レビュー

魚を照らして寄生虫を見つけ出せ! 「アニサキスライト」で安全に刺身を楽しもう

魚介類好きならご存じの方も多い「津本式」という名前。そもそもは魚の長期熟成を可能にする「究極の血抜き」と呼ばれる特殊技術と、その専用道具の名称ですが、その「津本式」を冠した気になる商品を見つけました。それは「津本式シリーズ 充電式アニサキスライト YF-990」(以下、「津本式アニサキスライト」)です。

これが「津本式アニサキスライト」

これが「津本式アニサキスライト」

アニサキスとはサバやイカなどに付く小さな寄生虫のこと。刺身などで生きたまま取り込んでしまうと胃や腸などに入り込み、激痛や嘔吐をともなう「アニサキス症」を発症する場合があります。実は私も昔、某店のしめサバにあたってひと晩苦しみ、翌日這うようにして病院へ行き、どうにか内視鏡で除去してもらった経験があります。あれは本当につらかった……。

そんな恐るべきアニサキスを発見するための商品が、「アニサキスライト」なのです!

※アニサキスは70度以上に加熱したり、マイナス20度以下で24時間以上冷凍したりすれば死滅します。詳しくは厚生労働省のページをご確認ください。ただし「アニサキスアレルギー」というアレルギー反応は、アニサキスの死骸でも発症することがあるのでご注意ください。

「津本式アニサキスライト」の特徴とは

まず「アニサキスライト」を簡単に説明すると、アニサキスを光らせて見つけやすくする特殊なUV波長を発するブラックライトのこと。

そのひとつ「津本式アニサキスライト」の特徴は下記のとおり。
・アニサキスをクリアに映し出す光の波長(365nm)
・高透過レンズ、USBケーブルによる充電式
・乾電池式の旧製品(YF-980)に比べてUV強度約50%アップ(約17mW/cm2)
・照射時間2時間
・IPX7の完全防水

おそらくアニサキスを探すのに最適化されたモデルなのでしょう。

メーカーは、電器製品のOEM開発、製造などを手掛ける山田電器工業の釣具事業であるHapyson(ハピソン)です。

アニサキスをクリアに映し出すため、UV波長が365nmであることが大切

アニサキスをクリアに映し出すため、UV波長が365nmであることが大切

力強いUV波長365nmの光

力強いUV波長365nmの光

高級感のあるボディ

高級感のあるボディ

手になじむサイズ感。完全防水仕様なので、魚を触った手で使ってもすぐに丸洗いできるのが心強いです

手になじむサイズ感。完全防水仕様なので、魚を触った手で使ってもすぐに丸洗いできるのが心強いです

ちなみに、私はすでにブラックライトを2つ所有しているのですが、比べてみると今回購入した「津本式アニサキスライト」の光が最も強いようです。

もちろんUV波長365nmのライトであれば、多少光が弱くてもアニサキスを照らせますが、せっかくなら少しでも発見率を上げられるいいものを使いたいですよね。

左がUV波長395nm(アニサキス発見には不向き)のライト、中央がこれまで使用していたライト、右が「津本式アニサキスライト」の光です

左がUV波長395nm(アニサキス発見には不向き)のライト、中央がこれまで使用していたライト、右が「津本式アニサキスライト」の光です

サバをチェックしてみよう

アニサキスの心配がある魚といえば、やっぱりサバでしょう。自分があたったこともあるし。

某鮮魚店で新鮮なサバ(マサバ)を購入してきました。

こちらは某スーパーの注意書き。アニサキスは酢でしめても生きているので注意してください

こちらは某スーパーの注意書き。アニサキスは酢でしめても生きているので注意してください

この記事はアニサキスがいないと検証が成り立たないので、人生で初めて「アニサキスがいるといいな〜」と思いながら購入しました。

丸々として、おいしそうなサバです。はたしてアニサキスはいるでしょうか

丸々として、おいしそうなサバです。はたしてアニサキスはいるでしょうか

頭を切り落として内臓を抜くと……ブラックライトを照射するまでもなく、たくさんいらっしゃいました。ただ、サバの内臓にはアニサキスがいて当然なので、これは想定内の状況です。

一応「津本式アニサキスライト」で照らしてみると、アニサキスが青白く輝きました。台所が明るい状態でも、はっきりと確認できます。

青白く光る小さな輪がアニサキス

青白く光る小さな輪がアニサキス

さて本番はこれからです。

3枚におろした状態にして、肉眼でアニサキスをひと通りチェックしたうえで、「津本式アニサキスライト」を照射してみたところ……なんとサバの肉に入り込んだアニサキスが光りました!

