KDDIは2023年9月28日、タフネススマートフォン「TORQUE(トルク)」シリーズの新モデル「TORQUE G06」(京セラ製)を、同年10月19日にauブランドで発売すると発表した。タフネス性能に磨きをかけつつ、軽量・コンパクト化を狙った新モデルの詳細に迫ろう。
auオリジナルのスマートフォンとなる「TORQUE G06」が登場した。その特徴に迫ろう
巨大で重かった前モデルと比べると多少軽く持ちやすくなった
auは、ケータイの時代からタフネス端末に力を入れており、スマートフォンの時代になっても定期的に新製品を投入している。今回発表された「TORQUE G06」は、2014年に登場した初代「TORQUE G01」から数えて6世代目のモデルだ(携帯電話「X01」を除く)。
タフネス性能を重視する基本コンセプトは変わっておらず、魅力である力強い外見も維持されている。タフネス性能はさらに高められており、米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810H」の21項目に、京セラ独自の8項目を加えた29項目のタフネス基準をクリア。高さ2メートルからアスファルトへの落下衝撃に耐えるほか、ボディ全体に約 100kgf の面荷重を均等にかける荷重試験、日本沿岸部を想定した海水で水深約 2.0メートル に約 60 分間沈める試験もクリアしている。泡ハンドソープおよび泡ボディソープでの手洗いやすすぎの洗浄にも対応した。
そのいっぽう、軽量・コンパクト化を徹底しており、重量は前モデルよりも約14g軽い234gに。高さも13mmほど小さい約154mmに押えられている。
2メートルの高さからの衝撃に耐えるほか、水深2メートルに耐える耐海水などタフネス性能はほかの追随を許さない。新たにディスプレイに耐打撃性能が加わっている
氷点下20度の氷漬けにしても問題なく動作する
やけどを起こすような気温60度の環境下でも問題なし
激しく回転させた福引機の中でも問題なく動作していた
搭載されるSoCは、クアルコムのミドルハイ向けの「Snapdragon 7 Gen1」で、6GBのメモリーと128GBのストレージ、最大1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを備える。プリインストールされるOSはAndroid 13だ。
ディスプレイも約5.5インチの液晶から約5.4インチの有機ELに変更され、画質の向上が図られた。なお、ディスプレイの保護として、強化ガラスとアクリルスクリーンを重ねた京セラ独自の「ハイブリッドシールド」を採用している。スピーカーはステレオ仕様だ。
有機ELディスプレイを搭載。前モデルで指摘されていたゲームにおけるタッチ判定の不具合も改善されている
左側面には指紋認証センサー内蔵電源ボタンとシャッターボタンが備わる
左側面にはさまざまな動作を割り当てるファンクションボタンとボリュームボタンを配置する
ボディの上面の電源ボタンはグローブを装着していても操作しやすい
ボディ下面にキャップ付きのUSB Type-Cポートを配置。なお、USB Type-Cポート自体は防水・防塵対応なので、二重の対策となる
カメラの画質強化も本機のポイントだ。メインカメラは、約6400万画素の標準カメラ(広角カメラ)、約1600万画素のワイドカメラ(超広角カメラ)、約200万画素のマクロカメラという組み合わせのトリプルカメラ。特に標準カメラに使われる新開発のイメージセンサーは、4個のサブピクセルをひとつのまとめたピクセルビニング技術を採用しており、感度性能が高められた。
画像処理のプロセスも改善されており、ナイトモードでは撮影直後のRAWデータに対して画像処理を行うことで解像感を高めている。また、画像処理エンジンの性能向上によってHDRの合成処理をより細かくに行えるようになった。
なお、マクロカメラは「TORQUE」シリーズとしては初めての搭載で、標準カメラの画像の上に重ねて撮影を行う「虫眼鏡フォト」というユニークな機能が備わっている。
超広角、広角、マクロのトリプルカメラを搭載。カメラの左右にLEDフラッシュを搭載しており、フラッシュ時の光量を確保している
広角カメラとマクロカメラで同時に撮影する「虫眼鏡フォト」を新搭載
釣った魚のサイズや種類を識別するアプリ「Fishingモード」。なお、プリインストールはされず後日Google Playを通じて配布される
「TORQUE」シリーズの特徴である豊富なアクセサリーも本機に継承されている。自転車やバイクとの固定を行う「マルチホルダー」、カラビナ付きの「ハードホルダー」、水没時の浮きとなる「フローティングストラップ」(TORQUE 5Gと共通)を用意する。
「マルチホルダー」を自転車に装着
「マルチホルダー」はアタッチメントを付け替えることで様々な使い方に対応できる
こちらは「ハードホルダー」。カラビナを装着できる
バッテリーパックを引き続き採用。容量は4270mAhで前モデルよりも270mAh増量された
最後に価格だ。端末の税込価格は98,000円。前モデル「TORQUE 5G」に対して約1万円の値上がりだ。昨今のスマートフォンの価格動向を考慮すれば、少ない値上げ幅と言ってよいが、これは、業務用の「DuraForce(デュラフォース)」シリーズとの部品の供用を図るなどのコストダウンで実現しているとのこと。なお、auの残価設定型の端末購入補助「スマホトクするプログラム」を利用した場合、ユーザーの実質負担額は59,800円に抑えることができる。
なお、本機を製造する京セラは、コンシューマー向けスマートフォンからの撤退を発表しているが、本機は例外扱いで、サポートも前モデルと同じように行われることでKDDIとの合意が得られている。KDDIもタフネススマートフォンは業務用としてのニーズも高いこともあり、今後も継続して製品を投入することを表明していた。