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タイトリスト「T100」「T100S」は、技術がある人ほど“やさしい”アイアンだった

オグさんですっ! 今回は、タイトリスト「T100」「T100S」、2つのアイアンの試打レポートをお届けいたします!

タイトリスト「T100」(左)、「T100S」(右)

タイトリスト「T100」(左)、「T100S」(右)

Tシリーズは全部で5種類

Tシリーズアイアンは、2019年に誕生。さまざまなゴルファーのニーズに合わせてモデルごとに異なる性能を与えることで、どんなゴルファーに対しても理想に近い性能を追求したシリーズです。全部で5つのヘッドタイプが用意され、対象となるゴルファーに合わせて性能が異なります。

T100…狙ったところに正確にボールを運ぶ、番手ごとのキャリー性能を重視したモデル
T100S…T100の基本性能はそのままに、バランスよく飛距離性能を高めたモデル
T200…左右のバラつきを抑えて安定性を高めたモデル
T300…飛距離性能とミスへの強さの両立を狙ったモデル
T400…シリーズ中最も飛距離を追求しつつ、安定性も高めたモデル

今回のモデルチェンジでは「T400」を除く4モデルを一新。ツアープロや一般ユーザーの意見を取り入れながら、さらなる進化をしてきました。新しい素材と製造方法により、アイアンショットに求められるキャリー性能、左右のバラつき、弾道の高さを向上。加えて、フィーリング面もしっかりと磨いてきているようです。

それでは新しくなったT100とT100Sをそれぞれ見ていきましょう!

■T100 アイアン

シビアなコントロール性と寛容性を向上

ツアープレーヤーが求める性能はもちろん、見ためや打感など細部まで作り込んだモデル。高比重のタングステンウェートをトゥ・ヒールに組み込むことで、シビアなボールコントロール性能を維持しながらミスヒットに対する寛容性を大きく向上させています。

前作に比べてシンプルになったデザインは美しく、所有感を高めてくれます

前作に比べてシンプルになったデザインは美しく、所有感を高めてくれます

T100・#5

T100・#5

T100・#7

T100・#7

T100・#9この美しいヘッド形状は、ツアープレーヤーからのフィードバックに基づいて設計されたのだそう。シャープなトップライン、わずかなグースネック、短めのブレード長と、”芯に当てやすそうな”形になっています

T100・#9
この美しいヘッド形状は、ツアープレーヤーからのフィードバックに基づいて設計されたのだそう。シャープなトップライン、わずかなグースネック、短めのブレード長と、”芯に当てやすそうな”形になっています

3番から7番まで「SUP-10」というばね鋼をフェースに使用し、ヘッド内部にウェートを搭載。8番からウェッジまでは軟鉄製です。フィーリングと性能を両立するため素材を使い分けるという非常に凝ったモデルです

3番から7番まで「SUP-10」というばね鋼をフェースに使用し、ヘッド内部にウェートを搭載。8番からウェッジまでは軟鉄製です。フィーリングと性能を両立するため素材を使い分けるという非常に凝ったモデルです

ソールにはツアーからのフィードバックを元に設計された「ツアーデザインドソール」を採用。ボールをクリーンにとらえやすく、ヌケのよさを高めています

ソールにはツアーからのフィードバックを元に設計された「ツアーデザインドソール」を採用。ボールをクリーンにとらえやすく、ヌケのよさを高めています

ロフト角設定は7番で34°と、いわゆるクラシカルロフト設定。飛距離性能ではなく、ボールをコントロールすることに重きを置いた数値といえます(画像はタイトリストホームページより抜粋)

ロフト角設定は7番で34°と、いわゆるクラシカルロフト設定。飛距離性能ではなく、ボールをコントロールすることに重きを置いた数値といえます(画像はタイトリストホームページより抜粋)

タイトリストは「モダンツアーアイアン」と呼ぶ

新しいT100は、前作で好評だった部分はそのままに、打ち出し角度とバックスピン量をさらに適正化。イメージ通りの弾道で、より精密なキャリー性能を実現させています。そんなT100をタイトリストでは「モダンツアーアイアン」と呼んでいます。

シャフトにもしっかりとこだわりがあります。日本シャフトと共同でタイトリスト専用のスチールシャフト「NS PRO105T」を開発。先端から中間が素直にしなる仕様です。そのほか「NS PRO モーダス3 TOUR  115」をラインアップ

