おトクの真相! 月刊キャッシュレス展望

「ドコモ×マネックス証券」最大1.1%還元のクレカ積立開始 銀行参入にも意欲

めまぐるしく変化するキャッシュレス関連の動向を月イチで伝える本連載。キャッシュレス関連のニュースの中から、マネー担当の編集部員やライターが気になったものをピックアップしてお伝えします。 

2024年6月のトップニュースは、マネックス証券が7月5日から始める「dカード積立」について。マネックス証券での投資信託の積立購入に、ドコモ系クレカの「dカード」を使うことができるようになり、積立金額に応じて「dポイント」が貯まります。還元率も比較的高く設定されており、ドコモ経済圏ユーザーを中心に人気を集めそうです。

このほか、「楽天ペイ」のチャージ払い時の還元率変更や、「LINE Pay」の国内サービス終了のニュースもチェックします。

<ニュース1>
「dカード積立」が7月にスタート、ドコモ経済圏の弱点 “金融”強化が進む

3行サマリー
○マネックス証券が、業務提携契約を結ぶドコモのクレカでの「クレカ積立」をスタート
○最大還元率は1.1%、「クレカ積立」サービスの中では高水準
○ドコモ新社長は銀行業への参入意欲を示し、証券に続く金融サービス強化を進める考え

2024年7月5日より、マネックス証券にて、ドコモが発行するクレカを使う「クレカ積立」サービスが始まります。2023年10月に、ドコモとマネックスグループは資本業務提携契約を締結しており、本サービスはこの取り組みの一環です。

画像はマネックス証券公式サイトより

ドコモのクレカを使って、マネックス証券で「クレカ積立」ができる仕組み

「dカード積立」の対象となるクレカは、ドコモが発行するクレカ「dカード」(年会費無料の一般カード)および、「dカードGOLD」(年会費11,000円のゴールドカード)です。ただし、カード番号の冒頭4桁が「4363」「5344」「5365」のいずれかから始まるカードが対象となり、それ以外のカードは切り替え手続きが必要です。また、マネックス証券の証券総合取引口座の名義とカード名義が同一であることも必要です。

積立の上限額は月10万円まで。積立単位は原則1,000円以上1円単位で(ファンドにより異なる場合あり)、対象銘柄は、マネックス証券が取り扱う、積み立てが可能な銘柄となります。

気になるポイント還元率は業界最高水準

「dカード積立」のポイント還元率は最大で1.1%と、ほかの証券会社が手がける「クレカ積立」サービスと比較しても高水準です(後述)。ただし、ポイント還元率は利用するカードの種別、口座の種別、月の積立額によって異なってきます。詳しくは下の表およびボックス内の情報のとおりです。

画像はマネックス証券公式サイトより

画像はマネックス証券公式サイトより

■「dカード」を使用する場合
新NISA口座、課税口座共通で、下記のとおり還元率が変化。
(a)積立額が5万円以下:100円につき1ポイント付与、さらに1,000円ごとに1ポイント付与
(b)積立額が5万円超〜7万円以下: 1,000円ごとに6ポイント付与
(c)積立額が7万円超〜10万円以下:1,000円ごとに2ポイント
※(a)〜(c)は合算されます。
※ちなみに、マネックス証券には、同証券独自のクレカ「マネックスカード」があり、このカードでも「クレカ積立」ができますが、ポイント還元率は「dカード」と同じ条件です。

■「dカード GOLD」を使用する場合
(1)新NISA口座
積立金額を問わず、100円につき1ポイント付与、さらに1,000円ごとに1ポイント付与

(2)課税口座
積立金額によって、下記のとおり還元率が変化。
(a)積立額が5万円以下:100円につき1ポイント付与、さらに1,000円ごとに1ポイント付与
(b)積立額が5万円超〜7万円以下: 1,000円ごとに6ポイント付与
(c)積立額が7万円超〜10万円以下:1,000円ごとに2ポイント
※(a)〜(c)は合算されます。

他社の「クレカ積立」と十分に競える内容

条件によって変動するとはいえ、最大1.1%のポイント還元率は、数あるクレカ積立の中でも魅力的な水準です。

たとえば、「楽天証券×楽天カード」の組み合わせの場合、一般ランク、ゴールドランクのクレカでの還元率は0.5〜1%の変動型で、積み立てる銘柄によって変動します。年会費11,000円の「楽天プレミアムカード」を使えば銘柄問わず1%還元ですが、それでも「dカード積立」の最大還元率には届きません。

主なネット証券の「クレカ積立」

主なネット証券の「クレカ積立」

また、「SBI証券×三井住友カード」も、年会費が33,000円と高額な「三井住友プラチナプリファード」を使えば最大5%還元(2024年11月以降は最大3%還元)となりますが、一般カードは0.5%還元、ゴールドカードは1%還元です(2024年11月分以降、複数のルール変更あり。詳しくは上記表参照)。

