おトクの真相! 月刊キャッシュレス展望

「楽天全国スーパー」が年内開始! ネットスーパー普及、経済圏拡大に拍車

クレジットカード、電子マネー、QRコード決済……。めまぐるしく変化を続けるキャッシュレス決済の動向をコンパクトに伝える連載企画「おトクの真相! 月刊キャッシュレス展望」。最近のキャッシュレス関連のニュースの中から、マネー編集部員やマネー担当ライターが気になったニュースをピックアップしてお届けします。記事内や記事の最後には、記事公開時点で参加可能なキャンペーン情報も掲載していますので、こちらもぜひチェックを。この連載は、毎月月初の公開予定です。

今月は、楽天が発表したネットスーパーの立ち上げ支援事業からお伝えします。

楽天がネットスーパーのプラットフォームを全国展開へ

新型コロナの影響が長引く中、PCやスマホで注文すると自宅に生鮮品や食料品が届くネットスーパーのニーズが拡大しています。こうした状況を背景に、楽天が、ネットスーパーのプラットフォーム事業(立ち上げ支援事業)である、「楽天全国スーパー」を2021年内に提供すると発表しました。

楽天全国スーパーの公式ロゴ(画像は楽天のリリースより)

楽天は2018年から西友と「楽天西友ネットスーパー」を共同運営

ネットスーパーとは、Webサイト上で注文するだけで、スーパーマーケットが自宅まで商品を配達してくれるサービスのことです。生鮮食品、飲料、日用品など、店頭で販売されているものと同じ商品をネット上で購入することができ、原則として自宅近くの店舗からその商品が届く仕組みです。国内では「イトーヨーカドーネットスーパー」や「おうちでイオン イオンネットスーパー」、そして、楽天が西友と共同で運営している「楽天西友ネットスーパー」などのサービスが知られています。

「楽天西友ネットスーパー」は2018年にサービスを開始。約2万点の商品を扱っており、西友のPB(プライベートブランド)として知られる「みなさまのお墨付き」(消費者テストで支持率80%以上の評価を得たものだけを商品化する取り組み)なども、西友のリアル店舗同様にネットで購入することができます。商品は最短で当日に届くほか、一定の購入額以上で送料は無料(一部エリアは除く)。利用には楽天IDとの連携が必要ですが、利用額に応じて楽天ポイントが貯まるなど、使い勝手やおトク面にすぐれ、2021年1〜6月の売上げは前年同期比で約30%増とコロナ禍の中でも成長をとげています。

画像は楽天西友ネットスーパー公式サイトより

コロナ禍で成長を続けている楽天西友ネットスーパー。画像は楽天西友ネットスーパー公式サイトより

ネットスーパーのノウハウを各地のスーパー事業者へ提供

2021年に楽天が新たにスタートさせる「楽天全国スーパー」は、全国のスーパーマーケット事業者を対象にした、ネットスーパーの立ち上げ支援事業です。楽天西友ネットスーパーで培ったノウハウをベースに、受注管理やオンライン決済など、ネットスーパーの運営システムを提供。さらに、集客や販促活動の支援や、配送オペレーションのコンサルティングなども提供予定とのこと。事業者側は初期費用なしで本サービスを導入することができ、売上げに応じてシステム利用料やマーケティング費用を楽天に支払う仕組みです。

画像は楽天全国スーパーの事業者向けサイトより

楽天全国スーパーは、全国のスーパーマーケット事業者のネットスーパーの立ち上げを支援するサービス。利用者側はプラットフォーム上で郵便番号を入力すると、居住エリアに対応するネットスーパーを検索することができるようになる予定。画像は楽天全国スーパーの事業者向けサイトより

楽天全国スーパー開始の背景には、各地のスーパーマーケット事業者側のネットスーパー事業への参入意欲の高まりと、ネットスーパー運営に対するノウハウ不足やシステム開発のコスト負担などの課題があると楽天側は説明。本サービスを活用することで、ネットスーパーを自前で立ち上げる場合と比較して、コスト面やノウハウ面での大きなメリットが見込まれます。なお、本サービスのスタートに先立って、群馬県を中心に展開しているスーパーマーケットチェーン「ベイシア」の出店がすでに決定しています。

ネットスーパーの普及を後押し、経済圏拡大にも

コロナ禍で買い物の「密」を避けたい人や、共働きや子育て世帯、高齢者世帯など、リアル店舗での買い物が負担となっている人にとって、ネットスーパーはかなり便利な存在です。実際、筆者の周囲の利用者からも、「一度使ったら手放せない」との声が聞こえてきます。しかし現状は、既存サービスの対象エリアが限られていることから、知る人ぞ知るサービスの域を出ていない印象を受けます。ネットスーパーの普及を後押しする楽天全国スーパーの登場によって、ネットスーパーというサービス自体が一気に知名度を高める可能性もあると感じます。

