南井正弘の「毎日走って、わかった!」

ニューバランスの大ヒットシューズ後継モデルはさらに“じゃじゃ馬”だった!

ニューバランスの「FuelCell(フューエルセル)」は、反発弾性にすぐれたミッドソールマテリアル。その高い推進力は、トップアスリートのみならず、一般ランナーからも高い評価を得ることに成功している。特にその素材を使ったランニングシューズ「FuelCell Rebel v2(フューエルセル レベル v2)」は、買いやすいプライスということもあり、ワールドワイドで大ヒット。ニューバランスのベストセラーのひとつとして君臨した。そんな大ヒットアイテムの後継モデルが登場。それが「FuelCell Rebel v3(フューエルセル レベル v3)」だ。

ニューバランス「フューエルセル レベル v3」の「グリーン」(品番:MFCXMM3)

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大ヒットした前作の機能性の高さを継承しつつ、細部のスペックを見直し

ニューバランスのミッドソールテクノロジーは、2種類に大別される。「FRESH FOAM(フレッシュフォーム)」と「フューエルセル」である。前者が衝撃吸収性を重視し、安定性も確保しているのに対し、後者は比類なき反発性により抜群の推進力を追求している。

先日リリースされた「フューエルセル レベル v3」は、世界中で大ヒットした前作の機能性の高さを継承しつつ、細部のスペックを見直すことで、より魅力的な1足に仕上がっている。

アッパーには、通気性にすぐれたニットアッパーを採用。ガセットタンとインナーサドルが足とシューズの一体化に貢献している。ミッドソールに目を移すと、「フューエルセル」のミッドソールは厚さと幅を増しており、フィット性にすぐれたアッパーと連動することで、スムーズな足運びを実現している。フラットなパターンのアウトソールは、アスファルトやコンクリートといった舗装路で最高のグリップ性を発揮してくれる。

部位によってパターンを変えたニットアッパーを採用。フィット感と通気性を高いレベルで両立している

部位によってパターンを変えたニットアッパーを採用。フィット感と通気性を高いレベルで両立している

反発弾性にすぐれた「フューエルセル」のミッドソール。前作と比較して厚さと幅を増やすことで、推進力をさらに向上させている

反発弾性にすぐれた「フューエルセル」のミッドソール。前作と比較して厚さと幅を増やすことで、推進力をさらに向上させている

アウトソールは、刻みの浅いフラットなタイプ。アスファルトやコンクリートといった舗装路で、最高のグリップ性を発揮してくれる

アウトソールは、刻みの浅いフラットなタイプ。アスファルトやコンクリートといった舗装路で、最高のグリップ性を発揮してくれる

US8(26.0cm)で196gという重量は、この種のトレーニングモデルとしてはかなり軽量な部類に入る

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学生にたとえたら、一芸に秀でた“個性派な生徒”

「フューエルセル レベル v3」を実際に履いて走ってみた!

「フューエルセル レベル v3」を実際に履いて走ってみた!

前作「フューエルセル レベル v2」は、その跳ねるような反発性から生まれる推進力に魅せられ、普段のランニングはもちろんのこと、2021年の「名古屋シティマラソン」のハーフマラソンでも履くほど、ヘビーローテーションで使用する1足だった。今回リリースされた「フューエルセル レベル v3」は、筆者より先に履いて走ったランナーから「『v2』よりも推進力がアップしていますよ!」と聞いていたので、トライするのが楽しみだった。

まず手に持ってみると、かなり軽い。デジタルスケールで測ると、サイズUS8(26.0cm)で196gなので、レーシングシューズ以外では最軽量の部類に入る。足を入れると前足部は多少スリムな気がした。今回はDウィズ(足囲)を選んだが、前作のDウィズよりも若干タイトな気がしたので、気になる人は2Eという幅広のラスト(木型)のモデルを選んだほうがよさそうだ。

実際に走り始めると、「フューエルセル」のミッドソールはかなりやわらかく、大きく沈み込んで、元の形状に素早く戻ろうとすることで、前方への推進力となった。スムーズにペースを上げられるいっぽうで、着地安定性に関しては、「880」を始めとしたニューバランスのもうひとつのミッドソール素材「フレッシュフォーム」を採用したプロダクトに軍配があがる。学生にたとえると、「フレッシュフォーム」搭載シューズがトータルバランスにすぐれた“優等生タイプ”だとしたら、こちらは一芸に秀でた“個性派な生徒”といった感じか。「これでもか!」というほど跳ねるため、“じゃじゃ馬”を乗りこなす感覚で歩を進め、日課の6kmランを終えた。

本モデルは、走っていて楽しくなる1足だ。個人的には、「860」や「880」といった「フレッシュフォーム」搭載シューズをメインに使用しつつ、ペースを上げて走りたい日は本モデルをセレクトするといった用途がピッタリだと思った。前作「フューエルセル レベル v2」から反発力がかなり増している分、ミッドソールの変形も大きくなっているので、最初のうちは戸惑いを感じるかもしれないが、筆者は3回目の使用時には気にならなくなっていた。

買いやすい価格で、弾むような推進力のシューズが欲しいランナーへ

以上のように、「フューエルセル レベル v3」は、前作「フューエルセル レベル v2」から反発力が大きく向上し、推進力もアップ。その分、扱いやすさは前作に譲るが、「より速く走りたい!」というランナーや、「買いやすい価格で弾むような推進力のシューズが欲しい!」と思っていたランナーにはピッタリな存在だと思う。プライスに関しては、昨今の円安や資材のコスト高もあり、前作より1,650円アップの14,850円(税込)に設定されているが、その走行性能の高さを考えれば決して高くない。

ひとつ気になるのは、前作ではアッパーの前方が裂けるということが一部のランナーに発生した点。実際に筆者の知り合いも経験したという。今回のアッパーデザインや構造を考慮すると、同種のトラブルは起きにくいと思うので、そのあたりは安心して購入を検討してほしい。

南井正弘
Writer
南井正弘
1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年間勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆しており、ランニングギアマガジンやランニング全般のポータルサイト「Runners Pulse」の編集長も務めている。
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牧野裕幸(編集部)
Editor
牧野裕幸(編集部)
アイテム情報誌「GetNavi」や映像エンタメ情報誌「DVD&Blu-rayでーた」(当時)の編集者を経て「価格.comマガジン」へ。スティック&ロボット掃除機、コーヒーメーカー、扇風機、電動歯ブラシ、電気ケトルなどの白物家電のほか、AV機器や加熱式タバコを担当しています。LOVE, LINKIN PARK.
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