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人手不足、リカレント教育など2022年“業績相場”で虎視眈々と狙いたい「日本株5大テーマ」

2022年の株式市場は「再生、復活」に期待! 本記事の前編で、昨年2021年の株式市場を「静かなもみ合いの1年」と評したマーケットアナリストの藤本誠之さんですが、今年は「日本株の成長が期待できる1年」と予想。そこでこの記事では、藤本さんが注目している5つの投資テーマについて、具体的な企業名を交えて教えていただきました。

2022年の日本株はどうなる? 注目の投資テーマは?

2022年の日本株はどうなる? 注目の投資テーマは?

2022年は「業績相場」、企業業績の回復からの株価上昇を期待

「噂で買って事実で売る」という相場格言があります。投資家は買い材料となる「噂」を聞いた段階から行動を始め、株を買いに走るもの。その後、「事実」として企業の業績などが発表されたときには、すでに買い材料が株価に反映された状態(=織り込み済み)で天井に近い。したがって、「噂で買って事実で売る」のがちょうどよいタイミングであるという考え方で、もともとアメリカのウォール街で生まれたと言われています(英語では「Buy the rumor, sell the fact」)。

「2022年の株式市場は、この格言の一歩先を行く展開を期待しています。2020年後半、新型コロナからの経済の回復期待を織り込んだ株価上昇があったことは前編でお話ししたとおりです。これが『噂』だとすると、2022年は企業の業績回復という『事実』を投資家が評価し、『噂で買われた銘柄が事実でも買われる』という展開です。現時点ではオミクロン株の感染拡大が続いていますが、落ち着いた後は、日本株の再生、復活相場になると期待しています」(藤本さん。以下同)

(キャプション)解説:藤本誠之(ふじもとのぶゆき)さん。「相場の福の神」の愛称を持つマーケットアナリスト。年間300社を超える上場企業経営者とのミーティングを通じて、個人投資家に真の成長企業を紹介。ラジオNIKKEIで4本の看板番組を持ち、テレビ出演、新聞・雑誌への寄稿も多数。日興証券、マネックス証券、カブドットコム証券、SBI証券などを経て、現在は、財産ネット株式会社の企業調査部長。日本証券アナリスト協会検定会員、ITストラテジスト。近著に「株は社長で選べ! コロナ継続・収束問わず確実に勝ち続けるたった一つの株式投資術」(かんき出版)がある

(キャプション)解説:藤本誠之(ふじもとのぶゆき)さん。「相場の福の神」の愛称を持つマーケットアナリスト。年間300社を超える上場企業経営者とのミーティングを通じて、個人投資家に真の成長企業を紹介。ラジオNIKKEIで4本の看板番組を持ち、テレビ出演、新聞・雑誌への寄稿も多数。日興証券、マネックス証券、カブドットコム証券、SBI証券などを経て、現在は、財産ネット株式会社の企業調査部長。日本証券アナリスト協会検定会員、ITストラテジスト。近著に「株は社長で選べ! コロナ継続・収束問わず確実に勝ち続けるたった一つの株式投資術」(かんき出版)がある

藤本さんのそんな期待を体現しそうな銘柄のひとつが「チェンジ」(東証1部:3962)です。地方公共団体や企業に対して、IT技術やデジタル人材育成サービスを提供している同社は、コロナ禍のDX(デジタルトランスフォーメーション)ニーズの高まりで大きく株価を上げ、下記のとおり、2020年には一時10倍近くまで値を上げました。

チェンジの株価2年チャート。2020年8月に実施された「1対2」の株式分割を反映した調整値

チェンジの株価2年チャート。2020年8月に実施された「1対2」の株式分割を反映した調整値

「2020年後半から現在にかけて株価はゆるやかに下落し、“ひと休み状態”が続いているものの、チェンジの業績は右肩上がりが続いています。2022年9月期の予想では、9期連続で過去最高益を更新する見通しで、いずれ、投資家が業績のよさに注目する可能性が高いと見ています。チェンジに限らず、今年は各企業の業績回復という『事実』に市場の注目が集まって株が買われる『業績相場』になると予想。それを受け、個人的には、年内に日経平均株価が3万3,000〜3万5,000円程度に上がる展開も期待しています」

