FXでスワップポイントを活用した金利差収益を狙う手法(いわゆる「キャリートレード」)は、やり方次第で長期保有での安定収益が期待できます。 FX取引にある程度慣れ、いよいよ金利差収益を狙おうとしているあなたは、最適なFX口座を選べているでしょうか?
FX会社ごとにスワップポイントは大きく異なり、同じポジションを保有していても毎日受け取る金額が倍以上違うこともあります。本記事は、価格.comマガジンマネー編集部がスワップ運用向きの国内FX5口座を厳選。中長期保有を前提としたキャリートレードに適したFX口座の選び方から、スワップを使った金利差収益獲得の仕組み、スワップの実現方式の違いまで解説します。ぜひ参考にしてください。
※記事中に表示する情報は、2025年12月1日時点のものです。【監修・専門家情報】
田代 昌之(たしろ まさゆき)さん
金融文筆家
新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て、金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務のほか、暗号資産交換業者や証券会社の取締役を経て独立。IFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA(R))を保有。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている
| FX口座 | ロゴ | 詳細を見る | ドル円 | ユーロ円 | ポンド円 | A$円 | N$円 | 南ア円 | トルコ円 | MXN円 | スワップ受取り方式 | 会社の上場 | 自己資本比率(25/9末) | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| トレイダーズ証券 [みんなのFX」 | ![]() |
詳細を見る価格.comへ | 153/-153 | 100/-100 | 225/-225 | 105/-105 | 60/-60 | 16.1/-16.1 | 30.1/-30.1 | 16.1/-16.1 | 選択式 | 持株会社上場 | 657.7% | |
| トレイダーズ証券 「LIGHTFX」 | ![]() |
詳細を見る価格.comへ | 153/-153 | 100/-100 | 225/-225 | 105/-105 | 60/-60 | 15.2/-15.2 | 29.2/-29.2 | 15.5/-15.5 | 選択式 | 持株会社上場 | 657.7% | |
| GMOクリック証券 「FXネオ」 | ![]() |
詳細を見る価格.comへ | 160/-160 | 100/-100 | 222/-222 | 100/-100 | 56/-56 | 16.5/-16.5 | 31/-31 | 16.5/-16.5 | 日々現金化 | 持株会社上場 | 645.1% | |
| 外為どっとコム 「外貨ネクストネオ」 | ![]() |
詳細を見る価格.comへ | 155/-185 | 108/-133 | 225/-245 | 94/-114 | 46/-66 | 14/-19 | 29/-44 | 15/-20 | 選択式(ただし3,000円以上) | 非上場 | 1141.8% | |
| ヒロセ通商 「LION FX」 | ![]() |
詳細を見る価格.comへ | 153/-183 | 90/-140 | 204/-219 | 94/-120 | 48/-73 | 14/-19 | 29/-34 | 15/-20 | 選択式(ポジションごとに金額指定可) | 上場(東証スタンダード) | 798.8% |
注:スワップは2025/12/01の各社公表値。みんなのFX、LIGHT FXは「LIGHTペア」のスワップを記載
・主要通貨ペア・高金利通貨ペアで高水準のスワップを安定的に提示。スワップは売買一本値で提示される
・スワップポイントは原則「未実現利益扱い」。ポジション決済までスワップポイントが課税対象にならない。加えてスワップ振替機能でポジションごとにポジション決済せずにスワップ部分を現金化することも可能なため、資金管理が容易
・38通貨ペアの豊富な取り扱いで、主要・高金利通貨すべてに対応。加えて、金額限定の「LIGHTペア」(38通貨ペア中12通貨ペアに設定)を選択すると、さらに優遇されたスプレッドやスワップで取引できる
短期スキャルピングで利確を繰り返したいトレーダー
(スワップ狙いの中長期保有が前提の設計のため、スプレッドは広めの部分あり)
トレイダーズ証券「みんなのFX」は、キャリートレード初心者からスワップ運用の経験者まで幅広く選ばれるFX口座です。
スワップポイントは主要・高金利通貨ペアすべてで高水準を維持しており、売り買いのスワップは同値です。
また、スワップポイントは原則「未実現利益扱い」で複利運用効率が高く(ポジション持ち越し時のスワップポイントが含み益として扱われるため、決済までは課税対象外)、スワップ振替機能で ポジションを保持したまま、スワップ部分の現金化も可能です。
そのため、必要に応じて、スワップ収益部分を引き出して使ったり、別の商品への投資に回したりできるなど自由度が高い設計になっています。
加えて、世界的に人気のチャート分析ツール「TradingView」の有料機能が無料で利用でき、情報面も充実。システムの安定性も高く、約定力・スピードにも定評があります。

