4種類の防水シューズカバーを履き比べてみました
ご存じのとおり、人生とはいかに「靴を濡らさないか」の戦いである。
外出先で突然の雨に降られてしまい、どうにか傘で服は守れたものの、靴は中までグシャグシャという経験、誰しも10回や20回はあるはずだ。
お気に入りの靴を履いた日に限って雨は降る。
降ったら困る日に降って、降ってほしい日(この取材日)に限って降らない存在、それが雨
26.5センチのスニーカーを履いてきました。買ったばかりなので濡らしたくない
レインブーツやアウトドア用の防水加工された靴、あるいはサンダルだけで毎日を過ごすというのは難しい。どんなに雨が降っていても、フォーマルな格好で出かけないといけない状況だってあるだろう。
中までビショビショになった革靴とか、想像しただけでもつらい
スーツ着用が義務の会社員なら、毎日が雨の恐怖との戦いだ。そこで試してみたいのが「携帯可能な防水シューズカバー」という存在だ。
私もひとつ、折り畳み傘と一緒に持ち歩こうかと思ったのだが、調べてみると種類がいろいろあるようで、どれを選べばいいのかが難しい。
そこでタイプの異なる4種類を一気に購入し、実際に履き比べてみた。
この4種類を履き比べ
晴れなので人工雨製造機を用意した
最初に試すのはシリコン製の「スニーカーラバー」という商品。その意味は「運動靴用ゴム」だろうけど、「スニーカーを愛する人」と誤訳してもいいだろう。3サイズ&12色という圧倒的なバリエーションから、Lサイズのグレーをセレクト。
携帯用の袋付き。このサイズならカバンに入りそうだ
・商品名:スニーカーラバー(Sneakers Rubber)
・購入価格:880円(税別)
・スペック:Lサイズ(25.0cm〜29.5cm)/グレー/シリコン製
商品を広げた印象は、風呂掃除用の靴みたいで微妙
すべての靴カバーがそうなのだが、その装着方法は靴を履いた上からかぶせるというもの。酔っぱらって靴の上から靴下を履こうとした記憶がよみがえる。
本当にうまく履けるのか、一発で破けないかと心配だったが、シリコン製のゴムがほどよく伸びてくれてスッポリと気持ちよく履ける。そして想像以上に靴とぴったりフィットしてくれた。
これが靴カバーの履き心地なのか。なんだ、意外と悪くないぞ。
焦って履くと破れそうになるので、ていねいに装着しよう
空気を抜くように微調整してフィットさせる。この底に施された溝が、滑り止め&強度アップとして役立つのだろう
片足だけカバーを履くと、「怪我をしてギプスをしている人」みたいだが、履くときは両足なので大丈夫だ
なんだか全身タイツの上からズボンを履いているみたいだ
水に濡れてもへっちゃら。だが油断をするとズボンの裾が汚れる
もちろん中はまったく濡れていない。夏場だと少し蒸れる感じはあるかな
革靴でももちろん問題なし。カバーの色が黒ならより目立たないだろう。ズボンの裾をカバーに入れれば防水力はアップする
私の個人的な感想としては、想像していたよりも違和感のない履き心地で驚いた。しばらく歩いてみたがまったく問題なし。靴全体をキュッと締め付けていて、足首まで覆われているため、カバー上部からの浸水もなさそうだ。
もし多少穴が開いたとしても、大きく破けなければそんなに問題ないはずだ。1,000円もしない価格なので、ワンシーズンに何度か役立ってくれれば御の字。もっと派手な色を選んで、雨が降ってくるのを楽しみにするのもいいだろう。
次に試すのはPVC(ポリ塩化ビニル)製のレインシューズカバー。こちらはS、M、Lの3サイズで色はスケルトンのホワイトのみ。サイズの目安がLサイズでも約24.5〜26cmと、小さめなのがちょっと不安(私の靴は26.5cm)だ。
携帯するにはちょっとでかい。丸めて輪ゴムで留めるなどすれば、持ち運び時のサイズがもう少し改善されるかな
・商品名:レインシューズカバー sh009
・購入価格:749円(税別)
・スペック:Lサイズ(24.5cm〜26cm)/ホワイト/PVC製
靴に化けたうえで透明になったオバQっぽい
底面にはしっかりとした滑り止め加工がしてある
履くところは縁が強化されているようだ
推奨サイズよりも大きな靴が入るか心配だったが、PVCの素材がよく伸びてくれて、実にジャストフィットとなった。
その経験はないけれどストッキングをかぶろうとした気分である。
ちょっとサイズオーバーの靴でも、慎重に履けばどうにかなるようだ。もちろん推奨はしないけど
見事に透けた中の靴。カバーを付けた状態のほうがかっこいいかも
もちろん防水だが、足首まで覆われないため、上部から浸水する恐れがある。水たまりなどは気を付けたい
うん、普通だ
半透明なので中にどんな靴を履いているのかが丸わかり。装着時に見た目の違和感が一番少ないため、靴を雨から守りたいけれど、守っていることがバレたくないという人にはぴったりの商品だ。
あまりに自然なので、これならレインカバーを付けていることを周囲に気付かれないかもしれない。
続いては塩化ビニル樹脂製のシューズレインカバー。サイズはM(23〜25cm)、L(26〜28cm)、さらにXL(29〜31cm)もあるようだ。購入価格は1,800円+税とほかの商品よりお高め。A/D2とは「ALL DAY ALL DRY」の略、その実力やいかに!