「auカブコム証券×au PAYカード」は券種や積立額に関係なく一律で1%還元と、高還元かつ、わかりやすい仕組みではありますが、最大還元率では「dカード積立」に一歩及ばず、といった状況です。

これらと比べて「dカード積立」は、飛び抜けておトクというほどではないにせよ、十分魅力的な内容と言ってよさそうです。普段から「dポイント」を貯めて、使っているユーザーであれば、納得感を持って使っていけるのではないでしょうか。

ドコモ新社長、銀行業への参入の意思を表明

ドコモとマネックス証券は、今後も、マネックス証券での「ポイント投資」(「dポイント」で投資信託が買えるサービス)や、保有する投資信託の額に応じた「dポイント」付与などを始める予定。ドコモ経済圏はこれまで金融サービスが弱点と言われてきましたが、マネックス証券との業務提携により、証券分野での強化をさらに進めていくかまえです。

また、証券以外の動向にも注目です。2024年6月にドコモの新社長に就任した前田義晃氏は、2024年6月18日の会見で、買収などのさまざまな可能性を検討しつつ、銀行業への参入を目指す方針を明らかにしました。ドコモは現在、大手携帯キャリアで唯一、グループ傘下に銀行を持っていません。これが実現すると、いよいよドコモ経済圏における本格的な金融サービスの実現につながっていくかもしれません。

<キャンペーン情報>
7月5日より「dカード積立」開始記念キャンペーンもスタート

「dカード積立」のスタートを記念したキャンペーンも始まります。「dカードGOLD」で月に3万円以上のショッピングをした人は、その月の「dカード積立」のポイント還元率が最大5%にアップします。新NISA口座を利用する場合は通常のポイント還元と合わせて最大5.0%分(3か月合計、最大1万5,000ポイント還元)、課税口座を利用する場合は最大2.0%分(3か月合計、最大6,000ポイント還元)が付与されます。還元率アップが適用されるのは、初回月を含めて連続で最大3か月間です。

期間:2024年7月5日〜 終了日未定
出典:ドコモ

<ニュース2>
楽天ペイ、「楽天カード」なしでもチャージ払いの還元率が1.5%に

3行サマリー
○「楽天ペイ」、チャージ手段を問わずチャージ払いのポイント還元率を一律1.5%に変更
○ルール変更前、チャージ払いで1.5%還元にするには「楽天カード」が必須だった
○チャージできる金融機関も大幅増、ライトユーザーの取り込み強化が狙いか

楽天グループによるスマホ決済サービス「楽天ペイ」は、2024年6月4日より、電子マネー「楽天キャッシュ」を使う決済(以下、「楽天ペイのチャージ払い」)のポイント還元ルールを変更しました。

画像は楽天Pay公式サイトより

これまで、「楽天ペイのチャージ払い」の基本の還元率は1%でした。ただし、「楽天カード」から「楽天キャッシュ」にチャージして支払う場合は0.5%が上乗せされ合計1.5%還元となり、ほかのチャージ手段と比べると有利な状況でした。

2024年6月4日以降は、「楽天カード」でのチャージに限らず、楽天銀行を含む全国の金融機関、セブン銀行ATM、ローソン銀行ATM、楽天ラクマの売上金など、どの手段でチャージした「楽天キャッシュ」であっても、「楽天ペイ」の決済に利用すると最大で1.5%のポイントが還元されるようになりました。「楽天カード」の優位性が薄れたいっぽう、「楽天カード」を持っていないユーザーにもメリットが広がる変更となっています。

「楽天キャッシュ」にチャージできる金融機関も増加

「楽天キャッシュ」へのチャージは、2024年2月より、楽天銀行以外の金融機関にも対応を広げ、6月3日には60以上の金融機関が追加されるなど、今年に入って選択肢が急増中です。楽天によると、対応金融機関は今後も拡充する方針だといいます。

これまで楽天は、どちらかというと「楽天カード」ユーザーを優遇する傾向が見られましたが、「楽天ペイ」のポイント還元ルールの変更や、チャージ対応の金融機関の増加などを見ると、「楽天カード」を持っていない比較的ライトなユーザーの取り込みに力を入れ始めたという見方ができそうです。

ユーザーから見ても、スマホ決済での1.5%還元は魅力的です。クレカを申し込まずともこの還元率が適用されることで、ほかのスマホ決済ユーザーがお試しで「楽天ペイ」を使うきかっけにもなるかもしれません。

<ニュース3>
「LINE Pay」が2025年4月30日をもって国内でのサービスを終了

3行サマリー
○「LINE Pay」、2025年4月に国内でのサービスを終了することを発表
○2014年の登場から約10年、「PayPay」とのグループ内競合で存在感低下
○ポイントや残高は、一部検討中のものをのぞき「PayPay」などに移行可能

