2019年8月に発売された、カシオ計算機のG-SHOCK「GA-2100」
G-SHOCKから、完全新作となる「GA-2100」が発売された。ブランドのアイデンティティであるすぐれた耐衝撃構造を備えたデジタルとアナログのコンビネーションモデルながら、ケース厚11.8mmという同ジャンル最薄を実現している。
「GA-2100-1AJF」。公式サイト価格は14,580円(税込)
「GA-2100」は、デジアナコンビモデルがそろう「GAシリーズ」の最新版。
同シリーズは立体&大型フェイスの「GA-100」「GA-110」、3針の「GA-800」など、各カラーテーマコレクションにおけるベースモデルとして頻繁に目にする名作がそろっており、今春にはカーボンを使用した「GA-2000」も登場している。
ケース中核部分にカーボン繊維入りファインレジンを採用
「GA-2100」も例外ではなく、先進のカーボン技術が使われた。ケースに高剛性を発揮するカーボン繊維入りファインレジンを採用した「カーボンコアガード構造」を採用し、すぐれた耐衝撃性能を備えている。
外装は、樹脂素材で覆われているために見た目の「カーボン感」は皆無だが、裏側からであればその一部を確認できる。
カーボンの採用で11.8mmのスリムケースを実現
本機最大の特徴は、薄型化だ。「カーボンコアガード構造」の採用によって、G-SHOCKのデジアナコンビモデルとしては最薄の11.8mmを記録した。
これまでG-SHOCKのデジアナコンビモデルは、ケース厚16mm前後がほとんどで、コンパクトなデジアナモデルとして名高い「AWG-M100」でさえ14.9mm。18mmを超えるモデルも少なくない。
高剛性を生かせる「カーボンコアガード構造」は、軽量化に加えて薄型化も果たせるのが魅力で、同構造を備えた「G-STEEL GST-B200」のケース厚は14.5mm、「GA-2000」は14.1mmだ。これらも従来比では十分薄くなっているが、この「GA-2100」が記録した11.8mmという薄さは次元が違う。
フラットでシンプルなケース上層部
企画開発を担当したカシオ計算機の泉潤一さんは、「カーボンコアガード構造」による薄型化の利点を徹底追求したと話す。
「ムダな肉をそぎ落とすような考えで開発しました。薄さと耐衝撃性能の両立に非常に苦労しました」(泉さん)
風防やケースを保護するためにベゼルに突起を設けるモデルが多いが、「GA-2100」のベゼルは意外なほどにフラットだ。ベゼルは風防を守るために1段高く設計しているが、その差も最小限に留めている。
上が「GA-2100」、下が「GA-700」を着用したシーン
北欧ブランドに散見される「スリムケースモデル」はケース厚8mm前後なので、それらと同一視はできない。しかし、実際に着用してみると「GA-2100」の11.8mmは十分「薄い」と感じるレベルだ。
ジャケットを着用してみても、シャツの袖口にはあまりひっかからない。ちなみに、ケース厚18.4mmの「GA-700」も装着してみたが、こちらはシャツの袖口に収めることは難しく、ボタンを開けたままにするか、袖口を広げたシャツの新調が必要だと感じた。
デザインや基本仕様についても見ていきたい。
「DW-5000C」から着想を得たという八角形フォルム
ケースに八角形フォルムを採用したのも、目を引くポイントだ。
着想を得たというオリジンの「DW-5000C」は、「長方形の角を少し落として八角形にした」ようなフォルムだったが、「GA-2100」は正八角形に近い形を採用してる。
八角形が印象的な腕時計といえば、オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク」やブルガリの「オクト」、ジラール・ペルゴの「ロレアート」などがあり、強烈な個性と独特の気品を漂わせるデザインとして、時計ファンの間で認知されている。方向性が異なるため「GA-2100」をそれらと同列には語れないが、均整の取れたフォルムにはやはり心ひかれるものがある。
なお、ケースサイドやバンドの造形は「DW-5000C」を踏襲しており、G-SHOCKらしさも多分に表現されている。
スリムケースながら立体感を表現
フランジ部分には、ミニッツトラックの代わりにスリットを設置。インデックスは存在感があり、スリムケースながらここまで立体感を高めたのはさすがだ。
曜日を表す9時位置の小針
9時位置にあるレトログラード針は、曜日を表示。ここにモード表示を備えるモデルも多いが、「GA-2100」はあえて曜日表示機能を選び、シンプルな印象を高めている。
