レビュー

価格据え置きでAI進化! タフネスミドル「AQUOS sense10」は“安心のスマホ”

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シャープのミドルクラススマートフォン「AQUOS sense」シリーズの最新モデルである「AQUOS sense 10」。前モデル「AQUOS sense9」からアップデートされたところを中心にレビュー。注力したというAI機能に注目です。

シャープ「AQUOS sense10」。2025年11月13日よりNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社ほか、MVNOや家電量販店で販売中。価格.comでの価格は6GBメモリー+128GBストレージモデルが6万円〜

シャープ「AQUOS sense10」。2025年11月13日よりNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社ほか、MVNOや家電量販店で販売中。価格.comでの価格は6GBメモリー+128GBストレージモデルが6万円〜

ここに「AQUOS sense10」は格安SIMでコスパよく運用するのもアリ! 格安SIMを解説している記事は以下から確認できます。

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シンプルだけど味のあるデザイン。選べるカラーと豊富なケースも魅力

国内で流通するミドルレンジモデルの中でも、特に高い人気を誇るAQUOS senseシリーズ。シャープという老舗メーカーの安心感もありますが、筆者が考える最大の魅力は万人におすすめしやすい、機能と使い勝手、価格のバランスの良さです。

最新モデルの「AQUOS sense10」も、ライカ監修のカメラを搭載する上位モデル「AQUOS R10」から、ディスプレイやカメラ技術、大容量バッテリーといったよいところを継承しつつ、手が届きやすい価格帯を継続。コンパクトで持ちやすい、ハンドソープで洗えるなど、普段使いができるスマートフォンになっています。

まずは外観から。AQUOSシリーズは昨年から、デザイナーの三宅一成さんがプロダクトデザインを手掛けています。“自由曲線”と呼ばれる、背面のカメラ周りのアンシンメトリーな円形と、カメラの配置が特徴。「AQUOS sense10」にも引き続き採用されていて、シンプルななかにもどことなく味があって、ほかにはないデザインになっています。カラーバリエーションは全6色ですが、販路によって取り扱いが異なります。

前モデルは全体に淡い色が多かったのですが、今回はデニムネイビーやカーキグリーンといった、より個性的な色が加わっています。カラーによって円形部分の色が同色系だったり、まったく違う色だったりと、異なる印象になっているのも面白いです。


左から、ペールピンク、ペールミント、デニムネイビー、カーキグリーン、ライトシルバー、フルブラック

サイズは73(幅)×149(高さ)×8.9(厚さ)mmで、重量も166gと、前モデル「AQUOS sense9」とまったく同じ。右サイドに音量キーと指紋認証センサーを兼ねた電源ボタン、左サイドにSIMカードスロットなど、ボタンの配置も同じなので、ケースが共有できます。発売にあわせて、シューズメーカーやジーンズメーカーとコラボした、レザーやデニムの専用ケースも登場しています。選べる本体色が多いだけでなく、Androidスマホの中では比較的ケースが豊富に選べるのも、AQUOS senseシリーズの魅力と言えます。

シャープから発表されたケース。左が「児島ジーンズ」、中央は「BLUE SAKURA」とのコラボレーションで、それぞれデニム地が特徴。右はシューブランド「SPINGLE」とのコラボレーションでのレザー張りケース、同じデザインモチーフのスニーカーが「SPINGLE」から発売される予定です

もちろんケースを着けなくても、アルミ削り出しのボディには剛性があり、手に持った感触もしっかりしていて、安心感があります。防水、防塵だけでなく、米国国防総省の調達基準であるMIL規格にも、耐衝撃など16項目で準拠しています。また今やAQUOS senseの代名詞にもなっているのが、ハンドソープを使って洗えること。アルコール除菌シートにも耐性があり、一定の条件はあるもののお風呂での使用も想定されています。

