借りる
生活費や家賃、学費などの分野で対象者拡大や金利ゼロの対応策

新型コロナウイルスの影響で家計が苦しい。知っておきたい「貸付」と「給付」の制度・サービス

感染の広がりが止まらない新型コロナウイルス。外出自粛の影響から経済活動も大幅に制限される中、休業や雇い止めによる収入の減少に直面している方もいらっしゃるかもしれません。こうした問題に対し、新型コロナウイルスで経済的な打撃を受けた人を対象に、官民問わずさまざまな支援策が実施されていますのでご紹介します。
(※本記事の情報は2020年4月24日時点のものです。内容は変更になる場合もありますので、最新情報は各制度・サービスの実施先などにご確認ください)

「1人一律10万円給付」(特別定額給付金)は早くても5月の見込み

さまざまな施策のうち、今最も注目を集めるのが政府による現金給付でしょう。現金給付は、当初案の「減収世帯に30万円給付」から一転し、「全国民に1人一律10万円給付」という方針が示され、それを盛り込んだ補正予算案が国会に提出される予定です(2020年4月24日時点)。

この給付策の詳細について、4月24日までの総務省の発表や報道などをまとめると、
・2020年4月27日時点の住民基本台帳に記載されているすべての人が対象
・家族全員分の氏名が記載された申請書が、自治体から各家庭に送付
・振込先の口座番号を記入し、本人確認の書類などと一緒に返送
・マイナンバーカードを持っている人はオンラインでの申請も可能
・給付の10万円は非課税
といった形で進められそうです。

ただ、この給付の時期は自治体ごとに異なり、自治体の規模が小さく、早く給付できるところでも5月になる見込みです。「日々の家計が苦しい」「1人10万円の給付はありがたいが、それだけでは窮状をしのげない」という方もいらっしゃるかもしれません。そこで、今回の新型コロナウイルスの事態を受け、支援策が打ち出され、利用者にとって有利な条件で使える「貸付(融資)」と「給付」の制度・サービスを紹介します。

新型コロナウイルスで経済的に苦しい人を対象にした、さまざまな支援策が打ち出されている

新型コロナウイルスで経済的に苦しい人を対象にした、さまざまな支援策が打ち出されている

貸付(融資)の制度・サービス

【1】生活福祉資金の貸付:休業や失業し、減収になった人が対象。生活費を無利子で一定額まで借り入れ可能

貸付(融資)の施策で最初に紹介するのは、各市区町村の社会福祉協議会が窓口となり、無利子・保証人不要で一定額の融資を受けられる「生活福祉資金の貸付」制度です。この貸付制度はすでにあるものですが、これまでは対象を住民税非課税世帯、もしくはそれと同程度の収入の世帯に限定していました。

しかし、制度を管轄する厚生労働省は3月25日から対象世帯の要件を緩和。対象者に「新型コロナウイルスの影響を受け、収入が減少した人」も加えて、大幅に範囲を拡大したほか、償還期限(返済期限)も延長しています。こちらの制度は、主に休業した人向けに1回のみ融資をする「緊急小口資金」と、主に失業した人向けに最大3か月融資を行う「総合支援資金(生活支援費)」に分けられます。

緊急小口資金:主に休業者が対象。借り入れは1回のみで、上限は20万円

主に休業者や収入が減少した人など、一時的に資金が必要な世帯を対象に融資するのが「緊急小口資金」です。概要は以下のとおりです。

融資上限:20万円(子の学校休校の影響で休業を余儀なくされた人や、個人事業主などの場合)
     10万円(上記以外の場合)※従来は10万円のみ
据置期間(返済猶予の期間):1年以内 ※従来の2か月から延長
償還期限(返済期限):2年以内 ※従来の1年から延長
貸付利子:無利子
保証人:不要

総合支援資金(生活支援費):主に失業者が対象。借り入れは1回20万円を上限に、最大3回分(3か月分)

