最近、「楽天経済圏」という言葉をよく聞きます。楽天経済圏とは、代表格の「楽天市場」をはじめ、「楽天カード」「楽天銀行」「楽天モバイル」など、生活のあらゆる場面にかかわる楽天のサービス群が生む「ビジネス上のエコシステム」のこと。各サービスの利用額に応じて「楽天ポイント」をユーザーに還元することで、ユーザー側に「次も楽天のサービスを選ぼう」という動機を与え、楽天のサービス内でお金が回っていく様を「経済圏」と表現しているわけです。今や、こうしたネット上の経済圏構築は、楽天に限らず、ドコモ、au、ヤフーなどもそれぞれのサービス領域を拡大し、経済圏として楽天に伍していく姿勢を強めつつあります。
ここまではサービス提供側の目線ですが、私たち消費者にとって肝心なのは、「これらネット経済圏を積極的に利用することで、どれほどのメリットがあるのか?」ということだと思います。そこで本企画では、「ネット経済圏に『住む』とどれほどトクなのか」をテーマに、各経済圏を深く利用しているユーザーを取材し、その実態を紹介していきます。初回の今回は、昨年2020年から楽天経済圏を積極的に利用し、わずか半年余りの間に、「ポイント還元倍率が通常の15倍」(一時的には最大の16倍。後述)を達成した中野有紀子さんに、ポイントアップの具体的方法や、実際に使って実感したメリット・デメリットなど、経済圏の「住人」だからこそわかるリアルなお話をうかがいました。
楽天経済圏の”住み心地”やいかに?
「もともと、ネットの買い物はメルカリやアマゾンが中心で、楽天市場にはあまり興味がありませんでした」と話す中野さん。大学卒業後、生命保険会社などで働き、結婚、出産を機にネイリストに転身。33歳のときに開業し、仕事や家事、育児に追われるいっぽう、「メルカリの達人」として本を出版した経験もあります。それがなぜ楽天に興味を?
「2020年の春ごろに3番目の子どもが生まれ、ベビーグッズを買い直すために楽天市場をひさしぶりにのぞきました。すると、『楽天市場アプリからの買い物でポイント+0.5倍』『楽天カードを利用するとポイント+2倍』などが目に入り、自分が知らない間に楽天のサービスが広っていたことを知ったんです。そのときは『バウンサー』(ベビーチェア)を探していたんですが、ショップ独自のキャンペーンで『ポイント10倍』が適用され、約2万円の価格に対して2,000ポイントが付きました。それまではなんとなくアマゾンを使っていましたが、おトク感に差があることを知って楽天に目を向けるようになったんです」(中野さん、以下同)
中野有紀子さん。1978年、東京生まれ。早稲田大学を卒業後、大手生命保険会社に勤務。その後女性専用フィットネス・カーブスのスーパーバイザーとなる。出産後は「子どもの近くで働き、女性に寄り添うサービスを提供したい」と考え独立。現在は、不用品仕分けサービスなどを行う「CureRe」の運営、ネイルケアサロン「エバーガール」の開業、各種執筆活動などを行っている。古物商。ライフオーガナイザー2級。近著に「忙しい人のための さくさく売れるメルカリ術」(インプレス刊)、「楽天活用法: 教えて&まとめ」「もっとフリマアプリを楽しむ方法 メルカリは知っている。ラクマ・PayPayフリマってどうなの?」(いずれもKindle版、大隈文庫)などがある
それ以来、買い物するときに楽天市場のアプリをチェックするようになり、同時に、SNSなどを通じて、楽天ポイント好きの仲間から情報を収集。
「みんなから教えてもらう中で、楽天経済圏という言葉も初めて耳にしました。楽天といえば楽天市場ぐらいしか知らなかったレベルだったので、『楽天市場以外のサービスを使うだけでもらえるポイントが増えるんだ』という驚きがありましたね」
次第に楽天経済圏へと足を踏み入れていった中野さん。当時、楽天のポイントアップに関するまとまった情報が見つからなかったことから、みずから「いかにもらえるポイントを増やすか」を、試行錯誤していくようになります。