トレイダーズ証券『みんなのFX』のスワップ・キャリートレード向け口座としての優位性は、全般的に高水準のスワップの水準と、スワップ振替機能の装備にあります。スワップ振替機能はポジション決済を急ぐことなく、スワップだけを柔軟に出金できるため、複利効果を最大化しながら、必要な場合にはスワップのみ引き出すこともできます
スワップポイントは、2国の短期金利差に基づいて毎日付与される「金利調整分」です。金利の高い通貨を買い、低い通貨を売ると、金利差に相当するスワップポイントを毎日受け取れます。ただし、スワップは銀行間でも日々取引されている為替取引の一種で、金利そのものではありません。
一般的に機関投資家などが金利の低い国の通貨を借り入れて、そのお金を別の金利の高い国の通貨に両替し、金利の高い国の債券等を購入。為替リスクをとりながら、受取金利と支払金利の差を享受する取引のことをキャリートレードと呼びます。FXで高金利通貨を買って、低金利通貨を売り、その金利差相当額をスワップで受け取ることも理屈は同じであり、キャリートレードの一種と言えます。
FXは取引コスト(スプレッド)が外貨預金などに比べ圧倒的に安く、また、レバレッジを活用することで少ない資金でも大きな金利収入を目指せます。
ある程度の日々の相場変動は金利差(スワップ)収益に吸収させることを前提とするため、ひんぱんにチャートを見て売買する必要がなく、仕事が忙しい会社員や、じっくり資産を増やしたい中長期の投資スタイルをとる人に適しています。
キャリートレードは為替リスクのみならず、金利変動リスク、流動性リスクも意識しながらの取引となるため、組み合わせた2通貨の発行国の経済見通しや政治リスクなどすべての側面を読み解きながら、腰を据えて取引をする必要があります。スキャルピングやデイトレードのような相場の綾(あや)をとる短期売買とは趣の違った、知的経済ゲームのような側面があります。
キャリートレードで利益を得るためには為替相場が買い側の高金利通貨高に動くか、高金利通貨安となったとしても、少なくとも、金利差相当分を食い潰さない範囲に収まる必要があります。
スワップ運用でも為替変動による損失リスクは存在します。いくらスワップを日々稼いでも、買い側の高金利通貨が下落した場合には、それを上回る損失を被る恐れや、さらには強制ロスカットとなるリスクもあります。特に新興国高金利通貨(メキシコペソや南アランド、トルコリラなど)は金利差によるスワップ益が多い半面、年間20〜30%の変動幅があることからハイリスクでもあります。初心者はこれらの通貨には手を出さないか、やる場合でも1-3倍の低レバレッジがおすすめです。
また、ほかのFX取引と同様に、強制ロスカットになる前に自身で決めたポイントでの損切りの考え方も重要です。
中期から長期間のポジション保有が前提の「キャリートレード」では、日々のスワップの水準は最も重要な要素となります。取引する通貨ペアのスワップの受取ができるだけ大きな会社を選びましょう。逆にスプレッド(為替の売買レート差)は取引回数が限られるため、極端に悪くない限りはそれほど気にする必要はありません。

スワップポイントは各社の営業方針が色濃く出ます。『うちはスワップで顧客還元する』と決めている会社は、多少相場が変動しても高水準を維持しようと努力します。特に初心者は、為替変動リスクが比較的マイルドな先進国通貨(メジャー通貨)のスワップが高い会社を選ぶのが、第一歩です。
日々受け取るスワップは、会社によって毎日引き出し可能な利益として実現する方式を採用する会社と、ポジションを決済するまでは含み損益に加減算されて実現しない方式を採用する会社に分かれます。方式により税金の支払いのタイミングが異なることから、個々のトレーダーの、他商品での損益の状況や、必要とする手元の現金により、一概にどちらがよいとは言いきれません。その中で、原則未実現利益扱いで、個別に選択してスワップを実現させる機能があるFX口座は、状況に応じて臨機応変に受け取り方を変えられるため、運用柔軟性の面で有利です。