また、楽天西友ネットスーパーと同じく、楽天全国スーパーでも、楽天IDでログインすると利用額に応じて楽天ポイントが貯まり、支払いに楽天ポイントを使えるようになる点も注目したいポイントです。出店するスーパーが増えるほど、食費や日用品など、毎月相当額がかかる買い物で楽天ポイントを貯めるチャンスが増えます。その意味で、「楽天経済圏」の拡大につながるサービスとも言え、楽天ユーザーからの関心も集めそうです。

※参考記事
食材や日用品が家に届く「ネットスーパー」4社比較 家事・節約のプロはこう使う(価格.comマガジン)
https://kakakumag.com/money/?id=15330

「楽天ペイ」「au PAY」が加盟店手数料の無料を継続へ

現金を使わない手軽さや非接触に対するニーズ、ポイントが貯まるメリットなどから、ここ数年急速に普及が進んできたQRコード決済(スマホ決済)。各決済サービスとも、これまでは、導入費用や決済手数料を原則無料にすることで、加盟店(=支払いに使える店舗)を増やし続けてきました。いわば収益を度外視する形でシェア獲得を競ってきたわけです。しかし、サービス各社とも営業損益で赤字が続くなど、かねてより収益化の課題が指摘されてきました。

10月よりPayPayが有料化

そんな中、いち早く「手数料無料」の方針を転換したのがQRコード決済サービスのひとつであるPayPayです。2021年10月より、基本的に1.98%の決済手数料を徴収すると発表(※)。登録者数4,100万人、加盟店数340万か所を抱える最大手のサービスが手数料有料化を明らかにしたことは、大きなインパクトを持って受け止められました。

※加盟店向けにクーポン配布や送客・管理ツールとして提供する「PayPayマイストア ライトプラン」(月額1,980円)に契約し、加盟店店舗すべてでPayPayマイストアライトプランを利用すると決済手数料が1.6%に。また、10月以降に最大6か月間売上金の3%を還元するキャンペーンも同時開催。

2021年10月からのPayPayの加盟店手数料(画像はPayPay公式サイトより)

2021年10月からのPayPayの加盟店手数料(画像はPayPay公式サイトより)

楽天ペイは新規加盟する中小店舗の手数料を無料に

PayPayの加盟店手数料有料化のタイミングにあわせて動きを見せたのが、同じくQRコード決済の楽天ペイとau PAYです。2021年8月25日、楽天ペイを運営する楽天ペイメントが、今年2021年10月1日から来年2022年9月末まで、年商10億円以下の中小規模の新規加盟店の決済手数料を実質ゼロ円にする「中小店舗様応援!決済手数料実質0円キャンペーン」を実施すると発表しました。

同キャンペーンは、2021年8月25日以降に新規で楽天ペイへの加盟を申し込んだ年商10億円以下の加盟店を対象に、期間中の1年間は、決済手数料が上限なしでキャッシュバックされて実質ゼロ円になるというもの。通常は楽天銀行以外の口座を売上金の振込口座に指定するとその手数料も発生するところ、同キャンペーンの適用加盟店には毎月1回の入金時に振込手数料と同額もキャッシュバックされます。

楽天ペイは条件付きで加盟店手数料無料を1年間継続(画像は楽天ペイ公式サイトより)

楽天ペイは条件付きで加盟店手数料無料を1年間継続(画像は楽天ペイ公式サイトより)

au PAYは売上げの制限なく既存店も手数料無料

楽天ペイに続く形で、2021年8月30日、au PAYも決済手数料が無料となるキャンペーンを発表。キャンペーン期間は今年2021年10月1日から来年2022年9月末までと楽天と同じですが、対象店舗は、楽天が「これから加盟する店舗」なのに対し、au PAYは既存店も対象に含まれ、その売上げ規模にも条件がありません(※)。

※ただし、主に中小規模の加盟店に提供されている「店舗が提示したKDDI発行のQRコードをユーザーが読み取る決済」または「au PAY for BIZアプリ」を採用している店舗が条件となります。

au PAYも加盟店手数料無料を1年間継続。無料の対象範囲は楽天ペイよりも広く設定(画像はKDDI公式サイトより)

au PAYも加盟店手数料無料を1年間継続。無料の対象範囲は楽天ペイよりも広く設定(画像はKDDI公式サイトより)