「それでわかったのが、楽天経済圏でもらえるポイントを増やす2つの方法です。ひとつが『楽天SPU』(以下、SPU)。SPUは『スーパーポイントアッププログラム』の略。楽天グループの各種サービスを使うほど、楽天市場での買い物でもらえるポイント数がアップする仕組みです。使うサービスによってそれぞれ条件があって、それをクリアすると、もらえるポイントの倍率が最大16倍まで増えます」
SPUや楽天のキャンペーンでは「+○倍」という楽天独特の表現が頻出します。これは、楽天市場での買い物でもらえるポイントの還元率が上がることを意味します。楽天のサービスでポイントを貯めるには、まず、楽天会員の登録が必要で、これをクリアすると「+1倍」でポイント還元率が「1%」に。この状態で、そのほかのSPUの条件をクリアしていくことでポイント還元率が上がります。上がり方は下記のとおりです。
(例)SPUの「楽天カードの申し込み&利用 +2倍」をクリアした場合、「1%」の還元率に「+2倍=1%×2が追加=2%上乗せ」となり、楽天市場でのポイント還元率が「3%」になります。
仮に、下記の3つの条件を達成した場合は、その月の楽天市場の買い物は、基本の「1%」から「+4倍」の「5%還元」になります。
・楽天カードの申し込み&利用 → +2倍
・楽天証券にて、楽天ポイントを使って投資信託を月1回500円以上購入&対象コース設定 → +1倍
・楽天ビューティでの予約と店舗利用(3,000円以上) → +1倍
要は、「+〇倍」の「〇」の数字を足していくと、その時点で適用される楽天市場でのポイント還元率になるというわけです。このように、SPUの条件をクリアするごとに還元率がアップし、最大で16倍まで目指すことができます。楽天ポイントは1ポイント=1円相当で、楽天グループのサービスへの支払いや、楽天ペイで加盟店での支払いなどに使えるので、実質的に「最大16%オフ」まで目指せることを意味します。
「私が本格的に楽天経済圏の開拓を始めたのが2020年6月。その後、RPGのクエスト(ミッション)をクリアする感覚でSPUを上げていき、その年の12月には15倍まで上げることができました。その後、一時的に最大の16倍まで達成したのですが、2021年1月に1都3県を対象とした緊急事態宣言が出されたことで楽天トラベルでの予約をキャンセル。惜しくもコンプリートはできませんでした」
獲得ポイントを増やす方法はSPUだけではありません。楽天市場ではさまざまなポイントアップキャンペーンを定期的に実施。これを、SPUと組み合わせると、おトク度はさらに上がります。
「たとえば、年に4回行われる『楽天スーパーSALE』などのキャンペーンとSPUは併用できるんです。私は、日頃SPUの倍率を上げてそれを維持しつつ、買い物をなるべくキャンペーンのタイミングに集中させて、もらえるポイントを増やしました」
上の画像は、中野さんが年間で獲得してきた楽天ポイント数の推移(楽天PointClubアプリのスクリーンショット)。年間の買い物額にバラつきがあるため、一概には比較できないものの、2020年6月から楽天経済圏を本格的に利用するようになってからの獲得ポイントの急激な伸びが目を引きます
SPUとキャンペーンの2つが、楽天経済圏でトクする方法だとわかったところで、それぞれを少し掘り下げて、具体的に何をすればいいか探っていきます。まずSPUですが、中野さんは条件クリアの難易度ごとに、3つのカテゴリー(本気記事内では初級、中級、上級)に区分。取り組みやすいものからクリアを狙うことを勧めます。
「SPUの対象となっている各サービスの達成条件は、サービスによって難易度が違います。なかには、ちょっと面倒なものもあるので、優先順位を付けて取り組むのが賢いやり方だと思います」
※初級〜上級の区分はあくまで便宜的なもので、初級→中級→上級と順番にクリアする必要はありません。
まず、比較的取り組みやすい「SPU攻略初級」の数々です。
・楽天会員 +1倍
会員登録のみ。入会金、年会費は無料。楽天グループで使用できる共通のIDを取得できる
・楽天カード +2倍
楽天カード(種類を問わず)を作り、楽天市場での買い物に利用
・楽天市場アプリ +0.5 倍
楽天市場アプリをダウンロードし、同アプリで買い物
・楽天モバイル +1倍
