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住宅、ポイント還元、自動車購入への影響は?

「駆け込む」べきか「待つ」べきか。消費税10%時代の賢い買い方を考察

今年2019年、マネーに関するビッグニュースといえば、10月に予定されている消費税の増税でしょう。消費税の税率が5%から8%に上がったのが2014年のこと。その後、2回の延期を経て、ついに10%の大台に乗ります。

増税前に何か買っておくべきなのか? 増税後はどうすればお得なのか? 頭を悩ませる読者も多いと思います。そこで今回は、価格.comマガジンでおなじみ、FPの豊田眞弓さんと、クレジットカード評論家の岩田昭男さんへの取材をもとに、「消費税10%時代への立ち向かい方」を考えます。少しでもお得に買い物を楽しむために、ぜひお読みください。

消費税10%時代は目前に……

消費税10%時代は目前に迫っています……

10%への増税は6年前に決まっていた

まず、消費税がなぜ上がるのか、復習しておきましょう。消費税の10%への引き上げは、2012年、野田政権時代に、当時の与党だった民主党と、野党の自民党・公明党の3党の合意によって決まりました。増税の目的は、少子高齢化で増える社会保障費を賄うことと、財政赤字を補うことにあります。

その後、政権は自民党・公明党の連立政権に移り、消費税は2014年4月にまず5%から8%へと引き上げられました。そのときの駆け込み需要の影響もあり、増税後に景気が後退。その結果を受け、消費税の10%への引き上げは、2度にわたって延期になりました。

増税前に駆け込むべき?

安倍政権は景気が落ち込んだ前回の増税の反省を踏まえ、今回はさまざまな景気対策を打ち出しています。「これらの景気対策の中には、増税分を補うばかりか、実質的な減税になる制度もあります」と話すのはFPの豊田さんです。10%という数字にまどわされることなく、まずは落ち着いてこれらの制度を頭に入れることが、消費税10%時代に向けた、賢い態度といえそうです。

豊田さんが指摘した増税対策の大きな柱のひとつは、後ほど詳しく紹介する、キャッシュレス決済による最大5%のポイント還元。豊田さんは「今回の増税では、ポイント還元の対象期間に値の張る商品を、クレジットカードなどのキャッシュレス決済で購入するのがお得になりそうです」と話し、この還元策を利用できるかどうかが、判断基準のひとつになると解説します。

「また買いだめに関しても冷静に判断したいところです。今回の増税分は2%。たとえば、年間に250万円を消費したと考えた場合、約5万円出費が増える計算です。月にならすと約4,200円ですから確かに小さくない額ですが、必死に買いだめするほどの額ではないでしょう。前回の増税時も、私の周りに『腐らない』という理由で、洗剤やティッシュを買いだめした人がいました。でも冷静に考えてください。ティッシュをそんなに使いますか?(笑) 家電にしても、むしろ増税後に冷え込んだ需要を刺激すべく、増税前より安くなった例もありました。今回、手厚い増税対策もあり、増税前の安易な買いだめや駆け込みは避けたほうが無難です」(豊田さん)

軽減税率を知ろう

すでに広く報道されていますが、今回の消費増税に関して導入される大きなポイントに「軽減税率」があります。 消費税が10%に引き上げられた後も、生活に欠かせない商品については税率が8%に据え置かれます。 軽減税率は下記のルールで適用されます。

下記のものは、消費税が10%に上がった後も消費税8%に据え置き


■新聞(週2回以上発行で、定期購読契約されているもの)


■飲食料品(酒類・外食・ケータリングはのぞく)
・米穀、野菜、果実などの農産物
・食肉、生乳、卵などの畜産物
・魚類、貝類、海藻などの水産物
・麺類、パン類、菓子類、調味料、飲料など、そのほかの加工食品
・添加物(食品衛生法に規定するもの)
・一体資産のうち一定のもの(※)

