クレジットカード、電子マネー、QRコード決済……。めまぐるしく変化を続けるキャッシュレス決済の動向をコンパクトに伝える連載企画「おトクの真相! 月刊キャッシュレス展望」。過去1か月のキャッシュレス関連のニュースの中から、マネー編集部員やマネー担当ライターが気になったニュースをピックアップしてお届けします。記事の最後には、記事公開時点で参加可能なキャッシュレス関連のキャンペーン情報も掲載していますので、おトク情報の取りこぼしがないようこちらもぜひチェックを。この連載は、毎月月初の公開予定です!
今回は、先日営業が始まったPayPay銀行の話題から紹介します。
2021年4月5日、インターネット専業銀行(ネット銀行)のひとつである「ジャパンネット銀行」が社名を変更し、新たに「PayPay銀行」が営業を開始しました。同行は、PayPay株式会社やヤフー株式会社を傘下に持つZホールディングスと三井住友銀行のグループ会社という位置付けで、「スマホで日本一使われる銀行を目指す」(同行リリースより)としています。
コンビニのATMでもPayPay銀行の取り扱いが始まっています。写真はファミリーマートに設置されているイーネットATM(2021年4月26日撮影)
同行はスマホで口座開設ができます。スマホ上で「メールアドレスの登録」、「申込内容の入力」、「本人確認書類の撮影」(※)、「トークンアプリをダウンロードして初期設定」を行うことで、早ければその日のうちに同行の口座が開設できます。また各種銀行取引は、PayPay銀行アプリ上で行い、「残高の確認」や「カード番号の変更・確認」などが行えます。
PayPay銀行はスマホアプリでの利用がメインに
※当日口座開設可能なのは、運転免許証かマイナンバーカードを用意し、「顔写真と動画」で本人確認ができる人のみ。各種健康保険証で本人確認する場合は郵送手続きが必要となり当日中の口座開設はできません。
また、住信SBI銀行やauじぶん銀行など、ネット銀行で徐々に広がりつつある「キャッシュカード代わりにスマホを使ってATMの入出金ができる」サービスも、今回の社名変更に合わせて導入されています。サービス名称は「スマホATM」で、セブン銀行ATMにて、ATMに表示されるQRコードをスマホのカメラで読み取ることで、入出金やカードローンの借り入れ・返済ができます。
セブン銀行ATMならキャッシュカード不要で使うことができます
なお、キャッシュカードは必要になりますが、セブン銀行ATMのほかに、イオン銀行、ローソン銀行、イーネット、ゆうちょ銀行、三井住友銀行のATMも使えます。入出金にかかる手数料は、毎月最初の1回は無料で、2回目以降は利用額3万円以上なら0円、3万円未満は165円となります(ゆうちょ銀行ATMのみ330円)。キャッシュカードにはVisaデビット機能が搭載されているので、Visa加盟店で手軽にキャッシュレス決済ができるのも特徴です。
銀行名にもなっているように、QRコード決済サービスのPayPayとの相性も気になるところ。目を引くのは、「PayPay残高への入出金がいつでも・何回でも手数料0円」というサービスです。
PayPayは銀行口座からの入金(金融機関を問わず手数料無料)や、「ヤフオク」「PayPayフリマ」の売上金を利用することで、PayPay残高(PayPayマネー)にチャージし、PayPayの支払いに使うことができます。また、PayPayマネーはほかのユーザーに送金することも可能です。
このPayPayマネーは、銀行口座に移して現金として引き出すこともできますが、通常は手数料として100円かかります。しかし、PayPay銀行の口座なら手数料無料で出金することができます。ヤフオクやPayPayフリマでよく販売する人や、ユーザー同士で送金する機会が多い人にとっては、うれしい機能でしょう。
もっとも、この「PayPay残高への入出金がいつでも・何回でも手数料0円」は、前身のジャパンネット銀行時代からあったサービスです。本格的なPayPayとの連携については、今後の展開に期待したいところです。
※当サイトの下記の記事で、PayPay銀行を含め、8つのネット銀行の手数料を比較しています。
▼けっこう違う! 8つのネット銀行の手数料を比較 ATMや振り込みがおトクなのは?
