「三井住友カード ゴールド ナンバーレス(NL)」(以下「ゴールド(NL)」)は、価格.comゴールドカードランキングで2021年9月以来、1度も首位の座を明け渡すことなく、1位をキープしている人気のゴールドカードです(2025年8月5日時点)。
・セブン‐イレブンでは最大10%還元
・ローソンやマクドナルド、サイゼリヤなどで最大7%還元
(いずれもスマホのタッチ決済を使った場合)
という特徴を持つ「三井住友カード ナンバーレス(NL)」(年会費無料)も高い人気を誇っていますが、「ゴールド(NL)」はこれにゴールド特典が上乗せされたカードです。
そして、「ゴールド(NL)」は年間100万円以上の利用が1度でもあれば、翌年以降の年会費が「永年」で無料になる特典が用意されています。
そんな「ゴールド(NL)」の実力はどれほどなのか?
100枚以上のクレジットカードを保有し、ポイント、カードのポータルサイト「ポイ探」を運営する菊地崇仁さんもリリース当日に申し込み、現在利用中とのこと。そこで菊地さんに、このカードの魅力と弱点を解説してもらい、類似のカードとも比較してもらいました。
(以下、菊地崇仁さん語り。聞き手はライターの渡辺裕希子さん)
なお、「ゴールド(NL)」は現在、入会の翌月末までに、スマホのタッチ決済を1回以上利用すると、最大7,500円相当(500円相当は価格.com特典)をプレゼントする入会キャンペーンを実施中です(2025年9月30日まで)。
価格.comクレジットカード人気ランキングのゴールドカード部門で、「三井住友カード ゴールド(NL)」は不動の1位。なお、一般カード部門では、「三井住友カード(NL)」が1位をキープしています(2025年8月5日時点)
2021年7月にリリースされて以降、継続して人気を集めている「三井住友カード ゴールド(NL)」(画像はポイ探提供)
下記記事では、三井住友カードの6券種の特徴を比較し、タイプ別におすすめのカードを紹介しているので、こちらもチェックしてみてください。
「三井住友カード」というと、信頼感や伝統が確立されているいっぽう、従来はあまり派手なことはしない、という印象のカード会社でした。
しかしここ数年、プラチナカードでありながら、ポイントが貯まりやすいサービス設計の「三井住友カード プラチナプリファード」や、券面にカード番号の記載がない「三井住友カード(NL)」など、特徴的なカードを相次いでリリースしています。
「ゴールド(NL)」もリリースから4年近くたった今も人気を集めるカードで、それは主に以下の5つのメリットがあるからでしょう。
最大の魅力は、年会費の優遇策にあると言えそうです。
「ゴールド(NL)」を年間100万円以上利用すると、翌年以降の年会費が継続して無料になります。
「年間○○万円以上の利用で翌年の年会費が無料・割引」という特典があるゴールドカードは少なくありませんが、一定の年間利用額を1度でも超えれば「翌年以降の年会費が永年無料」というクレジットカードは少なく、貴重な存在です。
なお、一般カードである「三井住友カード(NL)」(年会費無料)を年間100万円以上利用すると、「ゴールド(NL)」に無料でアップグレードする特典も用意されています(その後の年会費も永年で無料となります)。
「年間100万円以上利用」のハードルは?
「年間100万円以上の利用」と聞くとハードルが高く感じるかもしれません。ただ、「ゴールド(NL)」は家族カードを無料発行でき、家族カード分も利用額に計算されるので、2人以上の世帯ならさほど難しくないでしょう。
たとえば、電気やガス、携帯電話などの固定費で月5万円、食費や娯楽費として月4万円支出する2人世帯は珍しくないでしょうし、これらをカード払いすれば月に9万円、年間108万円で条件クリアとなります。
最近は家賃をカード払いできる賃貸物件が増えてきていますが、単身世帯であっても家賃払いにこのカードを使うことができれば、十分可能な基準だと思います。逆を言えば、実家暮らしの20代の方にとっては年間100万円の利用はハードルが高いかもしれません。
もちろん無駄遣いは避けるべきですが、「100万円にギリギリで足りない」という場合、Amazonギフト券や楽天ペイ、d払いなどへのチャージを考えてもよいかもしれません。
年会利用額の算定対象外になる支払い方法に注意
しかし、年間利用額を算定する際に「交通系電子マネーへのチャージ」「クレジットカードを使った積立投資(SBI証券との連携サービス)」「リボ払いの手数料」などは対象外になります。この3つ以外にも、対象外の支払いがいくつか定められているので、公式HPで確認しておくとよいでしょう。
関連HP「三井住友カード ゴールド(NL)、年間100万円の対象・対象外の利用」
https://qa.smbc-card.com/mem/nyukai/detail?site=4H4A00IO&id=1871&search=true
家賃の支払いにクレジットカードが使える物件が、少しずつ増えてきました
「年間100万円以上の利用」に関しては年会費無料に加え、もうひとつ特典が用意されており、それが「Vポイントを10,000ポイント(10,000円相当)付与」です。
