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ついにガス自由化スタート! 気になる東電グループの料金プランは?

2017年4月から、ガスの小売自由化がスタートしている。これにより、家庭で契約するガス会社をさまざまな選択肢の中から自由に選べるようになった。一般家庭にとって、普段使っているガス料金の低価格化や、サービスの向上も見込めるうれしいエネルギー改革だ。

昨年の電力自由化の際には、多くの企業が電力事業に新規参入した。しかし今回のガス自由化に関しては少し事情が異なり、原料である液化天然ガス(LNG)の調達をまかなう設備が必要なため、電力の小売事業と比べてハードルが高い。こういった背景から、現時点での小売ガス事業参入は、原料調達設備を元から持つ電力会社など45社に限られている。そのひとつが、火力発電時代からの強力な原料調達力を持つ東電グループだ。東電の小売事業を担う東京電力エナジーパートナーが、今年7月より、家庭向けのガス小売サービスをスタートすることをアナウンスしている。気になるその料金プランとサービス内容について、同社 常務取締役 佐藤美智夫氏らが記者発表を行った。

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ガスの小売自由化にともない、東京電力エナジーパートナーでは2017年7月より都市ガスの販売をスタートする

ガスの小売自由化にともない、東京電力エナジーパートナーでは2017年7月より都市ガスの販売をスタートする

東京電力エナジーパートナー 常務取締役 佐藤美智夫氏

東京電力エナジーパートナー 常務取締役 佐藤美智夫氏

東京ガス契約者なら3〜8%おトクに! 東電の「とくとくガスプラン」

これまで、家庭に供給される都市ガスは、地域によって事業者が決まっていた。こういった地域独占の廃止を目的に、今回のガス自由化がスタートしたわけだ。東京電力エナジーパートナーが7月より提供開始するのは「とくとくガスプラン」。現在、東京ガスの一般料金を契約している家庭であれば、「とくとくガスプランにすることで、3%ほどガス料金が安くなる」と佐藤常務はアピールする。さらに、期間限定の「スタート割」を適用すると、契約から1年間は5%の割引を行うので、最大8%おトクに使える。

これまでの東京ガスの一般料金よりも、東電のガス料金は3%おトク。さらに期間限定の「スタート割」を組み合わせれば、最大約8%おトクに

また、東京電力エナジーパートナーが現在提供している電気料金プランは「スタンダード」「プレミアム」「スマートライフ」「夜トク」「動力」などがあり、これらと「とくとくガスプラン」をセットにした「ガスセット割」を適用すれば、電気料金のほうも年間で1,200円ほど割引になる。利用プランによっては、電気とガスの利用料金をまとめて大幅に節約できるのだ。

東電の電気料金とガス料金をセットにする「ガスセット割」で、ついでに電気料金も割引に

東電の電気料金とガス料金をセットにする「ガスセット割」で、ついでに電気料金も割引に

画像は、電気料金プラン「スタンダードS」と、「とくとくガスプラン」を契約した場合の「ガスセット割」料金イメージ。従来よりも年間7,600円ほどおトクになっている

スタート時の対象エリアは、東京・神奈川の東京ガス契約家庭

サービス開始時点での「とくとくガスプラン」対象エリアは、東京都および神奈川県。条件は、東京ガスと契約している家庭。なお、エリアは順次拡大予定とのことだ。同社では、5月10日(水)午前9時より、電話にて「とくとくガスプラン」の申込受付を開始する(→申込み:0120-995-333)。

5月10日(水)午前9時より、電話で申込受付をスタート

5月10日(水)午前9時より、電話で申込受付をスタート

東京・神奈川で東京ガスと契約している家庭であれば、新しい東電の電気料金プランと組み合わせた「ガスセット割」に加入できる。対象エリアは順次拡大予定

「ガス機器修理サービス」も付属。“安心感”が付加価値に

ガスと電気のセット割など、料金がおトクになるプランの提供は、他のガス小売事業者でも同様の取り組みが見られる。そこで東京電力エナジーパートナーでは、「とくとくガスプラン」にさらに「ガス機器修理サービス」も付属することで、付加価値を高めている。

これは、「とくとくガスプラン」に加入している家庭であれば、ガスコンロや給湯器、ガスファンヒーターなどのガス機器が壊れた場合に修理を行ってもらえるというサービス。しかも、新品設置から10年以内でれば最大50万円まで無料で対応する。修理に関しては、修理対象となる機器のメーカーからスタッフが来訪するかたちで、もちろん出張料も無料だ。「こういったサービスでメリットを感じたお客様に、東電のガスを選んでいただけたら」と佐藤常務は語った。

ガス機器が壊れた場合でもメーカーのスタッフが修理してくれるという安心感が、「とくとくガスプラン」の付加価値。家庭内のガス機器修理を行うことで、同時に家庭内にあるニーズをよりよくくみ取ってサービスに生かす狙いもあるとのこと

なお、東京ガスでもこういったガス機器修理サービスを行っている。こちらは東京ガスが販売した機器に限り、保証期間内であれば無料で東京ガスライフバル・エネスタ・エネフィットの担当者が修理を行ってくれるというものだ。年中無休で対応する。

もっと小売ガス事業に参入しやすくなるプラットフォームを開発中

ガス事業への参入は、原発事故を経た東電にとって、グループ全体の立て直しを図る新たな事業展開のひとつという側面もある。ガス自由化がスタートしたのが4月でありながら、今回の「とくとくガスプラン」が提供されるまでさらに3か月を要していることについて、佐藤常務は「万全を期してサービスの準備を行っている」とコメントした。

東電グループが火力発電の時代から備える年間2,200万トンという液化天然ガスの調達力や、東京湾に設置されているガス導管などの設備を強みに、「とくとくガスプラン」の供給規模は、初年度で4万軒をめざす。また、東電グループが設備予定の熱量調整設備を活用することで、2019年中に100万軒規模まで供給を広げることを目標としている。

東電グループとしての設備を大きな強みとして、初年度で4万軒、2019年には100万軒というガス供給規模をめざす

なお、本記事冒頭で述べた通り、ガスの小売事業は電力とは少々異なり、現時点で液化天然ガスの調達力がなければ参入しにくい。そこで東電エナジーパートナーでは、プロパンガス、都市ガスを主力とするニチガスと共同で、「都市ガス事業プラットフォーム」を開発中だ。このプラットフォームを利用することで、原料の調達設備を持たない企業でも、ガスの小売事業に参入できるようになることに注目したい。佐藤常務は「できるだけ早く、可能であれば今年度中に都市ガス事業プラットフォームをリリースしたい」と語った。

ニチガスと共同で、「都市ガス事業プラットフォーム」を開発中。天然液化ガスの調達設備を持たない企業でも、このプラットフォームを利用することでガス事業に参入できるようになる

そのほかに同社では今後も、省エネリフォーム事業や、ソニーモバイルとのIoT事業など、さまざまな取り組みを行っていくとしている

杉浦みな子
Writer
杉浦みな子
1983年生まれ・たまに絵も描くライター。価格.comマガジン編集部やオーディオ・ビジュアル専門サイトの編集/記者/ライター職を経て、2023年に独立。コンシューマーエレクトロニクスから「ムー」までを網羅し、各種媒体でAV機器・家電のレビューやオカルト映画のコラムを執筆中。読書と音楽&映画鑑賞が好きで、自称:事件ルポ評論家のオタク系ミーハーです。
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