レビュー

私大きくなりました! 「Zenfone 11 Ultra」は万人受けする万能スマホ

2024年7月3日、ASUS JAPANはグローバルで発表済みの最新スマートフォン「Zenfone 11 Ultra」の日本市場投入を発表しました。希望小売価格は139,800円(税込。以下同)から。コンパクトサイズが売りの「Zenfone」シリーズですが、ここに来て突如の大型モデルが登場。はたして、使い勝手はどう変わったのか、レビューしていきましょう。

ASUS JAPAN「Zenfone 11 Ultra」、希望小売価格:139,800円〜、2024年7月5日発売

ASUS JAPAN「Zenfone 11 Ultra」、希望小売価格:139,800円〜、2024年7月5日発売

6.78インチに大型化、動画やゲームが快適に

冒頭でも触れたとおり、「Zenfone」はシリーズをとおしてコンパクトサイズを一貫してきました。従来機「Zenfone 10」の画面サイズは5.92インチと、小さめの高性能なスマートフォンが欲しいというニーズに応えるサイズでした。

しかし、「Zenfone 11 Ultra」は6.78インチと一気に大型化。もちろん、「Ultra」と名前に付いているため、今後従来どおりにコンパクトな「Zenfone 11」が発表されるかもしれませんが、2024年7月1日時点でシリーズ最新モデルは「Zenfone 11 Ultra」のみしか選択肢がありません。

しかし、大型化は、コンテンツ消費の観点において大きなメリットです。Webページやアプリ、動画は見やすくなり、ゲームも大画面のほうが見やすいです。

大型化した「Zenfone 11 Ultra」。とはいえ、幅が抑えられているため、筆者の手であれば無理なくホールドできます

大型化した「Zenfone 11 Ultra」。とはいえ、幅が抑えられているため、筆者の手であれば無理なくホールドできます

ディスプレイが大きいのは動画鑑賞やゲームプレイ時に大きなメリット。最大140Hz駆動の滑らかな映像美を楽しむには十分な大きさです

ディスプレイが大きいのは動画鑑賞やゲームプレイ時に大きなメリット。最大140Hz駆動の滑らかな映像美を楽しむには十分な大きさです

画面が大きくなったぶん、文字や表示範囲が大きくなり、視認性は高いです

画面が大きくなったぶん、文字や表示範囲が大きくなり、視認性は高いです

その半面、携帯性においては、片手で操作しにくいですし、ポケットに入れるのもかさばります。「Zenfone」で大きな画面が欲しかった人には朗報ですが、コンパクトで取り回しがしやすい「Zenfone」が好きだった人には悲報になるでしょう。

上部が重たいため、片手持ちでの文字入力や操作はちょっと厳しいですね

上部が重たいため、片手持ちでの文字入力や操作はちょっと厳しいですね

写真を撮ったり、動画を見たりすることが多い筆者の使い方だと、大型化は大歓迎です。Webブラウジングやアプリも文字や表示範囲が大きくなり、非常に快適。筆者と同じような使い方であれば、「Zenfone 11 Ultra」のサイズ感は受け入れやすいのではないでしょうか。

ハイエンドスマホらしいグレードアップしたカメラ

「Zenfone 11 Ultra」のメインカメラは、5000万画素の広角カメラ、1300万画素の超広角カメラ、3200万画素の望遠カメラというトリプルカメラ構成。従来モデルはサイズの問題から広角カメラと超広角カメラの2眼構成だったため、ここはアップグレードされた点になります。カメラをよく使う人には朗報でしょう。

背面のカメラ部は土台が大きくなっています。カバーを付けたほうが安全です

背面のカメラ部は土台が大きくなっています。カバーを付けたほうが安全です

以下から作例を確認できますが、全体的な画質はハイエンドスマートフォンらしく非常にキレイ。特に、ソフトウェアで色味を強烈に持ち上げた感じもなく、自然な見た目で撮れるカメラという印象です。

広角カメラ

こちらは「夜景」モードの1枚。かなり暗い環境でも明るく撮れます。若干画質の劣化が気になりますが、夜の街中とかで撮影するには十分でしょう

こちらは「夜景」モードの1枚。かなり暗い環境でも明るく撮れます。若干画質の劣化が気になりますが、夜の街中とかで撮影するには十分でしょう

望遠カメラ

望遠カメラは光学最大3倍ズームに対応、それ以上はデジタルズームになります。画質は広角カメラと比べて彩度がより実際の見た目に近い印象。店内など少し暗めの場所だと、晴天の屋外と比べて画質が若干落ちます。

等倍

等倍

光学3倍ズーム

光学3倍ズーム

等倍

等倍

光学3倍ズーム

光学3倍ズーム

動画

「Zenfone」シリーズの特徴として、アクションカメラに搭載されているような6軸ジンバル手ブレ補正「6軸ハイブリッドジンバルスタビライザー3.0」(広角カメラのみ)があります。強烈に手ブレを防いでくれるため、ジンバルなどを別途用意することなく、滑らかな映像が撮影できる機能です。

