クラシックでドレッシーだけど、最先端でスマート――。
そんなアナログ時計とスマートウォッチのいいとこ取りをした活動量計「vivomove HR」が、ガーミンジャパンから発売された。
「vivomove HR」は、全4種類。ストラップにシリコンを使用したスポーツタイプ2種(上段)と、レザーバンドを採用したプレミアムモデル2種(下段)をラインアップする
「vivomove HR」は、2針のクラシックなドレスウォッチの装いでありながら、ヘッド部に有機LEDディスプレイやタッチスクリーンを、背面に光学心拍計を搭載する活動計タイプのスマートウォッチ。普段使いの腕時計として使用しながら、歩数や心拍数などあらゆる活動を計測できる。
本稿では、高級感のある「Premium Gold」で試用レビューを実施した。
「vivomove HR Premium Gold」の公式オンラインストアでの価格は、34,800円(税込)
「vivomove HR」の最大の特徴は、アナログ時計のヘッド部にディスプレイとタッチスクリーンを搭載していること。見た目はアナログ時計だが、手首を上げて盤面を見るか、タッチスクリーンが搭載されたガラスをダブルタップすると、縦9.6×横19.2mmの有機LEDディスプレイが表示される。
左は通常時で、右はディスプレイが表示された状態。盤面の下部にディスプレイが内蔵されている
そして、ディスプレイのロックをスワイプで解除すると、表示内容が見えやすいように針が自動的に移動。操作が終わり、ディスプレイがスリープすると、自動的に正確な時間に針が戻る。
ディスプレイのロックを解除すると、針が表示に被らないように10時10分の位置に移動する
ディスプレイには、さまざまな情報を表示できる。歩数や消費カロリー、移動距離、心拍数など、本機で計測した活動量をはじめ、天気の閲覧やスマホの音楽アプリの操作も可能だ。
ガラス上のタッチスクリーンを右から左にスワイプすると、消費カロリーなどの各項目が次々に表示される
本機と連携するスマートフォンのアプリ「Garmin connect」のデバイス設定画面。「vivomove HR」のディスプレイに表示する項目は好きに選べる
「vivomove HR」は見た目はドレッシーだが、活動量計としての機能はしっかりと網羅している。背面に「Garmin Elevate光学心拍計」を搭載し、24時間いつでも心拍数値をモニタリング。また、そこからわかる心拍変動から、運動能力の指標と言われている最大酸素摂取量「VO2max」や、ストレスレベル、睡眠状態も計測可能だ。
アプリ「Garmin connect」のメイン画面。本機で計測した心拍数やステップ(歩数)などが、随時アプリ上に自動記録される
1日のストレスレベルは、円グラフと棒グラフで変動を表示。この日は、取材で外を歩き回っていたため、ストレスレベル「中」「高」の状態が若干多め
本機は加速度計と気圧高度計を搭載するため、各アクティビティもトラッキングしてくれる。歩数、消費カロリー、上昇階数などの基本的なアクティビティはもちろん、アクティビティ自動認識機能「Move IQ」により、毎回タイマーをスタート/ストップさせる必要なく、「ウォーク」「ランニング」「バイク」「スイム」などの運動を自動的に認識して、その活動量を計測する。
ちなみに、本機は50mの防水性能に対応。
駅から会社までの徒歩も、「ウォーキング」として認識し、速度/ペースから、消費カロリー、平均/最大心拍数までデータとして記録
本機は一般的なアナログ時計に心拍計や各種センサーなどを搭載しているため重いイメージがあるが、着けてみるとびっくりするほど軽い。ストラップ込みの重量は実測値で56.5gだ。加えて、ストラップの素材はレザーで腕にすぐになじむため、着け心地もよい。ヘッド部背面に搭載された心拍計も、まったく気にならなかった。睡眠状態を計測するため就寝中も着けっ放しだったが、それがストレスで目を覚ましてしまうこともなかった。
本体のケース径は43mmで、厚みは11.6mm(どちらも公称)。アナログ時計としては大型で厚め
ヘッド部背面に搭載された「Garmin Elevate光学心拍計」
着用感は全体的に良好だったが、注意点がひとつ。心拍計を搭載する本機は、正確な数値を計測するために手首にぴったりと巻く必要がある。これは、心拍計を搭載する腕時計型活動量計やスマートウォッチはどれも同じだが、ストラップをゆるめて着用したい人にとっては少しストレスになるかもしれない。
ちなみに、スマートフォンと同期することで、スマートウォッチのようにSNSのアップデートや、LINEやメールのメッセージ受信などをディスプレイ上にバイブレーションと共に通知してくれる。
LINEのメッセージの新着を通知。メッセージの内容は読めないが、スマホをバッグに入れている際には便利だ
なお、バッテリーは公称で最大5日間持続可能。今回の試用で3日間いじくり回したが、バッテリー残量はまだ半分以上あった。充電には、付属の専用USBケーブルを使用する。
「vivomove HR」は、クラシックな見た目ながら、活動量計としての測定機能はひと通り搭載されている。既存の活動量計はスポーティーなモデルが多い中、本機は普段ワイシャツやスーツを着て仕事をする人が、気軽に日々の活動量を測るにはもってこいの性能とデザイン性を兼ね備える。
「仕事中の心拍数計測は意味あるの?」と思うかもしれないが、そういう人にはたとえば心拍変動を応用した本機の機能「リラックスタイマー」をおすすめしたい。ディスプレイ上に表示される、息を吐く/止める/吸うの指示に従って呼吸をしていくと、心拍数が下がり、ストレス状態が解消できるという。大事な会議の前などに行えば、落ち着いてプレゼンテーションができそうだ。
いっぽうで、GPS機能は搭載しておらず、ウォーキングなどの走行ルートを地図上で記録したい人には向いていない。また、ストラップがレザーなので、50mの防水性能に対応するものの、着けたままシャワーを浴びるのは避けたほうがよいだろう。どうしてもスポーツや水中で使いたい場合は、別売のシリコンバンド(税込4,860円)と付け替えて楽しみたいところだ。
もうひとつ使っていて気になったのは、有機LEDディスプレイの視認性だ。盤面のクラシックな雰囲気を壊さないように白色の文字を採用しているのだろうが、日差しが強めの屋外では少々見えづらいことがあった。なお、屋内では、問題なくくっきりと表示される。
月刊アイテム情報誌の編集者を経て価格.comマガジンへ。家電のほか、ホビーやフード、文房具、スポーツアパレル、ゲーム(アナログも含む)へのアンテナは常に張り巡らしています。映画が好きで、どのジャンルもまんべんなく鑑賞するタイプです。