アニサキスを全部取り除いたはずのサバ

アニサキスを全部取り除いたはずのサバ

「津本式アニサキスライト」の光を当てたら輝いた!

「津本式アニサキスライト」の光を当てたら輝いた!

取り出してみると、ニョロニョロと元気なアニサキスでした

取り出してみると、ニョロニョロと元気なアニサキスでした

アニサキスはこの1匹だけでなく、普通に見ただけではまずわからない部分に何匹も潜んでいました。

プロの目なら専用ライトがなくても、「オレでなきゃ見逃しちゃうね」という感じで発見可能なのかもしれませんが、素人の私にはまったくわかりませんでした。

この写真の中にアニサキスがいます。わかりますか?

この写真の中にアニサキスがいます。わかりますか?

「津本式アニサキスライト」で照らしてみたところ。サバの内部が光っているのがわかりますか(実際はこの写真よりもわかりやすく光ります)

「津本式アニサキスライト」で照らしてみたところ。サバの内部が光っているのがわかりますか(実際はこの写真よりもわかりやすく光ります)

なんと3匹もいました

なんと3匹もいました

アニサキスを探す様子を動画にしてみました。どうやらかなりアニサキスの多いサバを引き当てたようです。私はアニサキスに愛されているのでしょうか。

「津本式アニサキスライト」のおかげですべて取り出せたとは思いますが、万が一の見落としがあるかもしれないので、この個体をしめサバで食べるのは諦めたほうがよさそうです。

このサバは味噌煮でおいしくいただきました。加熱調理をするのであれば、ほとんどの場合、アニサキスを気にする必要はありません。

ちなみに、骨を抜くなら「骨抜き名人」がおすすめです

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2020/09/17 11:00
サバ味噌のおいしい季節ですね。サバ大好き!

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イカをチェックしてみよう

続いては、サバと並んで心配なイカを確認していましょう。

某鮮魚店で新鮮なスルメイカを購入してきました。

今や高級魚となったスルメイカ

今や高級魚となったスルメイカ

内臓を抜く前に、このスナップみたいな部分を外す感触が好きです

内臓を抜く前に、このスナップみたいな部分を外す感触が好きです

食事中に捕まえられたイカのようで、未消化の魚が詰まっていました

食事中に捕まえられたイカのようで、未消化の魚が詰まっていました

まずはライトを使って内臓を確認しましたが、アニサキスらしき反応は見つかりませんでした。

今回は残念ながら(?)不発でしょうか。

異常なし

異常なし

続いては、開いたイカの身を目視でしっかりと確認します。

中央あたりに米粒のようなものがありましたが、これはアニサキスではなく、おそらくニベリニアという寄生虫で、特に害はない生物です。

開いたイカ

開いたイカ

おそらくニベリニア。ちなみにブラックライトでは光りません

おそらくニベリニア。ちなみにブラックライトでは光りません

それでは「津本式アニサキスライト」を当ててみましょう。

どこだ、どこだと照らしていくと……、いました!

青く光るライトの中央に反応あり!

青く光るライトの中央に反応あり!

この光り方はアニサキス!

この光り方はアニサキス!

ライトを当てていない状態だとこのような感じ。プロであれば違和感に気がつくかもしれませんが、素人には難しすぎる“ウォーリーを探せ”です

ライトを当てていない状態だとこのような感じ。プロであれば違和感に気がつくかもしれませんが、素人には難しすぎる“ウォーリーを探せ”です

ちなみに、UV波長が異なるブラックライトを照射しても、アニサキスは光ってくれません

ちなみに、UV波長が異なるブラックライトを照射しても、アニサキスは光ってくれません

元気なアニサキスでした

元気なアニサキスでした

動画だとアニサキスの独特な光り方がわかりやすいと思います。

この後、イカのエンペラ(先端の三角の部分)を外して皮をむき、両面を照らしてしっかりと確認しましたが、どうやらアニサキスはこの1匹だけだったようです。

自分なりに安全が確認できたので、イカ刺しにしていただきました。ちなみに、イカそうめんという調理法は、細く切ることでアニサキスにあたる確率を減らすための知恵でもあるとか。

イカそうめんというよりはイカうどんの太さですね。甘くておいしかったです

イカそうめんというよりはイカうどんの太さですね。甘くておいしかったです

ゲソとエンペラは肝と一緒に焼いて食べました。イカ大好き!

ゲソとエンペラは肝と一緒に焼いて食べました。イカ大好き!