ただし、クロップされるため画角が狭くなります。下の動画は、歩きながら、かつ、あえて小刻みに揺らしながら撮影。ガクンという大きな揺れは残っていますが、スマートフォンでここまで補正できれば十分です。

トレンドのAIを生かした新機能

2024年はスマートフォンでもAIがトレンドです。Googleやサムスンは新機種でAI機能を前面に押し出していました。「Zenfone 11 Ultra」もAI機能が強化されており、「AI壁紙」「AI通話翻訳」「AI文字起こし」という3つの新機能が追加されています。

「AI壁紙」は、ベースとなるテーマからAIが壁紙を自動生成してくれる機能です。自分だけのオリジナル壁紙を作れるので、これはなかなか楽しい機能ですね。

AIが生成してくれた壁紙。どんな画像を生成してくれるのか、設定のたびに楽しみになります

AIが生成してくれた壁紙。どんな画像を生成してくれるのか、設定のたびに楽しみになります

「AI通話翻訳」は音声通話をリアルタイムで翻訳&テキストで表示、「AI文字起こし」は録音した音声ファイルをテキストに起こしてくれる機能です。両者ともに、日本語、英語、中国語(2種類)、イタリア語、スペイン語、ドイツ語、フランス語、ポルトガル語の9か国語に対応します。

「AI文字起こし」はリアルタイムでテキスト化してくれますが、精度はGoogle「Pixel」やサムスン「Galaxy」と比べて、少し低いという印象。今後のアップデートで精度を上げていってほしいですね。

「AI文字起こし」は便利な半面、固有名詞などの精度に難点があります。それでも後から見返して、きちんと文章の内容がわかるレベルです

「AI文字起こし」は便利な半面、固有名詞などの精度に難点があります。それでも後から見返して、きちんと文章の内容がわかるレベルです

そのほかの基本機能では、バッテリー容量が5500mAhで、65Wの急速充電と15Wのワイヤレス充電に対応していることがトピックです。「Zenfone 10」は、コンパクトボディのため4300mAhしかバッテリー容量が用意されていなかったため、ここは大きな進化点になります。

試しに、「原神」を画質最高、フレームレート60FPS、明るさ50%、Wi-Fi接続で1時間プレイしたところ、バッテリーは18%減少しました。かなり負荷がかかるテストのため、普通に動画を見たりゲームをプレイしたりするぶんには、もう少しバッテリー減少を抑えられると思います。

一般的な用途であれば、1日充電しなくても朝から晩まで問題なく使えるでしょう。バッテリー持ちは非常に高いものがあります。

スペックに関しても、現在流通しているAndroidスマートフォンで最高クラスの「Snapdragon 8 Gen 3」を搭載していることもあり処理性能はトップクラス。メモリーも大容量なので、一般的な作業で困ることはありません。ゲームも、「原神」で画質を最高、フレームレートを60FPSにしても問題なく遊べます。

「原神」は最高設定でも快適にプレイできます。1時間のプレイでは、処理落ちなども発生しませんでした

「原神」は最高設定でも快適にプレイできます。1時間のプレイでは、処理落ちなども発生しませんでした

ただし、ここまで高い負荷がかかると、端末が熱くなるため、外でヘビーな作業を行う場合は注意してください。室内で端末を持っていられないレベルではありませんでしたが、夏の暑い日は気をつけたほうがいいでしょう。

ちなみに、「Zenfone 11 Ultra」とベースモデルがまったく同じで、冷却性能をゲーム向けに強化した「ROG Phone 8」が販売中です。ヘビーなゲーマーなら、「ROG Phone 8」も検討してください。

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2024/06/28 21:00

まとめ

「Zenfone 11」は、シリーズで最大の特徴だったコンパクトを捨て、大型スマートフォン、つまりより多くの人に受け入れられやすいスマートフォンへと変わりました。コンパクトスマートフォンユーザーにとっては悲報かもしれませんが、ニッチなコンパクト市場よりも大きな市場を狙いにいくのは、メーカーとして妥当な判断だと思います。

「Zenfone 11」はディスプレイが大きいため高品質な映像体験を享受しやすいですし、カメラもスペックもAI機能もハイエンドスマートフォンらしい完成度。誰でも使いやすい万能スマートフォンという印象です。

もちろん、まだ「Zenfone 11」が発表されていないため、コンパクトスマートフォンユーザーは、「Zenfone 11」の登場に期待したいところです。

水川悠士(編集部)
Writer / Editor
水川悠士(編集部)
デジタル系メディアから価格.comへ。スマホ、スマートウォッチなどのガジェット周り、ゲーム関連を担当。触ってきた製品は数えきれないほど多いです。価格.comマガジンのYouTubeにも出演中。
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