では、どんな投資テーマや企業に注目すればいいのでしょうか。5つのテーマごと見ていきます。

テーマ1:人手不足(ヒューマンホールディングス、学情)

まずは「人手不足」。2021年10月に全国で緊急事態宣言が解除されました。現在はオミクロン株の感染拡大により、一部自治体でまん延防止等重点措置がとられるなど足止め状態となっているものの、いっときとくらべると日本経済が活気を取り戻しつつあるのは間違いありません。そんな状況下、藤本さんは「強烈な人手不足に注意が必要」と指摘します。

「少子高齢化や人口減少による人手不足は言わずもがな。そして、それを外国人労働者が補っていた状況は皆さんご存じのとおりです。しかし新型コロナの影響で海外からの入国が制限され、一度は緩和されたもののオミクロン株の影響で再び制限されています。今後、状況に応じて入国は緩和されるとは思いますが、すぐに人材が戻ってくるとは考えにくく、サービス業や製造業を中心に人手不足が表面化する可能性が高いと思います」

経済の回復にともない人手不足が明らかになる可能性が

経済の回復にともない人手不足が明らかになる可能性が

「もうひとつ気になるのが『円安』です。2021年初頭は1ドル103円台でしたがその後円安が進み、2022年1月時点では113円台後半から116円前後で推移しています。外国人労働者の方は日本で稼いだお金を本国に送金するケースが多く、円高ならそれだけたくさん送金できるわけですが、円安はその逆。日本に来て稼ごうという動機が下がる一因になりえます」

これらの結果、藤本さんは国内の人材関連ビジネスを展開する企業のニーズが高まると予想します。

ヒューマンホールディングス(2415)

「切り口は2つ考えられ、ひとつは人材派遣業。たとえば、総合人材サービスの『ヒューマンホールディングス』(JASDAQ:2415)が注目企業としてあげられます。同社は人材派遣や人材紹介に加え、転職サイトやスクールの運営など手広く人材サービスを手がけており、人手不足はビジネスチャンスになります。また、国内だけでなく、海外の優秀なITエンジニアを自社で採用して国内企業に派遣する事業や、技能実習生の受け入れ、教育なども手がけており、仮に今後海外からの入国が緩和された際も、それが追い風になるでしょう。現在株価は安値圏ですが、注目しておきたい企業です」

ヒューマンホールディングスの株価1年チャート

ヒューマンホールディングスの株価1年チャート

学情(2301)

「もうひとつは採用分野。人口減などで若手の人材確保が厳しさを増す中で、若手人材の就職・転職のマッチング事業に強みを持つ『学情』(東証1部:2301)は狙い目と言えます」

学情の株価1年チャート

学情の株価1年チャート

テーマ2:システム開発の内製化(BlueMeme)

企業のDX推進の流れはアフターコロナでも変わりそうにありません。デジタル技術を活用したビジネスモデルや経営の変革は、成長の必須条件になりつつあると言っても過言ではないでしょう。

「実は、その妨げになっているのが『システム開発』です。これまで、日本企業のシステム開発は大手システムインテグレーターへの外注が主流で、そこに下請け企業が何重にも入ってくる構造が普通でした。しかし変化の大きいこの時代、このやり方ではスピード感や柔軟性に欠け、企業の競争力に遅れが生じているとの認識が広まっています。そこで『システム開発の内製化』のニーズが高まってきたのです」

DX化の流れで企業の「システム開発の内製化」ニーズが高まり、ある企業への注目度が上昇

DX化の流れで企業の「システム開発の内製化」ニーズが高まり、ある企業への注目度が上昇

BlueMeme(4069)

「この流れで注目したい企業が、クライアントのシステム開発内製化のサポートやコンサルティングを手がける『BlueMeme』(ブルーミーム。マザーズ:4069)という企業です。同社の強みは、ローコード開発(※1)とアジャイル開発(※2)の2つ。いずれも、これまで基幹システムの構築にはあまり使われてこなかったものですが、同社はこの2つをベースにクライアントのシステム開発内製化をサポート。これにより、効率的かつ柔軟なシステム開発の内製化が行えると評価されています。2021年6月に上場後、株価は落ち着いていますが、DXの推進にともなって今後の成長が期待できるでしょう」