「ゴールド(NL)」の基本のポイント還元率は0.5%(200円で1ポイント)と平均的な水準。しかし、この継続特典を加味すると、100万円ちょうど利用したときには、通常分(5,000ポイント)とあわせて15,000ポイントが付与され、結果的に1.5%還元とかなりの高還元率となります。
「ゴールド(NL)」は入会初年度だけ100万円以上利用すれば、翌年以降、カードを一切使わずとも年会費は無料のまま、後述するような「国内空港ラウンジの利用」といった特典を受け続けられます。
ユーザーとしてはある意味合理的な使い方ですが、カード会社としてはそれでは、利益につながりません。推測にはなりますが、「100万円以上の利用で10,000ポイント」という特典は、カード利用のインセンティブを高めるための特典ではないかと思います。
「三井住友カード(NL)」と同様の特典ですが、スマホのタッチ決済(Visaのタッチ決済・Mastercardコンタクトレス)を使うと、セブン-イレブンでは最大10%還元、ローソン、マクドナルドに加え、サイゼリヤやすかいらーくグループなどの飲食チェーンでは最大7%還元となります。2025年2月1日から対象店に「吉野家」が加わりました。
期間限定のキャンペーンではなく、いつでも最大7%還元というのはかなりの高水準の還元率。対象店舗もバラエティに富んでいて、これらの店舗の利用が多い方にとっては、かなりメリットの大きいカードと言えます。
なお、これらの対象店舗で、カード現物を使ってタッチ決済をした場合、従来は5%還元だったところ、2025年1月1日から1.5%還元となり、スマホによるタッチ決済との還元率の差がさらに広がりました。
〈7%還元の対象店舗〉
【コンビニ】
セイコーマート、セブン-イレブン(最大10%還元)、ポプラ、ミニストップ、ローソン
【ファストフード】
マクドナルド、モスバーガー、ケンタッキーフライドチキン、すき家、吉野家
【ファミレス】
サイゼリヤ、ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン、夢庵、そのほかのすかいらーくグループ飲食店、はま寿司、ココス、かっぱ寿司
【カフェ】
ドトールコーヒーショップ、エクセルシオール カフェ
「ゴールド(NL)」は「最短10秒発行」(即時発行できない場合あり)であることが大きな特徴のひとつですが、私自身もこのメリットを強く実感しました。私の場合、カードの申し込みが始まった2021年7月1日に以下のスケジュールで申し込みを行いました(2021年7月時点では「最短5分発行」とされていました)。
14:25:申し込み手続き開始
14:33:申込完了のメールが到着
14:41:審査結果通知(カード発行)のメールが到着
14:50:公式アプリ「Vpassアプリ」でカード番号などの情報を確認し、Apple Payにも登録
カード発行のメール到着後は、公式アプリからカード番号を確認できるのですぐにネットショッピングで利用可能。そして、Apple Payなどに登録すればコンビニなどの実店舗で利用することもできます。自宅にいながらにして、申し込み後すぐにゴールドカードの利用が可能になるのは大きな利点に感じました。
申込完了後、すぐに公式アプリ上にカードが発行されました(画像はポイ探提供)
「ゴールド(NL)」の利用で貯まる「Vポイント」の利便性も見逃せない点。「Vポイント」は2024年4月に、共通ポイントの「Tポイント」と統合し、利用店舗が拡大しました(統合後の名称は「Vポイント」)。
「Vポイント」は三井住友カードの毎月の利用代金に「1ポイント=1円」として充当可能で、個人的にはこれが最も効率的な使い方だと感じています。
このほかにも、別途「Vポイントアプリ」をダウンロードすれば、「1ポイント=1円」として、iD加盟店やVisaのタッチ決済対応加盟店などで使うことができ、こうした点を考えると、使い勝手としては共通ポイントと比べても見劣りしません。
三井住友銀行の振込手数料に充当できたり、SBI証券で投資信託の買い付けにも「1P=1円分」で使えたりと、金融系サービスにも利用可能です。
「ゴールド(NL)」の5つのメリットを説明してきましたが、もちろん弱点もあります。
最初に目につくのは海外旅行傷害保険です。ほかのゴールドカード同様、「ゴールド(NL)」にも国内主要空港のラウンジ利用や旅行傷害保険が付帯していますが、特に国内・海外旅行傷害保険はほかの一般的なゴールドカードと比べると見劣りします。
「ゴールド(NL)」の海外・国内旅行傷害保険の死亡・後遺障害は最高2000万円(旅行代金などをカード決済したときに適用される「利用付帯」)なのに対し、「JCBゴールド」は海外1億円、国内5000万円(いずれも利用付帯)。
海外旅行に際し比較的使う可能性が高いとされる、ケガや病気の治療費の限度額は「ゴールド(NL)」が100万円なのに対し、「JCBゴールド」は300万円です。「JCBゴールド」は年会費が11,000円かかるので、単純比較はできませんが、通常イメージするゴールドカードの補償額と比べると少ない点は留意したほうがよいでしょう。
※「三井住友カード」は希望に応じて旅行傷害保険を「個人賠償責任保険」や「入院保険(交通事故限定)」などに変更できるサービスを行っています