サイズ感は無印のiPhoneと同じくらい。しっかりとした剛性がありつつも、重さ166gと軽いので持ちやすいです

サイズ感は無印のiPhoneと同じくらい。しっかりとした剛性がありつつも、重さ166gと軽いので持ちやすいです

指紋認証センサー兼電源ボタンを搭載。長く指をあてて決済アプリを起動できる、独自の便利機能「Payトリガー」も利用できます

指紋認証センサー兼電源ボタンを搭載。長く指をあてて決済アプリを起動できる、独自の便利機能「Payトリガー」も利用できます

ディスプレイは約6.1インチ、フルHD+(2340×1080)の有機EL「Pro IGZO OLED」で、リフレッシュレートは最大120Hz駆動。タッチサンプリングは最大240Hzとなっています。2000nitのピーク輝度をサポートしている点も含めて、前モデルから仕様の変更はありません。画面サイズはコンパクトですが、十分にクリアで色鮮やかなのも同じ。スクロール時にもちらつきなどは感じられず、見やすいディスプレイです。

背面には約5030万画素の、標準カメラと広角カメラを搭載。標準カメラは1/1.55インチセンサーかつ光学式手ブレ補正対応で、35mm換算の焦点距離は23mm相当(F値 1.9)です。広角カメラは1/2.5インチセンサーを採用し、焦点距離は13mm(F値 2.2)相当の超広角仕様になっています。インカメラは約3200万画素で、25mm相当(F値 2.2)。カメラの構成も前モデルから変わっていません。

標準と広角(超広角)カメラを搭載。前モデルにあったFeliCaマークがなくなっていますが、おサイフケータイにはちゃんと対応しています

標準と広角(超広角)カメラを搭載。前モデルにあったFeliCaマークがなくなっていますが、おサイフケータイにはちゃんと対応しています

チップセットのアップデートが省電力化にも貢献。電池持ちがさらに向上

チップセットは進化。クアルコム製の「Snapdragon 7s Gen2」から「Snapdragon 7s Gen3」にアップデートされています。クアルコムによれば「Snapdragon 7s Gen3」は、日常的な操作に影響するCPUが20%、描画を担当し主にゲームで使われるGPUが40%、AI性能が30%向上しているとのこと。各ベンチマークテストの結果は、以下の通りでした。

総合的な性能を計測するベンチマークアプリ「AnTuTu Benchmark(V11.0.5)」の結果は、総合スコア1031778(CPU:416880、GPU:182709、MEM:171593、UX:260596)でした

総合的な性能を計測するベンチマークアプリ「AnTuTu Benchmark(V11.0.5)」の結果は、総合スコア1031778(CPU:416880、GPU:182709、MEM:171593、UX:260596)でした

3D描画専用のベンチマークアプリ「3DMark(Wild Life)」のスコアは4004

3D描画専用のベンチマークアプリ「3DMark(Wild Life)」のスコアは4004

実際の使用条件に近いとされる条件でテストを行う「PCMark Work3.0」のスコアは14751

実際の使用条件に近いとされる条件でテストを行う「PCMark Work3.0」のスコアは14751

PCなどでも使われるベンチマークアプリ「Geekbench 6」のスコア。左が CPUで結果は、Single-Core1159、Multi-Core3196。右は描画性能を測るGPUの結果で、スコアは3340でした

PCなどでも使われるベンチマークアプリ「Geekbench 6」のスコア。左が CPUで結果は、Single-Core1159、Multi-Core3196。右は描画性能を測るGPUの結果で、スコアは3340でした

価格.comマガジンの過去の記事によれば、「AQUOS sense9」の定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン10.X)」の総合スコアが615864でした。なお、比較しやすいようにアプリのバージョンを揃えた「AQUOS sense10」の同アプリの総合スコアは712402で2割ほどスコアが向上しました。

また、チップセットのアップデートは処理速度だけでなく、IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E)への対応など通信周りの強化や、省電力化にも貢献しています。バッテリー容量は5000mAhと変わっていないものの、連続通話時間は最大約3230分と、前モデルの約2700分からかなり長くなっています。PC Markのバッテリーベンチマークの結果は17時間36分でした。