楽天モバイルを契約
・楽天銀行+楽天カード +1倍
楽天銀行の口座を開設し、楽天カードの引き落とし口座に設定
・楽天証券 +1倍
楽天証券に口座を開設し、月1回500円以上のポイント投資(投資信託)を設定
「これらは、一度手続きを済ませれば、あとはほぼほったらかしで獲得倍率が維持できるSPUが中心です。携帯電話はや証券口座などは変更手続などが面倒で、ちょっとハードルが高いかもしれませんが、仮にこれらを全部クリアすると、楽天市場での買い物でもらえるポイント還元率が『6.5%』になります」
続いて、少し難易度が上がる「SPU攻略中級」です。
・楽天の保険+楽天カード +1倍
楽天の保険に加入し、その保険料を楽天カードで支払う
・楽天ひかり +1倍
楽天ひかり(光回線インターネットサービス)の契約
・楽天プレミアムカード・楽天ゴールドカード +2倍
楽天プレミアムカード(年会費1万1,000円)または楽天ゴールドカード(年会費2,200円)を作り、楽天市場での買い物に利用(ポイント獲得上限あり。プレミアムカードは月間1万5,000P、ゴールドカードは月間5,000P)
・楽天でんき +0.5倍
楽天でんき(個人・家庭向け電気サービス)に加入し、サービスを利用
・楽天ブックス +0.5倍
楽天ブックスで月1回、1注文1,000円以上の買い物
・楽天Kobo +0.5倍
楽天Koboで電子書籍を月1回、1注文1,000円以上の買い物
※楽天ゴールドカードは2021年4月1日から、楽天でんきが同6月1日からSPU対象外となるのでご注意ください。
「ひかり回線や電力の契約、プレミアムカード・ゴールドカードの作成は、一度の手続きで済むので、この中では比較的容易かもしれません。プロバイダーや電力会社の見直しを考えていたり、カード年会費を負担できるなら検討しましょう。保険の契約や書籍などの購入などは、無理のない範囲で検討されるといいと思います」
最後は、「SPU攻略上級」です。
・楽天トラベル +1倍
楽天トラベルの対象サービスを月1回5,000円以上予約し、対象期間に利用
・楽天Pasha(パシャ) +0.5倍
楽天がメーカー等に提供する成果報酬型広告。メーカーの商品を楽天が「トクダネ対象商品」として指定。ユーザーが対象商品をリアル店舗で購入し、そのレシートを撮影して送信すると楽天ポイントがもらえる仕組み。還元されるポイント数は商品によって異なり、SPUの対象となるのは合計100ポイント/月以上の獲得
・Rakuten Fashionアプリ +0.5倍
Rakuten Fashionアプリをダウンロードし、Rakuten Fashion内の商品を月に1回以上買い物
・Rakutenパ・リーグSpecial +1倍
楽天TV「Rakutenパ・リーグSpecial」の加入または契約更新
・楽天ビューティ +1倍
楽天ビューティで月3,000円以上の予約&施術完了
※楽天TV「Rakutenパ・リーグSpecial」が2021年4月1日からSPU対象外となるのでご注意ください。
「ここが最終カテゴリー。条件達成に手間がかかるものや、比較的お金がかかるものが増えてくるので、本当に必要なサービスか見極める必要があります。たとえば、旅行や美容院の予定がある場合は、『楽天トラベル』『楽天ビューティ』を検討するといいと思いますが、どちらも最低利用金額が設定されているので気を付けてください。また、楽天トラベルについては『予約した月の2か月後末日までに旅行を終える』という条件もあります。『楽天Pasha』というのは、レシートをスマホで撮影して送るとポイントがもらえるサービスで、リアル店舗で該当商品を探して買う手間がかかります。対象商品によってもらえるポイントが異なるので、私はできるだけたくさんポイントがもらえる商品を狙うようにしています」
上記の初級〜上級の各条件の難易度は、ユーザーによってとらえ方が大きく変わってくると思います。たとえば、筆者などはよく資料用の本を買うので、中級の「楽天ブックス」などは比較的容易にクリアできそうです。いずれにせよ、自分なりの優先順位を作って取り組むことがSPU攻略のキモになりそうです。
