クレジットカード、電子マネー、QRコード決済……。めまぐるしく変化を続けるキャッシュレス決済の動向をコンパクトに伝える連載企画「おトクの真相! 月刊キャッシュレス展望」。過去1か月のキャッシュレス関連のニュースの中から、マネー編集部員やマネー担当ライターが気になったニュースをピックアップしてお届けします。記事の最後には、記事公開時点で参加可能なキャッシュレス関連のキャンペーン情報も掲載していますので、おトク情報の取りこぼしがないようこちらもぜひチェックを。この連載は、毎月月初の公開予定です!
今月は、メガバンク初となる共通ポイント導入の話題や、高いポイント還元率が特徴のビジネスカード登場などについてお伝えします。
近年、超低金利や人口減少などを背景に、銀行は収益構造の改革を迫られています。それもあり、紙の通帳の発行や、預金口座の維持に手数料をかける銀行が出てくるなど、「銀行のあり方」が大きく変化しつつあります。
そんな中、メガバンクで初めて、共通ポイントの導入を決めたのが三菱UFJ銀行です。2021年1月22日、スーパー普通預金(メインバンクプラス)に「Pontaポイント」(以下、Ponta)を導入すると発表し話題を呼んでいます(導入は2021年6月から)。
4大共通ポイントのひとつである「Ponta」の導入を決めた三菱UFJ銀行
同行は現在、スーパー普通預金(メインバンクプラス)の口座開設者に対して、同行の利用状況に応じた優遇サービスを提供しています。具体的には、預金残高、借入状況、デビットカードやクレジットカードの利用状況など、さまざまな取引内容に応じて3つのステージ(ホワイト→シルバー→プラチナ)に分け、ATM利用手数料や、同行のネットバンキング「三菱UFJダイレクト」の他行宛て振込手数料を優遇するというもの。
2021年6月以降、これらの優遇制度は廃止され、代わりに、三菱UFJ銀行を利用することでPontaが貯まる仕組みになります。具体的には下記の通りです(2021年1月22日発表時点)。なお、このポイントサービスを利用するには、三菱UFJダイレクトの利用が条件で、別途、サービスの申し込みも必要です。申し込みは、2021年6月13日より受付が開始される予定です。
・三菱UFJダイレクトへのログイン:5ポイント/月
・口座振替(電気、水道など)、三菱UFJデビット・クレジットカードの引き落とし:10ポイント/月
・投信つみたて(継続購入プラン)、外貨つみたて(外貨貯蓄預金「継続預入プラン」)でいずれも1万円以上振替ごと:30ポイント/月
・運用商品(外貨預金、投資信託、公共債、金融商品仲介、MUFGファンドラップ)の残高が月末時50万円以上ある、月末時点で同行の住宅ローン残高がある:50ポイント/月
ポイントサービスの導入にともなって、6月以降は手数料の優遇条件も変わります。こちらも三菱UFJダイレクトの利用が条件で、下記のように変化します。これまではステージによって優遇される内容が変わっていましたが、優遇内容が一律になり、優遇を受ける条件もシンプルになりました。
・給与or年金の受け取り(10万円以上/回):同行のATMは無制限で手数料無料、提携コンビニのATMは2回まで手数料無料、三菱UFJダイレクトの他行宛て振込は3回まで手数料無料
・Eco通帳(インターネット通帳)の利用:同行のATMは無制限で手数料無料、提携コンビニのATMは1回まで手数料無料、三菱UFJダイレクトの他行宛て振込は1回手数料無料
これまで、同じくメガバンクの三井住友銀行が、利用状況に応じて三井住友グループの「Vポイント」が貯まるサービスを提供していた例がありますが、多くの提携店で貯めたり利用したりできる、いわゆる「共通ポイント」を導入するのは今回の三菱UFJ銀行が初めてとのこと。Pontaを運営する株式会社ロイヤルティマーケティング(三菱商事傘下)と三菱UFJ銀行は、数年前から業務提携を進めていましたが、今回、それが具体化したことになります。
近年は、楽天やソフトバンクなどが、共通ポイントを核にしてさまざまなサービスを展開し、「経済圏」と呼ばれるユーザーの囲い込み施策に積極的です。昨年2020年5月、Pontaは、KDDIのポイントと統合して大きな話題になりました。今回、メガバンクの一角が導入を決めたことで、さらなる拡大につながっていくのでしょうか? その推移を見守りたいと思います。
昨年2020年9月に三井住友カードが発行した「プラチナプリファード」というプラチナカードを覚えている読者も多いと思います。一般的に、プラチナカードは保険やレストラン予約などの付帯サービスに魅力があるものですが、プラチナプリファードは「ポイント獲得に有利」という特徴を持っており、既存のプラチナカードと一線を画すコンセプトが話題を呼びました。
その背景には、キャッシュレス決済の普及にともなうポイント人気の高まりがあるわけですが、その流れがビジネスカード(法人カード)にも波及しているようです。
ビジネスカードといえば、支払い口座に会社名義の法人口座を指定できたり、会計ソフトと連携できたりするなど、ビジネス活動に役立つ付帯特典が特徴です。そんな中、JCBとリクルートが提携して2021年1月26日より発行が始まった「Airカード」という新しいビジネスカードは、「1.5%」と、ビジネスカードとしてはポイント還元率がかなり高く設定されています(ビジネスカードのポイント還元率の相場は0.5〜1%)。