意外と見落としがちなのが税金です。毎年税金を払うのと、10年後にまとめて払うのとでは、手元に残るお金がまったく違ってきます。個人的には、スワップのみを出金(振替)できて、かつ出金しなければ課税されない『選択型』の口座がキャリートレードでは最適だと考えています
ある程度の時間資金を預けることによってキャリートレードは成立します。預けた資金を確実に戻すために、まずは、顧客資産が完全に区分管理(信託保全)されていて資金の返還が保証されている国内登録業者を選びましょう。
また、キャリートレードでは、数か月〜数年単位でポジションを保有する取引が前提のため、FX会社が倒産するリスクやシステムトラブルのリスクを極限まで避ける必要があります。
自己資本規制比率が高い(財務健全性が高い)会社や、大手金融グループ・上場企業に属している会社は安心感があります。

キャリートレードは「寝て待つ」投資です。寝ている間にFX会社が破綻しては元も子もありません。また、〇〇ショックのような暴落時には、キャリートレードでも、利益確定や損失拡大防止のために一気に決済を行う必要が生じるケースが多く、そのような状況でシステムがダウンして注文が通らない、といった事態も避けたいところ。取引会社の財務基盤の強さと取引システムの安定は、長期投資家にとっての命綱です
スワップポイント実現方式の違いが時としてキャリートレードの収益性に影響する場合があるので整理しておきましょう。キャリートレードでスワップ収益を最大化するには、スワップポイントの実現方式を理解することが重要です。
毎日スワップポイントが確定損益として口座残高に反映される方式。メリットは資金管理がシンプルで、利息感覚で都度収入が得られ、金利差益を実感しやすい点と、利益確定分を再投資に回し投資効率を上げられる点。デメリットは、スワップポイント発生時点で課税対象となり、ポジションを決済せず持ち続けた場合でも、年ごとの税務申告を行わなければならない可能性がある点。また、ほかで利益があって、スワップ分の利益を現時点で顕現化させたくない場合には不利になる。
ポジション決済時までスワップポイントが含み益として扱われる方式。メリットは決済までスワップが課税対象にならず、それまでの間、税金部分も複利運用可能な点。デメリットは、ポジション保有中はスワップ利益の実感が薄いことや、資金が必要な場合にもスワップ益を現金化できない点。なお、会社によってはスワップによる含み益分が証拠金とはカウントされず投資効率が改善されない場合もあるので注意。
トレーダーが上記両方式を柔軟に選択できる方式。基本は含み益方式で、ポジションごとに1の実現方式に変更できる(細かい対象や方法、条件は各社異なる)。最大のメリットは投資戦略やその年の利益の状況に応じて最適な資金フローを自由に選べる点。
キャリートレードには、3の未実現利益扱い(含み益方式)でスワップの振替機能があるFX口座がおすすめです。必要な場合にはポジション決済を迫られることなく、スワップを現金化でき、また、すぐに現金が必要ない場合には、スワップ部分を含み益のまま保有できるため、予期せぬ相場の下落への抵抗力が増すなど、柔軟な運用ができます。

米ドル円や豪ドル円などのメジャー通貨ペアにおいて、高水準のスワップポイントを提供しており、効率的に利益を積み上げられます。
ポジションを決済しなくても、たまったスワップポイントだけを引き出すことも選択でき、再投資や生活費への充当も柔軟に対応可能です。
「みんなのFX」は高機能ツールを装備し、情報も充実、自動売買機能もあり、中級者以上のニーズにも十分応えるオールラウンドなFX口座です。高いスワップポイントと高機能なツールを両立させたいトレーダーにはおすすめです。
特にチャート分析ツールの「TradingView」が使える点は大きなメリットで、エントリータイミングを精査したい中級者に支持されています。

「みんなのFX」はスワップ運用しながらも、「チャート分析もしっかり行いたい」「たまには自動売買も試したい」という欲張りなニーズに応えてくれます。次に紹介する「LIGHT FX」の兄弟口座ですが、「みんなのFX」はよりトレーディング要素が強いです。スワップ条件は「LIGHT FX」もほぼ同等ですが、最近では一部の通貨ペアで「みんなのFX」のほうが高い水準をつけています。ただし、高スワップの「LIGHTペア」サービスは金額に上限がある点は注意です

トレイダーズ証券が提供する「LIGHT FX」は、その名の気軽さと高スペックを両立させた、スワップ狙いに最適な口座です。
通常モードとは別に用意された「LIGHTモード」で、ここでは金額が制限される代わりにスプレッド、スワップポイントが強化されており、長期保有に特化しています。
みんなのFXと同様に「スワップ受取」機能を使えば、未決済のまま利益を確定できるため、スワップ益実現のタイミングを選べると同時に、複利運用にも最適です。
また、チャート分析ツールの「TradingView」が使える点もみんなのFXと同じです。