「自分のSPUが今何倍なのか」は楽天市場のトップ画面(PC、スマホ)に表示されるので、すぐに確認することができます(提供:中野さんのYouTubeチャンネル『さくさく売れるフリマアプリ活用術』より)
SPUの次は各種キャンペーンの攻略です。前出のとおり、もらえるポイントがアップする日に買い物をすれば、「SPU+キャンペーン」で、獲得できる楽天ポイントはさらに増えます。中野さんが注目しているイベントをいくつか教えてもらいました。
「楽天市場で3か月に1回のペースで開催されるセールです。3の倍数月である『3月』『6月』『9月』『12月』に行われるのが通例となっています。楽天スーパーSALEは、半額以下の商品が多く並ぶなどかなりおトクなセールです。しかも、約1週間のセール期間中、複数の店舗で買い物する、『買いまわり』をすると、利用する店舗数が増えるごとにもらえるポイントの倍率がアップしていきます。1店舗の買い物金額1,000円以上で、買いまわり店舗が2店舗なら『+2倍』、3店舗なら『+3倍』……という形で、最大10倍に(ポイント獲得上限1万ポイント)。これらに加えて、ショップ独自のポイントアップキャンペーンやクーポンの配布などもあり、獲得できるポイントは、最大44倍です」
「こちらは、楽天市場でほぼ毎月開催されるセールで、月1度ないしは2度開催されます。期間は約1週間。楽天スーパーSALEと同じく、期間中、買いまわりでもらえるポイントの倍率がアップしていきます。1店舗1,000円以上の買い物で、最大10倍、ポイント獲得上限は1万ポイントに設定されることが多いですが、キャンペーン時期によってポイントの獲得上限が低い場合があるのでご注意ください(※)。これだけでももちろんおトクなのですが、私は、期間中の『0と5のつく日』を狙います。この日は、もらえるポイントが『+2倍』になります(楽天カード決済時のみ、要エントリー)」
(例)たとえば、「SPUが6.5倍の状態」で、「お買い物マラソンの期間中に5店舗で買いまわり」をすると、ポイント倍率は11.5倍、つまり11.5%のポイントが付きます。「買いまわりの日が0と5のつく日」になると、さらに+2倍となり、合計13.5倍、13.5%のポイントが付く計算になります。
※2021年2月に開催された「お買い物マラソン」のポイント獲得上限は7,000ポイント。最新情報につきましては公式情報をご確認ください。
「楽天は傘下に『東北楽天ゴールデンイーグルス』(プロ野球)や、『ヴィッセル神戸』(Jリーグ)といったプロスポーツチームを抱え、世界屈指の人気サッカークラブである『FCバルセロナ』(リーガ・エスパニョーラ)をスポンサードしていることでも知られています。実は、これらもポイントアップに関係してきます。楽天市場ではこれらのチームの試合日が重なるときに、『勝ったら倍』というユニークなキャンペーンが開催されることがあります。東北楽天ゴールデンイーグルス、ヴィッセル神戸、FCバルセロナの試合の翌日に、1チームが勝利したときは2倍、2チーム勝利で3倍、3チーム勝利で4倍になります。ただしキャンペーンの事前エントリーが必須で、エントリー前の買い物ではポイントは増えないのでご注意ください」
楽天と関係するスポーツチームが勝つと獲得ポイントがアップする「勝ったら倍」キャンペーン(画像は楽天市場より)
楽天市場はこのほかにも多数のキャンペーンを実施。SPUの倍率を上げておきつつ、これらのキャンペーンに合わせて買い物を行うのがポイントアップの正攻法と、中野さんは話します。
「ただし、楽天スーパーSALEやお買い物マラソンなどの開催日時は、直前にならないと楽天側からは告知されません。ですので、ネットでの情報収集が不可欠。キャンペーンの日時を予想してSNSやブログなどで情報発信している人たちをチェックしつつ、タイミングを逃さないようにしましょう。また、ここまでで何度か触れていますが、キャンペーンの多くは楽天市場のトップページのキャンペーンバナーからのエントリーが必要です。こちらもお忘れなく」
実際に「SPU15倍」まで増やした中野さん、実際にやってみた率直な感想は?
