レビュー

シリーズ史上最厚ソール! 厚底の“ありがち”を払拭したナイキ「ボメロ 18」に驚いた

ランニングを始めようと思っているけれど、継続できるか不安がある。だから、ウォーキングにもランニングにも使えて、タウンユースも兼ねられるシューズが欲しい――。そんな人に紹介したいのが、「ナイキ ボメロ 18」だ。

ナイキ「ナイキ ボメロ 18」。公式サイト価格は16,500円。写真のカラーは「ホワイト/エレクトリックグリーン/ボルト/ブラック」

ナイキ「ナイキ ボメロ 18」。公式サイト価格は16,500円。写真のカラーは「ホワイト/エレクトリックグリーン/ボルト/ブラック」

ナイキのロード用ランニングシューズは、これまで用途やレベルに合わせて多くのモデルが展開されていたが、この度、「ペガサス」「ボメロ」「ストラクチャー」という3つのシリーズに再編成されることになった(レーシングモデルを除く)。いずれもランナーが最も重要視するポイントであるクッショニング性能にこだわっているが、それぞれに特徴が異なっている。「ペガサス」は反発性のあるクッショニング、「ボメロ」は最高レベルのクッショニング、「ストラクチャー」はサポート性のあるクッショニングを追求したシリーズだ。

「ボメロ」最新作はシリーズ史上最高のクッション性を実現

「ボメロ」シリーズの新作として2025年2月27日に発売された「ナイキ ボメロ 18」(以下、「ボメロ 18」)は、シリーズ史上最高のクッション性を備えたシューズとして登場した。スタックハイト(ソールの厚さ)は、かかと部が46mmで前足部が36mm。前作よりも6mm厚く、シリーズ史上最厚となっている。一般的なカーボンプレートを搭載した厚底のレーシングモデルは、かかと部の厚さが40mmほど。それらと比較しても5mm以上厚い「ボメロ 18」は、超厚底モデルと言えるかもしれない。

ソール厚はボメロ史上最厚。かかと部は46mm

ソール厚はボメロ史上最厚。かかと部は46mm

ミッドソールは、「ズームX フォーム」と「リアクトX フォーム」の2層構造。ミッドソールのトップ部分(足裏のすぐ下)に前者が、ボトム部分に後者が採用されている。ちなみに前作「ナイキ ボメロ 17」は、「ズームX フォーム」と「クシュロン3.0フォーム」を組み合わせたものだった。

「ズームX フォーム」は、ナイキのトップレーシングモデルにも採用されている軽量で反発性にすぐれた素材。いっぽうの「リアクトX フォーム」は、従来の「リアクト フォーム」と比べてエネルギーリターンが13%高く、製造時の炭素排出量が43%低い素材。「ナイキ ペガサス 41」などにも使われているが、「ボメロ」シリーズに採用されるのは今回が初めてとなる。

ミッドソールのトップに「ズームX フォーム」、ボトムに「リアクトX フォーム」を採用

ミッドソールのトップに「ズームX フォーム」、ボトムに「リアクトX フォーム」を採用

曲線を巧みに使った個性的なデザイン

女性ランナーの意見を積極的に聞きながら、すべてのジェンダーのランナーに向けて作られたという「ボメロ 18」は、機能性の高さはもちろんのこと、デザインも魅力のひとつになっている。曲線を巧みに使った大胆なシルエットは、ランナーのフォームを美しく引き立てるだけでなく、タウンユース時にも足元のよいアクセントとなってくれそうだ。

アッパーにはソフトでストレッチ性にすぐれたエンジニアードメッシュを採用。足に心地よくフィットする。

曲線を巧みに使ったデザイン。メンズカラーではよりタウンユースしやすい「サミットホワイト/ココナッツミルク/ココナッツミルク/ブラック」というカラーも展開されている

曲線を巧みに使ったデザイン。メンズカラーではよりタウンユースしやすい「サミットホワイト/ココナッツミルク/ココナッツミルク/ブラック」というカラーも展開されている

通気性にすぐれたエンジニアードメッシュ製のアッパー

通気性にすぐれたエンジニアードメッシュ製のアッパー

際立つのは安定感。安心して足を任せられる

足を入れて真っ先に感じるのは、ソフトなクッション感。これはミッドソールのトップに位置する「ズームX フォーム」の効果だと思われる。

シリーズ史上最もソールが厚く、シリーズ史上最高のクッション性を謳っている「ボメロ 18」。クッション性を強調したフカフカとしたライド感を想像していたのだが、その予想はよい意味で裏切られた。着地時にほどよいクッション性は感じるものの、深く沈み込むような感覚はなく、ハイクッションモデルにありがちな、ブレも感じない。クッション性と安定性のバランスがとれた快適なライド感が得られた。

底面積の広さ、アウトソールのグリップ力の高さも安定性に貢献している

底面積の広さ、アウトソールのグリップ力の高さも安定性に貢献している

また、かかとからつま先までのスムーズな重心移動を可能にする、ロッキングチェアの脚のようなカーブ構造を採用されている効果もあり、着地から蹴り出しまでのスムーズな重心移動が行える感覚がある。本作が目指したという、一般ランナーからエリートまですべてのランナーに快適なライド感を提供することは十分に達成されているだろう。

クッション性にフォーカスしたハイクッションモデルは、着地衝撃をしっかりと緩衝してくれ、アスファルトの硬さを感じないソフトな接地感を体感させてくれるものの、安定性に欠ける部分もある。着地時のブレやぐらつきが長時間に及ぶと、膝や腰の負担を大きくしてしまう。ウォーキングやランニングをする際に膝が痛くなると、よりクッション性の高いシューズを選ぼうと思いがちだが、その原因はシューズの安定性不足にあることも多いので注意したい(もちろん筋力不足や柔軟性不足が原因なこともある)。

その点、「ボメロ 18」は十分な安定性があり、のんびりしたジョギングやウォーキングにも適している。

ソールはロッキングチェアの脚のようなカーブ構造になっている

ソールはロッキングチェアの脚のようなカーブ構造になっている

【まとめ】汎用性が高く、コスパ感もいい! 多くの人におすすめできる一足

「ボメロ 18」は着地衝撃を緩衝するクッション性にすぐれながら、安定性とのバランスもよく、これからランニングを始めようとする人の最初の一足に、とても適したモデル。そしてウォーキングにもマッチする機能を備え、タウンユースもしやすい。もちろん、日々のランニングに高いクッション性を求めるランナーのジョグシューズとして、レース後のリカバリーラン用のシューズとしても最適だ。

汎用性が高く、幅広いシーンで活躍してくれるであろう本作だが、価格が抑えられている点も大きな魅力。近年、最新の機能を備えたランニングシューズは、レーシングシューズなら3万円、ジョギング用モデルなら2万円を超えることが少なくない。16,500円(税込)の「ボメロ 18」は、かなりお買い得なモデルと言えるだろう。

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神津文人
Writer
神津文人
雑誌編集者(3媒体でトータル15年。モノ雑誌では副編集長を務める)を経て、フリーランスのライター&エディターに。ヘルス&フィットネス、スポーツ領域を中心に活動中。書籍の構成も手掛ける。趣味は柔術。ときどきランニング。
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岡田 太(編集部)
Editor
岡田 太(編集部)
雑誌とWebでファッション/ライフスタイル系メディアの編集長を務め、「価格.comマガジン」へ。被服費&趣味関連の散財でクレジットカードを使い倒してきた経験を生かし、現在はクレカを中心としたマネー記事を担当。
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