主に失業者や、収入の減少が大きく、1回の貸付だけでは生活の維持が困難な人を対象にしているのが「総合支援資金(生活支援費)」です。こちらの概要は以下のとおりです。

融資上限:20万円以内(2人以上の世帯)
     15万円以内(単身世帯)
融資期間:原則3か月以内
※2人以上の世帯なら合計60万円、単身世帯なら45万円まで借り入れ可能
据置期間(返済猶予の期間):1年以内 ※従来の6か月から延長
償還期限(返済期限):10年以内
貸付利子:無利子
保証人:不要

窓口は市区町村の社会福祉協議会

「緊急小口資金」「総合支援資金」いずれも、据置期間の1年間は返済の必要がありません。申請に際して「減収したことが確認できる預金通帳・給与明細」などが必要となります。いずれも窓口になっているのは、市区町村の社会福祉協議会で、市区町村の役所の窓口ではないので注意が必要です。現在、多くの申請が寄せられ、受付には予約が必要な場合もあるので、自分が住む社会福祉協議会に事前に確認しておきましょう。

なお、厚生労働省は「緊急小口資金」「総合支援資金」に関する相談コールセンターを設置していますので、こちらでも疑問点について尋ねることができます。

厚生労働省「個人向け緊急小口資金・総合支援資金相談コールセンター」
電話番号:0120・46・1999
受付時間:9:00〜21:00(土日・祝日含む)

日々の生活費に困った場合、無利子の「生活福祉資金の貸付」も有力な選択肢になる

日々の生活費に困った場合、無利子の「生活福祉資金の貸付」も有力な選択肢になる

【2】契約者貸付:生命保険会社から保険料を担保に借り入れ。現在、多くの会社が金利ゼロの特例措置

終身保険、学資保険などの貯蓄性のある生命保険の契約者が、保険料を担保に保険会社からお金を借りられる「契約者貸付」という制度をご存じでしょうか。借り入れの際、通常は金利が発生しますが、現在多くの生命保険会社が、金利を一定期間ゼロにする特例措置を実施しています。

借り入れ可能額は、解約返戻金の一定の範囲内

まずは「契約者貸付」について、簡単に概要を説明します。
終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険などの貯蓄性のある保険では、保険契約を解除したときに、契約者に払い戻される「解約返戻金」があります。「解約返戻金」は保険料の支払期間が長くなるほど、増えていくのが一般的です。「契約者貸付」はこの「解約返戻金」の一定の範囲内で借り入れができる制度のため、保険料を長期にわたって支払ってきた方は、まとまった額の借り入れができる可能性があります。保険会社によって異なりますが、借り入れの上限額は「解約返戻金」の5割〜9割程度、年利は3〜8%程度とされています。

制度の特徴として
「保険を解約することなく、借り入れができる」
「利用目的も問わない」
「カードローンなどと異なり審査もない」
「(ネットで申し込みをすれば)2、3営業日後に振り込まれる」
ことがあげられます。

現在、多くの生命保険会社が、6か月間から最長1年間、契約者貸付の金利をゼロにする特例措置を実施しています。通常の契約者貸付の手続きをすれば自動で適用されますが、期間中に新規に申し込んだ分が対象で、既存の借り入れは対象外となります。

金利ゼロの特例期間後は、通常の金利が発生する点には注意を

ただ、注意しなければならないのは、各保険会社が定めた特例期間を過ぎた後は、通常どおりの金利が発生することです。さらに、契約者貸付は基本「複利」なので、まったく返済をしないと金利分が元金に組み込まれ、それに対する金利が発生するので、負担額はふくらんでいきます。最終的に、契約者貸付で借りた元金と利息が「解約返戻金」を超えて、期日までに払い込みをしないと、保険契約は失効してしまいます。そんな事態を避けるために、早期の返済、できれば金利ゼロの特例期間中に完済するのが望ましいでしょう。

なお、多くの保険会社は契約者貸付の特例のほかにも、保険料の払込期限を契約者からの申し出に応じて、最長6か月間程度、猶予することも発表しています。保険料の負担が重い場合、こちらの特例措置の利用もできないか、契約している保険会社に確認してみるとよいでしょう。