実際に使った感覚でも、電池の減りがゆるやかで、途中充電なしでも2日間は余裕かなという印象。なお、給電ワット数は36Wをサポートしていて、充電時間は90分。ワイヤレスチャージには対応していません。

販路によって選べるメモリー構成は128GB+6GB、または256GB+8GBでこれも前モデル同様。設定でストレージの一部を、仮想メモリー化できるのも同じです。外部メモリーとしてmicro SDがサポートされている点も同様ですが、対応するmicro SDXCメモリーの最大容量が1TBから2TBに増えています。

SIMピンを使わずに引き出せるnano SIM&microSDスロットを搭載。物理SIM(SIMカード)のほか、iPhone 17シリーズで本格採用され話題になったeSIMにも対応しています

SIMピンを使わずに引き出せるnano SIM&microSDスロットを搭載。物理SIM(SIMカード)のほか、iPhone 17シリーズで本格採用され話題になったeSIMにも対応しています

余計な映り込みを自動で除去するAIカメラ。夜景もきれいに撮れる

カメラは前述のように、ハードウェアの構成自体は変わっていませんが、チップセットがアップデートされた恩恵を受けて、AI機能が強化されています。上位モデルの「AQUOS R10」と同様に、料理や書類を撮影する際に影が落ちてしまったときに、自動的にそれをなかったことにできる「影除去」機能が利用できます。

また、ショーケースの中や水族館の水槽、窓越しの夜景撮影などの際、ガラスの反射を抑えられる新機能「ショーケースモード」も追加されています。いずれも撮ってから編集で消すのではなく、モードをオンにして撮影すると自動的に余計な映り込みを消してくれるので、手間がなく使い勝手は良好です。

AIはこうした新たなモードだけでなく、通常の撮影時にも、たとえばズーム時の画質の向上や、暗所でのノイズ低減に寄与しているとのこと。夜景を撮影しましたが、上位モデルの「AQUOS R10」と比べてもそん色ないほど、きれいに撮れる印象です。デジタルズームは最大の8倍まで拡大すると、暗所ではさすがに粗くなりますが、スナップ撮影を楽しむカメラとしては、十分な撮影能力を備えていると思います。昭和レトロ、平成POPなど、独自のフィルターも豊富にあり、撮影が楽しめます。

設定で「オートナイト」「オートマクロ」をオンにしておくと、シーンによって自動でモードを切り替え、マクロ撮影も被写体に近づけるだけで簡単に撮れます

設定で「オートナイト」「オートマクロ」をオンにしておくと、シーンによって自動でモードを切り替え、マクロ撮影も被写体に近づけるだけで簡単に撮れます

設定で「料理・テキストの影を消す」をオンにしておくと、撮影後に写り込んだ影が自動的に消えます

設定で「料理・テキストの影を消す」をオンにしておくと、撮影後に写り込んだ影が自動的に消えます

「ショーケースモード」をオンにして撮影すると、反射や映り込みが自動的に取り除かれます

「ショーケースモード」をオンにして撮影すると、反射や映り込みが自動的に取り除かれます

広角0.6倍で撮影

広角カメラで撮影。風景を広く構図に収められます

広角カメラで撮影。風景を広く構図に収められます

1倍で撮影

メインとなる標準カメラで撮影。ミドルクラスとして十分満足できる画質

メインとなる標準カメラで撮影。ミドルクラスとして十分満足できる画質

2倍デジタルズームで撮影

デジタルズームになりますが、2倍なら十分にきれい

デジタルズームになりますが、2倍なら十分にきれい

8倍デジタルズームで撮影

最大の8倍ズームになると、ディテールの粗さが目立ちます

最大の8倍ズームになると、ディテールの粗さが目立ちます

ポートレートモードで撮影

ポートレートモードでは背景のボケ味を10段階で設定できます。この作例は10(最大)で撮影しています。ボケ味を強くすると境界が微妙な感じになることも

ポートレートモードでは背景のボケ味を10段階で設定できます。この作例は10(最大)で撮影しています。ボケ味を強くすると境界が微妙な感じになることも

フィルターも楽しい

昭和レトロ、平成POPなどユニークなフィルターも充実

昭和レトロ、平成POPなどユニークなフィルターも充実

ナイトモードで撮影(1倍)