左は「上:時・分+下:秒」、右は「上:月・日+下:秒」を表示
文字板右下には、シャープな印象を与える変形液晶を搭載。時刻モード時は、「上:時・分+下:秒」「上:月・日+下:秒」の2パターンを表示できる。
ダブルLED採用で、暗所でも時刻が確認できる
本体右上のボタンをプッシュすると、ライトが点灯。文字板全体と液晶部分を同時に照らすダブルLED仕様だ。ライト点灯時間は、約1.5秒または約3秒に設定できる。
バンドは、クイックリリースレバー付き
なお、バンドには特別な工具なしに着脱できる「クイックリリースレバー」が備わっている。同じカーボンを使った「GA-2000」に続く、G-SHOCKとして2番目の採用となる装備だ。現時点でのアナウンスはないが、将来的に替えバンドなどが用意されるのかもしれない。
そのほかに搭載されたモードは、「時刻」「ワールドタイム」「ストップウオッチ」「タイマー」「アラーム」で、最もベーシックな構成だ。
左「GA-2100-1A1JF」、右「GA-2100-4AJF」。公式サイト価格は各14,580円(税込)
これまでとひと味違うモデルであることは、同時に発売されたカラーバリエーションを見てもわかる。
ブラックをベースに針やインデックスにホワイトを差した「GA-2100-1AJF」のほか、オールブラックの「GA-2100-1A1JF」とオールレッドの「GA-2100-4AJF」がラインアップされている。
引き締まった黒を表現する「GA-2100-1A1JF」
オールブラックの「GA-2100-1A1JF」はベゼルの色埋めもなく、針や機能名表示を除くほとんどをブラックで染め上げた。泉さんいわく、ソリッドカラーズシリーズの「DW-5600BB」のコンセプトを踏襲したという。
なお同機は発売されて間もないが、価格.comの「腕時計 人気売れ筋ランキング」において、すでに10位(2019年9月6日時点)につけている。
本モデルのために、新色を開発したという「GA-2100-4AJF」
オールレッドの「GA-2100-4AJF」は、鮮やかで奥深い赤を採用。ほかの2モデルと異なり、針の上に載せた別色も最小限の面積に留めている。レッドカラーは、ともすればチープになりがちだが、今作はイチから開発した新色とのことで、タフな力強さを感じさせる。
左から「GA-2100-1A1JF」「GA-2100-4AJF」「GA-2100-1AJF」
モデルによって、美錠まで変更している。オールブラックの「GA-2100-1A1JF」はメタルのマット仕上げ、オールレッドの「GA-2100-4AJF」はレッドカラーの樹脂、ブラック×ホワイトの「GA-2100-1AJF」はメタルのミラー仕上げを採用。細部までこだわりを感じさせる。
2019年初頭、G-SHOCKは新素材カーボンを使った「カーボンコアガード構造」4モデルを発表。フラッグシップの「グラビティマスター GWR-B1000」を筆頭に、順調な売れ行きを見せている。
今作はそれに続く「カーボンコアガード構造」第5のモデルで、「薄さ」という新たな武器の強みを最大限に引き出している。
今作について、企画開発者の泉さんが「ベーシックラインを活性化させるための新しいチャレンジ」と解説するように、新鮮な驚きが詰まったモデルだ。「G-SHOCKと言えば、大きくてゴツゴツしてなきゃ!」という人は、少々面食らってしまうかもしれない。しかし、細部のディテールや力強いカラーリングにはG-SHOCKのDNAが確実に宿っているし、スペック的にもタフであることに変わりはない。そのうえで実現したデジアナコンビ最薄という成果を前に、新たな魅力を感じる人は多いだろう。G-SHOCKの新規ファンを獲得する呼び水にもなるはずだ。
それに、公式サイト価格でさえ10,000円台前半というのは、「カーボンコアガード構造」モデル最安だ。価格の面からも、多くの人の興味を引くだろう。
【SPEC】
「GA-2100」
●ガラス:無機ガラス
●防水性:20気圧防水
●ケース/ベゼル材質:カーボン/樹脂
●バンド材質:樹脂
●そのほかの機能:針退避機能/ワールドタイム:世界48都市+UTCの時刻表示、ホームタイムの都市入替機能/ストップウオッチ/タイマー/時刻アラーム5本・時報/フルオートカレンダー/12/24時間制表示切替/操作音ON/OFF切替機能/ダブルLEDライト
●ケースサイズ:45.4(横)×48.5(縦)×11.8(厚さ)mm
●重量: 51g
カバン、靴、時計、革小物など、男のライフスタイルを彩るに欠かせないモノに詳しいライター。時代を塗り替えるイノベーティブなテクノロジーやカルチャーにも目を向ける。