「LIGHT FX」は「みんなのFX」にも装備されている「LIGHTモード」でのスワップが、金額に制限はあるものの他社を圧倒することもあり、全般的に長期保有者向けの設計です。スワップの水準は「みんなのFX」とほぼ互角で、ポジションを持ったらじっくり待つスタイルの人には最適です

GMOクリック証券「FXネオ」の最大の魅力は、そのシステムに対する圧倒的な信頼性です。
キャリートレードは長期間ポジションを保有するため、システムの安定性は収益の土台となります。
高水準のスワップポイントを提供しつつ、強固なシステムで顧客資産を守る体制が整っているため、特に為替変動リスクに備えたいトレーダーから高い支持を得ています。
トルコリラ/円やメキシコペソ/円の買いスワップも高水準に保たれており、「システムとスワップ、両方を妥協したくない」というトレーダーに最適です。

GMOクリック証券の「FXネオ」は「王道」と言えます。サーバーが強く、約定力が高いので、何かあったときの安心感が違います。スワップポイントも主要通貨では常に上位。本腰を入れて大口の運用をするなら、この信頼性は代えがたい魅力です

「外為どっとコム」は、上場はしていませんが、FX業界のパイオニアとしての信頼性と、キャリートレードに有利なスペックを兼ね備えた実力派です。
豊富な情報量も武器であり、「なぜその通貨を買うのか」という投資判断を補強してくれるレポート類は、数年単位の運用において強力な味方となります。

キャリートレードは情報戦です。各国の金利政策がどうなるかを知らずに保有し続けるのは危険ですが、外為どっとコムの「外貨ネクストネオ」ならその情報が向こうからやってきます。スワップポイントも非常に高く、かつ「自分で受け取るタイミングを選べる」仕様なので、長期の金利差収益を狙ううえで総合力が高い口座です

ヒロセ通商「LION FX」は、そのシステムの安定性と約定力の高さで、多くのベテラントレーダーに支持されています。
この高い信頼性は、長期ポジションを持つキャリートレーダーにとって大きな武器となります。
高金利通貨ペアのスワップポイントも、業界トップクラスの口座に劣らない水準で提供されており、堅実なスワップ収益を狙うことが可能です。
また、スワップは原則決済時まで含み益の選択制ですが、金額を指定して一部だけ受け取れるのは、さすがにかゆいところに手が届くヒロセ通商ならではのサービスです。

ヒロセ通商は独自路線を行く面白い会社ですが、システムの安定性には定評があり、どんな取引も高い水準で対応できます。また、食品キャンペーンも馬鹿にできません。長期保有の退屈さを紛らわせてくれる、よいスパイスになります
質問:たとえば米ドル/円の場合スワップポイントは日々変動しますか?
回答
はい、スワップポイントは日々変動します。これは、ドル円の場合、米国の政策金利や短期金利、日本の金利動向など、両国の金利差が変動するためです。
スワップポイントの変動は、長期保有のリスクのひとつとして理解しておく必要があります。
FX会社も、その金利差に応じてスワップポイントを調整するため、変動は避けられません。そのため同じ条件の中で、他社より高いスワップ水準を安定的に維持する会社を探すことが重要です。
質問:高金利通貨を狙って取引すべきですか?
回答
キャリートレード初心者の方は、まずは米ドル/円、豪ドル/円のような、流動性が十分にあり、値動きが比較的安定している主要通貨ペアから始めることを強く推奨します。
トルコリラ/円などの高金利通貨ペアは、スワップポイントは高いですが、為替の変動リスクも非常に大きいため、経験と十分なリスク管理、および余裕資金が必要です。
高金利通貨は、主要通貨での運用に慣れ、十分な経験を積んでから、資金の一部で挑戦するのが賢明です。
質問:初心者でも1万通貨単位程度の取引から始めるべきですか?
回答
金利差益は必ずしも大きいとは言えないことから、ある程度の金額を売買しなければ妙味は薄いと言えます。いっぽう、為替相場、金利動向、流動性などいろいろな観点で相場を見なければならない点や、スワップの実現方式の差など、ある程度経験を積まないとわかりにくい要素も多いのがキャリートレードの特徴でもあります。最初は少額の資金で仕組みや相場の動きを理解してから、自分の余裕資金に見合った額で運用しましょう。