設定で「ナイトオート」をオンにすると、モードを切り替える手間なく撮影が可能。黒つぶれや白飛びがなく、壁やレンガのディテールもしっかり出ていてきれいな印象です

設定で「ナイトオート」をオンにすると、モードを切り替える手間なく撮影が可能。黒つぶれや白飛びがなく、壁やレンガのディテールもしっかり出ていてきれいな印象です

ナイトモードで撮影(0.6倍)

標準カメラに比べると細部がやや気になるものの、広角カメラでも十分明るくきれいな夜景が撮れます

標準カメラに比べると細部がやや気になるものの、広角カメラでも十分明るくきれいな夜景が撮れます

AIを使った通話のノイズキャンセリング「Vocalist」も魅力的

AIはカメラだけでなく通話機能にも活用されています。あらかじめ自分の声を学習させておくと、通話時に自分の声をクリアに相手に届けられる「Vocalist」という新機能が追加されています。声を登録後、交通量の多い幹線道路沿いから電話をかけて、「自分の声だけ届ける」をオン。相手に感想を聞いたら、「静かな場所からかけていると思うくらい、あなたの声しか聞こえない」と言われました。

この機能は電話以外にZoomや、LINE通話のようなVoIPでも利用できます。騒がしい場所からリモート会議に参加せざるを得ないシーンなどで、かなり便利に使えるのではないかと思います。

表示された文章を読んで声を登録。アプリの上に表示される「自分の声だけ届ける」ボタンをオンにすると、自分の声以外の周囲の音が抑えられる仕組みです

表示された文章を読んで声を登録。アプリの上に表示される「自分の声だけ届ける」ボタンをオンにすると、自分の声以外の周囲の音が抑えられる仕組みです

音に関する機能ではこのほか、前モデルからステレオ対応となったスピーカーがさらに進化しています。シャープによれば、本体下部側だけでなく上部側にもボックス構造のスピーカーを配置したことで、体感音圧が前モデル比約25パーセントアップ、低音の音圧は最大約2倍アップしているのこと。試しにいくつか映画のシーンを再生してみましたが、確かにボディサイズに対して結構迫力がある音が鳴り、セリフやナレーションも聞きやすいと感じました。ヘッドフォンなしでのゲームや映画鑑賞も楽しめそうです。

【まとめ】見る、撮る、話すの基本機能を強化し、実用的なAIが新しい魅力をもたらしている

「AQUOS sense10」は、デザインやディスプレイ、カメラなど、前モデルから据え置かれた部分が多くありつつも、基本性能が進化。それによって使えるAI機能が充実し、電池持ちも向上しています。きれいなディスプレイに迫力が増したスピーカー、影やガラスなどの映り込みを気にせず手軽に撮れるカメラ、聞き取りやすい声を届けられる通話機能と、見る、撮る、話すというスマホのメイン用途が、しっかり強化されています。ディスプレイ周りの額縁がやや太めなところには、ミドルレンジらしさを感じるものの、使い勝手の良さと機能の充実ぶりは、さすが人気シリーズといったところでしょうか。

何もかも値上がりする昨今において、価格が前モデル発売時とほぼ同じというのもありがたいところ。購入&応募で5,000円がキャッシュバックされる発売キャンペーンも、2026年1月15日までと少し長めに実施されているので、要チェックです。

太田百合子
Writer
太田百合子
インターネット黎明期よりWebディレクションやインターネット関連のフリーペーパー、情報誌の立ち上げに携わる。以降パソコン、携帯電話、スマートフォンからウェアラブルデバイス、IoT機器まで、身近なデジタルガジェットと、それら通じて利用できる様々なサービス、アプリケーション、および関連ビジネスを中心に取材・執筆活動を続けている。
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田中 巧(編集部)
Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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