パナソニック・ライフソリューションズは、電動工具の新ブランド「EXENA(エクゼナ)」を立ち上げ、電動ドライバーを中心に今夏から新製品を投入することを発表しました。新製品はプロ向けの「P」シリーズと、軽量コンパクトでDIY用途にも合う「L」シリーズの、2シリーズ7製品。狭所での作業に対応した新開発アタッチメントも同時発売し、快適な現場作業の実現を目指します。各シリーズの特徴をご紹介していきましょう!
Pシリーズは、充電インパクトドライバー「EZ1PD1」(8月発売予定)と、充電ドリルドライバー「EZ1DD1」(9月発売予定)の2種類をラインアップしています。インパクトドライバー「EZ1PD1」の特徴は、まずヘッドが小型化したこと。同社従来モデル比でハンマーを50%薄型化し、駆動軸を20mm短縮化、ブラシレスモーターも30%小型化することで、ヘッド長が29mm減の98mmと業界最短サイズとなりました。リフォーム現場等で増えている狭所作業での取り回しがよくなります。なお、ヘッドの小型化により、重量も200g減の1.5kg(18V5.0Ah電池パック装着時)となっています。
Pシリーズはインパクトドライバーとドリルドライバーの2モデルをラインアップ
ハンマー、駆動軸、モーターを小型化することでヘッド長を約3cmも短縮
もうひとつの特徴は、業界初のアタッチメントシステムを導入したこと。新発売のアタッチメントは2種類あります。ひとつは、45°刻みで8方向に首が回るアングルアタッチメント。インパクトドライバーを正面に持ちつつ、天面や横方向にビス打ちができます。従来、狭所で天面や横方向にビス打ちする場合は、斜め方向から無理な姿勢で打ち込んでいましたが、このアタッチメントにより正面から真っ直ぐにビスを打ち込めるようになります。
業界初のアタッチメントシステムを開発
ヘッドが小型化しても、そのままでは狭所のビス打ちができませんが……
アングルアタッチメントを装着すれば、狭所でも真っ直ぐビス打ちできる!
もうひとつはスミ打ちアタッチメント。インパクトドライバーのビットはヘッドの中央にあるため、ヘッドがじゃまして壁際ギリギリの個所にビスを打ち込むのが困難です。このアタッチメントを付けることで、ビットをヘッド上部と同じ位置にできるため、壁際ギリギリの個所にビス打ちができるようになるのです。これら2種類のアタッチメントは同時発売されますが、今後もラインアップは増やされるとのこと。
一般的なインパクトドライバーではヘッドがじゃまして天面ギリギリの個所に真っ直ぐビスが打てないけれど……
スミ打ちアタッチメントを装着することで壁のスミにも真っ直ぐ打てる!
そして3つ目の特徴は、カムアウトの発生を低減する「+BRAIN」を搭載したことです。カムアウトとは、ネジ打ち中にビットがネジ頭から外れてしまうことで、インパクトドライバーは構造上これが起きやすく、大きな課題となっていました。カムアウトするとネジ頭が摩耗したりビットを傷つけたり、最悪のケースとして外れたビットが建材に当たって傷がつき、建材の張り直しとなることもあります。
それがEZ1PD1では、まずインパクトのハンマーを小型化したことで打撃を小さくし、さらにモーターの回転を高速化してなめらかな回転にすることで、ビットのブレを最小に抑えています。加えて、「+BRAIN」がモーターの負荷をリアルタイムにセンシングし、これ以上負荷をかけるとカムアウトが発生する可能性が高いと予測、自動的に回転数を制御してカムアウトを防ぐという仕組みになっています。
負荷が増大してビットが外れそうになったら、モーターの回転を落としてカムアウトを防ぐ
なお、EZ1PD1の本体サイズは59(幅)×243(高さ)×98(奥行)mmで、重量が1.5kg(いずれも18V5.0Ah電池パック装着時)。最大締め付けトルクは155N・m、回転数は0〜2700回転/分、打撃数は0〜4100回/分というスペックです。
メーカー希望小売価格は、本体のみが29,480円、18V5.0Ah大容量電池パック搭載モデルが78,100円、18V3.0Ah薄型軽量電池パック搭載モデルが70,400円、14.4V5.0Ah大容量電池パック搭載モデルが73,700円となります。アタッチメントは2種類ともに10,780円(いずれも税込)
いっぽう、主に穴あけ用途に使用する充電ドリルドライバー「EZ1DD1」も、ドリルドライバーとしてはパナソニック史上最小最軽量となっています。モーターの小型化により、従来モデル比でヘッド長が29mm縮小して160mmに、重量は150g削減されて1.85kg(18V5.0Ah電池パック装着時)になりました。