※1専用ツールを使い、ソースコードを書く工程を可能な限り省略、自動化し、システムを開発するやり方。
※2 従来の「あらかじめ全工程の計画を綿密に立ててから実行する」開発手法と異なり、おおよその仕様をもとに開発を進め、開発着手後の仕様変更にも対応しながら工程を進める開発手法。

BlueMemeの2021年6月上場後の株価チャート

BlueMemeの2021年6月上場後の株価チャート

テーマ3:リカレント教育(ベネッセホールディングス、リソー教育)

投入した経営資源(時間、お金、労働力など)に対し、どれだけ成果(生産量、付加価値など)を生み出したかを測る指標が「生産性」です。前出の人手不足などから、企業の生産性の向上が大きな課題に。

「これにより、企業からより多くの成果が求められたり、欧米で主流の『ジョブ型雇用』(※)を進める動きが出てきたりと、働き手の側も専門性を高めようという意識が高まっているようです。そこで注目され始めたのがスキルの向上や専門知識の修得を目的とする『リカレント教育(=大人の学び直し)』です。テレワークの普及で使える時間が増えたことや、オンライン学習の普及などもあいまって、教育のマーケットが広がっています」

※終身雇用やジョブローテーションを前提とする総合職として社員を雇用する「メンバーシップ型雇用」と異なり、社員の仕事の範囲を明確にして雇用する方法。原則として異動や転勤などがなく、社員が専門的な仕事に専念することで、スキルを伸ばしていけるとされています。

「Udemy」などオンラインの教育プラットフォームも人気を集めています

「Udemy」などオンラインの教育プラットフォームも人気を集めています

ベネッセホールディングス(9783)

「そこで注目したいのが『ベネッセホールディングス』(東証1部:9783)です。『進研ゼミ』でおなじみの同社が今、力を入れているのが大人向けの学習です。世界最大級のオンライン学習プラットフォームである米Udemyに50億円以上出資するなど、リカレント教育事業を収益の柱に育てようとしています」

ベネッセホールディングスの株価1年チャート

ベネッセホールディングスの株価1年チャート

リソー教育(4714)

「教育に対する親世代の意識の高まりから派生し、子どもに対する教育ニーズの盛り上がりも考えられます。たとえば、教育熱心な富裕層をターゲットに個別指導受験塾の『TOMAS』などを展開する『リソー教育』(東証1部:4714)は要チェックです。先日も2022年2月期の年間配当予想を14円から16円(前期は9円50銭)に上方修正すると発表するなど、業績は好調です」

リソー教育の株価1年チャート

リソー教育の株価1年チャート

テーマ:脱炭素(岩谷産業、ダイキン工業)

ご存じのとおり、「脱炭素」に向けた動きが世界中で広まっています。脱炭素とは、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を防ぐため、化石燃料から脱却すること。日本では前政権が「2050年までに温室効果ガスをゼロにする」と宣言し脱炭素に積極的な姿勢を見せ、現岸田政権もそれを踏襲しています。

「したがって、脱炭素に関連する企業は引き続き買いと言えます。関連銘柄は多数ありますが、私が注目したいのは本命の『水素エネルギー』と、少し角度を変えた『空調機器』の分野です」

アフリカでのエアコンのサブスク事業などにも注目(画像はダイキン工業のプレスリリースより)

アフリカでのエアコンのサブスク事業などにも注目(画像はダイキン工業のプレスリリースより)

岩谷産業(8088)

水素エネルギーは環境にやさしい次世代エネルギー。使用時に二酸化炭素を排出しないため、脱炭素の切り札として普及が期待されています。この分野で藤本さんが注目するのが、家庭用カセットコンロでおなじみの『岩谷産業』(東証1部:8088)です。

「産業・家庭用ガスの専門商社である岩谷産業は水素の可能性に早くから着目。1941年に水素事業を開始し、一貫した供給体制を持っています。実は、日本初の商用水素ステーションを作ったのもこの会社で、現在水素ステーションの設置・運営の国内シェアトップを誇っています。水素のリーディングカンパニーとして成長が期待できます」

岩谷産業の株価1年チャート

岩谷産業の株価1年チャート

ダイキン工業(6367)

