日頃の運動不足を解消するため、新生活スタートのタイミングでウォーキングやジョギングを始めようと決意している人は少なくないはずだ。そして、いざウォーキングやジョギングをスタートするときは、ウェアはともかく、シューズはしっかりと選びたいところ。スニーカーなら何でもいいというわけではないのだ。たとえば、バスケットボールシューズやテニスシューズがベースのスニーカーは、ウォーキングやランニング用に設計されているものではないため、専用のものと比べれば足の負担は大きくなるし、快適性は劣る。
特に運動が習慣化されるまでは、継続を妨げる要因になる不要な足の痛み、運動中の不快感は極力減らすべき。だからこそ、シューズは高機能なものを選びたい。
しかし「継続できる自信がない運動のために高機能シューズを買うのはハードルが高い」「タウンユースしにくいデザインのランニングシューズはコスパが悪い」と考える人も多いはず。そんな人におすすめしたいのが、今回紹介するブルックスの「ゴーストマックス」だ。
ブルックスの新定番になりそうな「ゴーストマックス(Ghost MAX)」(品番:BRW3952)。公式サイト価格は19,800円(税込)。写真はメンズの「ホワイト」
ブルックスは1914年にアメリカで創業した老舗ランニングシューズブランドだ(ちなみに2024年は110周年のアニバーサリーイヤー!)。おひざ元のアメリカでは非常に人気があり、アメリカのランニング専門店ではトップシェア(2022年8月〜2023年8月)。また、同社の過去最高売り上げを2年連続で更新中でもある。
ブルックスには「ゴースト」という人気定番モデルがあるが、「ゴーストマックス」は、その厚底バージョンという位置付けだ。ミッドソール素材に採用されているのは「ゴースト 15」と同じく、独自のクッション素材「DNA LOFT v2」。ミッドソールは「ゴースト 15」よりも厚いので、その分、接地はソフトで、クッション感を強く感じられる。
ちなみに、「DNA LOFT v2」はEVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)にラバーを加え、エアで発泡させた素材。衝撃吸収性にすぐれているだけでなく、耐久性が高く、へたりにくいという特徴がある。長く履き続けていても、クッション感が持続するというわけだ。
クッション性にすぐれたシューズに対し、「グラグラする」「フワフワ感は心地よいけど長時間履くと疲れる」といった印象を持っている人もいるかもしれないが、「ゴーストマックス」はその点も十分に配慮され、底面が幅広く設計されている。その分、広い面積のラバーアウトソールがしっかりと地面をとらえてくれるので、安定した足運びが可能だ。
独自のクッショニング素材「DNA LOFT v2」を大ボリュームでミッドソールに搭載。高いクッション性が魅力だ
横幅が広く、接地面積が大きいため、安定性も十分。走行中、グラつきやブレは感じない
かかと部と前足部の高低差、いわゆるドロップは6mm。ちなみに、一般的なランニングシューズは10mm前後の場合が多く、同社の「ゴースト15」は12mmなので、本モデルはマイルドな乗り心地を目指した設計と言える。
そして、「ゴーストマックス」には「グライドロールロッカー」という独自構造が採用されている。かかとから爪先にかけて、ロッキングチェアの脚のようなカーブを描いており、着地から蹴り出しまでのスムーズな体重移動をサポートしてくれるわけだ。
そのロッカー構造もドロップと同じくマイルドで、推進力やスピード感よりも快適さ、心地よさを重視して作られたような印象を受ける。ランニングやジョギングだけでなく、ウォーキングやタウンユース、通勤・通学時の着用も想定されているのだと思われる。
実際、この「グライドロールロッカー」とクッション性の高さのおかげで、ウォーキングもジョギングもとても快適に行える。転がるように自然と足が前に出るし、接地はソフト。安定性も十分だ。
「グライドロールロッカー」構造の効果で、転がるように足が前に出る。歩くときも走るときも快適
「ゴーストマックス」のもうひとつの魅力が、タウンユースしやすいデザイン。筆者も日常使いで愛用しているが、スニーカーが好きな方には「ゴーストマックス」をカッコいいと思う気持ちに共感してもらえるのではないかと思っている。シューズの横幅がゆったりとした設計なので、長時間着用していても余計なストレスはない。アッパーもソフトで足なじみがいい。
筆者の私物は2023年に発売された「ホワイト」だが、ビジネスシーンでも活用しやすい「ブラック」も用意されている。今シーズンのニューカラー「ホワイト/サンド」はタウンユースでも人気を得そうなカラーリングだ。
ウォーキングやジョギングをしようとは思っていなくても、スニーカーの着用がOKなオフィスワーカーで、通勤や仕事中の移動を快適にしたいという人は、ぜひ1度「ゴーストマックス」に足を入れてみてほしい。
前足部にゆとりのある設計なので日常使いしやすい
履き口もソフトで足首周りにやさしくフィットする
シンプルでタウンユースしやすいデザインがうれしい
「ゴーストマックス」はウォーキングやタウンユースを意識した設計・デザインではあるものの、ランニングシューズとしても優秀。ブランドの顔である「ゴースト」の名に恥じないクオリティーだと言える。
スピードを意識したレーシングモデルではないが、4分半〜5分/kmくらいのスピードには問題なく対応する印象。そして、本領を発揮するのはゆっくりと長時間、長距離のランニングをするときだろう。
クッション性と安定性のバランスがよいので足への負担が小さく、マイルドなロッカー構造のおかげで無理なく自然に足が前に出るし、蹴り出し時に母指球から足が上手く抜けてくれる感覚がある。長い距離を走るトレーニングをするときや、レースや強度の高い練習後のリカバリージョグなどに適していそうだ。
ブルックスの看板モデル「ゴースト」を厚底仕様にした「ゴーストマックス」。元々クッション性に定評があった「ゴースト」よりも、さらにクッション性が高く、ソールの横幅を広げたことで安定性も確保している。ウォーキングもジョギングも快適に行え、タウンユースにも適したルックスと機能性を備えている。旅行や出張を含め、さまざまなシーンで活用でき、日々の活動量を増やしてくれるシューズだと言えるだろう。日常を少しアクティブにしたい人にぜひ試してもらいたい一足だ。