長時間のランでも快適性をキープしてくれる

実際に走り始めると、抜群の衝撃吸収反発性能を確保した「ナイキ ズームXフォーム」らしさを感じ、推進力は高レベルだが、自然とペースが速くなり過ぎるということもなく、スピードコントロールも容易。ミッドソールがかなり柔軟なので、安定性に若干の不安があったが、超幅広のヒールデザインにより、着地安定性も高レベルだった。

自分のようなサブ4レベルのランナーには、5分30秒/kmくらいが最も走りやすかったが、6分20秒/km程度で、ゆっくり走るのにも対応してくれた。反対に、速めのペースだとどんな走り心地になるかにも興味を持ち、強く踏み込んでペースを上げてみた。すると、「ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」でも感じた「バフォッ」という足裏の感覚とともに、身体をグイグイと力強く押し出してくれる感じでペースアップでき、あっという間に4分50秒/kmのペースに到達したように、ワイドなペースレンジに対応する。

かなりボリューミーなシルエットだが、その重量は265g(US8/26.0cm)と決して重くない。アッパーのフィット感がよいこともあって、体感ではもっと軽く感じられる

かなりボリューミーなシルエットだが、その重量は265g(US8/26.0cm)と決して重くない。アッパーのフィット感がよいこともあって、体感ではもっと軽く感じられる

ペースを上げて走った翌日は、普段なら脚部の随所に張りや痛みを感じたものだが、本モデルの場合はそれがなかった。ここまでの走行レビュー(合計30km)は自分が編集長を務める「Runners Pulse」でも紹介したが、本モデルの走り心地のよさに魅了され、走行距離は最終的にトータル250kmにまで及んだ。その中には、ゴルフをラウンドした翌日に若干腰痛のあった時、「名古屋シティマラソン」のハーフマラソンの部を走った翌々日の疲労感が残る状態も含まれる。そのような時でも、「この靴なら日課の6kmランは続けよう!」と思えたのは、それほど快適な走り心地だったからだ。もちろん、そのような状況で走った時も、走行後に身体に痛みが出ることはなかった。

【まとめ】デイリートレーナーとしてどこまで売れるかに注目!

以上のように、「ナイキ ズームX インヴィンシブル ラン フライニット」は、ランナーの怪我を防止することがかなり期待できる1足であると思う。「Runners Pulse」の走行レビューの締めは、「ペースを上げて走った翌日は、太ももやふくらはぎに張りを感じたものだが、この靴の場合はそれがない。怪我ゼロを目指した片鱗を見せた気がする」であったが、合計250kmという距離を実際に走ってみて、本モデルにおける足の保護性能の高さを十分に体感し、確認することができたと思う。

あえて「ナイキ ズームX インヴィンシブル ラン フライニット」に対する不安要素をあげるとすれば、その価格。ランナーの心理として、レース本番でこれまで以上のパフォーマンスを発揮してくれるシューズにお金を惜しまないことは、一連のナイキの厚底レーシングシューズが市民ランナーの間でも良好なセールスを記録したことで証明された。いっぽうで、デイリートレーナーと呼ぶべき日々のランに使用するシューズの購入価格は、なかなか上昇していないのも事実。そのような状況で、税込22,000円のシューズがどこまでセールスを伸ばすかは注目に値する。

個人的には、その機能性の高さを考慮すると十分に価格の価値はあると思う。また、アウトソールにフルレングスのラバーを配しており、耐摩耗性が高いので、長い付き合いができそうな点も購入の決め手になるかもしれない。

アウトソールは、ミニワッフルタイプを全面に敷き詰めたことで、グリップ性と耐摩耗性を両立。アスファルトやコンクリートといったオンロードはもちろんのこと、公園などの土の路面でも高いグリップ性を発揮してくれた

アウトソールは、ミニワッフルタイプを全面に敷き詰めたことで、グリップ性と耐摩耗性を両立。アスファルトやコンクリートといったオンロードはもちろんのこと、公園などの土の路面でも高いグリップ性を発揮してくれた

南井正弘

南井正弘

ランニングギアの雑誌・ウェブメディア「Runners Pulse」の編集長。「Running Style」などの他媒体にも寄稿する。「楽しく走る!」をモットーにほぼ毎日走るファンランナー。フルマラソンのベストタイムは3時間50分50秒。

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