大きな電力を使用するエアコンの使用は二酸化炭素の排出につながりやすいため、企業でも家庭でも消費電力の少ない製品が求められています。加えて、新型コロナの感染防止を目的として、エアコンの空調機能に対する期待も高まっており、省エネ+コロナ対策で空調機器の需要が増えているといいます。

「この分野での鉄板は空調機器メーカー。なかでも代表的なのは『ダイキン工業』(東証1部:6367)です。グローバルな総合空調専業企業として知られ、国内では家庭用の空調機器はもちろん、業務用でも断トツの実績を誇ります。また同社は、アフリカ・タンザニアでエアコンのサブスク事業に乗り出したことでも話題になりました。現地の人々が買えるのは省エネ性能が低く電気代が高い、すなわち環境負荷が高いエアコンがメイン。こうした状況の中、同社の省エネ性能の高いエアコンを利用料だけで使える仕組みを導入し、普及が進んでいるようです」

ダイキン工業の株価1年チャート

ダイキン工業の株価1年チャート

テーマ5:東証の市場区分再編と新規上場

日本最大の証券取引所である東京証券取引所(以下、東証)。2022年4月、東証の4つの市場(東証1部、2部、マザーズ、JASDAQ)が、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」という3つの新市場に再編されます。この市場区分再編は、個人投資家にとってプラスとなるのでしょうか?

「市場区分再編で、上場企業にはこれまでより厳しい基準が課されます。新規上場する際の基準の強化に加え、上場維持基準も上がり、流通株式の時価総額や売上高、純資産額などクリアしなければならないハードルが上がります。たとえば、新規上場時の流通株式の時価総額の基準値は100億円以上(プライム市場)、10億円以上(スタンダード市場)、5億円以上(グロース市場)で、上場維持の基準も同じです。企業には持続的な成長が強く求められるようになり、中長期的に見れば株価への好影響も期待できるでしょう」

そんな中、藤本さんが注目するのは今後新たに上場しそうな企業です。評価額(上場企業の時価総額に相当)が1,000億円を超える未上場の企業をユニコーン企業といいますが、その中から注目の2社とは?

Spiber(スパイバー)

「まずは『Spiber(スパイバー)』があげられます。山形県鶴岡市に本社を置き、次世代のバイオ素材の開発・製造を手がける企業です。植物由来の糖類を主原料とする人工合成タンパク質素材『Brewed Protein(ブリュード・プロテイン)』の量産化に成功。脱炭素とも関連しますが、石油に頼らない新素材として注目を集め、有名アパレルとのコラボなども進んでいます」

Preferred Networks(プリファードネットワーク)

「もう1社が、『Preferred Networks(プリファードネットワーク)』です。同社は第4次産業革命の核となる深層学習(ディープラーニング)の研究と開発を行うAIに特化したスタートアップ。トヨタやNTT、ファナックといった超有名企業が一目置く存在です。Spiber、Preferred Networksともに新規上場となれば大きな話題となるのは必至。今から動向を追っていくのも面白いと思います」

2022年は業績好調な割安株の先取りが狙い目

本記事の前編で藤本さんが述べたように、岸田内閣の政策は、成長よりも分配に重きを置いている印象が強く、株式市場にはとってはマイナス材料と見る投資家は少なくありません。また、オミクロン株の感染拡大による社会、経済活動への影響も懸念され、2022年の日経平均株価は年始から冴えない動きが続いています。

しかし、それをもって「今年の日本株は期待薄」と判断するのは早計です。本記事で見てきたとおり、盛り上がりそうな投資テーマや企業は少なからず存在します。相場環境にかかわらず、業績のいい企業の株価上昇が期待できるのが、個別株に投資することの魅力のひとつです。寅年の今年、今から割安な有望株に目を付け、虎視眈々と狙ってみてはいかがでしょうか?

※本記事は取材者、執筆者の見解に基づくものです。

百瀬康司

百瀬康司

フリーランスライター。副業をはじめ、投資、貯蓄、節約などマネー企画全般を取材。ビジネスや働くママのジャンルでも取材経験豊富。雑誌、Web、夕刊紙、書籍などで執筆。「真に価値ある情報提供」を使命とする。

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