長時間のデスクワークや立ち仕事、または新幹線や飛行機、自動車での長距離移動の際、脚がむくんだ経験がある人は多いのではないだろうか。もちろん、ランニングやウォーキング、ジムでのワークアウトの後、筋肉痛に悩まされたことがある人もたくさんいるはずだ。
デスクワークや移動が長時間に及ぶ場合は、途中でこまめに身体を動かすことが望ましいが、それが難しいときもある。強度の高い運動の後は、軽いジョギングやウォーキング、入浴などで血流をうながすのが一般的なリカバリー方法だが、これも入念にやるとなると、少々骨が折れると感じる人もいるだろう。
そんなむくみ対策やリカバリーを助けてくれる強い味方を紹介しよう。ゴールドウインの「コンプレッションカーフスリーブ」だ。
一般医療機器「弾性ストッキング」に当たる、段階着圧設計を採用したゴールドウイン「コンプレッションカーフスリーブ」。公式サイト価格は5,500円(税込)
今回試した「コンプレッションカーフスリーブ」は、2022年秋に3年ぶりにリニューアルを果たした、新技術・新素材を採用したモデルなのだが、実は筆者はかなり前からこのシリーズの「カーフスリーブ」を愛用している。
原点は、2009年にスタートした「シースリーフィット(C3fit)」ブランドで展開されていた「パフォーマンスゲイター」。同ブランドは2019年にゴールドウインと統合されて現在に至っているのだが、筆者は「シースリーフィット」時代の初期から、「カーフスリーブ」タイプのコンプレッション(着圧)タイツを使い続けている。
コンプレッション系のタイツやウェアは数多くあるが、ゴールドウインの「コンプレッションカーフスリーブ」の大きな特徴は、一般医療機器「弾性ストッキング」であること。ちなみに一般医療機器とは、以下のように定められている。
・構造や効能、性能が明確に示されているもので、「疾病の診断、治療もしくは予防に使用されること」あるいは「身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすこと」のどちらかの目的に該当し、かつ政令で定められたもの。
つまり、効果に裏付けがある機器ということだ。
そして一般医療器「弾性ストッキング」はというと、
・四肢の静脈血やリンパ液のうっ滞を軽減または予防するなど、静脈還流の促進を目的に使用される医療用の弾性ストッキングなど(腕用の弾性スリーブも含む)である。末梢から中枢に向かい漸減的に圧迫を加える機能を有する。
と定義されている。平たく言えば、むくみ軽減、血行促進効果を持っているということだ。一般医療機器には、製造だけでなく、管理にも特別なルールが課せられるが、ユーザーにとってはそれだけ機能が信頼できるプロダクトだとも言える。
一般医療機器ゆえに管理にもルールが設けられている。開封したものを販売できないのもそのひとつ
「シースリーフィット」時代の「パフォーマンスゲイター」(当時の商品も一般医療機器「弾性ストッキング」)を使い始めたときは、日常的に使っていたわけではなく、飛行機や新幹線で長時間移動するときにだけ着用するようにしていた。しかも、効果を強く実感していたというよりは、何となくお守りのような感覚で身につけていた。
そして、とある海外出張で片道10時間以上飛行機に乗るというときに、うっかり持っていくのを忘れてしまったことがあった。お守り感覚だったので、まあ大丈夫だろうと思っていたのだが、飛行機を降りる際に“事件”が起こった。シューズ内がムレるのが嫌で、機内ではスリッパに履き替えていたのだが、いざ降りようとしたときに、足がむくんでいて靴が履けなかったのである。
それまで、日常で足がむくむ経験がなかったので、正直“むくみ”は他人事だったのだが、筆者はお守りに守られていただけだったのだ。(ちなみに帰りの飛行機では2〜3時間に1回は席を立って軽く脚を動かし、むくみを必死に回避した)。
以来、「弾性ストッキング」は出張や旅行時のマストアイテムとなっている(今回テストした新しい「コンプレッションカーフスリーブ」は、我が家の3代目)。
今回、自宅でのデスクワーク中にしばらく着用してみたが、PCで1日中原稿を書くような日の脚のだるさや、身体に感じる運動不足感が軽減されたように感じた(もちろん余裕があるときは「コンプレッションカーフスリーブ」の着用に加えて、軽く身体を動かしたいところ)。
また、ランニングをしたときは、シャワーを浴びた後に「コンプレッションカーフスリーブ」を着用するようにしてみた。これについては、着用の効果を強く感じたわけではないが(フルマラソンぐらいの距離を走ったら感じたかもしれない)、着用は手間ではないし、今後も習慣にしていけたらと思っている。
長時間のデスクワーク、立ち仕事、長距離移動時などのむくみ予防に!
血行促進によるリカバリーのサポートに期待して、運動後のストレッチ時などに着用するのもおすすめ
リニューアル前のモデルは、縫い目に特殊なテープを貼って肌面をフラットに仕上げるスマートシーム加工という技術が採用されていた。リニューアル後のモデルに採用されたのはオーバーラップ接着という技術。糸を使わない無縫製仕様のため、肌に縫い目の跡が残る、縫い目のスレで痛みを感じるといったことが起こらない。また、スマートシーム加工では縫い目の厚みが1.52mmだったものが、オーバーラップ接着の接着剤の厚みは1.15mmとよりフラットに近づいている。実際に着用していて、脇接ぎ部分が気になることはなかった。敏感肌の人も安心して使えるはずだ。
「コンプレッションカーフスリーブ」のメイン素材はナイロン。肌なじみがよく、しっとりとした心地よい肌触りが魅力なのだが、今回のリニューアルでナイロンが一部リサイクル素材に変更されている。
また、Made in Japanなのもうれしいポイント。編み立ては富山、染色は群馬、接着は長崎で行われていという。
こちらは裏面。脇接ぎ部分はオーバーラップ接着による無縫製仕様だ
はき口はメッシュゴム仕様。やさしくフィットしながら、運動時のずり落ちを軽減する
付属のポーチにコンパクトに収納できる
「コンプレッションカーフスリーブ」は、個人差はあると思うが、むくみ予防についてはかなり期待ができるアイテムということがわかった。長時間のデスクワークや立ち仕事で脚のむくみに悩んでいる人は、ぜひ試してみてほしい。
また、強度の高い運動をしたときや長時間活動した際のリカバリーもサポートしてくれるだろう。血液を全身に送り出すのは心臓の役割だが、脚に送られた血液が心臓に戻るためには、重力に逆らう必要がある。そこで重要になるのが、「ミルキングアクション」とも呼ばれる筋ポンプ運動。ふくらはぎを中心とした脚の筋肉によるポンプ作用によって、血管が圧迫され、心臓に戻る血液がスムーズに流れるのだ。これが、ふくらはぎが第二の心臓と呼ばれる理由だ。そう、つまり「コンプレッションカーフスリーブ」はこの筋ポンプ運動を助けてくれるのだ。加齢とともにリカバリー力の低下を感じている人にもおすすめしたい。