「『SPU15倍』は、5,000円の商品なら4,250円、1万円の商品なら8,500円と、楽天市場の買い物が常に15%引きになる状態です。キャンペーンがからむとさらにおトクになるので、間違いなく大きなメリットだと思います。先日、楽天市場で、ポイント還元を含めて実質2万円ほどのアクセサリーを買いました。私はメルカリなど”フリマアプリの達人”として本を出していることもあり、念のためメルカリで同じ商品をチェックしたところ、同じ商品の中古が5,000円ほど高い値段で売られていました。楽天経済圏を極めると、こういった『逆転現象』もありえるんだなと、その効果の大きさを実感しました」
いっぽうで、そのメリットの裏返しとなるデメリットにも注意が必要と話します。
「ポイントがどんどん貯まり、買い物もおトクだからと楽天でついつい買いすぎてしまうことがあります。特に、『買いまわり』でポイントアップを狙って買い物してしまうのは本末転倒。当たり前ですが、必要かどうか見極める目が本当に大切だと感じます。商品によってはもともとの売値が楽天市場よりも安く、ポイント還元を加味しても楽天より有利になるECサイトがあるケースも。事前の比較検討も大切です」
そのほか、獲得したポイントの使い道にも注意。SPUや各種キャンペーンでは、有効期限が1年間ある「通常ポイント」ではなく、1か月半あまりで期限が切れてしまう「期間限定ポイント」が付与されることが少なくありません。
「SPUやキャンペーンのポイントは翌月15日に付与されます。期間限定ポイントの場合は有効期限がそこから1か月半なので、楽天のサービスで使うのはもちろん、楽天ペイを使って、『楽天ポイントを使えるお店』でうまく使う必要があります。たとえば、まず楽天モバイルや楽天でんきなどの固定費の支払いに充て、残りをほかで使うイメージです。私の知り合いは『期間限定ポイントはコンビニでの買い物OK』というルールを作っているそうです。そうしたマイルールでポイント消費を楽しむのもよいかもしれません」
最後に、SPUの条件が変わることについてもお聞きします。
「記事中のSPUの項でも触れていますが、『楽天ゴールドカード』などいくつかの条件が、今後SPUから外れることが決まっています。ネット上などでは『改悪』などと表現されることもありますが、私はその見方には少し違和感を覚えます。楽天経済圏のポイントアップを積極的に楽しむユーザーが増えれば増えるほど、楽天側にとってはポイント負担が増えるという側面もありますよね。それによって条件が下がる可能性については、常に頭の片隅に置いておき、そのうえでポイント獲得を楽しむぐらいの心の余裕やバランスが必要だと思います。
その意味で、仮に楽天経済圏自体の魅力が相対的に下がれば、そのほかの経済圏に移行することも考えるべきなのかもしれません。私自身は、ここまで倍率を上げるまでのサンクコスト(埋没コスト)が頭をよぎり、いざ楽天経済圏から移行するとなると面倒に感じることもわかっているのですが……。いずれにせよ、各経済圏が競い合って、さまざまなサービスがおトクに使えることを願っています」
中野さんの実体験に基づくお話から、経済圏で得られるポイントアップのメリットの一端や、あらかじめ気を付けておくべきことが伝わったことと思います。実際、本記事の担当編集者も、取材でうかがったお話を参考にして参加した2021年3月の楽天スーパーSALE後に、こんな感想を漏らしています。
楽天市場アプリと楽天ゴールドカードでSPUは5.5倍。買いまわりでポイント倍率がどんどん上がり……
「もともと楽天ゴールドカードのユーザーで(SPU攻略中級)、楽天市場アプリも使っていたので(SPU攻略初級)、SPUは5.5倍。狙っていたのは空気清浄機だったのですが、どうせなら倍率を上げたあとに買って、もらえるポイントを増やしたいと買いまわりに初挑戦。比較的安価な備蓄用の水や食料を数店舗回って購入して倍率を上げ、最終的には8.5倍(8.5%)で購入しました。買いまわり中は1店で買うごとに倍率が上がるのが面白く、ついつい家族に『何か欲しいものない?』などと余計なことを聞いてしまい……。これはクセになりそうだなという感触と、中野さんがおっしゃった買いすぎリスクの両方を感じました」(価格.comマネー編集部N)
どんな物事も、のめりこみ過ぎや「一極集中しすぎ」は禁物。経済圏のメリットを賢く享受すると同時に、いっぽうで、一定の距離を置いて付き合う冷静さこそが、経済圏で楽しく暮らすためのコツなのかもしれません。皆さんもぜひ、本記事を参考に、賢く楽天経済圏を攻略してみてください。
当サイトでは今後も、そのほかのネット経済圏の住人への取材や、経済圏ごとの規模・特徴などを解説する記事を予定しています。どうぞご期待ください。
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「ドコモ経済圏の住人」が実践する7つのおトク技、そのあなどれない実力を公開!(価格.comマガジン)
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※本記事は、取材者および執筆者の⾒解です。