「クラウドサーファー(Cloudsurfer)」といえば、Onの創業モデルであり、長きにわたり同ブランドを代表する一足として知られてきた。そんなロングセラーも、2020年代に入るとその構造の古さを指摘され、存在感の薄いモデルとなってしまったことから、2023年にフルモデルチェンジ。既存の「クラウドテック(CloudTec)」のスペックを捨て、まったく新しいモデルへと生まれ変わった。それから2年、さらなる進化を遂げて2代目モデルである「クラウドサーファー 2」がリリースされた。
On「クラウドサーファー 2」。公式サイト価格は、20,900円(税込)
初代「クラウドサーファー」に採用されていた、ラバーアウトソールに空洞を設けたオリジナルデザインの「クラウドテック」は、「リバウンドラバー」と呼ばれ、Onのテクノロジーを象徴する存在だった。視覚的にも大きな特徴だったが、2023年に、よりいっそうスムーズな着地から蹴り出しを実現した「クラウドテック フェーズ(CloudTec Phase)」を採用するなどフルモデルチェンジ。ソフトな接地感のまったく新しいタイプのランニングシューズへと生まれ変わった。
そして今春、第2弾として「クラウドサーファー 2」が登場。「クラウドテック フェーズ」を改良したことで、より滑らかなライド感をランナーに提供し、有限要素解析(FEA)を活用してミッドソールを最適化。軽量ながら耐久性の高い設計で、かつてないほどスムーズな重心移動を実現している。
アウトソールも有限要素解析を駆使して改良。パッドに厚みを持たせてソールパターンの孔を小さくしたことにより、耐久性と走り心地のスムーズさが向上した。さらにアッパーも再設計し、前作よりも通気性の高いメッシュ構造を採用したことで、長時間のランニング時でも快適な履き心地をキープしてくれる。
前作よりも通気性の高いメッシュ構造を採用し、長時間のランニング時でも快適な履き心地をキープ
「クラウドテック フェーズ」を改良し、有限要素解析を活用することでミッドソールを最適化。かつてないほどスムーズな重心移動を実現している
アウトソールはパッドに厚みを持たせつつ、ソールパターンの孔を小さくしている。個人的にはこれまで履いてきたOnのシューズで最もグリップ性が高いと思う
まず足を入れると、アッパーのフィット感と軽さを感じる。そして立っている状態で、前作よりもミッドソール素材の硬度が高いことがわかった。走り始めると、「クラウドテック フェーズ」独自の着地から蹴り出しまでのスムーズな動きがうれしい。前足部の足裏感覚もかなりあるので、蹴り出しのタイミングも取りやすい。ミッドソールが硬くなったことで、ランナーの意思に前作よりもクイックに反応してくれるシューズとなっているのだ。
ランニングシューズの専門家が試走レビュー
そして特筆すべきはアウトソールのグリップ性の高さ。個人的には、これまで履いてきたOnのシューズで随一かと。「クラウドサーファー 2」は、今回のモデルチェンジで確実にワンランク上のレベルのランナーに向くシューズとなっており、無理なくペースを上げられるので、ペース速めの日々のラン、サブ3.5からサブ4.5でフルマラソンを走りたいランナーのレースデイシューズとして最適だと思う。逆に前作のようなフワフワした感覚のミッドソールでゆっくり走りたいランナーには向いていないかもしれないが、ランニングシューズとしての完成度は確実に高まっている。
「クラウドサーファー 2」は、今回のモデルチェンジによって走行性能が大きく向上しており、前作よりレベルの高いランナー層にも対応するプロダクトへと生まれ変わった。それにともないプライスも2,000円ほど上がったが、その機能性アップを考慮すれば許容範囲だと思う。
前作はどちらかいうとビギナーから中級ランナーに向く一足だと思ったが、「クラウドサーファー 2」は、ゆっくりランから速めのペースまで、適応ペースはかなり広く、LSD(Long Slow Distance。長い距離をゆっくり走ること)からペース走まで、これ1足でさまざまなトレーニングに対応してくれるのは本当にありがたい。上級ランナーの日々のランにも十分対応してくれるハイパフォーマンスモデルだと思う。