1年間という期間限定ではありますが、PayPayの有料化と対照的な無料キャンペーンを発表した楽天ペイとau PAY。店舗側にとって手数料は少なくない負担ですので、両サービスのシェア拡大に一定の成果を望める施策と言えそうです。ただし、楽天ペイの通常の決済手数料は3.24%、au PAYの決済手数料は2.6%と、PayPayと比較して割高であることには変わりありません。今後1年間で、決済サービスとしてどれくらい競争力を高められるかも問われることになります。

11月よりSBI証券で取引するとPontaポイントが貯まるように

三井住友カードで積立投資ができるようになり話題を呼んでいるSBI証券に、また新たな動きがありました。同社はポイントサービス「Ponta」を運営するロイヤリティマーケティングと連携し、今年2021年11月より、Pontaポイントを導入します。

画像はSBI証券リリースより

SBI証券は三井住友カードに続いてPontaとも連携。画像はSBI証券リリースより

Tポイント、Vポイントに続いての導入

これまでSBI証券には、投資信託や国内株式などの商品を取引するとTポイントが貯まるサービスがありました。2021年11月以降はこれにPontaポイントが加わり、利用者がどちらのポイントを貯めるかを選べるようになります。また、投資信託の買付代金にも両ポイントのいずれかを充てることが可能です。

気になるPontaポイントの還元率は、スタンダードプランおよび現物PTS取引月間手数料の1.1%。対象となる投資信託の月間保有額が1,000万円未満の場合は0.1%、1,000万円以上の場合は0.2%などで、このほか、新規口座開設などもポイント付与の対象になる見通しです。

SBI証券によると、複数の共通ポイントを投資に使えるマルチポイントサービスは、国内の主要証券会社では初の試みとのこと。前出のとおり、SBI証券では三井住友カードで投信積立の買付代金を決済することができ、決済金額に応じて三井住友カードのVポイントを貯めることができますが、その際は、TポイントもしくはPontaポイントをダブルで貯めることもできます。「ポイ活」人気がますます高まる中、各種ポイントとの連携を強めることで、既存のユーザー層とは違った層を開拓する狙いが透けて見えます。

※参考記事
SBI証券×三井住友カード「クレカ積立」スタート! ”投資”でVポイントをゲット(価格.comマガジン)
https://kakakumag.com/money/?id=17259

まだ間に合う! 今月のキャッシュレス関連キャンペーンまとめ

▼楽天ペイ、全額還元となる抽選を毎月実施、楽天モバイルとの共同キャンペーンも(2022年9月頃までの予定)

記事でも紹介した楽天ペイの加盟店手数料無料キャンペーンにあわせ、ユーザー向けのキャンペーンとして、「1年間ずーっと!毎月全額還元抽選キャンペーン」が行われます。期間中にエントリーのうえ楽天ペイを利用すると、毎月500名にその月の利用額の全額分のポイントが還元されます(上限10,000ポイント)。

また、楽天モバイルとの共同キャンペーンも行われます。楽天ペイアプリのユーザーがエントリーのうえ、楽天モバイルの料金プラン「Rakuten UN-LIMIT Y」を新規で申し込み、スーパーコミュニケーションアプリの「Rakuten Link」を利用し、「楽天ペイ」アプリのコード表示・QR読み取り・セルフ払いをすると、申し込み当月と翌月の楽天ペイ支払額の20%分のポイントが還元されます(上限1000ポイント)。

キャンペーン期間:2021年10月1日〜2022年9月頃まで ※エントリーは既に開始
公式サイト:https://pay.rakuten.co.jp/campaign/pay_pointback/

▼三井住友カード、総額1億円相当のVポイントが当たる「Vポイント祭」開催中(11月30日まで)

期間中に対象の三井住友カードでエントリーすると、対象カードでの利用金額1万円をひと口として抽選。10万ポイントが100名に、1,000ポイントが9万名に当たります。

キャンペーン期間:開催中〜2021年11月30日まで
公式サイト:https://www.smbc-card.com/camp/00018/index.html

▼Amazonギフト券で支払うと。0.5%の同ギフト券を還元(終了日未定)

Amazonが提供するID決済サービス「Amazon Pay」は2021年8月24日より、同サービスが利用可能なECサイトでの買い物について、ユーザーのAmazonアカウントに登録されたAmazonギフト券を使ってAmazon Payで支払うと、支払額の0.5%をAmazonギフト券で還元するサービスを始めました。0.5%分は翌々月の下旬に自動的に反映されます。

キャンペーン期間:開催中〜
公式サイト:https://pay.amazon.co.jp/using-amazon-pay/evergreen/

(執筆協力:大正谷成晴)

価格.comマネー編集部

価格.comマネー編集部

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