2019年3月に発売された、カシオ計算機のG-SHOCK「GA-2000E-4JR」
G-SHOCK新章が、ここから幕を開ける。
2019年3月発売の「GA-2000E-4JR」は、そんな新たな予感と可能性を感じさせる1本だ。
2018年、G-SHOCKはブランド誕生35周年という記念すべき年を迎えた。数多くの話題作が登場してファンを喜ばせたが、「36年目からの本気」を示すように息切れする間もなく投入したのが、新構造の「カーボンコアガード構造」だ。
「カーボンコアガード構造」の分解イメージ。写真は「GA-2000-1A9JF」のもの
タフネスをコンセプトとするG-SHOCKはこれまで、内部のムーブメントを浮かせる中空構造やベゼル部を二重にするレイヤー構造など、設計や素材を工夫してさまざまな種類の耐衝撃性を実現してきた。それでもケースの基本素材は樹脂かメタルの2択だったが、今季から初めて「カーボンファイバー強化樹脂ケース」を採用。この高強度かつ耐候性にすぐれた素材によって、まったく新しいタフネスの獲得に成功したのだ。
東レが手がける高品質炭素繊維ブランド「トレカ」。最新の航空機などで使用されている
一般的にカーボンは、鉄と比べて7倍の硬さ(比率弾性)や10倍の引張強度、そして1/4の軽さが特徴とされ、最新航空機や宇宙船の機体に用いられるなど、軽さと強さが求められる業界で注目されている先進素材だ。
G-SHOCKはすぐれたカーボン開発技術を持つ東レと共同開発。今回紹介する「GA-2000E-4JR」では、細かなカーボン繊維をファインレジンに配合した強化樹脂を生み出した。
「カーボンファイバー強化樹脂ケース」の採用は、G-SHOCKらしい耐衝撃性を確保するとともに、さまざまなメリットをもたらしている。
ひとつ目のメリットは軽さだ。「GA-2000E-4JR」は立体的で迫力のあるベゼルを用いるなど、見た目にも重厚感のある仕上がりだが、質量は94gに留めている。単純比較はできないが、同じくらい迫力があるG-STEEL「GST-B100」樹脂バンドモデルは100g超えるので、それよりは軽量となる。
デザイン面でも改革を起こした。ケース自体の強度が高まったことでボタンガードが不要になり、ケースサイドのデザインがスッキリしている。
力強さを感じさせるフェイスデザイン。ガードがなく、ボタンがむき出しになっているのがわかる
さらに大きな変化を生んだのが、ケース裏面の耐衝撃性を高めたことだ。すぐれた耐落下衝撃性を備えるべく、多くのG-SHOCKは正面の風防や側面のボタンが直接床に当たらないよう凹凸のあるケースデザインを採用している。しかし、装着感を損ねないためにケース裏は薄さを保たねばならず、「羽根」と呼ばれる「ショックアブソーバー」を取り付けたり、力を入れてもケース裏が床に着かない樹脂バンド形状を採用したりしていた。
写真は「5600」シリーズのひとつ。ケース裏が接地しないバンド形状を採用している
「GA-2000E-4JR」では、最新の「カーボンファイバー強化樹脂ケース」に加え、ステンレス製バックパネルとガラス繊維入りファインレジン製カバーによる二重構造の裏蓋を採用。ケース裏の耐衝撃性を確保している。
3タイプのバンドが同梱
ケース裏の耐衝撃性の向上は、バンドの仕様も変えた。
「GA-2000E-4JR」はバンド形状でケース裏を守る必要がなくなったため、平置き可能なフラットバンドを装備しているのだ。しかも、G-SHOCKで初めてスライドレバー式バンドを採用するとともに、合計3本のバンドを同梱し、付け替えを実現した。
ケース裏面の耐衝撃性が高いため、フラットバンドを採用
専門工具は必要なく、スライドレバーを操作するだけで着脱可能
バンドを付け替えるだけで、印象はガラリと変わる
同梱されているのは、オレンジとブラックの樹脂バンドと、カーキのファブリックバンド。樹脂バンドはダイヤ柄の凹凸があしらわれ、どことなくカーボンの印象に通じるタフネスさを表現。ファブリクバンドは直線的でシンプルなメタル製バックルが起用されており、ミリタリーなテイストを高めている。
異なるタイプのバンドを合わせることも可能
「GA-2000E-4JR」は新シリーズということで、フェイスもまったく新しいデザインを採用。針、インデックス、ベゼルのいずれも太めでタフネスさを感じさせながら、スッキリとまとめられているのが特徴だ。
3時位置と6時位置には小型の液晶画面を搭載しており、情報表示をサポート。たとえば時刻表示モードの場合、「3時位置:時・分+6時位置:秒(どちらもデジタル表記)」「3時位置:曜日+6時位置:秒」「3時位置:日付+6時位置:秒」のいずれかを表示できる。
(●2019/6/25 お詫びと訂正:記事初出時に、3時位置の液晶画面に曜日を表示した場合、6時位置の液晶画面には日付が表示されると記載しておりましたが、正しくは3時位置が曜日表示の場合、6時位置は「秒」表示されるため、該当箇所を修正させていただきました。お詫びし、訂正いたします)
液晶画面の表示内容は、現在時刻のデジタル表示や日付、曜日に変えられる
9時位置に搭載されたディスク針も印象的だ。
Bluetoothを搭載したクロノグラフ「G-STEEL」シリーズの「GST-B100」もディスク針によってモード表示が行われるが、「GA-2000E-4JR」のディスク針はより塊感が強く、ケース左下のボタンを押すたびにググッと力強く回転する様子は見ていて楽しい。
9時位置にはモードの設定内容を知らせるディスク針を設置
今回紹介した「GA-2000E-4JR」のほか、カーボン×G-SHOCK新章にはグラビティマスター「GWR-B1000」やマッドマスター「GG-B1000」、G-STEEL「GST-B200」といったモデルも同時に発表された。これらのモデルは公式サイト価格で40,000円台後半〜90,000円するのに対し、「GA-2000E-4JR」は21,600円(税込)と非常にお手頃価格に設定されている。
性能面で言えば、タフソーラーや電波受信機能もなく、シンプルな内容。しかし、G-SHOCKでありながらバンドの付け替えが楽しめること、またカーボンという新素材をお手頃価格で入手できることは大きな魅力だ。
G-SHOCK「GA-2000E-4JR」。公式サイト価格は、21,600円(税込)
「GA-2000E-4JR」
【SPEC】
●ガラス素材:無機ガラス
●防水仕様:20気圧防水
●ケース・ベゼル材質:カーボン/樹脂
●そのほかの性能や機能:耐衝撃構造(ショックレジスト)/バンド付属/樹脂バンド針/退避機能/ワールドタイム/ストップウオッチ/タイマー/時刻アラーム5本・時報/フルオートカレンダー/12/24時間制表示切替/操作音ON/OFF切替機能/ダブルLEDライト
●ケースサイズ:48.7(幅)×51.2(高さ)×14.1(奥行)mm
●質量:94g