「契約者貸付」では、保険料を長期にわたって支払ってきた場合、まとまった額の借り入れができる可能性も

「契約者貸付」では、保険料を長期にわたって支払ってきた場合、まとまった額の借り入れができる可能性も

【3】一部の消費者金融:10万円を最大1年間、無利子で借り入れ可能

消費者金融でも、一定期間、無利子で融資を行う特例措置を取る企業があります。プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)は新型コロナウイルスの感染拡大で経済的損失を受けた人を対象に、10万円を上限に無利子で1年間、融資することを発表しています。全国の店頭窓口や自動契約機、郵送などで契約しますが、仮審査の際に収入が減った状況などを口頭で確認され、収入証明書などの提出を求められる場合もあります。1年間の無利子後には、年4.5%の利息が発生します。

給付制度

これまでは、「貸付」の制度・サービスを紹介してきましたが、家賃や学費を「給付」する制度でも、新型コロナウイルスによる収入減の人を対象に加える措置が取られていますので、以降はそちらを紹介します。

【4】住居確保給付金:減収で家賃が払えない。そんなときに自治体が3か月分の家賃を負担

収入が減少し、自宅の家賃を払えないかもしれない―。そんな方を対象に、一定の要件のもと、自治体が本人に代わって原則3か月間(最長9か月間)、家賃を負担してくれるのが「住居確保給付金」です。給付なので返済の必要はありません。

「離職後2年以内」という対象者の条件を大幅に緩和。離職していなくても対象に

「住居確保給付金」は離職や廃業で家を失った、あるいは失う恐れがある人のうち、就職活動を行っている人を支援する制度として始まったものです。これまでは、「離職・廃業後2年以内の人」しか利用できませんでした。しかし、厚生労働省は2020年4月20日から「やむを得ない休業などで減収となり、離職もしくは廃業に至っていないが、これらと同程度の状況の人」も支給対象者に加えました。これにより、勤務日数が減ってしまった派遣社員や仕事が減ったフリーランスの人らも、条件にあてはまれば利用可能となりました。また、4月30日から、これまでは必要だったハローワークに登録し、求職活動をしているという条件を撤廃することも、厚生労働省から発表されました。

世帯年収や資産要件にも、地域ごとに条件が設定

ただし、給付にはこのほかにも、エリアごとに定められた世帯年収や資産要件があります。たとえば、東京都23区在住の場合の要件は以下のとおりです。
【収入要件】
単身世帯:13万7,700円以下 2人世帯:19万4,000円以下 3人世帯:24万1,800円以下
【資産要件】
単身世帯:50万4,000円以下 2人世帯:78万円以下 3人世帯:100万円以下

必ずしも、家賃全額が支給されるわけではない点は注意

支給額の上限についても地域ごとに定められており、必ずしも家賃の全額でない点は注意が必要です。以下は東京23区在住の場合の上限金額です。
【支給額(上限)】
単身世帯:5万3,700円 2人世帯:6万4,000円 3人世帯:6万9,800円

支給は原則3か月間ですが、就職活動を行っている場合などは最長9か月まで延長可能です。
申し込みは各自治体の自立相談支援機関で行いますが、その際は本人確認書類をはじめ、収入や預貯金を証明する通帳などが必要になります。各地の自立相談支援機関の一覧は以下のサイトでご確認ください。
参考HP:自立相談支援機関の窓口情報

減収で家賃の支払いが苦しい。そんなときは「住居確保給付金」の対象になるかどうかの確認を

減収で家賃の支払いが苦しい。そんなときは「住居確保給付金」の対象になるかどうかの確認を

【5】高等教育の修学支援制度:授業料の支払いが苦しい場合に授業料が減額、奨学金が給付される

新型コロナウイルスは学生の生活にも大きく影響を与えています。親の収入減や自分のバイト先が営業自粛で働けず、学費の支払いに困っている事例も数多く報告されています。こうした事態を受け、国も対策を採り始めています。

親の死亡などに加え、コロナの影響で家計が急変した学生も給付対象に

文部科学省は2020年4月1日から、大学、短大、専門学校、高等専門学校に通う、条件を満たした学生に対し「高等教育の修学支援制度」を始めました。支援の具体的な内容は、「授業料・入学金の免除または減額」「返済不要の給付型奨学金の支給」の2つです。この支援策は、低所得世帯の学生を対象にしていました。家計急変により、対象となった場合も利用でき、文科省は今回、新たにこの条件に「新型コロナウイルスの影響で家計が急変した学生」も加えました。