https://kakakumag.com/money/?id=15665
株主優待と聞くと、「その会社の製品」や「優待券」がもらえるというイメージが根強いですが、やや毛色の違う優待を用意する企業もあります。そのひとつが、「大丸松坂屋百貨店」や「パルコ」などを傘下に持つ「J.フロント リテイリング」(東証1部:3086)です。同社は2021年4月5日より、株主専用のクレジットカードの発行を始めました。
J.フロント リテイリングが株主向けのクレジットカードの発行を開始(画像はJ.フロント リテイリング公式サイトより)
このカードの名称は、「J.フロント リテイリング株主様 パルコお買い物ご優待カード」です。J.フロント リテイリングの株式を2月末・8月末時点で100株以上所有する18歳以上の株主が申し込むことができます(発行はクレディセゾンで所定の審査あり)。
特徴は、子会社のパルコが運営する全国18店舗の「PARCO」の店頭および、ネット通販「PARCO ONLINE STORE」での支払いにこのカードを使うと、請求時に常に5%割引になることです(一部ショップ、商品、サービスなどを除く)。対象店舗をよく使う人にはまずまずメリットのある1枚と言えそうです。
株主向けのクレジットカードならPARCOでの買い物が常時5%割引に
実は、この「PARCOでの買い物が優遇されるクレジットカード」は、同社傘下のパルコがもともと株主優待として発行していた経緯があります(当時の名称は「パルコ株主ご優待PARCOカード」)。2020年にパルコがJ.フロント リテイリングの子会社となり上場廃止。それにともない発行が停止していました。今回のJ.フロント リテイリングの発行により、このカードが実質的に復活した形となります。
このカードの入会金・年会費はもちろん無料で、国際ブランドはMastercardです。前出の5%OFFのほか、買い物に利用すると(PARCO以外を含む)、1,000円につき永久不滅ポイントが1ポイント貯まります。また、カードを提示すると、PARCO店舗内の直営ギャラリーで開催される有料イベントに本人と同伴者1名まで無料で入場できます(一部のイベントは対象外)。
注意したいのがカードの有効期限です。通常、クレジットカードは数年間の有効期限が設けられていますが、このカードは「期間限定」です。申込日に関わらず到着日から翌年5月末日までしか使うことができません(ただし、12月に申し込み、カード到着が翌年1月の場合は、有効期限は同年5月末日まで)。このあたりは、株主優待で一般的な「買い物優待券」(有効期限が設定されているものが多い)と似た設定になっていると言えるでしょう。なお、株主番号の変更が無く、100 株以上の継続保有が確認できた株主には、有効期限満了前に更新カードが届くといいます。
なお、このカードの発行にともない、従来の株主優待のひとつだった「パルコお買い物ご優待券」の発行は終了しています(2,000円ごとに100円分。有効期限までは利用可能)。また、このカードのほか、グループ内の百貨店の買い物が10%割引になる「J.フロント リテイリング株主様 大丸・松坂屋ご優待カード」(買い物時に店員に掲示。支払いは別途必要)については、継続して発行されます。
コンビニ大手のファミリーマートは、2021年4月7日より、クレジットカードなどのタッチ決済や、JCBが展開するスマホ決済スキーム「Smart Code」、アリペイによるクロスボーダー決済ソリューションの「Alipay+」を新たに導入しました。
タッチ決済で対応したのは、Visa、Mastercard、JCB、American Express、DinersClub、Discoverの各カードブランドです。また、Smart CodeとAlipay+の導入により、「atone」「ANA Pay」「EPOS Pay」「AlipayHK」「Kakao Pay」などの各決済サービスも利用可能になりました。
ファミリマートがクレカのタッチ決済に対応!
今回の施策でユーザーへの影響が大きそうなのがタッチ決済の導入でしょう。対応するクレジットカードやデビットカード、プリペイドカードなどを端末にかざすだけで決済できるタッチ決済は、従来のようにカードを決済端末に挿入して暗証番号を入力する手間がなく、非接触ニーズの高まりとも相まって普及が徐々に進んでいます。当サイトでも過去に紹介しましたが、南海電気鉄道や京都丹後鉄道などの一部交通機関や、イオンやイトーヨーカドーといった小売り大手、マクドナルドなどがすでにタッチ決済を導入しています。
コンビニ業界では、セブン-イレブン、ローソンの2社がすでにタッチ決済を導入済みで、今回ファミリーマートが導入したことで、大手3社の足並みがそろった形です。多様な人が利用する大手コンビニでの導入により、タッチ決済の今後の普及にも拍車がかかりそうです。なお、今回のファミリーマートでのタッチ決済導入にともない、American Expressでは、ファミリーマートでタッチ決済での買い物をした際に、支払額の20%がキャッシュバックされるキャンペーンを実施中です(下記キャンペーン情報にて後述)。
アメリカン・エキスプレスは、ファミリーマートにて対象のカードでタッチ決済すると、支払い金額の20%をキャッシュバックするキャンペーンを実施中です。全国のファミリーマートの店舗が対象で、キャッシュバックの上限額は合計1,000円まで。なお、キャンペーンの参加には事前登録が必要で、登録は先着50万名までとなっています。
キャンペーン期間:開催中〜2021年5月31日
公式サイト:https://www.americanexpress.com/jp/benefits/events-offers/touch-2020.html
トヨタが運営するスマホ決済アプリ「TOYOTA Wallet」が、1.5%キャッシュバックキャンペーンを実施中です(終了日は未定)。対象は、TOYOTA WalletのiD決済、Mastercardコンタクトレス決済(店舗およびECサイト)で、支払い金額の1.5%の「TOYOTA Wallet残高」が後日付与されます。TOYOTA Wallet残高は、iD加盟店やMastercardコンタクトレス加盟店での支払いに使えます。1.5%は、スマホ決済アプリにおいてなかなかない高い還元率となっており、ユーザーの注目を集めそうです。
キャンペーン期間:開催中〜
公式サイト:https://toyota-wallet.com/cashback/
期間中にクイズに正解すると表示されるURLから、SBI証券の公式Twitterをフォロー&リツイートした人の中から、抽選で5,000名にAmazonギフト券200円分がプレゼントされます。期間中に当選者が5,000名に達した時点でキャンペーンは終了します。また、2021年6月30日までに同社で投資信託を1万円以上購入すると、抽選で5,000名に現金1,000円がプレゼントされます。
キャンペーン期間
Twitterでのフォロー&リツイート:開催中〜2021年5月31日まで
投資信託の購入:開催中〜2021年6月30日
公式サイト:https://go.sbisec.co.jp/cp/cp_6million_20210420.html
(執筆協力:大正谷成晴)
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