2024年6月13日、LINEヤフーは、LINE内の決済・送金サービス「LINE Pay」の国内サービスを、2025年4月30日までに順次終了すると発表しました(台湾、タイ現地のLINE Payは今後も継続)。

画像はLINE Pay公式サイトより

2014年に始まった「LINE Pay」は、約10年で幕を閉じることになります。「LINE Pay」は、大規模なポイント還元キャンペーンや、政府が主導したキャッスレス決済推進の後押しなどもあり、一時、「スマホ決済」の主力サービスと目される存在でした。

転機となったのは、2021年3月に実施された、ヤフーを傘下に持つZホールディングスとLINEの経営統合です。これにより、「PayPay」との間で、グループ内における競合状態が生じていました。それもあり、2022年には、店舗に設置したコードをユーザーが読み取って支払う方式において「LINE Pay」独自のコードが廃止され、「PayPay」のコードと一体化されるなど、「LINE Pay」の存在感は徐々に低下していった印象です。

LINEヤフーのプレスリリースには、「LINE Pay」の国内サービス終了の理由として、「LINEヤフーグループとしての最適な経営資源の配分などを検討した結果、国内の送金・決済サービス領域は『PayPay』に一本化」との記載があり、かねて指摘されていたグループ内競合状態の解消が、主な目的であることがわかります。

サービスは順次終了

ひとつ注意したいのは、「LINE Pay」の機能によってサービス終了のスケジュールが異なる点です。まず、2024年9月上旬に送金・送付機能が、2025年1月下旬に「LINEプリペ(Visa)」の支払いが、同3月下旬に主なチャージ機能が、そして同4月下旬に主要機能すべてが終了する流れです。

また、気になるポイントや残高の行方ですが、「LINEポイント」はLINEヤフーに移管され、2025年4月下旬以降も存在し続けます。また、「LINE Pay残高」は「PayPay残高」に移行する機能が提供される予定です。

いっぽう、「LINE Payライト残高」(本人確認不要で送金・送付できる残高)が「PayPay」に移行できるようになるかは、現在検討中とのこと。2025年4月下旬までに残高を移行しなかったユーザーに対しては、資金決済法に基づき2025年5月以降に払い戻しが予定されています。

現在実施中のキャッシュレス決済関連キャンペーン情報 

最後に、現在実施されているキャッシュレス関連のキャンペーンの中から、編集部がチョイスした3つのキャンペーンをご紹介します。

<キャンペーン情報>
「au PAY」 200円以上の決済で「Pontaポイント」が必ず当たる抽選を実施中

「au PAY」は、毎月4回の対象日(5の付く日と8日)に「au PAY」のコード決済で200円以上支払うと、抽選で1〜3,000ポイント当たるキャンペーン「たぬきの抽選会」を実施しています。現在、この拡大版として「たぬきの抽選会 夏」が開催されており、期間中は毎日抽選が実施されます。抽選で当たるポイント数は、1等3,000ポイント、2等100ポイント、3等20ポイント、4等10ポイント、5等1ポイントです。参加にあたってのエントリーは不要です。

期間:開催中〜2024年7月8日
出典:au PAY

<キャンペーン情報>
JR東日本、抽選で7,777ポイントが当たるキャンペーン実施

JR東日本新潟支社は、対象区間の新幹線を「新幹線eチケット」で利用した人の中から、抽選で100名に「JRE POINT」7,777ポイントが当たる「夏のeチケ祭り!! Summeeeeeeer キャンペーン!」を実施します(要エントリー)。期間中、「えきねっと」に新規会員登録しキャンペーンに参加した場合は、応募口数が3倍になります。

期間:2024年7月13日〜8月31日
出典:JR東日本

<キャンペーン情報>
JCB、ポイント高倍率キャンペーン「JCBポイントアップ祭り 第2弾」開催

JCBは、「JCBオリジナルシリーズ」限定の、優待店を対象にしたポイント高倍率キャンペーンを実施中です。期間中、キャンペーンページを通じて対象ショップでの「ポイントアップ登録」を行い、「JCBオリジナルシリーズ」のクレカで買い物をすると、2024年8月15日まではポイント10倍、同8月16日〜2025年3月15日まではポイントが2倍になります。

期間:【ポイント10倍】開催中〜2024年8月15日/【ポイント2倍】2024年8月16日〜2025年3月15日
出典:JCB

大正谷成晴
Writer
大正谷成晴
フリーランスの編集・ライター。資産運用、ビジネス、クレジットカード、副業、医療・介護などのジャンルで取材・執筆。企業の女性活用に関する記事も多数。 著書に「決定版 1万円からはじめるFX超入門」など。
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野 洋介(編集部)
Editor
野 洋介(編集部)
書籍や月刊マネー誌の編集者を経て価格.comマネー編集部。“世界3大投資家のひとり”を含む投資家、専門家、経営者、副業実践者などへの取材経験豊富。名字の読みは「の」。ルーツは北陸(らしいです)。
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