Airカードの年会費は5,500円(税込)。別途、1枚につき3,300円(税込)の年会費で追加カードを発行することができる。貯まるのはリクルートポイントで、「ポンパレモール」「じゃらん」「ホットペッパーグルメ」といったリクルート系のサービスで使えるほか、Pontaへの交換も可能。なお、税金・公共料金・通話料などは0.5%還元になる
2020年10月、ビジネス活動のペーパーレス化を進める目的で、「改正電子帳簿保存法」が施行されました。これにより、会計帳簿の処理で保存すべき書類を電子データ(電磁的記録)で保存することが可能に。具体的には、クレジットカードなどのキャッシュレスで決済した際の「デジタルの利用明細」を、領収書の代わりに会計処理に利用できるようになりました。事業者側の処理負担の軽減という本来の目的もさることながら、見方を変えると、ビジネスカードを発行する側にとって発行枚数を伸ばすチャンスが生まれている状況とも言えます。
Airカードの発行元のひとつであるリクルートは、「Airレジ」や「Airペイ」など、主に店舗向けに業務を支援する「Air ビジネスツールズ」と呼ばれるサービスを提供してきた経緯があります。今回のAirカードの発行もその一環として考えられ、上記の法改正を背景に、さらに深く業務支援サービスに踏み込もうとする同社の狙いがうかがえます。
「1.5%」という、ビジネスカードとしては破格のポイント還元率を用意したのも、これまでビジネスカードに関心がなかった層を開拓することが目的でしょう。Airカードが新たなビジネスカード需要を掘り起こせるのか、注目したいところです。
※参考記事
破格の1.5%還元やコンシェルジュのサービス! おすすめビジネスカード8選(価格.comマガジン)
https://kakakumag.com/money/?id=16485
アパレル大手のユニクロが、2021年1月19日より、既存のユニクロアプリにウォレット機能の「UNIQLO Pay(ユニクロペイ)」を追加しました。
ユニクロが独自のウォレット機能「UNIQLO Pay」をスタート
UNIQLO Payはユニクロアプリに、銀行口座もしくはクレジットカードを登録すると、全国のユニクロ店舗(一部店舗を除く)のレジで、アプリ上の「会員証QRコード」を提示するだけで決済ができるサービスです。チャージ式ではなく、登録した支払い元から直接決済される仕組みです。
2021年1月19日時点で登録できるのは、銀行では「三井住友銀行」「三菱UFJ銀行」「りそな銀行」「埼玉りそな銀行」「関西みらい銀行」の5行。クレジットカード払いでは「Visa」「Mastercard」「JCB」「アメリカン・エキスプレス」の4ブランドとなっており、今後も登録できる金融機関を追加する予定とのこと。現時点では実店舗でのみ利用できますが、将来的にはオンラインストアへの展開も視野に入れているようです。
現時点で、UNIQLO Payには、ポイント還元などのおトクな特典はありません。「ユニクロアプリの『会員証QRコード』を提示するだけで、簡単かつスピーディーにお支払いいただける決済サービス」とユニクロのリリースに記載があるように、あくまでも「決済時の利便性向上」を狙ったサービスのようです。
筆者はよくユニクロを利用するのですが、これまでユニクロで決済する際は、レジでの会計前に「ユニクロアプリの提示」、その後、「クレジットカードや現金などで支払い」という2つのステップが必要でした。もちろん、「ユニクロアプリの提示」は必ずしも必要な作業ではないわけですが、買い物履歴が残ったり、クーポン機能があったりと何かと便利な機能があり、ユニクロをよく使う人は重宝しているアプリでしょう。
このたびのUNIQLO Payの登場により、会計時の作業がひとつで済むので、その意味では確かに決済時の利便性の向上が望めそうです。実際、SNSなどでは、ユニクロファンと思しき人からの好意的な声も見られます。ユニクロを使う機会が多い人は、一度試してみてもいいかもしれません
期間中に三菱UFJダイレクトに契約・登録のうえ、キャンペーンの参加登録とEco通帳(インターネット通帳)への切り替えを完了すると、先着10万名に1,000円がプレゼントされます。
キャンペーン期間:開催中〜2021年3月15日
公式サイト:https://www.bk.mufg.jp/info_cam/202011_eco_tsuchou/index.html?link_id=r_eco_tsuchou_2020cpn_05
セゾンカードおよびUC カードが2021年1月12日より「Google Pay」に対応しました。それを記念し、セゾンカード、UCカードをGoogle Payに登録して期間中に利用すると、Google Pay(QUIC Pay)の利用金額の10%がキャッシュバックされます(上限500円)。
キャンペーン期間:開催中〜2021年2月28日
公式サイト:https://www.saisoncard.co.jp/services/gp/cp/
キャンペーンサイトでエントリーのうえ、Tポイント加盟店で期間中にモバイルTカードを提示して会計をすると、会計ごとに貯まるTポイントが2倍になります。通常のポイントと同数のポイントが後日進呈されます。上限は1か月あたり最大1万ポイントで、期間中の合計は3万ポイントとなります。なお、ファミリーマートではTカード連携をしているファミペイの提示もキャンペーンの対象です。
キャンペーン期間:開催中〜2021年3月31日
公式サイト:https://web.tsite.jp/cpn/mbt/2021/mba2/
(執筆協力:大正谷成晴)
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