シャフトにもしっかりとこだわりがあります。日本シャフトと共同でタイトリスト専用のスチールシャフト「NS PRO105T」を開発。先端から中間が素直にしなる仕様です。そのほか「NS PRO モーダス3 TOUR  115」をラインアップ

デザインがシンプルになり、個人的にはとてもカッコよくなったなと思います! ヘッド形状はより洗練された印象で、いかにもアスリート向けアイアンといった雰囲気。見ためから感じるやさしさはありませんが、操作しやすそうな素直な形をしています。

まずは7番からドライバーでのヘッドスピード40m/s程度を意識して試打を開始。お借りしたクラブは「NS PRO 105T」装着モデルです。このシャフトは約110gと適度な重量があり、とても振りやすいですね。まさにクセがないといった印象。これぐらいのヘッドスピードでも十分使いこなせるため、日本の一般的な男性の多くにハマる重さに仕上がっています。

弾道については、高さが出てスピンもしっかり入った球が打てます。一定のエリアに安定してボールを運ぶことができますね。飛距離はさすがに出ませんが、飛ばすクラブではないので当然です。ボールのつかまりはニュートラルで、クラブの軌道通りにボールが飛んでいく印象。過剰な補正能力がないので、その日の体調に合わせてアジャストなどもしやすそうなクセのなさがイイですね!

操作性はアスリートアイアンとしては標準的。その分、打点のミスへの強さがあり、少々芯を外しても安定したキャリーが期待できます。

ヘッドスピードを高めると操作性がアップ

ヘッドスピードを43m/sぐらいまで高めてみると、操作性が高まり、コントロールの幅が広がった印象を受けました。ヘッドスピードが高まった分だけ、ボール初速とスピン量が高まるといった感じ。アイアンとして、クラブとして、素直な反応だと思います。こういった部分がタイトリストのいうツアープレーヤーが求める性能なのかなと感じた部分でした。

打感は、やわらかさの中にはじき感を感じる絶妙なもの。打音も乾いたよい音で、打っていて気持ちよかったです

打感は、やわらかさの中にはじき感を感じる絶妙なもの。打音も乾いたよい音で、打っていて気持ちよかったです

文句なしの打ち出し角と適切なスピン量で狙った距離にしっかりと届けるキャリー性能と、シビアなボールコントロールを可能にする性能を有しています。ヘッドスピードが少々低くても高いキャリー性能は落ちません。飛距離を求めなければある程度はボールコントロールできる懐の深さが、このアイアンにはありますね

文句なしの打ち出し角と適切なスピン量で狙った距離にしっかりと届けるキャリー性能と、シビアなボールコントロールを可能にする性能を有しています。ヘッドスピードが少々低くても高いキャリー性能は落ちません。飛距離を求めなければある程度はボールコントロールできる懐の深さが、このアイアンにはありますね

■T100S アイアン

精密な弾道性能に飛距離をプラス

T100の持つツアープレーヤーが求める性能や形状はそのままに、ロフト角を半番手ほど立てた設計により飛距離性能を高めたモデル。ロフト設定だけでなく、ボールの打ち出し角を高める専用のテクノロジーを搭載し、こちらも安定した飛距離性能を実現させています。

ぱっと見のデザインはT100とほぼ同じ。相違点はバックフェース中央にあるロゴに追加された“S”の文字と、バックフェースにちらっと見えるマッスルチャンネルの溝を埋めた樹脂が見えるところです

ぱっと見のデザインはT100とほぼ同じ。相違点はバックフェース中央にあるロゴに追加された“S”の文字と、バックフェースにちらっと見えるマッスルチャンネルの溝を埋めた樹脂が見えるところです

T100S・#5

T100S・#5

T100S・#7

T100S・#7

T100S・#9形状はT100と全く同じ。ロフト角設定が立っている分、T100Sのほうが長い番手の投影面積が小さくなるため、若干シャープに見えるかもしれません

T100S・#9
形状はT100と全く同じ。ロフト角設定が立っている分、T100Sのほうが長い番手の投影面積が小さくなるため、若干シャープに見えるかもしれません

フェース構造も基本的にはT100と同じ。フェースには3番から7番まで「SUP-10」というばね鋼を使用し、ヘッド内部にウェートを搭載。8番からウェッジまでは軟鉄です。ロフトは7番で32°。T100より2°立っています