基本のポイント還元率は0.5%と並みの水準。年会費無料で還元率1%のカードも多い中で、ポイント還元を重視する方にとっては物足りない数字と言えそうです。メリットの部分で継続特典(年間100万円利用で10,000ポイント)を加味すると1.5%還元にアップすることは説明しました。
ただ、下記のとおり、100万円ちょうど利用したときが最もポイント還元率が高く、それ以降は徐々に数字は下がっていきます(最大7%還元となるコンビニやマクドナルドなどでの利用は考慮していません )。
年間100万円未満の利用:0.5%還元
年間100万円の利用:1.5%還元(15,000ポイント付与)
年間200万円の利用:1%還元(20,000ポイント付与)
年間300万円の利用:0.83%還元(25,000ポイント付与)
年間400万円の利用:0.75%還元(30,000ポイント付与)
最後はデメリットというよりも、個人的な感想に近いものですが、「券面にカード番号などの記載がない完全ナンバーレスカードは意外と使いづらい」という印象を持っています。
従来のカードでは、ネットショッピングの際に以下のように買い物できていました。
1.カードを取り出す
2.券面を見てカード番号などを確認
3.サイトに入力
しかし、ナンバーレスカードの場合、以下のとおり番号の確認にはアプリの操作が必要となります。
1.カードの公式アプリを立ち上げる
2.アプリ上でカード番号を表示させ確認
3.サイトに入力(コピペも可能)
ナンバーレス化によって、カード番号を盗み見られるリスクが低下したのは間違いなく、これに慣れるしかないのでしょうが、これまでカードを見ればすぐに確認できたものが、アプリ立ち上げなどの作業が必要になったのは、人によっては面倒に感じるかもしれません。
ナンバーレスカードでは、カード番号はアプリなどでの確認が必要
ここまで紹介してきた「ゴールド(NL)」と、年会費無料の「三井住友カード(NL)」。どちらにするかは迷いどころかもしれません。両者の違いを表にまとめました
やはり、年間100万円以上のカード利用が見込めるなら「ゴールド(NL)」が圧倒的に有利。翌年以降の年会費が無料で使え、継続特典として10,000ポイントが付与されるうえ、空港ラウンジの利用が付帯してくるからです(「三井住友カード (NL)」にはないショッピング保険も、「ゴールド(NL)」は300万円が付帯)。
逆を言えば、年間100万円の利用が見込めず、旅行をあまりしない方にとっては「三井住友カード(NL)」で十分と言えそうです。
冒頭で「年間利用額をクリアすると、翌年以降の年会費が永年で無料になるカードは珍しい」と説明しましたが、実はもう1枚、「三井住友カード ゴールド(NL)」と非常に似たサービス内容のカードがあります。
それが、マルイ系列のエポスカードが発行する「エポスゴールドカード」です。こちらも、年間で一定額以上の利用があると翌年以降の年会費が永年無料になり、ボーナスポイントも付与されます。両カードの特徴を表にまとめました。
「エポスゴールドカード」の利点は、年会費が永年無料(通常5,000円)になるハードルが「年間50万円以上の利用」と低いこと。海外旅行傷害保険の補償額も全般的に高額である点も有利と言えるでしょう。また、マルイなどで年4回の優待期間中は10%オフで買い物ができます。
いっぽう、「三井住友カード ゴールド(NL)」は国際ブランドでMastercardも選べ、即時発行に対応していることが利点。ローソンやマクドナルドをはじめとした最大7%還元(セブン‐イレブンは最大10%還元)となる対象店舗での利用機会が多い方もこちらのカードのほうがメリットが大きいでしょう。
以上、「三井住友カード ゴールド(NL)」について、さまざまな角度から解説してきました。見てきたとおり、このカードを保有するかどうかの判断基準は「年間100万円の利用」を見込めるか、という点に尽きそうです。
これが1度でもクリアできるならば、それ以降は基本的に年会費を負担することなく、国内主要空港のカードラウンジの利用や、ショッピング保険の補償を受けられます。また、この条件クリア後は、マクドナルドやローソンなどの、最大7%還元(セブン‐イレブンは最大10%還元)対象店舗専用のサブカードとして持っておく、という使い方も有効かもしれません。
非常に魅力的なカードであることは紹介してきたとおりですが、最後にこのカードの肝である「条件達成で年会費が『永年』無料」についても触れておきます。
クレジットカードの中にはごくごく少数ですが、年会費「永久」無料とうたっているカードもありますが、「ゴールド(NL)」はあくまで「永年」無料。「永年」は「長い年月」という意味で「永久」とは異なります。まれではありますが、当初は年会費を「永年」無料としていたカードがその後、「条件付きで無料」に変更されたというケースもあります。
業界大手の企業が発行しており、「永年」無料を大きくPRしているこのカードについて、短期的に同様のことがなされる可能性はないと思いますが、中長期的には企業の判断でこの部分の特典が変わる可能性がゼロではないことも、頭の片隅に入れておきたいところです。