支給対象世帯は、住民税非課税世帯および、それに準ずる世帯

支給対象世帯は、住民税非課税世帯および、それに準ずる世帯です。たとえば、文科省の公式HPによると、世帯年収の目安は両親・本人・中学生の4人家族の場合、「年収約270万円以下:基準額が満額支給」「年収約300万円以下:基準額の3分の2支給」「年収約380万円以下:基準額の3分の1支給」となります。自分が給付の対象になるかどうかは、奨学金事業を運営する日本学生支援機構のシミュレーターを利用することで、大まかに調べることができます。
参考:日本学生支援機構「進学資金シミュレーター」

支給額については、上記の「年収270万円以下」の世帯の場合、満額支給となり以下のとおりになります。
〈国公立大の学生〉
「年間授業料53万5,800円までが免除」「入学金28万2,000円減額」「奨学金として年間35万400円給付(自宅通学の場合)」
※上記の例で「年収約300万円以下世帯」なら3分の2、「年収約380万円以下世帯」なら3分の1支給
〈私立大の学生〉
「年間授業料70万円までが免除」「入学金26万円減額」「奨学金として年間45万9,600円給付(自宅通学の場合)」
※上記の例で「年収約300万円以下世帯」なら3分の2、「年収約380万円以下世帯」なら3分の1支給

申し込み先は日本学生支援機構になりますが、「自分も対象になるかもしれない」と思った方はまず、学校の窓口に相談するとよいでしょう。申し込みの際に、所得の急変を証明できる給与明細、「進学資金シミュレーター」の実施結果の写しなどが必要になります。

参考:文部科学省の公式サイト「高等教育の修学支援制度」

「高等教育の修学支援制度」の対象になれば、授業料の免除や奨学金の給付が受けられる

「高等教育の修学支援制度」の対象になれば、授業料の免除や奨学金の給付が受けられる

まとめ

以上、新型コロナウイルスの影響で家計が苦しくなったときに役立つ「融資」と「給付」の制度・サービスを紹介してきました。税金が原資となる「生活福祉資金の貸付」「住居確保給付金」「高等教育の修学支援制度」は、対象世帯の条件が定められているので、事前に電話などで確認しておきましょう。

紹介したもの以外にも、国、あるいは自治体独自で経済的に困った人を支援する制度が日々打ち出されています。ただ、これらを利用するには、自分で情報をキャッチし、申し込む必要があります。家計簿アプリを運営するZaimは、年収や職業、子どもの就学状況などを入力すると、受け取れる可能性のある給付金と目安の金額を自動算出するページを開設しました。このページも利用しながら、自分がどんな支援を受けられそうか、探してみるとよいでしょう。
参考:Zaim「新型コロナウイルス 手当・支援金シミュレータ」

〈監修者・豊田眞弓さん〉
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、相続診断士。
FPラウンジ代表、短大非常勤講師。マネー誌ライターなどを経て、94年より独立系FP。個人相談のほか、講演や研修、マネーコラム寄稿などを行う。

価格.comマネー編集部

価格.comマネー編集部

投資・資産運用・保険・クレジットカード・ローン・節約に至るまで、マネーに関する情報を毎日収集。「知らないで損するなんてもったいない」をモットーに、読者のためになる記事を制作します!

ご利用上の注意
  • 本記事は情報の提供を目的としています。本記事は、特定の保険商品や金融商品の売買、投資等の勧誘を目的としたものではありません。本記事の内容及び本記事にてご紹介する商品のご購入、取引条件の詳細等については、利用者ご自身で、各商品の販売者、取扱業者等に直接お問い合わせください。
  • 当社は本記事にて紹介する商品、取引等に関し、何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとします。
  • 当社は、本記事において提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
  • 本記事には、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
  • 本記事のご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、価格.comサイト利用規約(http://help.kakaku.com/kiyaku_site.html)にご同意いただいたものとします。
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る