Pシリーズの充電ドリルドライバー「EZ1DD1」も小型軽量化
EZ1PD1同様、EZ1DD1にも「+BRAIN」が搭載されています。このモデルの場合、モーターの回転数と負荷を検知することで最適な回転数をコントロールし、作業スピード向上や電池スタミナアップ、連続作業量の増加といった性能を最大に引き出すことに使われています。
さらに、タップモードも進化しています。タップとは、ドリルで開けた穴に雌ネジの山を作ること。正転でネジ山を作った後、ネジ山を潰さないようにドリルを反転させて抜いていくのですが、従来はトリガーの付け根の正逆切り替えスイッチで回転方向を変えていました。パナソニックの充電ドライバーは元々、トリガーオンで正転してネジ山を作り、オフで停止、そのままもう一度トリガーをオンにすれば逆転するタップさらいモードを搭載していましたが、新製品ではさらにタッピング中に発生する切粉(削り屑)を排出するモードも搭載しています。
新たにオート切粉切り用モードが追加。トリガーのみでスムーズに正転・反転ができるため、タップドリルの折れや切り替えスイッチの故障が防げる
このほか、電子制御による電子クラッチ機能を搭載し、回転数10段階×トルク設定40段階の細かな制御ができるようになっています。
モーター回転数10段階、トルクは40段階に電子制御できる
「EZ1DD1」の本体寸法(18V5.0Ah電池パック装着時)は、長さ160×高さ253×幅66mmで、質量(同)は1.85kg。最大締め付トルクは50N・m(剛性体締め付トルク)、回転数は20〜1800回転/分となります。
メーカー希望小売価格は、本体のみが40,370円、18V5.0Ah大容量電池パック搭載モデルが87,890円、18V3.0Ah薄型軽量電池パック搭載モデルが82,390円、14.4V5.0Ah大容量電池パック搭載モデルが85,690円。補助ハンドルも同時発売し、価格は2,200円となります(いずれも税込)
もうひとつのラインであるLシリーズは、10.8V電池パックのみの対応とすることで、軽量コンパクトなモデルとなっています。充電インパクトドライバー「EZ1P31」、ホルソーやダウンライトカッターなどの大型アタッチメントに便利なチャック式充電ドリルドライバー「EZ1D31」、金属加工に便利なビット式充電ドリルドライバー「EZ1D32」の3モデルをラインアップ。
それぞれバッテリーを装着しても1kg強と軽く、高所や上向き作業に便利なため、プロユーザーの機動力を上げるツールとして、また、電動工具に慣れないDIY初心者にも適したモデルです。
10.8Vの電池パック対応とすることで軽量コンパクトに仕上がったLシリーズ
Lシリーズの充電インパクトドライバーは電池パック込みでも1.15kgと軽量で取り回ししやすい
このほか、Lシリーズでは、新たに充電油圧マルチ圧着器「EZ1W31」と充電LEDマルチライト「EZ1L31」も発売されます。すでにマルチ圧着器は販売されていますが、既存モデルは大型で重量4kg以上と重いため、両手で扱うのが前提でした。それが今回新しく、重量2.1kg、長さ329mmと片手で扱える小型軽量モデルをラインアップ。従来、手作業で行っていた、電線と端末の圧着や電線の切断が電動で行えるようになり、作業員の負担の軽減、作業時間の短縮が図れます。
LEDライトは本体に強力なマグネットを内蔵しているのが最大の特徴で、車内の天井に貼り付けたり、金属扉に貼り付けたりすることで、夜間および暗所での作業効率の向上が図れます。
小型だが最大600lmと明るいLEDマルチライト。マグネット、ハンドル、フックを搭載しており、さまざまな使い方ができる
Lシリーズのラインアップと価格
電気工事士の高齢化が進み人手不足が懸念される中、新型コロナ対策で空調工事が増加傾向にあり、そのいっぽうで、在宅時間が増えたことでDIY人気が高まるなど、電動工具を取り巻く環境は激変しています。
1日何百本もネジを打つベテランから、ネジ打ちに慣れていない若手作業員、DIY初心者まで、多様化するニーズに応えるため、メーカー各社は現在、電動工具のラインアップを増やしているところ。その中には、一般家庭でも備えておけば便利なツールもいくつか存在します。モノづくりや修理好きなら、最新電動工具は要チェックですよ!
1966年生まれ、福島県出身。大学では考古学を専攻。主に生活家電を中心に執筆活動する家電&デジタルライター。レビューや検証記事では、オジさん目線を大切にしている。得意分野は家電流通・家電量販店。趣味は、ゴルフ、ギター、山登り、アニメ、漫画、歴史、猫。