※一体資産……おもちゃ付きのお菓子など、食品と食品以外の資産があらかじめ一体となっている資産のことをいいます。原則は10%の消費税になりますが、一体資産のうち、税抜価額が1万円以下で、かつ食品の価格の占める割合が2/3以上の場合、おもちゃを含めて全体の価格が軽減税率の対象になります。

線引きが難しい商品もある
商品の中にはどちらの税率が適用されるか、わかりにくいものもあります。代表的なものを紹介します。

・ミネラルウォーター/水道水
「飲料用のミネラルウォーター」は8%のままですが、「水道水」については、飲む以外にも生活用水で使われるため、10%の消費税が適用されます。

・みりん風調味料/みりん
アルコール分が1%未満の「みりん風調味料」は8%のままですが、アルコール分が1%以上含まれる「本みりん」や「料理酒」は、酒税法上で「酒類」に該当するため、10%の消費税が適用されます。同様の理由で「ノンアルコールビール」や「甘酒」は8%が適用されますが、「ビール」は10%が適用されます。

・テイクアウト/外食
「テイクアウト」の場合は8%が適用されますが、「レストランなどでの外食」には10%の消費税が適用になります。たとえば、牛丼店、ハンバーガー店で持ち帰った場合は8%。店内で飲食した場合は10%が適用されます。

・出前/ケータリング
「出前」の場合は8%が適用されますが、料理人に出張してもらうなどの「ケータリング」には10%が適用になります。
※例外があり、有料老人ホームで入居者に提供される食事や学校給食などは8%が適用。


「複雑な仕組みのため、消費者としては『あまり気にしすぎない』こともひとつの選択肢かもしれません」(豊田さん)

※参考:消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/03.pdf

住宅購入は急ぐべきなのか?

住宅は動くお金が大きいだけに、消費増税前の購入を考えている人も多いと思います。

まず知っておきたいのが、どこまでが消費税の課税対象なのかということ。消費税はその名のとおり「消費を対象とした税」です。不動産のうち、消費税が課税されるのは「建物」のみ。「土地」は課税対象ではありません。これはマンションも戸建ても同じです。また、中古住宅の場合も注意が必要です。消費税が課税されるのは「課税事業者」のみ。売り主が個人の場合は消費税がかかりません。これらを頭に入れた上で、下記の住宅購入に関わる景気対策を見ていきましょう。

住宅ローン減税が延長される見込み
2021年12月31日までに取得した物件について、年末のローン残高の1%(上限40万円)が所得税や住民税から控除される「住宅ローン減税」。現在の期限は10年間ですが、増税後はこれが13年間に延長される可能性が非常に高くなっています(2018年12月26日現在)。

※参考:住宅ローン減税の控除期間が3年間延長http://www.mlit.go.jp/common/001265195.pdf

すまい給付金は拡充へ
住宅を取得し、その住居に居住する人を対象とした「すまい給付金」も、対象が広がります。現在は、年収が510万円以下の人を対象として、最大で30万円が給付されていますが、消費税が10%となった後は、年収775万円以下の人までが対象となり、最大50万円の給付金を受けることができるようになります。

※参考:すまい給付金http://sumai-kyufu.jp/

次世代住宅ポイント制度が創設
一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能を持つ住宅などを新築、あるいはリフォームをした場合、さまざまな商品との交換可能なポイントが付与される制度が新設されます。新築の場合は最大で35万ポイント。リフォームは最大30万ポイントが付与され、40歳未満の世帯や、18歳未満の子を持つ世帯の場合、上限が45万ポイントになる特例制度も設けられる予定です。

※参考:次世代住宅ポイント制度の概要http://www.mlit.go.jp/common/001266526.pdf
消費増税を機に住宅購入支援がさらに充実する見込みです

