ASUSは2024年6月4〜7日にかけて開催中の「COMPUTEX TAIPEI 2024」に先駆け、6月3日に製品発表会「Always Incredible」を開催。それに合わせて、ASUS JAPANは2024年6〜7月以降に発売される「Copilot+ PC」のノートPCおよび、ゲーミングノートPCの日本発売を正式発表した。今回は現地情報を中心に、最新製品を紹介していこう。
「Always Incredible」で披露された製品ではないが、先行して6月2日に日本発売が発表されたゲーミングUMPC「ROG Ally X」(アールオージー エイライ エックス)についても説明会が開催された。
「ROG Ally X」。グローバルでの販売価格は799米ドルで7月22日発売。日本での価格、発売日は未定
「ROG Ally X」は「ROG Ally」の後継モデル。プロセッサーは「AMD Ryzen Z1 Extreme」を継承するが、マザーボードの設計を見直したことにより排熱処理の性能が向上。ピークパワー時に、より安定して高い性能を発揮できる。
マザーボードの設計を最適化
ファンや冷却機構が改良され、エアフローが24%増大。パネルトップの表面温度が6度低くなっている
基本スペックも大幅強化。メモリーは16GB(LPDDR5-6400)から24GB(LPDDR5-7500)に、ストレージは512GBから1TBに増量。バッテリーも40Whから80Whに増えている。
バッテリーは2倍に増量されているが、本体重量は約12%増に抑えられている
また、外部インターフェイスがUSB Type-C(3.2 Gen2)×1、ROG XG Mobile Port×1から、USB4×1、USB Type-C(3.2 Gen2)×1に変更。背面のマクロボタンを小型化するなど使い勝手も向上している。これらはユーザーの声を取り入れて改善したとのことだ。
外部インターフェイスが、USB4×1、USB Type-C(3.2 Gen2)×1という構成になり、充電しながらヘッドホンや入力デバイスのUSBドングルなどを挿せるようになった
小型化された背面のマクロボタン。意図せず触れにくい配置、サイズとなった
なお、統合ユーティリティー「Armoury Crate SE V1.5」は従来機種に対しても提供される。新機能が追加されるメジャーアップデートなので、「ROG Ally」ユーザーも「ROG Ally X」が発売される7月が楽しみなシーズンとなりそうだ。
「Always Incredible」のテーマは「Ubiquitous AI・Incredible Possibilities」(ユビキタスAI・無限の可能性)。このイベントに合わせて、次世代AI機能搭載のAMD製、クアルコム製CPUを搭載した10製品について、日本発売が発表されている。
AIによる自然言語インタラクションは、テキスト/キーボード、GUI/マウスに続くPCのユーザーインターフェイスの革命と語られた
今回発表された新機種はすべてマイクロソフトの「Copilot+ PC」に準拠しており、「ASUS Vivobook S 15 S5507QA」には6月18日に「Windows Update」で提供。そのほかのモデルにも順次アップデートが適用され、「Copilot+ PC」の機能が利用可能となる。今回は発表された製品群の基本スペック、特徴について解説していこう。
「ASUS Zenbook S 16 UM5606」
「ASUS Zenbook S 16 UM5606」は大画面と携帯性を両立したモバイルノートPC。リフレッシュレート120Hzの16インチ 3K有機ELディスプレイを搭載しつつ、厚み11.9mm、重量1.5kgという薄型、軽量ボディを実現している。また、6スピーカーサウンドシステムを採用するなど、音響面にも注力されている。
天板にはセラミックの美しさや感触と、アルミニウムの強度を融合させたと謳うASUS独自の「セラルミナム加工」が施されている。CPUはAMD「Ryzen AI 9 HX 370」。7月中旬以降に発売予定だ。
「ASUS Vivobook S 15 S5507QA」
「ASUS Vivobook S 15 S5507QA」はクアルコム「Snapdragon X Elite」を搭載したモバイルノートPC。5月21日にすでに日本でも発表されており、発売日は最も早く6月18日を予定。メモリーは32GB、ストレージは1TBを搭載。ディスプレイは15.6インチの有機ELディスプレイ(2880×1620、120Hz)を採用。サイズは352.6(幅)×226.9(奥行)×14.7〜15.9(高さ)mm、重量は約1.42kg。日本での希望小売価格は249,800円(税込。以下同)だ。
「ASUS Vivobook S 16 M5606」(上)、「ASUS Vivobook S 14 M5406」(下)
「ASUS Vivobook S 16 M5606」は16インチ3.2K、「ASUS Vivobook S 14 M5406」は14インチ3Kの120Hz駆動対応有機ELディスプレイを採用したモバイルノートPC。厚さ/重量/バッテリー容量は、16インチモデルが13.9mm/1.5kg/75Wh、14インチモデルが13.9mm/1.3kg/75Wh。画面サイズ/重量は異なるが、バッテリー容量は同じ。小さい14インチのほうがバッテリー駆動時間は長い可能性が高い。プロセッサーも最大でAMD「Ryzen AI 9 HX 370」と同じだ。発売は7月中旬以降。