サンマをチェックしてみよう

すでに「津本式アニサキスライト」の実力は十分に理解したのですが、せっかくなのでもう少し検証してみましょう。

秋といえばサンマの季節。塩焼きにするなら心配ありませんが、最近は刺身で食べることも多くなり、アニサキス症の報告も増えているようです。

今シーズン初となるサンマを買ってきました

今シーズン初となるサンマを買ってきました

普通はこういう開き方をしませんが、アニサキスチェックのために内臓ごと開きます

普通はこういう開き方をしませんが、アニサキスチェックのために内臓ごと開きます

「津本式アニサキスライト」の光を当てると、内臓部分にクルッと丸い光の輪を発見!

やっぱりサンマにもいるんですね。

いた!

いた!

元気なアニーでした

元気なアニーでした

2尾のサンマをしっかりチェックしましたが、アニサキスはこの1匹だけでした。ただ、以前に確認したサンマからは複数のアニサキスが発見されたので、油断は禁物。

小骨も青く光るのでちょっとまぎらわしいですが、すぐに慣れてアニサキスとの違いがわかるようになります

小骨も青く光るのでちょっとまぎらわしいですが、すぐに慣れてアニサキスとの違いがわかるようになります

この日のサンマは過度なアニサキスチェックで身がボロボロになってしまったので、刺身ではなくスパイスが香るクミン焼きにしました。

オリーブオイルとクミンを熱してサンマを焼いて、塩と胡椒でいただきました。サンマ大好き!

オリーブオイルとクミンを熱してサンマを焼いて、塩と胡椒でいただきました。サンマ大好き!

イワシをチェックしてみよう

個人的な興味でもう少し検証は続きます。

続いては安くておいしい庶民の味方であるイワシ。マイワシの刺身がすごく好きなので、安心して食べるために照らしてみましょう。

マイワシってうまいですよね

マイワシってうまいですよね

内臓にはいないようです

内臓にはいないようです

身も異常なし

身も異常なし

2尾のイワシをチェックしましたが、どちらもアニサキスの気配はありませんでした。

安心して刺身で食べたいと思います。

脂の乗ったイワシのうまさよ。イワシ大好き!

脂の乗ったイワシのうまさよ。イワシ大好き!

一応食べる前に最終チェックもしてみました。自衛のために居酒屋とか寿司屋でやったら感じが悪いですかね……

一応食べる前に最終チェックもしてみました。自衛のために居酒屋とか寿司屋でやったら感じが悪いですかね……

タラをチェックしてみよう

最後はこれまでの経験上、最もアニサキスの多い魚であるタラを調べてみました。

まだ時期的に早くマダラは買えなかったため、スケトウダラを照らしてみます。

スケトウダラを1匹買ってきました

スケトウダラを1匹買ってきました

内臓を見てみたところ、ライトを当てるまでもなく大量のアニサキスが確認できました。

うわぁ。わかってはいたことですが、やっぱりちょっと驚きます。

肝刺しとか絶対ダメ

肝刺しとか絶対ダメ

この個体が特別多いわけではなく、タラという魚には基本的にアニサキスがいると考えていいと思います。

そして何度も書いていますが、加熱して食べる分にはまったく問題ありません。タラの内臓のキムチであるチャンジャとか、生の白子ポン酢とか、自家製明太子を作ろうとしなければ大丈夫!

ということで、このタラは鍋でいただきました。やっぱりタラチリはうまいですね。

ホロホロと崩れる身がたまらない。ポン酢はもちろん、胡麻油と塩で食べるのも最高。タラ大好き!

ホロホロと崩れる身がたまらない。ポン酢はもちろん、胡麻油と塩で食べるのも最高。タラ大好き!

魚好きの必需品! 安全に刺身を楽しもう

ということで、魚好きの方なら「津本式アニサキスライト」は必需品なのではないでしょうか。また、寿司や刺身を出す飲食店にも強くおすすめしたいところです。特に私があたったあのお店とか。

1点だけ希望を言うと、アニサキスのチェックと魚の処理を同時進行したいので、両手が空いた状態で照らせるヘッドライトタイプの商品が欲しいですね。

さて、最後になりますが、魚介類にアニサキスがいるのはいたって普通のこと。加熱や冷凍で対処可能なので、過度に気持ち悪がらず、正しい知識で冷静に怖がる。そして、生で食べるなら「津本式アニサキスライト」などでていねいに対処して、これからもおいしく食べていこうと思います!

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2019/04/03 11:30
玉置標本(たまおきひょうほん)
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玉置標本(たまおきひょうほん)
食材採取と製麺が趣味のフリーライター。身近な動植物を捕って食べたり、家庭用製麺機でラーメンを作る日々。
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しえる(編集部)
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しえる(編集部)
生活雑貨・食品に加え、ウォーターサーバーなど、サービス系商品の記事をメインに担当している2児の母。自称「ポテチマスター」。ポテトチップスを中心に1日3袋のスナック菓子をたいらげるお菓子狂です。
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