今回の消費増税を機に住宅購入支援がさらに充実する見込みです

キャッシュレス決済すれば最大5%ポイント還元

消費税増税後の消費の落ち込みを防ぐために行う目玉の対策が「ポイント還元」です。この対策を、クレジットカード評論家の岩田さんは、「キャッシュレス社会が大きく前進する一歩になるかもしれません」と解説します。現在、日本のキャッシュレス決済の比率は2割程度。政府はこれを、2025年までに4割に引き上げる目標を立てていますが、岩田さんはこれに向けた大きな力になる、と見ています。
ただしこの対策、詳細についてはまだ決まっていないことも多いので、今後ニュースをまめにチェックするようにしましょう。

2019年10月から9か月間の期間限定で実施
では、政府が実施するポイント還元策とはどんなものなのでしょうか。
今回の対策では、消費税がアップする2019年10月から、2020年6月までの9か月間の期間限定で実施。現金以外のキャッシュレス決済を利用し、中小店舗で買い物をすると、5%分のポイントが国の負担で消費者に還元されます。このことについて、詳しく紹介します。

ポイント還元の対象はクレカ、電子マネー、QRコード決済などを使った買い物
決済方法はクレジットカードはもちろん、「Suica」や「nanaco」といった電子マネー、銀行口座からすぐに引き落とされる「デビットカード」などが対象となります。20%還元で話題を集めた「PayPay」や「LINEPay」などのQRコード決済も対象になります。

中小企業や個人経営の商店での買い物が対象。コンビニは還元率2%にダウン
今回の還元策の対象となるのは、キャッシュレス決済に対応している資本金5000万円以下の中小企業や、個人経営の商店、飲食店で決済した場合のみ。大手スーパーや百貨店などでは対象外となります。ただ注意が必要なのは、コンビニや飲食店などのフランチャイズチェーンの店舗。こうしたお店は、大手の支援を受けているとして還元率は2%に下がります。

岩田さんはコンビニへの還元について、「大手コンビニのフランチャイズチェーン店の還元率は2%になりました。一方、直営店は大資本の傘下なので、除外になるといわれていましたが、不公平になるので、本部が援助して2%還元を実施することになる予定です。利用者からするとコンビニはみな2%となったので分かりやすくなったと思います」と解説します。

還元を受けると税金負担が実質5%程度に
2019年1月1日時点では、今回のポイント還元の対象とする金額について、「税込価格」か「税抜価格」かははっきりしていません。ただ仮に、税込価格を対象にすると仮定した場合、1,000円の商品は税込で1,100円に。これを対象店舗で、キャッシュレス決済すれば、5%分、55円分のポイントが付くことになり、実質1,045円になります。現在の8%の税率では、1,080円の支払いになるので、実質的には減税と同じ効果を得ることができます。
さらに、食料品など軽減税率の対象である場合はさらに効果がアップします。1,000円のお肉を対象の個人商店で買うと、税率は8%のままなので1,080円。5%分にあたる54円分のポイントが付けば、1,026円と実質的に消費税率は3%程度まで下がることになります。

さらに今回のポイント還元に加え、クレジットカード会社などが独自に実施しているポイント還元も受けることができます。
このように、消費者にとっては非常に大きな恩恵を受けられるこの施策ですが、換金性の高い金券や、ほかの消費税アップの対策が採られる住宅や自動車の購入は対象外となるので注意しましょう。

「ポイント還元」は消費者にとってメリットがたくさんありそうです

「ポイント還元」は消費者にとってメリットがたくさんありそうです

自動車購入への影響は?