「ASUS ProArt P16 H7606」
「ASUS ProArt P16 H7606」はクリエイター向けの「Copilot+ PC」準拠ノートPC。CPUはAMD「Ryzen AI 9 HX 370」、GPUは最大でNVIDIA「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」を搭載する。「Ryzen AI 9 HX 370」に内蔵された50TOPS NPUと、最大321TOPSを発揮する「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」により、将来的には高度なAIワークフローを処理可能となる。
また、タッチパッドにはアナログ的操作が可能な「ASUS DialPad」が装備されている。タッチ対応の16インチ4K有機ELディスプレイを採用している点もクリエイティブワーク向けPCとして大きなアドバンテージだ。発売は7月中旬以降の予定。
「ASUS ProArt PX13 HN7306」
「ASUS ProArt PX13 HN7306」はディスプレイが360度回転する2 in 1コンバーチブルノートPC。「ASUS ProArt P16 H7606」と同じく、CPUにAMD「Ryzen AI 9 HX 370」、GPUに最大でNVIDIA「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」を搭載しつつ、ディスプレイは小型のタッチ対応13.3インチ3K有機ELディスプレイを搭載。厚さ15.8mm、重量1.39kgと携帯性にすぐれている。「ASUS DialPad」が採用されている点も「ASUS ProArt P16 H7606」と同様だ。発売は7月中旬以降。
「ASUS ProArt PZ13 HT5306」
「ASUS ProArt PZ13 HT5306」は、今回発表された「ProArt」シリーズの中で唯一のキーボードデタッチャブルタイプのモバイルノートPC。CPUはクアルコム「Snapdragon X Elite」が搭載されている。最大の特徴はモバイル性。70Whのバッテリーを搭載しつつ、厚さは9.0mm、重量は0.85kg切りを実現。IP52の防塵防滴、MIL規格(MIL STD 810H)準拠のタフネス性も備えている。それでいてディスプレイはタッチ対応13.3インチ3K有機ELディスプレイで、SDメモリーカードスロットも備えており、クリエイティブワークに適した仕様だ。発売は7月中旬以降の予定。
「ROG Zephyrus G16 GA605」
「ROG Zephyrus G16 GA605」は、CPUにAMD「Ryzen AI 9 HX 370」、GPUに最大でNVIDIA「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」を搭載するゲーミングノートPC。底面で吸気と排気を完結させる「ROGインテリジェントクーリングシステム」が採用されており、高い負荷でも安定した性能を発揮することが期待できる。ディスプレイは最大240Hzのリフレッシュレート、0.2msの応答速度を実現した16インチ2.5K有機ELディスプレイ。これだけのスペックで厚さは1.49cm、重量は1.85kgとゲーミングノートPCとしては薄型、軽量だ。発売は8月以降。
「ASUS TUF Gaming A16 FA608」(上)、「ASUS TUF Gaming A14 FA401」(下)
「ASUS TUF Gaming A16 FA608」と「ASUS TUF Gaming A14 FA401」はTUFブランドのゲーミングノートPC。「ROG Zephyrus G16 GA605」と同じくCPUにAMD「Ryzen AI 9 HX 370」、GPUに最大でNVIDIA「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」が採用されているが、リフレッシュレート165Hzの2.5K 液晶ディスプレイを採用することなどにより低価格を実現している。より手ごろな価格を重視する人に魅力的なモデルだ。発売は8月以降予定。
「ASUS ExpertBook P5」
今回のASUS JAPANの発表には含まれていなかったが、コードネーム「Lunar Lake」と呼ばれるノートPC用インテル製次世代CPUを搭載すると思われる「ASUS ExpertBook P5」が展示されていた。細かなスペックは未定だが、「ExpertBook」シリーズらしくかなり軽量な「Copilot+ PC」に仕上げられるはず。正式発表を楽しみに待ちたい。
今回ASUSが「Copilot+ PC」準拠の「ProArt」シリーズを発売するにあたって、画像生成アプリ「Muse Tree」、デジタルアセット管理アプリ「StoryCube」が独自に用意された。それ自体は他メーカーに対するアドバンテージと高く評価できる。
しかしそのいっぽう、メジャーなアプリメーカーがNPUを活用するアプリをいつリリースするのか具体的な日程がアナウンスされていない。またAMD、クアルコム、そしてインテルのNPU搭載CPUが、それぞれどのような性能、特徴があるのか情報が出揃っていない。どのCPUが勝ち馬なのか判断しづらいので、AI性能以外の部分で判断するしかないというのが現状だ。