フェース構造も基本的にはT100と同じ。フェースには3番から7番まで「SUP-10」というばね鋼を使用し、ヘッド内部にウェートを搭載。8番からウェッジまでは軟鉄です。ロフトは7番で32°。T100より2°立っています

ソール形状もT100と同じです。「ツアーデザインドソール」によってボールをクリーンにとらえやすく、ヌケのよさを高めています

ソール形状もT100と同じです。「ツアーデザインドソール」によってボールをクリーンにとらえやすく、ヌケのよさを高めています

T100より0.5番手くらい飛ぶ

「T100S」は、一般ユーザーからのフィードバックを元に生まれたモデル。精密な弾道を実現できる性能はそのままに、飛距離性能を少し高めてほしいという声があり、T100の基本性能を維持したままで飛距離性能を向上したわがままなモデルといえます。タイトリストではT100Sを「ファスターツアーアイアン」と呼んでいます。

T100SはT100よりもロフト角を立て、高いボール初速を生み出しています。しかしそれだけではボールの打ち出し角が低くなってしまい飛距離が出ないので、ヘッドの肉厚部分をさらに削り、その分の重量をトゥ・ヒールのウェートに振り分けることで、打ち出し角を高めることに成功したと言います。この合わせ技によって、飛距離性能を高めているのです。

実際打ってみるとT100と比べて0.5番手分ぐらい飛距離が伸びますね。これはヘッドスピードが40m/s前後でも43m/s前後でも同じでした。とはいえ40m/s以下になると長い番手でキャリーが出にくくなります。いくら飛距離性能を高めたモデルといっても、パワーがない方向けのモデルではないのでそこは注意が必要です。

スピン量は、T100と比べて若干ですが少なくなる傾向にあるので、元々スピンが少なめの方はT100か、もう少し高さが出やすく飛距離性能の高い「T200」がおすすめです。

<参考記事>
ヘッドは小さくミスには強く! タイトリスト「T200」の進化がスゴかった

T100とT100Sのシャフトラインアップはともにオリジナルの「NS PRO105T」と「NS PRO モーダス3 TOUR 115」の2本立てとなっています。105Tの重量は113g、対するモーダス3TOUR115はSで118.5gと、わずかに105Tが軽くなっています。

105Tがクセのないしなりなのに対して、115はややスピンを抑えた強い弾道が打ちやすい仕様になっていますので、パワーに自信がある方やヘッドスピードが速めの方は115を、少しやさしさを求めるなら105Tを選ぶとよいでしょう。

上がT100Sで下がT100。ロゴ以外の相違点はT100Sにあるマッスルチャンネルの溝(細長い台形状の部分)の有無です

上がT100Sで下がT100。ロゴ以外の相違点はT100Sにあるマッスルチャンネルの溝(細長い台形状の部分)の有無です

T100の弾道とできるだけ打ち方を変えずに打った弾道データです。打ち出し角が2°ほど低くなり、スピン量も若干減っています。その分、飛距離は5ヤードほど伸びていますね。アイアンが思ったほど飛ばないなんて方に、T100Sはいいですね!

T100の弾道とできるだけ打ち方を変えずに打った弾道データです。打ち出し角が2°ほど低くなり、スピン量も若干減っています。その分、飛距離は5ヤードほど伸びていますね。アイアンが思ったほど飛ばないなんて方に、T100Sはいいですね!

どちらが理想の弾道を打ちやすいか

Tシリーズのアイアンは前述の通り、しっかりとカテゴライズされて設計されています。それだけにT100、T100Sは誰でも使えるというわけではなく、それなりにボールが打てるゴルファーに対して”やさしさ”を発揮できるように設計されている印象を受けました。

T100、T100Sはどちらも、自分のイメージする弾道でグリーンを狙っていく意思と、ある程度の技術を持つゴルファーのためのモデル。どちらが自分の理想とする弾道を打ちやすいかで選ぶとよいと思います。

T100はセレクトストアモデルなので、T100Sを打ってみてボールが上がりにくいと感じつつ、飛距離性能も重視するならT200がおすすめです。

個人的には、アイアンに飛距離をあまり求めないのでT100がよかったですね。安定してキャリーが出てくれつつ、飛び過ぎないという点はある意味アイアンの理想だと思います。

小倉勇人

小倉勇人

ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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