最後に自動車についても触れておきましょう。自動車に関連する税金は大きく3つに分かれますが、主に2019年10月から以下のように変更になります。ただ、こちらもポイント還元と同様、詳細については詰められていないこともあり、今後の動向をしっかりチェックするようにしましょう。

保有にかかる税金「自動車税」は年間1,000円〜4,500円減税に
自動車税は、毎年4月1日時点の保有者に対してかかります。現在は排気量によって、年間2万9500円〜11万1000円となっています。2019年10月以降に購入した人を対象に、自動車税が1,000円〜4,500円安くなります。排気量が少ないほど、減税額が大きくなります。
今回の減税は原則ずっと続きますが、2019年9月より前に購入した車は現行の高い税率が適用されます。なお、軽自動車は現行の1万800円のままです。

購入時にかかる税金「環境性能割」は1年間限定で1%減税
現在は自家用自動車を購入したときに「自動車取得税」が取得価格に対して3%(軽自動車は2%)かかっています。2019年10月以降は、自動車取得税が廃止され、燃費に応じて取得価格の0~3%を支払う「環境性能割」という税金が新たに導入されます。

「環境性能割」というと割引制度のように思えますが、実質的な税金です。国が定めた燃費の基準を達成した自動車は非課税(0%)ですが、それを達成していない自動車には1%、2%、3%のいずれかの税金がかかってきます。
ただし、消費落ち込みを防ぐため、2019年10月から1年間は、この税率が1%軽くなり、負担は0~2%になります。

購入時と車検時にかかる「自動車重量税」は多くの車種で増税に
自動車重量税は、新規登録時と、車検の際にかかってきます。車の重量0.5トンごとに1年間で4,100円かかります。現在は一定の燃費基準を達成しているエコカーを対象に25〜75%の範囲で減税するか、非課税とする「エコカー減税」を実施していますが、今後は、非課税の対象となる車が電気自動車などに絞られる見込みで、増税となる車が多くなりそうです。

多くの車種で、消費税アップ後に買うと負担増の可能性も
これから、車を買おうとしている方は、消費税アップ前に購入したほうが税金の負担が軽い車種が多くなりそうです。自動車税は全体的に安くなりますが、消費税が2%アップすることに加え、エコカー減税の対象車が縮小する見込みだからです。ただし、購入額やグレードなどによって負担する税金も変わり、また増税後にディラーが値引きをする可能性もあるので、こうした点をよく見極めたほうがよいでしょう。

また、気をつけなければならないのは、消費税が適用されるのは、自動車が陸運局に登録され、ナンバーが交付された日。注文から登録には通常、数週間かかるため、9月ギリギリに注文すると、10%の消費税が課せられることもあるので、注意しましょう。

自動車は、増税前の購入のほうが税金の負担が軽くなるケースが多そうです

自動車は、増税前の購入のほうが税金の負担が軽くなるケースが多そうです

まとめ:消費増税にどう備えるべきか?

最後に、今回お話をうかがった2人のお金の達人に、消費増税に向けた心構えを聞きます。

FP豊田眞弓さんの提案!

今回の増税を機に、ぜい肉を落とし、筋肉質な家計の実現を!
「今回の増税で、家計を見直す人も多いはずです。家計にたまったムダな支出を削り、副業などでちょっとした収入アップを図るのもいいでしょう。人生100年時代に備える、筋肉質な家計を目指してほしいですね」

クレジットカード評論家 岩田昭男さんの提案!

現金以外の決済手段を用意し、キャッシュレス化の波に乗り遅れないようにしよう
「審査の点で新規にクレジットカードを作るのが難しい高齢者などの場合も、銀行口座から代金が即時に引き落とされるデビットカードなら作るハードルは下がります。QRコード決済は、店舗側の導入の負担が軽いため、個人経営のお店や地方でも、対応するところが増えてきました。還元の対象になるお店が近所にないか、チェックしておくとよいでしょう」

お話をうかがったFPの豊田眞弓さん(左)と、クレジットカード評論家の岩田昭男さん(右)

今回の記事を参考に、今年もたくさんの「買ってよかった」を体験してください!

価格.comマネー編集部

価格.comマネー編集部

投資・資産運用・保険・クレジットカード・ローン・節約に至るまで、マネーに関する情報を毎日収集。「知らないで損するなんてもったいない」をモットーに、読者のためになる記事を制作します!

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