選び方・特集

今買うべきノートPCはCore Ultra、Core i搭載モデルのどっち?

今インテルのCPUを搭載するノートPCを購入する際に悩ましいのが、最新の「Core Ultra」搭載モデルを買うべきか、それとも従来の「Core i」搭載モデルを購入するべきかです。もちろん、一般的にはより新しいプロセッサーのほうがすぐれているのは言うまでもありません。

しかし、両者に具体的にどんな違いがあり、使い勝手がどのように変わるのかわからない人も多いでしょう。そこで今回は、初心者ユーザーに向けて、どちらを買うべきか判断できるように、「Core Ultra」の基本知識をできるだけかみ砕いてお伝えいたします。

新しいCPU「Core Ultra」を解説

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第1章:「Core Ultra」とは何か?

インテル「Core Ultraプロセッサー」(以下、Core Ultra)は、2023年12月14日に発表されたインテル最新世代のプロセッサーです。インテルは「この40年間で最大のアーキテクチャー転換」と謳っており、CPUコンピューティング、グラフィック、電力効率、バッテリー持続時間、AI機能と、多くの面において機能強化が図られています。

「Core Ultra」にはプロセッサーのベース電力が28WのHシリーズと、15WのUシリーズが用意されています。Hシリーズは高性能、Uシリーズは低消費電力にフォーカスしたプロセッサーです

「Core Ultra」にはプロセッサーのベース電力が28WのHシリーズと、15WのUシリーズが用意されています。Hシリーズは高性能、Uシリーズは低消費電力にフォーカスしたプロセッサーです

従来の「Core i」シリーズとの最大の違いは、AI処理専用の「Neural network Processing Unit(NPU)」というハードウェア「インテルAIブースト」が搭載されたこと。スマホ向けのプロセッサーや、アップル独自のプロセッサー「Appleシリコン」ではすでにNPUが搭載されていましたが、インテルのプロセッサーでNPUを搭載したのは「Core Ultra」が初めてです。

2つ目の進化点は内蔵グラフィック(integrated GPU、iGPU)が、従来の「インテルIris Xeグラフィックス」から「インテルArcグラフィックス」に変更されていること(Hシリーズのみ)。これによりグラフィック性能が大幅に向上しています。

iGPUに「インテルArcグラフィックス」が搭載されるのはHシリーズのみ。Uシリーズには「インテルグラフィックス」が搭載されています

iGPUに「インテルArcグラフィックス」が搭載されるのはHシリーズのみ。Uシリーズには「インテルグラフィックス」が搭載されています

3つ目の進化点は、高性能コア(Performance-Cores、Pコア)、高効率コア(Efficient-Cores、Eコア)に加えて、低消費電力高効率コア(Low-Power Efficient-Cores、LPEコア)が搭載されたこと。低負荷時により消費電力が低いLPEコアだけを動作させることで、「Core i」シリーズよりも電力効率が向上しています。

ハードウェア情報取得ソフト「HWiNFO64 Pro」で取得した、「インテル Core Ultra 9プロセッサー 185H」のシステム概要。「E-core」が「8+2 / 10」と表示されており、Eコアが8つ、LPEコアが2つで、22スレッドであることがわかります

ハードウェア情報取得ソフト「HWiNFO64 Pro」で取得した、「インテル Core Ultra 9プロセッサー 185H」のシステム概要。「E-core」が「8+2 / 10」と表示されており、Eコアが8つ、LPEコアが2つで、22スレッドであることがわかります

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第2章:「Core Ultra」で何ができるの?

さて、「Core Ultra」は実際の作業でどのようなことができるのでしょうか? 実は現時点では、「Core Ultra」に搭載されたNPUを利用するメジャーなアプリは出てきていません。しかし、ASUSの「Core Ultra」搭載ノートPCの説明会では、「Stable Diffusion」でAI画像生成、「Audacity」でAIオーディオ生成を行うデモが披露されていました。

「Stable Diffusion」によるAI画像生成のデモ。タスクマネージャーを見ると、NPUがフル稼働しているのがわかります。その分CPU、GPUの負荷を下げられるわけです

「Stable Diffusion」によるAI画像生成のデモ。タスクマネージャーを見ると、NPUがフル稼働しているのがわかります。その分CPU、GPUの負荷を下げられるわけです

たとえば、「Stable Diffusion」のAI画像生成では、描画にかかる時間が高速化されるだけでなく、消費電力が大幅に低減されます。また、現在クラウド(インターネット上のサーバーコンピューター)で実行されているAI処理を、自分が使っているノートPC内で行えるようになれば、プライバシー保護の強化の点でもメリットがあるのです。これも見逃せないポイントですね。

インテルは「AI PCアクセラレーション・プログラム」という施策を実施しています。すでにAdobe、Zoom、Microsoft、Tencent、Epic Games(Unreal)、CyberLinkなどをはじめとする100社以上が参加しており、2024年中に300以上のAI対応機能がリリースされる予定とのことです。

現時点で、メジャーなアプリはAI処理をCPUやGPUで行っています。それらの一部をNPUが処理するようになれば、高速化と、低消費電力化という2つの大きなメリットを得られます。

Adobeの「Creative Cloud」や、Microsoftの「Office」「Copilot」などのメジャーなアプリでNPUの利用が始まり、「Core Ultra」が本領を発揮するのを期待したいところです。

2024年中に300以上のAI対応機能がリリース予定。大手ソフトウェアメーカーのロードマップが気になりますね

2024年中に300以上のAI対応機能がリリース予定。大手ソフトウェアメーカーのロードマップが気になりますね

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第3章:「Core Ultra」を買うべき人は?

「Core Ultra」は前述のとおり、CPUコンピューティング、グラフィック性能、電力効率、バッテリー持続時間、AI機能とさまざまな面において進化を遂げています。

最大の進化点はNPUの搭載ですが、現時点ではNPUを有効活用するアプリはほとんどリリースされていません。NPUの恩恵を受けられるのに時間がかかることは留意しておく必要があります。

となると、個人的にいちばん重視するべきは内蔵グラフィックだと考えます。「インテルIris Xeグラフィックス」から「インテルArcグラフィックス」に進化したことで、グラフィック性能が大幅に向上。筆者がベンチマークした限りでは、最大2倍弱のスコアアップを確認しています。「インテルArcグラフィックス」の高性能なグラフィック処理は、ゲームだけではなく、動画編集などのクリエイティブ系アプリでも恩恵を受けられるはずです。

結論としては、少し待ったとしてもNPUを有効活用したい人、そしてゲームやクリエイティブ系アプリでより高いグラフィック性能を必要とする人には「Core Ultra」がおすすめです。いっぽう、Office系アプリや動画視聴などを中心に利用するのであれば、「Core i」搭載ノートPCでも十分満足できると言えるでしょう。

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ジャイアン鈴木
Writer
ジャイアン鈴木
レビューした製品を高確率で買ってしまう物欲系ITライター。守備範囲はPC、スマホ、VRがメイン。ゲーム、デジタルトイも大好き。最近サバゲにはまっています。愛車はスイフトスポーツで、断然マニュアル派です。
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水川悠士(編集部)
Editor
水川悠士(編集部)
デジタル系メディアから価格.comへ。スマホ、スマートウォッチなどのガジェット周り、ゲーム関連を担当。触ってきた製品は数えきれないほど多いです。価格.comマガジンのYouTubeにも出演中。
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