値段が高いだけあって商品パッケージに高級感がある。サイズ的にも、持ち運びしやすい
・商品名:A/D2 シューズレインカバー
・購入価格:1,800円(税別)
・スペック:Lサイズ(26〜28cm)/クリア/塩化ビニル樹脂製
これまでの密着型とはまったく方向性の違うプロダクトのようだ
底は薄いながらもしっかりと靴底
チャックがあるので脱着はかなりしやすい
チャックとひもを締めたら装着完了
これまでの2つが靴下っぽいデザインだったのに対して、こちらはまさに履く雨具。どうしても濡れたくないときに、カッパの上下と一緒に着用するのが、実用的にも見た目のバランス的にもベストだろう。
ちょっと歩きにくそうに見えるけれど、実際に着用してみると5歩くらいで慣れてくる。
雨合羽の質感なので、雨の日だったらそんなに違和感はないだろう
ズボンの裾を入れて縛れば、くるぶしまで水がかかってもへっちゃらだ
黒いチャックのシックなデザインなので、意外と革靴との相性がいい
カバーが靴と密着しないので靴底部分が若干フガフガするけれど、コンパクトだし履きやすいので、カバンに忍ばせておけばいざというとき頼りになりそうだ。
くるぶしも余裕で隠れるハイカット仕様。そこにズボンの裾を入れて縛ることで、長靴に近い守備範囲となるのもポイントだ。
最後は携帯用長靴の「カッパの足サンキュー」。その商品名、何に対してのサンキューなんだか。妖怪の河童というよりは、雨具の合羽という意味だと思うが、そのイラストは堂々の河童である。サイズはM(23〜25cm)、L(25〜28cm)の2種で、ショートタイプやビジネス用のブラックもあり。素材の表記がなかったが、おそらく塩化ビニル樹脂製だろう。
靴カバーというよりは、携帯できる長靴という意味合いの商品らしい
・商品名:携帯用長ぐつ カッパの足サンキュー
・購入価格:1,200円(税別)
・スペック:Lサイズ(25〜28cm)/クリア/素材不明
滑りにくそうなしっかりとした靴底
ブーツのような横チャック方式なので脱着は容易だ
ふくらはぎをスッポリと覆うロングスタイル
長靴タイプなのでズボンが汚れないのはいいけれど、このまま歩くと密着度が低すぎて、足の裏とカバーの底の距離が広くて気持ち悪い。
そこで登場するのが付属のゴムひもである。これで中央あたりを縛ることで、密着度が格段にアップするし、ずり落ちてくる心配がかなり軽減されるのだ。とは言っても長距離歩くのは厳しいかな。
原始的だが効果的なアイテム、ゴムひも
このゴムひもがあるのとないのとでは段違いの履き心地となる。なくさないように注意しよう
膝下までの水を防ぐ高い防水力
これを履いて長く歩くというシチュエーションは考えづらいけれど、たとえば土砂降りの日に結婚式へと出席する際、最寄り駅や駐車場から会場入口までカバーするには十分だろう。洗車用に長靴が欲しいけれど、玄関に置いておくスペースがないという人にもいいかも。
4商品の特徴をまとめるとこのようになる。
■スニーカーラバー:密着タイプ。シリコン製。密着度が高く、足首までぴったり覆う。
■レインシューズカバー sh009:密着タイプ。PVC製。半透明で自然な見た目。
■A/D2 シューズレインカバー:短い長靴タイプ。塩化ビニル樹脂製。コンパクトで履きやすい。
■携帯用長ぐつ カッパの足サンキュー:長靴タイプ。ふくらはぎまでしっかり覆う。
このように靴カバーは商品によって素材やデザインが異なり、その個性もまた大きく違ってくる。よってどれがベストというのは難しく、自分が使うであろうシチュエーションや靴の種類、移動距離、デザインの好みなどによって、総合的に判断していただければ幸いだ。
この原稿を納品しようとした日、ようやく雨が降ってきたので、靴カバーを実際に装着して外出してみた。
セレクトしたのは、一番目立たないであろう半透明のPVC製「レインシューズカバー sh009」だ。
このくらいの雨なら全然平気。これを履いて東へ行きます
雨から靴やズボンを守る範囲が一番低いタイプのカバーだが、通常の雨ならこれで十分。子供の頃、長靴を履いて水たまりへジャブジャブと入っていた記憶がよみがえり、あえて水のあるところを歩いてしまう。これは楽しい。
しばらく歩いても違和感はほとんどなく、ちょっと締め付けがあるかなというくらい。
階段の角などは滑りやすいが、それはどんな靴でも同じか
雨がやんだらカバーを取ればいいし、そのまま履いていても問題ない
このタイプのカバーであれば、見た目的にもそこまで違和感はないのでは。すれ違う人から二度見されたり、「それ靴カバーですよね!」と言われることは一度もなかった。
この靴を履いて会った友人によると、「変わった質感の靴だなとは思いましたけど、カバーだとは思いませんでした!」とのこと。だよね!
ちょっと宇宙服っぽい靴にしか見えない
靴を脱いだり履いたりする機会がある場合(座敷席の居酒屋とか)、ちょっと面倒だと思うかもしれないが、意外とカバーを付けたまま靴が脱げるので問題はまったくない。
次の雨の日も、またカバーを付けてみようと思った次第だ。
ちょっと蒸れるので、帰宅後は消臭剤を利用するといいかな
食材採取と製麺が趣味のフリーライター。身近な動植物を捕って食べたり、家庭用製麺機でラーメンを作る日々。 著書「捕まえて、食べる」、同人誌「趣味の製麺」が発売中。
私的標本:http://blog.hyouhon.com 趣味の製麺:http://www.seimen.club